著者
益本 仁雄 宇都宮 由佳 スィワナーソン パタニ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.771-784, 2004

Since 1992, the authors have been comprehensively researching the life of local people in an unelectrified village of northern Thailand. A research on structure and function of the family was conducted by a questionnaire survey in August 2002 with a hearing survey that followed up one year later in August 2003 as well as the demographic surveys conducted in January 1993 and June 2002. The data were mainly analyzed by cross analysis method using SPSS software. With the electrification of the village at the end of 1996, the villagers exposed to a large quantities of external information through TV have been trying to increase their earnings in various ways on the basis of the information obtained. Consequently, those who work or study away from homes are increasing. Although the family structure has not remarkably been changing, the outsourcing of the family function has been recognized. Furthermore, internationalization has been slowly progressing there. Such being the case, the structure and function of the family of this village are expected to change at an accelerated rate.
著者
大村 知子 木岡 悦子 森 由紀
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.539-549, 1997

阪神大震災の被災者の衣生活行動の経時変化を追跡的に調査することによって, 実態の記録と災害など非常時の着装行動に対する危機管理に関する基礎資料を得て, 衣生活への備え方を探求することを目的として, 被災後の着装行動に関する考察を試みた.<BR>資料は, アンケート形式による質問紙調査を 1995年 7 月に女性被災者 204 名を対象に, さらに追跡調査を第 1 回の調査対象者から無作為に 104 名を抽出し, 1996 年 1 月に実施して得た.<BR>主な結果は以下に示すとおりであった.<BR>(1) 避難時の服装は, 被災程度の大きい地域ほどねまきなど発生時のままで, しかも裸足で避難した例が多く, 着がえてから避難した者は全体の約 3 分の 1 だった. 寒中の早朝に, 着の身着のまま, コートあるいはセーターなどを加えただけで, 靴も履かずに避難したことが明らかにされた.<BR>(2) 履物は, 当日は被害が大きいほど, 裸足やスリッパの利用がみられるなど, 地震発生時間と日本の居住様式による影響が認められた.その後の経時変化は, ライフラインの復旧の進展との関わりが顕著で, 被災の1カ月後は運動靴が過半数であったのに対し, 6 カ月以降は運動靴は 20% 以下となって, 歩きやすい靴に, 次いでヒールの高いおしゃれの要素のある靴が増した.<BR>(3) 自宅の庭・車中などで着がえたなど, 非常時の着脱行動の特徴がみられ, 1 週間以上着がえられなかった例が 5.3% あった. 衣生活に関わる救援活動システムや情報伝達方法に, 多くの課題があることがわかった.<BR>(4) 寝る時の服装の経時変化では, 寝衣を着た者は被災当日の夜が前夜の 28% (47 人), その後も日常着のままが多く, 1カ月後でも寝衣の着用は 53.9% で, 6カ月後にようやく震災前に回復した. 年齢層や性別による違いがみられ, 男性の高齢者の回復が最も遅かった.<BR>(5) 寝具は, 居住環境が劣る被災者ほど, 1 カ月以上も毛布のみで過ごした者が多く, 心身の健康を損なう二次災害の 1 要因になったといえる.<BR>(6) 6カ月以後の衣生活意識では, 75% がおしゃれに関心を持ち, 63.7% の被災者が着たい服装色が直後とは変化し, 1 年後では明るい色, 暖かい色・鮮やかな色を着たい者が多かった. しかし, 灰色など目立たない色を選ぶようになった者もあり, 装いの心が復活する傾向が強い反面, 震災によって着装意識が変化した者もみられた.<BR>以上の結果から, 緊急時への危機管理に関しては, 日常生活の延長上に非日常の生活があることを認識することが重要であり, わが国においては都市型の衣生活に対する危機管理を検討する必要性がわかった.サバイバルスキルの教育, 危機管理の教育の必要性とこられの早期実践の重要性を提言した.
著者
古場 久代 重松 恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.829-832, 1979-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4

