著者
平尾 和子 武井 婦貴恵 米山 陽子 高橋 節子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.49-54, 2005

サゴ澱粉の物性に及ぼす卵黄粉末添加の影響についてとうもろこし澱粉, 馬鈴薯澱粉と比較し, 澱粉懸濁液の粘度特性, ゲルのテクスチャー, 保型性および離水率を検討しTable2に示した.実際の調理面からレモンパイフィリングを調製して官能評価を行い, サゴ澱粉の調理素材としての適性を検討した.<BR>1) サゴ澱粉懸濁液の粘度変化は卵黄粉末30w/v%添加により最高粘度, 冷却25℃の粘度が無添加より増加した.<BR>2) サゴ澱粉ゲルの硬さ, 凝集性は卵黄粉末30w/v%添加により低下し, 付着性は添加, 無添加にかかわらず認められなかった.<BR>3) サゴ澱粉は卵黄粉末添加により, 他の澱粉に比べて保型性の低下が最も少なく, 形状保持に役立つ.また冷蔵による離水率はわずかに低下を示した.<BR>4) レモンパイフィリングの官能評価の結果から, 「特性評価」ではサゴ澱粉は有意に光沢があると評価された.「嗜好」では味, 硬さ, べたつき, 弾力性, 総合評価の項目では小麦粉が最も好まれたが, サゴ澱粉は硬さ以外の項目で小麦粉に次いで好まれ, とうもろこし澱粉にも近い嗜好性が認められた.
著者
山田 郁 阿部 徹弥 谷沢 善明
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.175, 2005 (Released:2005-12-08)

目的 湯飲み茶碗やコーヒーカップを繰り返し使用すると、容器の内側に茶渋が形成される。この茶渋は通常洗剤とスポンジだけでは除去するのが難しく、研磨剤や漂白剤が必要となる。茶渋の実態については明らかとなっていないため、化学組成、カルシウムイオン添加や経時に伴う構造変化を調べた。方法 モデル茶渋は、市販のティーバッグと東京の水道水または蒸留水を用いて抽出した紅茶溶液に磁器タイルを浸すことにより生成させた。タイル上に生成した茶渋は、一部はそのまま電子顕微鏡観察を行い、もう一部は茶渋をスパチュラで掻き取り化学組成分析を行った。結果 茶渋は、水の蒸発による喫水線の低下に伴いタイル表面に生成した。元素分析、IR分析の結果、茶渋の化学組成は紅茶自体のものとは異なり、カルシウムがキレートされたポリフェノール類と少量の珪酸カルシウムから成ることがわかった。SEM-EDS分析より、有機物の上に珪酸カルシウムが島状に存在する様子が観察された。また、紅茶へのカルシウムイオン添加と経時により、ポリフェノールのキレートと重合が促進されることがわかった。次に、茶渋の化学的除去方法について検討した結果、キレート剤に効果があることを見いだした。茶渋除去能は、カルシウムイオンとの錯安定度定数の順序と一致した。
著者
金 基淑 藤木 澄子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.172-177, 1984-03-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

1) 梨果汁はこれに肉を浸漬することにより肉の軟化効果をあらわすことが認められた.2) 肉軟化の要因はプロテアーゼの存在のためと推測し, その抽出を試み, 抽出した粗酵素について若干の性質を調べた。i) 粗酵素活性の至適pHは5.5で, 梨汁のpHとほぼ一致している.ii) 粗酵素の至適温度は50~55℃で55℃を越すと活性が急速に低下するから, 加熱調理の初期の段階で強く働くものと思われる.iii) 本酵素はHg2+, Ag+, Cu2+等の重金属イオンによって活性が強く阻害された.また, 活性の発現にはD.T.T.システイン, あるいはメルカプトエタノール等のSH基保護試薬を必要とすることから, パパイン, ファイシン, プロメリソ等の植物起源プロテアーゼと同様にSH酵素であろうと思われる.3) 肉軟化効果は梨汁の場合よりも梨抽出粗酵素溶液を用いた場合のほうがよりいっそう顕著であった.4) 粗酵素の筋原繊維タンパク質への影響を調べたところ, ミオシンが反応時間の経過とともに分解されていくことが認められた.これは肉軟化の大きな要因であると考えられる.5) 肉組織の観察の結果から, 粗酵素溶液の肉基質タンパク質への影響もみられた.6) 筋漿タンパク質についても粗酵素によるプロテオリシスがみられた.
著者
福田 靖子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.793-798, 1987-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

