- 著者
-
谷田 守
- 出版者
- 日本自律神経学会
- 雑誌
- 自律神経 (ISSN:02889250)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.3, pp.237-240, 2021 (Released:2021-09-24)
- 参考文献数
- 26
白色脂肪組織から分泌される摂食抑制ホルモンであるレプチンが発見されて20年以上が経過した.摂食調節機構の破綻は肥満,糖尿病などの生活習慣病発症に関わる為,摂食調節ホルモンの作用を明確にすることは,生活習慣病発症機序の解明に役立つことが期待されている.これまでの研究から,レプチンによる自律神経系への作用は,摂食や代謝などの生体機能維持に関与することが分かってきている.特に交感神経遠心路の褐色脂肪枝,肝臓枝,腎臓枝は,熱産生調節,糖代謝調節,循環調節にそれぞれ関与することから,本稿ではレプチンの自律神経調節作用を中心に,これまで示唆されてきた脳・視床下部での調節機序と末梢から中枢神経系への求心路の作用経路について解説する.