50名の女子学生を対象に, 清汁を用いて, その塩味に対する官能検査を行った.まず食塩1%の標準清汁について, その塩味の強さの評価を, カテゴリー尺度法により調査した.この清汁に対する塩味評価は, 月経周期に対して変化し, 月経周期前半期では「やや塩からく感じる」のに対し, 後半期では「ややうすく感じる」傾向が認められた.食塩濃度が異なる3種の清汁 (食塩0.8, 1.2, 1.5%) においても, 月経周期の後半期は前半期に比べて, より「うすく感じる」傾向を示した.食塩濃度の異なる4種の清汁 (食塩 0.8, 1.0, 1.2, 1.5%) のうち, 最適添加量と推定した好みの食塩濃度を月経周期に対応させて, その平均値と信頼限界を求めた結果, 月経周期の前半期と後半期では, その評価に明らかな有意差が認められた.この結果より判断すると, 月経周期の前半期は比較的うすい食塩濃度の清汁を好み, 後半期は前半期より濃い食塩濃度の清汁を好むと思われる.
著者
川染 節江 石間 紀男 吉川 誠次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.41-47, 1971

1) クッキーの味覚は、原料の配合比により影響されると思われるので、その関連を調べるために、単体格子方格に従って、実験回数が25のCubic Modelを採用し、官能テストとTexturometerによる硬さの測定を行なった。<BR>2) テスト方法は、毎回4個ずつ基準品と比較する方法をとり、外観、風味、甘味、硬さ、舌ざわり、総合評価の6項目とし、基準品の評価は、嗜好意欲尺度にもとついた。3) クッキーの嗜好を左右する官能的要因を検討するために、総合評価と各評価項目との関係について、単純相関係数と偏相関係数を求めた。その結果、総合評価に寄与する主な評価項目は、舌ざわり、甘味、風味であることが判明した。<BR>4) 反応曲面の係数を求めることにより、実験格子点以外の配合比による試料について、総合評価を推定することができた。それによれば、小麦粉、砂糖、卵が最小の割合 (35、15、10%) では、コーンスターチが少なくてバターが多いほどよく、もっともよい配合比は、小麦粉35%、コーンスターチ8.3%、砂糖18.3%、バター28.3%、卵10.1%であると解釈できる。硬さの測定値は25-36 (T.U.) が理想的であり、コーンスターチの適量の配合は、Texturometerの測定曲線から、「もろさ」をよくする傾向があることが判明した。<BR>5) クッキーは水分が少ない (2.3~2.5%) ので保存性に富み、デシケーターを利用すれば8週間経過したものでも食味に変化のないことを確認した。
著者
岡部 和代 黒川 隆夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.743-751, 2006

ブラジャーは女子の肌に密着するファンデーションとして, 消費者の感性的ニーズをデザインに反映させる必要がある. 消費者の好みや感性をデザインに活かすには, 評価した人の特性を評価し, 類型化することが必要となる.<br>そこで, 本研究では日本人若年女子193名にタイプの異なるブラジャー5種を対象として官能評価を行わせ, ブラジャーの特性を明らかにした上で, 判定者の類型化を行った. ブラジャーに共通した因子として, ズレ感, 揺れ感, 圧迫感, 整容感, 背面・脇押え感を抽出した. 特にズレ感や揺れ感の因子は寄与率が高く, また総合的な着心地との相関が高かった. タイプ別に導出した判定者の因子スコアを原データとしてクラスタ分析を行い, 判定者を4クラスタにパターン分類した. クラスタごとに官能評価結果を分析することにより, 評価の深層を浮かび上がらせることが可能になるということが示唆された. さらに評価結果は, 判定者がブラジャーについてどのような感覚が強いか, ひいてはブラジャーに何を要求しているかを表すものと考えることができる. 判定者が多ければ, 判定者のクラスタはそのまま消費者のクラスタと考えられ, 官能評価分析の結果をニーズに基づく商品設計に応用できるはずである. しかし, 官能評価の判定者の反応が多様であることから, 官能評価の方法や商品設計について考えさせられる点が多かった. 本研究では4クラスタに分類したが, ほとんどの項目に中間の評価をするクラスタ1の判定者が多く含まれる官能評価では明瞭な結果が得られない可能性が高くなるし, クラスタ2とクラスタ3のように反応差が大きい判定者が混じっている場合も平均化されて曖昧な結果に終わることが考えられる. 消費者の感性を商品に反映し, 質の向上を図るためにはクラスタごとに官能評価結果を分析して深層を浮かび上がらせることの重要性が示唆された.
著者
大村 知子 山内 幸恵
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.96, 2006 (Released:2008-02-28)