焙煎ゴマ油およびゴマサラダ油の抗酸化性物質のフライ時の変化について研究を行い, 次の結果を得た.1) ゴマ油をホットブロックバスで180℃8時間加熱したときの抗酸化性物質の変化を調べた.ゴマサラダ油のセサミノールは, 未加熱油の約80%, γ-トコフェロールは約42%残存していた.焙煎油のγ-トコフェロールは約67%残存していた.2) 焙煎ゴマ油で1家族分 (4人分) の天ぷら, 冷凍コロッケ, 小魚を揚げた場合, 油のみを加熱したときと同様, 抗酸化を示すに十分量のセサモール (0.04%) が前駆体であるセサモリンから生じていた.3) 焙煎ゴマ油でポテトスティックを素揚げにしたときは, セサモリンの加水分解が起こり, セサモールとサミンを生じた.4) ゴマサラダ油で, 天ぷら, 冷凍コロッケを揚げた場合にも, セサミノールは, 約85%残存していた.
著者
正井 博之 菅野 幸一 円谷 悦造 柴田 邦彦 蓑田 泰治
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.167-172, 1982-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

酢洗いによる魚の鮮度保持効果を科学的に立証することを目的とし, 魚体を酢洗いした場合のVBN, TMA-N, ヒスタミン, pH, 一般生菌数, 官能検査評点の変化を対照区のそれと比較した.その結果以下の知見が得られた.1) アジを用いた実験より, VBN, TMA-N, 一般生菌数, 官能検査評点の変化からみて, 酢洗いは, 魚の鮮度保持方法としてきわめて有効であることがわかった.2) アジを用いたすべての試験区のうちで, ドレスの酢洗い, 0℃保存区が最も鮮度保持効果が大きかった.3) pHの測定は, アジの腐敗の判定方法として適当ではなかった.4) サバを用いた実験より, 酢洗いはアレルギー様食中毒の原因物質であるヒスタミンの蓄積を著しく抑制することがわかった.これは醸造酢が魚体に付着したヒスタミン生成細菌類の増殖を抑制したためと推定された.
著者
鈴木 綾子 堀越 フサエ 檜作 進
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.169-173, 1971-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

ゴリイモが出来る原因の一つとして、デンプンの老化、糊化が関係していると考えられることから、調理に関連して種々の条件下におけるジャガイモ中のデンプンの糊化度の変化を検討した結果、次のようなことが観察された。1) イモの調理の際、加熱温度が60℃以下では、加熱時間を長くしても十分糊化されない。2) 加熱温度のちがいによって、加熱を中断した時の老化の速度がことなり、加熱温度が60℃付近のイモのデンプンの糊化度の減少がもっとも大きく、老化がすすみやすい。十分糊化したイモほど老化がおそい。3) 試料を60℃~70℃に加熱して糊化が不完全な状態で加熱を中断し、40℃以下に冷却すると、更に100℃に再加熱しても完全には糊化され難く、外観上もかたい。加熱を中断して室温で24時間おいたイモは、この間冷蔵庫に保存したものよりも、再加熱によって糊化し難い傾向がある。本報の要旨は昭和44年10月、日本女子大学における日本家政学会総会において発表した。
著者
関口 富左
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.385-389, 1981-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

On August 3, 1872 (Meiji 5), the new government announced an educational system establishing the foundation of modern institutional education. Elementary schools were founded throughout the nation by order of the new educational regulations, as appointed by way of the elementary school teaching regulations (Shogaku Kyosoku). The tenets of this regulation were undertaken by each prefectural education committee, and incorporated with consideration of the different prefectural situations. This paper is centered on nation-wide facts of how handiwork (Shugei) (Saiho) was acquired, and its trends or differentiations developed from each prefectural teaching regulation.At the time the new regulations went into effect, the percentage of school attendance for females was very low and, moreover, Japanese dressmaking education for females was not under serious consideration. Only a part of female elemetary schools (Joji Shogaku), or a portion of prefectures that intended to spread education assigned the study of Japanese dressmaking. Gradually, however, the study of Japanese dressmaking became a required subject. Japanese dressmaking education under the prefectural teaching regulation of 1875 and 1876 (Meiji 8-9) was one of the primary forces in extending female education in Japan.
著者
山本 誠子 栗山 尚子 小宮山 冨美江
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.17-22, 2001-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

