著者
増村 雅尚
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 = Bulletin of Sojo University (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.75-81, 2021

COVID-19の拡大を防ぐため、わが国でも2020年4月7日に緊急事態宣言が発令され外出の自粛が求められるなど、生活環境の変容が生じた。本研究の目的は、正課外活動の制限・停止・再開がどのように心理的影響を及ぼすかについて検証を行い、大学生の正課外活動における心理的効果を検証する資料を得ることであった。結果をまとめると以下のようになる。①正課外活動停止となった翌週から「活気-活力」「友好」が有意に低い状態であった。②熊本県緊急事態宣言の解除を受けた次週から「活気-活力」「友好」は正課外活動再開まで回復を続けた。③対面授業開始週では、「疲労-無気力」がみられた。④緊急事態宣言の全面解除週から「混乱-当惑」「抑うつ-落込み」「緊張-不安」が有意に低下した。⑤正課外活動再開準備(会議・計画書提出)により「混乱-当惑」「緊張-不安」「抑うつ-落込み」が回復し、活動が再開されると、加えて「怒り-敵意」が有意に低下した。今回の調査により、COVID-19による活動自粛により「活気-活力」「友好」が落ち込み、回復には緊急事態宣言の全面解除や、正課外活動再開が寄与していたことが判明した。
著者
永山 勝也 三浦 一郎 河越 景史
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.199-204, 2014-09-01

指先血管の画像処理による評価法についての研究を行った.指先毛細血管の臨床画像を用いて,特徴点抽出により指先血管の輪郭の抽出を試みた.また,臨床画像より指先血管の状態について数値化を行い,自動的にパラメータを算出するプログラムを作成したことで処理の簡易化を実現した.さらに,画像処理により血管形状のパラメータを測定しその測定結果をサプリメントの性能評価に役立てることができた.We examined the evaluation method by image processing of the fingertip blood vessels. Using the clinical Figures of the nailfold capillary, we tried to clear characteristics of the fingertip capillaries by the feature point extraction. Also it has been realized to simplify the process by performing the numerical values for the state of the fingertip blood vessel from the clinical picture, to prepare a program for calculating the parameters automatically. Further, it could be useful to evaluate the performance of supplementation measuring the parameters of the microcapillary shape by image processing.
著者
福井 彰一
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.151-161, 1969-02-01 (Released:2010-10-12)
参考文献数
13
被引用文献数
16 10

The influence of tempering on the delayed fracture characteristics in 0.1N HCl solution, the initiationand propagation behavior of cracks in delayed fracture and the hydrogen embrittlement characteristics in-tensile tests have been studied in metallurgical view point for several low-alloy steels with the difference in, carbon content and tempering behavior.In general, the delayed fracture strength ratio (fracture strength at 30hr in life divided by static strength)-varied depending on the hardness of the steel, and showed almost constant value of 0.85 in all steels with thehardness up to Hv 350 and rapidly decreased the value with increase in hardness above Hv 350.Contradictorily to the general aspects described above, an abnormal increase appeared in the delayed.fracture strength ratio for the steel tempered at about 250°C, independently on the hardness of the steel.This phenomenon shifted to the higher tempering temperature as silicon content in the steel was increased.Considering the stabilizing effect of silicon on epsilon carbides, it is supposed that the phenomenon is attributedto the precipitation of epsilon carbides.The cracks in delayed fracture initiated at the prior austenite grain boundaries, but the propagation pathdiffered according as the tempering condition of the steel. It has been observed that the cracks propagatedat the prior austenite grain boundaries in the steels tempered in the temperature range of primary temper-brittleness (500°F embrittlement), and mainly propagated across the interior of the grains the steelstempered in the temperature out of the range of primary temper-brittleness.From the results of the electron microscopic observation of the precipitation behavior of carbides, ithas been observed that cementites precipitated in a line at the prior austenite grain boundaries in the specimenof which crack in delayed fracture propagated along the grain boundaries. The delayed fracturestrength of these steels were inferior to those cracks propagated across the interior of the grains.The dependence of the degree of hydrogen embrittlement, which was indicated as the decrease of the reductionof area in tensile test for the steel dipped in 0.1N HCl solution, on the tempering temperature was in goodagreement with that of the delayed fracture strength in the same solution. This fact suggests that themicrostructure of the steel contributed in the same way to both of the delayed fracture strength and the hydrogen embrittlement.