【目的】ローライズパンツは、最近若者を中心に利用されているが、その股上の浅さゆえに座位への動作により後ベルトが下方にずれ、下着が見えてしまうという問題がある。本研究では、パンツの股上丈、身体寸法、姿勢の違いによる適合性や動作適応性への影響などを着用実験により明らかにする目的で考察を試みた。【方法】実験時期は2005年10月から11月、被験者は女子大学生20名。実験衣はサイズが9ARで股上丈が25cm・23cm・21cm・19cm・17cmの5種をシーチングで試作。官能評価は立位・椅座・蹲踞・床座姿勢時における適合性と立位から座位への動作適応性について、外観の評価は立位姿勢時におけるシルエットの評価について。動作による後ベルトの「ずれ」は三次元動作解析より算出。【結果】 (1)各部位の適合性において股上丈の浅いパンツほど「ゆるい」と評価した。適合性と動作適応性において股上丈21cmのパンツを「合っている」「動きやすい」と評価した。 (2)腰囲・胴囲寸法が小さい者は股上丈が浅いほどシルエットが「わるい」と評価された。 (3)椅座姿勢と比較して床座・蹲踞姿勢で有意な「ずれ」が認められた。官能評価で「きつい」と評価される場合に「ずれ」が多く生じた。
著者
篠原 久枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.161, 2014 (Released:2014-07-10)

目的 月経は生理的な現象であるが,武谷雄二氏らの調査によると,調査対象者の3割の女性が鎮痛剤服用にも関わらず日常生活に支障をきたすほどの月経随伴症状に悩まされていると報告されている。そこで本研究においては,女子学生の月経随伴症状の実態と問題点,課題を明らかにし,今後の適切なセルフケアのあり方について考察することを目的とした。方法 M大学に在籍する女子学生を対象に,平成24年10月~11月無記名自記式質問紙を実施した。調査項目は月経随伴症状の実態や対処法,食生活・生活習慣などである。配布数252部,有効回答数195部,有効回答率は77.4%であった。倫理的配慮ならびに個人情報の保護については十分に留意した。結果 調査対象者の約半数が重度の月経痛を抱えていた。月経随伴症状16項目について因子分析を行なったところ,「痛み以外の身体症状」,「情緒的な症状」,「吐き気や痛み」の3因子が抽出された。これらの症状には,先行研究と同様に不規則な食生活が影響しているという結果が得られた。「布ナプキン」についての関心は,約2割しかみられなかった。月経随伴症状を抱えていても「がまんしている」という回答も多く見られ,望ましい食生活の指導や,マンスリービクスや布ナプキンなどのセルフケアの周知が課題であろう。
著者
長尾 慶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.373-377, 1989

衣を厚くしたコロッケの揚げ加熱中の破裂の機構に関して以下の結論を得た.<BR>1) 衣を2, 3, 4mmと厚くすると薄衣の1mm試料の場合にみられた表層部破裂は起こらず, コロッケ全体に縦 (長軸方向) に亀裂が入る全体破裂となった.<BR>2) 外皮の引張強さは, 経時的に増加した.2mm試料のほうが, 3および4mmの試料に比べて短時間で強度が大となった.破裂時の外皮の強度から推定した内部圧は, 2mm試料のほうがより厚い皮の試料に比べて有意に低かった.<BR>3) 厚衣の全体破裂は, コロッケ内容物体積が揚げ加熱中に温度上昇に伴い6.5~6.9%膨張することで, 約2~3N/cm2高まった内部圧を皮が抑えきれずに亀裂が起きて, 破裂するものであることが示唆された.
著者
光永 俊郎 福岡 千鶴子 清水 まゆみ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.665-669, 1985-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