ゆでたじゃがいもにデンプンを加えたための物性の変化がいももちの特徴であるので, じゃがいもデンプン添加量の異なるいももちについて, テクスチャー特性の測定, 破断特性の測定 (レオナーによる) と官能検査 (評点法による) を行い, 比較・検討した結果を要約すると以下の通りである.(1) いももちはデンプン添加量が多いほど硬く, 凝集性が大きく, 破断応力, 破断エネルギーも大きく, 強靭になった.また, 伸長破断による伸びは大きくなるが, 伸ばすのには大きな力が必要となった.出来たてはやわらかく伸びは大きい.しかし経時変化に伴い, 硬く, 凝集性は小さくなり, 破断応力, 破断エネルギーは大きいが, 伸長破断による伸びは小さく, 伸びなくなった.(2) 官能検査では30%が一番, 次に20%が好まれた.30%は適度な弾力とかたさ, 伸びがあり, もち感が感じられ, いももちとしてのイメ門ジに非常に近かった.(3) 官能検査と機器による客観測定値について相関係数を求めたところ, かたさと原硬さ, 弾力と凝集性, 弾力と破断ひずみとに高い相関がみられた.
著者
平尾 和子 西岡 育 高橋 節子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.363-371, 1989-05-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
14

タピオカパールは, 調理に際して煮くずれしやすく, 芯が残りやすいなどの問題点があり, その加熱方法はむずかしい.透明感や歯ごたえがあり, 煮くずれが少なく, 芯のないタピオカパールを得るためのより簡便な加熱方法を知る目的で本実験を行った.加熱方法は, 湯煎による加熱の湯煎法と魔法瓶を用いるポット法について比較し, 顕微鏡観察, 物性測定および官能評価の結果から浸水効果や加熱方法を検討した.結果は次のとおりである.1) タピオカパールは, 加熱に際しての浸水効果は認められず, 浸水することなく, 直接ふりこんで加熱するほうが煮くずれしにくい結果となった.2) 加熱方法では, ポット法が湯煎法に比べて煮くずれせず, 弾力があり, 芯のない煮上がりとなるなど, 物性値においても, 官能評価においても最も好まれた. 魔法瓶を用いるポット法は, 加熱途中の攪拌や湯を補うなどの手間もかからず, しかも形状やテクスチャーのよいタピオカパールを得ることができるなど, 簡便かつ効果的な加熱方法と考えられる.3) 湯煎法のうち, 水にふり込んで加熱する水湯煎法は, 熱湯にふり込む熱湯湯煎法に比べて加熱時間が短縮され, とくに2時間加熱することにより, 透明で歯ごたえのある試料が得られた.
著者
岡井 律子 小笠原 章 繁田 明
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.213, 2003 (Released:2004-05-25)

【目的】近年、アレルギー体質の人が増加しており、家庭内のアレルゲンとしては、ダニ(糞・死骸)が知られている。ダニ対策は厚生労働省から、日常の掃除行動や住宅設備の管理等での対策が提唱されているが、主婦の家事行動との間には乖離がある。主婦のダニに対する知識や意識、対策行動の実態を把握し、家庭における有効なダニ対策を考察した。【方法】首都圏在住主婦(N=165)対象に郵送式自記入調査を実施。代表家庭(N=8)の掃除機がけ時のダスト・ダニアレルゲン除去率を測定。また1年間、同一家庭(N=6)のダニ数・ダニアレルゲン値を季節毎に迫跡調査。【結果】結果の概要は以下の通り。(1)殆どの主婦はダニを気にし、各種対策を実施中。ただし被害経験は少ない。ダニに関する知識は不十分。(2)ダニ数等の年間追跡調査から、冬はダニ数が減少するものの他の季節ではカーペットや寝具で厚生労働省のガイドライン値を超える家庭が多い。ダニ数の少ない家庭は念入りな掃除機がけを実施していた。(3)カーペットに対する掃除機がけ実施率は高いが、ダニ除去のためにはかけ方が不十分。寝具に対しては実施率自体が4割程度と低い。(4)掃除機がけによるカーペットのダストやダニアレルゲン除去率は、主婦自身の推測は約7割で、案際はダストで4割以下、ダニアレルゲンでは3割以下。布団でも取れていると思う意識よりも実際の除去率は低い傾向であった。以上より、現状の主婦の掃除方法では家庭内アレルゲンを十分除去するには至っておらず、新しい提案が必要と考えられる。
著者
橋谷 義人 大東 秀子 鹿内 健彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.131-135, 1967-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