黒大豆のTI活性は, 黒大豆を煮沸させた調味液に浸漬するだけで50%が失活した.この活性は煮豆過程が進むとともに失われ, 最終的にはTI活性はほとんど認められなくなった.調味液中への活性成分の溶出も非常にわずかであった.一方, 黒大豆粗製TIは加熱により失活し, これは塩基性側, 高水分下で, また豆中のTI以外の物質の存在により促進された.煮豆時にもこれらが熱失活を促進すると考えられた.実際には, pHによる影響は若干であり, 豆中のTI以外の物質および水分により, 大部分のTIが熱失活することが推察された.
著者
棚橋 昌子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.276-284, 1983

乳幼児を育てながら働いている婦人の疲労自覚症状調査を行い, 家事専業主婦と比較検討し, 次のような結果を得た.<BR>1) 婦人の 20 歳代および 30 歳代は, 妊娠, 出産, 育児の時期にあたり, 家事専業, 勤労婦人ともに自覚症状訴え率が高い.<BR>2) 妻の職業別にみると, 家事専業主婦に比較して, 事務職, 看護職のものは, 朝の訴え率はほぼ同率であるが夜の訴え率は高い.<BR>3) 末子の年齢別にみると, いずれの職業においても末子の年齢が 0 歳の場合には, 朝夜ともに訴え率が高い.<BR>4) 収入生活時間別に訴え率をみると, 収入生活時間が 10 時間以上になると, 朝夜ともに訴え率が高くなる.<BR>5) 家事・育児の分担から妻の訴え率をみると, 「買物」「屋外そうじ」「戸じまり」「夜具のあげおろし」などの独立した家事を夫が分担する群では, 妻の訴え率が低くなる傾向がみられる.<BR>6) 家事専業主婦においては, 訴え率が 50 % 以上の項目は「肩がこる」「横になりたい」「目が疲れる」「ねむい」の 4 項目である.事務職においては, 訴え率が 50 % 以上の項目は, 「横になりたい」「目がつかれる」「ねむい」「肩がこる」「全身がだるい」の 5 項目である.看護職においては, 訴え率が 50 % 以上の項目は, 「横になりたい」「肩がこる」「ねむい」「足がだるい」「全身がだるい」「いらいらする」の 7 項目である.<BR>本報では, 1 日の疲労が加重されていくことに着目して検討したが, 今後, 翌日に持ち越される蓄積疲労についても検討する必要がある.
著者
野﨑 久美 柳田 紗矢佳 田中 響子 佐藤 由衣 清家 正博
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.8, 2015 (Released:2015-07-15)

【目的】 近年、ストレスを抱えている人口が増加しており心身の健康問題に直結している。この問題は様々な年齢層で確認されており、大学生もその一角に当てはまると考えられる。ストレスを受けると酸化ストレス状態となり、癌や生活習慣病を引き起こしやすくなる。抗酸化作用を持つ栄養素としてポリフェノールが挙げられ、お茶類に多く含まれる栄養素であることから学生でも手に取りやすく市場も安定している。本研究では、女子短大生が抱えるストレスについて調べると共に、ウーロン茶を摂取することによる酸化還元活動比率の変化について検討することを目的とした。 【方法】 対象者は、女子短大生57名とし無作為に分類し、酸化還元確認計を用いて試料の摂取前後に測定を実施した。使用した酸化還元確認計は、唾液の酸化体と還元体の活量比率に基づき測定をしているものであった。試料については、水及びウーロン茶をそれぞれ100ml又は200ml摂取させた。摂取後の測定は、試料を飲み終えてから1時間とし、その間は机上で出来る作業を行わせた。 【結果】 摂取前の結果では、ストレスを感じている群において唾液の酸化度は有意に高値を示したが、ウーロン茶の摂取習慣や痩せの有無は酸化度に影響を与えなかった。また、摂取1時間後の結果では、ウーロン茶の摂取により酸化度は改善傾向を示し、特に200ml摂取では対照群に比べて有意に減少した。
著者
辻 啓子 伊藤 きよ子 西條 セツ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.622-630, 1979

背にヨークをつけ, ギャザリングする場合をとりあげ, ギャザー分量, 長さの変化にともなう外観効果のちがいを, 裾のひろがり寸法, ヘム曲線の形状から検討した結果, 次のように要約することができる.<BR>1) 裾のひろがり寸法ならびにヘム曲線の形状は, 素材物性特にcover factor, 曲げ剛性, せん断剛性, ドレープ係数, 伸長弾性率, 布重量の影響を受ける.すなわちcover factorの大きい, 曲げ剛性, せん断剛性, ドレープ係数の小さい素材は裾のひろがり寸法は小さく, ヘム曲線のノード数は多く, その形状は均一で美しいドレープを呈する.また伸長弾性率の小さい素材はふくらみのあるドレープのたれ下がりを生じない.<BR>2) ギャザー分量が増加すると, 裾のひろがり寸法, ヘム曲線のノード数は増加するが, 布重量の大きい素材はギャザー分量が2.25倍になると, 自重により裾のひろがり寸法は小さくなる.<BR>3) ドレーパリの長さの差によるヘム曲線の形状は, 45cmと55cmの間には大差はみられないが, 90cmではノード数は約70%減少し, ノードの振幅は前者の約1.5倍となり, 同一ギャザー分量でも長さが変化すると外観効果は異なる.また布重量の大きい素材は長さが大になると, 裾のひろがりは自重により小さくなる.
著者
花岡 利昌
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.493-503, 1978-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
21
著者
田辺 洋子 飯島 真喜子 島田 淳子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.357-362, 1986

さとう, ゼラチン, 水というもっとも基本的な材料を用いたマシュマロを試料とし, マシュマロの調製可能な配合を決定し, さとうおよびゼラチン濃度の影響について比重, オーバーラン, テクスチャー特性を測定, 顕微鏡により気泡を観察し, あわせて官能検査を行い, その独得なテクスチャーについて検討した.<BR>1) 調製可能な配合はさとう濃度をの (30~60%), ゼラチン濃度を<I>y</I> (2~12%) とすると, 上限濃度<I>y</I>=-0.23<I>x</I>+17.6, 下限濃度<I>y</I>=-0.13<I>x</I>+11.6の2本の直線にはさまれる範囲にあり, さとう濃度の大きいほど, 調製に適当なゼラチンの必要濃度範囲がせまくなった.<BR>2) 抱気後比重およびオーバーランとさとう濃度およびゼラチン濃度との間には一定の傾向はみられなかった.<BR>3) さとうおよびゼラチン濃度が増加するにつれ, 平均気泡個数は増加し, よって平均気泡体積は減少した。これは気泡が小さく密になることを示している.またそれに伴い白度が増し, 硬さ, 凝集性, ガム性は増大した.<BR>4) さとう濃度を増加するとふわふわ感は減少し, 弾力が増しかみ切りにくくなった.テクスチャーの好ましさには差はみられなかった.ゼラチン濃度を増加するとふわふわ感およびかみ切りやすさは減少した.<BR>5) ふわふわ感は平均気泡体積と正の相関を有し, 気泡の平均体積が大きくなることがふわふわ感を与える要因となることが示唆された.
著者
任 喜敬 今井 範子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.849-860, 1995