食品の加熱手段として電子レンジ (900W) とブンゼンバーナーを用い、B1の分解から両者を比較検討した。すなわち被加熱試料として3%煎茶抽出液、2.5%肉汁、蒸ダイズ磨砕物およびブタ肉ミンチを選び、加熱によるB1の分解率を測定したが、両加熱方法の間に大差を生じなかった。しかし同一調理温度を得るためには高周波処理による方が時間的にはるかに優れていることを明らかにした。また生シイタケは高周波処理によって短時間で栄養学的にも合理的に加熱調理されることを知った。他方、B1塩酸塩の結晶およびその溶液につき高周波 (2450Mc/sec) 誘電加熱による分解を実験検討したが、結晶状では安定で分解を起こさず、pH値の高い緩衝液に溶解する程著しく分解した。しかしB1の分解時の挙動は、従来報告されている普通の加熱法による場合と同一経路を経るものと考えられ、溶液が沸点に達する迄に起こるB1の分解は電子レンジを用いた方が軽減されることを知った。
著者
中野 和子 光武 元子 二木 栄子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-34, 1977-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

一般に, 炊飯の際には炊飯器容量の8割炊きがおいしいといわれているが, 真実そのように言えるものか否かを検討するため, 炊き上がり容量を釜の1/5, 2/5, 3/5, 4/5, 5/5の5段階にわけ, 容量別米飯の食味について官能検査および客観的測定を行った.[官能検査] 1) 炊飯器容量からみた食味では, 5%の危険率で容量間に有意差が認められ, 4/5容量 (8割) 炊きが最もおいしく, 5/5容量 (10割) 炊きが最もまずく, 1/5, 2/5, 3/5容量炊きは両者の間に位した.2) 1釜内の部位別食味では, 4/5, 5/5容量炊きのいずれにも1%の危険率で有意差がみられ, 釜肌上部が最もおいしく, 中心底部が最もまずいと認められた.[客観的測定]1.4/5容量炊きと5/5容量炊き米飯についてa) 仮の面積比では, 前者が1.9, 後者が2.0でほとんど差がみられなかった.b) 水分含量では, 前者が64.4%, 後者が63.6%でいずれも64%前後の値を示した.c) 脱水率の経時的変化では, 常に後者が高い値を示した.2. 4/5容量炊き, 5/5容量炊き米飯の釜肌上部と中心底部については, 両者共通してa) 組織の形態的比較では, 釜肌上部が中心底部に比べて細胞膜がやや明瞭にみられた.b) 炊飯中の温度上昇曲線では, 沸騰まで釜肌上部が直線的に上昇し, 中心底部は不安定な上昇曲線を描いた.
著者
劉 敬淑 全 〓蘭
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.105-114, 2005-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
24

韓国10代の自尊心, 身体満足度と整形および服装行動との相互関連性を調査し, これらの因子の属性による差異と因果関係を解明しようとした.性別による心理要因との関係では, 男性の自尊心, 身体満足度はあらゆる身体の部位で女性のそれよりもより高かったが, 整形要求度と服装行動の面で見ると流行や個性に対する選好度は, 女性よりも男性の数値が低かった.自尊心と身体の顔部分の満足度では年齢による差は見られなかったが, 身体満足度の腰・尻部分, 身長・体型部分には差が見られた.学校類型による自尊心の差はなかった.身体満足度は全体的に高校生が中学生より低かったが, 整形要求度における顔の整形と脂肪吸引の要求度は高校生が中学生より高かった.服装行動での清楚さは, 学校類型による差はなかった.魅力と流行指向は中学生よりも高校生で高かったが, 個性指向は高校生が中学生よりも低く, 中学生より高校生がより個性を追求するとされる先行研究と差が見られた.小遣いによる, 自尊心や身体満足度との関係はなかったが整形要求度や服装行動との関係では, 小遣いが多いほど顔と脂肪吸引への整形要求度が高く, 魅力・流行・個性・清楚さの全体的な服装行動も高く示された.身体部位の整形要求の順位は男女ともにホクロ・傷跡除去を一番に望み, 次に男性では歯の矯正, 鼻, 下半身, 二重まぶたの順であり, 女性は下半身, 歯の矯正, 鼻の順で整形を望んでいた.韓国の10代に, 7個の属性と自尊心や身体満足度の因子が服装行動と整形要求度に及ぼす因果関係を調査するため段階的(stepwise)方法で多重回帰分析をした結果, 整形要求度では性別, 身体満足度, 年齢, 小遣いが有意的な影響を与え, この4因子の説明力はかなり高く, 男性よりも女性で, 身体満足度が低いほど, また年齢が高いほど, 小遣いが多いほど整形要求度が高かった.服装行動では, 魅力は自尊心, 年齢, 小遣い, 体型から影響を受け, やせ型で自尊心が高く小遣いが多いほど, 衣服の魅力性を追求する.身体満足度が高いほど自尊心が高く, 女性より男性で, やせ型で, 身長が高く, 社会階層が高いほど身体満足度が高かった.特に女性は男性より自己の外貌評価にあまり肯定的ではなく, 外貌を改善しようとする欲求が強いと思われる.