本報では, 韓国都市集合住宅の居住者 (主人・主婦) を対象とした入浴状況の調査を行い, 入浴慣習の実態と, それに関連する入浴意識を明らかにした.その結果は, 以下のとおりである.<BR>(1) 居住者の入浴状況を公衆浴場と住宅内浴室に分けてみた結果, まず公衆浴場が都市集合住宅の居住者にとって, 日常的な入浴空間として存在していることが認められた.<BR>公衆浴場の利用状況は季節別に差が著しく, 冬季に最も高い.なお, 入浴回数は週1回程度の定期的な利用が多い.入浴にかかる時間は「1時間以上」の割合が最も高く, 入浴時間が長いという特徴があげられる.公衆浴場において, 湯につかるために浴槽を利用する者は, 約8割と多く, 湯につかる入浴慣習が形成されている.利用理由としてはサウナの利用と, 住宅内浴室が寒いからという理由が多く占めている.以上の公衆浴場の利用状況を年齢階層, 調査地域別にみた結果, 若い世代, また大都市ソウルにおいてその利用の程度は低く, 住宅内浴室での入浴が多くなる傾向が指摘できる.<BR>(2) 公衆浴場の利用が多いことから, そこでの主婦の入浴意識を分析した結果, とりわけ「疲労回復」と「体の清潔」にその意義を強く感じると反応する居住者が最も多く, 入浴の2大目的になっている.サウナを目的とする居住者が多いことは, 「疲労回復」の意識が高いことに関係している.また「住宅内浴室が寒い」という理由が多いことは, 「体の清潔」のために垢をとるという生理衛生的な意識が高いことに関係している.入浴意識は入浴回数が多い者ほど, また入浴時間が長い者ほど, 「楽しみ」, 「体の清潔」, 「気分転換」, 「くつろぎ」, 「疲労回復」, 「美容」などの項目の平均値が高く, 多様な項目に対し感じると反応している.調査地域別にみた結果, 光州の居住者の入浴意識がソウルの居住者よりも積極的であるが, ソウルに比べてタイプIII (公衆浴場利用積極型) が多いことに関係している.<BR>(3) 住宅内浴室では主人, 主婦ともに「1日1回以上シャワー」をする入浴が夏季の入浴慣習として形成されていることが指摘できる.しかしながら, 冬季には乾燥した大陸的な気候風土により入浴回数が少なくなる.したがって公衆浴場と住宅内浴室の双方からみた居住者の入浴状況は, 夏季と冬季では大きく異なる.<BR>(4) 住宅内の主浴室においての浴槽利用状況から入浴方法をみた結果, 浴槽の中での入浴として「洗い場で洗い, 湯につかる」という日本式が6割, 「シャワー入浴」という方法が4割存在し, ζの2方法が主であることがわかった.シャワー入浴の場所は, 浴槽の中以外に, 浴槽の外の洗い場があり, 洗い場でシャワー入浴をする者を含めると「シャワー入浴」はさらに多く認められる.夏季にはシャワー入浴をする者は6割を超え, 多く存在し, 韓国の伝統的な行水式またはかけ湯式がシャワーにとってかわったと考えられる.<BR>(5) 居住者の入浴慣習は, 主人, 主婦ともに「タイプ1 (住宅内浴室・公衆浴場利用積極型) 」, 「タイプII (住宅内浴室利用積極型) 」, 「タイプIII (公衆浴場利用積極型) 」, 「タイプIV (住宅内浴室・公衆浴場利用消極型) 」の四つに類型化される.これらを年齢階層・調査対象地域別にみた結果, 若い世代ほど, また大都市ソウルの居住者ほど, 住宅内浴室の入浴に対し積極的なタイプII (住宅内浴室利用積極型) が多いことから, 住宅内浴室での入浴が多くなる動向が読み取れ, 今後の入浴空間として住宅内浴室が積極的に使われる傾向がうかがえる.<BR>住宅内浴室について, 主浴室と内房浴室に分け, その使われ方の現状と問題点等を, 第2報において展開する.
著者
沢尾 絵
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.759-778, 2013

The <i>Book of Sokan</i> (1683~1690, Tenna3~Jokyo2) is a private record written by Takayoshi Mitsui preserved by the public interest incorporated foundation, Mitsui Bunko. The <i>Book of Sokan</i> contains the names of types of textiles as well as the relevant prices in the early Edo period. <br>  The purpose of this report is to clarify how textiles were viewed among townspeople in the early Edo period. This report therefore analyzes all descriptions of clothes and textiles from Ihara Saikakus work in the late 17th-century literary genre of amorous fiction and townspeople, and compares the descriptions with the names and prices in the <i>Book of Sokan</i>. As a result, it is considered that some textiles such as wool, satin, fine spun, silk crepe, velvet and so on were both imported and domestically produced. Wealthy people used them.
著者
越智 知子 吉川 誠次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.151-157, 1969-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