2 0 0 0 OA 左利きの研究

著者
原田 富士子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.205-212, 1960-08-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5
著者
片瀬 眞由美 平林 由果 渡辺 澄子 栗林 薫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.94, 2003 (Released:2004-05-25)

【目 的】ここ数年、靴の踵を踏みつぶしてスリッパのように引きずって歩く高校生の姿が目につくようになった。どのような意識が隠されているのか、その背景を明らかにするために、女子高校生の靴や足に対する意識と実態を調査することにした。今回は通学靴に焦点をあて、靴選びや履き方に関してのアンケート調査を実施した。【方 法】愛知県下の高等学校に在籍する女子高校生に対し、通学靴の履き方の実態や靴選びに関して調査を実施した(自記式集合調査法)。調査時期は2002年12月、有効回答数は1257(通学靴を指定している高等学校759、指定していない高等学校498)であった。【結果および考察】通学靴としてローファーを毎日履いているものは48%、スニーカーは38%でローファー派の方が多かった。足で気になっていることについては、「靴ずれ」が最も多く、ローファー派では9割が訴えたが、スニーカー派では5割に過ぎなかった。その他、足部の痛みや巻き爪、外反母趾、肩こり、足の疲れなどの訴えもあり、女子高校生の多くは足の悩みを抱えていることがわかった。一方、自分の足のサイズに関しては、「測定はしていないが大体知っている」が77%、「知らない」が19%であり、正確な足のサイズへの認識度は低かった。「正確に足のサイズを測ってみたいか」では「思う」と「思わない」が半々で、足のサイズへの関心はそれほど高くないことが窺えた。通学靴の踵を「踏んでいる」のは16%で、その理由は「脱ぎ履きが簡単だから」であった。本調査の結果から、女子高校生は見た目を優先して通学靴を選び、脱ぎ履きの楽な靴を求めてサイズを選んでいることが足の悩みにつながっている可能性があることが示唆された。
著者
安田 淑子 下村 道子 山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.107-110, 1976-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3

湯取り法と普通炊による米飯を炒め飯にし, その性状を比較することにより, 湯取り法の検討を行った. 結果を要約すると次の通りである.1) 米飯の炒め操作については, 湯取り法の方がはるかに炒めやすい.2) 炒め操作中に湯取り法の米飯は水分の蒸発がより多い.3) 炒め飯のノルマルヘキサンによって抽出される油脂は湯取り法の方が多く, 表面に付着している割合が多い.4) 顕微鏡によって, 普通炊の米飯粒のまわりにはおねばが付着している状態が観察され, 湯取り法ではほとんどなかった. また, 炒め飯のバターの付着状態は, 湯取り法の米飯に均一に付いているのに反し, 普通炊ではむらであった. 米飯が高温の方がバターの浸透が多い.5) テクスチュロメーターによる測定では, 湯取り法による米飯の炒め飯は付着性がみられず, 硬さが普通炊にくらべて大きく, 凝集性は小さかった.6) 炒め飯の官能検査では, 湯取り法と普通炊による差はみられなかった.
著者
青柿 節子 黒沢 和子 藤木 澄子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.451-456, 1982