1) スポンジケーキの主原料である卵、砂糖、小麦粉、および水の配合比と、製品の品質評価の関係を知るために、実用的な配合比率の範囲について、単体格子方格 (Simplex Lattice Design) の準3次型格子点に相当する16点の試料を作成し、品質評価を行なった。2) 製品の品質についてはProutyの評価方法に準じて、物理的性質として気孔率、形均整率、内部弾力性、官能検査的評価として色、形状 (表皮と内部)、香、味、について実測した値から総合点を求めた。試料の品質の差に最も関係の深い項目は気孔率、弾力性、味の3項目であった。3) 試料の総合点の配合率による変化を統一的に把握するために、2次モデルを想定し、反応曲面の多項式係数を推定した。さらに多項式の適合度を6点の試料配合比について計算したところ、上記の4種の原料の配合比と総合点の関係は二次多項式を想定すれば、実験に用いた全ての配合比の範囲において、配合比から品質の程度を実用的な精度で推定できることが判明した。4) 原料の増減率と品質 (総合点) の関係は、砂糖、卵、水、小麦粉の順序で小さくなり、2種類の原料問の交互作用は、卵と砂糖、砂糖と水、小麦粉と水の関係が同程度の大きさをしめし、卵と小麦粉、卵と水の組合せは比較的小さいことがわかった。5) 総合点の推定式の係数は下記の式に示すごとく、砂糖と卵に比して、小麦粉、水の配合比は総合点に対する寄与率が低い。x3、x4をともに (0、1/8、1/4) の配合比にし、x1とx2を変化させた場合の総合点と、原料経費を計算したところ、最高の品質は、卵、砂糖、小麦粉、水の配合割合が、それぞれ (37、33、25、5) (33、37、25、5) の範囲にある。またこの割合での原料価格は42年5月の小売価格で製品100g当り13円38銭、 13円10銭となった。この価格は満足できる品質のスポンジケーキの原料費としては最も安いものであろう。6) 単体格子方格をこの種の実験に応用することによって、比較的小さな実験によって原料配合の製品品質に及ぼす効果を効率よく推定することが可能であることが明らかになった。
著者
沼倉 久枝 白木 まさ子 寺元 芳子 大石 みどり
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.150-155, 1981-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

煮物における急速加熱と緩慢加熱のちがいを官能検査および糖, アミノ態窒素の定量などにより検討した. その結果は次のとおりである.1) 急速加熱と緩慢加熱とのちがいは, 煮汁の味においては有意差が認められなかったが, 糖量, アミノ態窒素量の測定では, 緩慢加熱のほうが煮汁への溶出が多かった.2) 緩慢加熱で食品の入れ時を変えた場合, 水から入れるよりも沸騰時に入れるほうが糖, アミノ態窒素の溶出率は大差ないが, 煮汁の色, 泡立ちなどに差がみられ, 官能検査の結果からも沸騰時に食品を入れたほうがあくっぽさが少なかった.3) 食品の味は, 煮汁への溶出の多い緩慢加熱のものが評価が低く, とくにじゃがいもは不評であった.4) 緩慢加熱によってとくに糖が生成されるということは認められなかった.今回は食品を同量ずつ加熱して官能検査の試料としたことと, 緩慢加熱を間接加熱の方法で行ったために, たまねぎの臭いが強く残り, とくに緩慢加熱のほうが好まれなかった. 材料配合をくふうし, 蒸気が自由に揮散できる加熱器具を用いれば, 上記の結果から汁ごと食べるシチューなどでは緩慢加熱のほうが好まれると思われる.ただし, 最初から緩慢に加熱すると酸化酵素の活性化が起こりやすいので, 沸騰までは強火で急速に加熱するか沸騰時に食品を入てから緩慢加熱するほうがよい.