天ぷらを作る際に衣にしょうが汁を添加すると軽い好ましい衣ができるといわれているのでその理由を検討したところ次のような結果が得られた.<BR>1) 小麦粉のとき水に10%しょうが汁を添加した衣は放置時間に伴ってBL型粘度計による粘度, 揚げ種への付着量, テクスチュロメーターによる硬さ・付着性が低下した.<BR>2) 20分間放置した添加衣を光学顕微鏡により観察すると連続していたグルテンが小さく分散していることが認められた.<BR>3) 揚げ衣はしょうが汁添加後の放置時間の延長に伴って水と油の交代がよく行われた.無添加衣にはこのような傾向は認められなかった.<BR>4) 添加衣, 無添加衣を用いてさつまいもの天ぷらを作り, 官能検査をした結果, 添加衣を20分間放置したものが最も好まれた.<BR>5) しょうがからプロテアーゼを抽出精製して, その酵素液をグルテニン・グリアジンに作用させ, SDS-PAG電気泳動を行った結果, 5分間の反応により, グルテニンの分子量104,000, 84,000に相当するバンドおよびグリアジンの分子量46,000に相当するパンドが消失して低分子化していることが認められた.<BR>以上の結果より天ぷらの衣にしょうが汁を添加するとからりとした好ましい成績が得られることが明らかになった.また魚等の腿臭のある揚げ種にこの衣を用いると, しょうがの芳香も有効に働き, 効果的ではないかと考えられる.
著者
築舘 香澄 大森 正司
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.176, 2012 (Released:2013-09-18)

目的 γ-アミノ酪酸(GABA)は抑制性の神経伝達物質として脊椎動物の脳内に存在することが知られている.また,現在では様々な末梢組織にGABAが存在することも認められている.近年,GABAは血圧上昇抑制作用や抗ストレス作用,成長ホルモン分泌促進作用,腎機能障害抑制作用,中性脂肪増加抑制作用を有することが知られ,機能性食品素材として注目されているが,食餌性GABAの体内における挙動について検討した研究はほとんどない.そこで本研究では,ラットにGABAを経口投与し,各臓器におけるGABAの分布について検討した.方法 6週齢のWistar系雄性ラットを用いた.ラットに10%GABA溶液を1mL強制経口投与し,1,3,5時間後に二酸化炭素による安楽死の後開腹し,心臓採血を行った.その後,生理食塩水を灌流して脱血し,胃,肝臓,腎臓,脾臓,十二指腸,盲腸,大腸,睾丸,脳を摘出した.採取した血液および臓器についてTCA溶液で除タンパク後,L-8800形日立高速アミノ酸分析計を用いてGABA含量を測定した.結果 血液,肝臓,十二指腸および睾丸中のGABA含量は,投与後1時間で最大値を示し,時間とともに緩やかに減少した.胃では投与後1時間で最大値を示し,その後,急激な減少が認められた.腎臓では,投与後1時間から3時間で最高値を示し,その後減少した.脾臓では投与後3時間で最大値を示した.盲腸および大腸では,投与後,時間とともに増加した.GABA投与後,脳中GABA含量の大きな変化は認められなかった.
著者
香西 みどり 石黒 恭子 京田 比奈子 浜薗 貴子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.579-585, 2000-07-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
14
被引用文献数
12

米を加水比1.5で炊飯し, 米粒と炊飯液に含まれる還元糖および遊離アミノ酸量を洗米後の浸漬 (20℃, 1h), 加熱 (温度上昇速度6.6℃/min), 蒸らし (15min) の各段階において測定した.(1) 生米に含まれる還元糖量は洗米により2/3に減少し, 40~60℃の問で米粒, 炊飯液ともに最大の増加を示した.還元糖量の増加にはグルコースの寄与が大きかった.炊飯過程 のこれらの糖の変化に米粒内部の酵素の分布や温度依存性の違いが関与していた.(2) 生米に多く含まれるアスパラギン酸, グルタミン酸量は洗米により約1/5に減少した.これらのアミノ酸量は浸漬により炊飯液中で増加し, 米粒では 80℃~沸騰の問で増加した.(3) 還元糖および遊離アミノ酸量を米粒および炊飯中の水分に対する濃度で表した結果, 米粒では最大値が還元糖では60℃, 遊離アミノ酸では沸騰直前にあり, 炊飯液ではいずれも沸騰直前にあった.