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著者
大倉桃郎 著
出版者
南人社
巻号頁・発行日
1916
著者
増村 雅尚
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 = Bulletin of Sojo University (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.65-74, 2021

本研究の目的は、学生生活において正課外活動の制限・停止・再開がどのように心理的影響を及ぼすかについて検証を行い、大学生の正課外活動における心理的効果を検証する資料を得ることであった。まとめると以下のようになる。①正課外活動の自粛は学生の活性、安定、快適、覚醒すべてにマイナスの影響を与えていた。②運動可能であった学生の心理状態は、正課外活動停止になり、一気に「無気力・抗うつのエリア」、「緊張・不安のエリア」に移動した。③正課外活動の停止から、再開することにより、「作業に適したエリア」へ誘導され、精神的健康度の改善に影響を与えた。④活動不可群は自粛期間では覚醒が抑えられ、快適度も低く、「自分だけ活動できない」状態であり、緊急事態宣言の全面解除により「全員が活動できない」状況になり、ストレスから解放されたのではないかと推察される。⑤活動自粛状況が活性を抑え、不快な状態となり、深い眠りに陥り、それが長期にわたると回復は難しくなると考えられる。
著者
勝又 泰貴 竹井 仁 若尾 和昭 中村 学 美崎 定也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3O2113, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】 徒手療法の一手技である筋膜リリース(Myofascial Release;以下、MFR)は、穏やかな持続した伸張・圧力というその手技の特性から、可動域・アライメントの改善や急性・慢性の疼痛軽減を始めとして、パフォーマンスの向上など幅広く用いることができる。そのMFRを治療プログラムに取り入れることで機能障害が改善したという報告はいくつかあるが、MFRのみ施行時の効果と、1回の治療におけるMFRの効果の持続時間に関する報告はない。本研究では、MFRの効果の持続時間をスタティックストレッチングと比較し、効果の持続時間の違いを比較検討したので報告する。【方法】 対象者は腰部・下肢に既往のない健常者31名(男性16名、女性15名)で、年齢・身長・体重の平均値(標準偏差)はそれぞれ25.0(2.4)歳、165.6(8.7)cm、56.3(9.0)kgであった。この31名を無作為に以下の3群に分けた。a.腹臥位で、大腿後面に対しMFRを片側ずつ各180秒施行したMFR群10名、b.背臥位で股・膝関節90°屈曲位にて膝関節を伸展していき、ハムストリングスに対しストレッチングを片側ずつ各30秒、3セット(15秒のインターバル)施行したストレッチング群11名、c.介入なく測定のみを繰り返した対照群10名とした。 測定項目は自動・他動運動時における左右下肢伸展挙上角度(Active・Passive Straight Leg Raising angle;以下、ASLR、PSLR)、立位体前屈(Finger Floor Distance;以下、FFD)、長座体前屈(Sitting Forward Extension;以下、SFE)とし、SLRは5度単位で、FFDとSFEは0.1cm単位で測定を行った。また、SFEは足底を基準の0cmとして測定した。それぞれの介入前・直後・30分後・60分後・120分後・介入直後と同時刻の1日後・2日後に各項目を測定した。測定結果はそれぞれ、介入前との変化量を介入前で除した変化率(%)にて解析した。統計解析はSPSS ver12.0を用い、3群の年齢・身長・体重および各測定項目の介入前について分散分析とその後の多重比較(Tukey HSD法)を用い検討した。その後、各測定結果の性差は対応のないt検定を、SLRの左右差は対応のあるt検定を行いその影響について検討した。また、3群の各時期間の比較についてはTukey HSD法を用い、各群における介入前と比較した各時期の差はBonferroni法にて解析した。有意水準は5%とした。【説明と同意】 対象者にはヘルシンキ宣言に基づき、事前に本研究の目的と内容および学会発表に関するデータの取り扱いについて説明し、十分に理解した上での同意を得て実施した。【結果】 各群において年齢・身長・体重・各測定項目の介入前に有意差を認めなかった。また、性差と左右差に有意差を認めなかったため、男女ともに各測定項目の結果を同一に取り扱い、全被験者のASLRとPSLRの結果を左右平均して取り扱った。測定項目ごとに3群と時間的経過を2要因として二元配置分散分析後の多重比較の結果、ASLRはMFR群で全時期においてMFR群は対照群に比較して有意な増加を認めた。PSLRは全時期においてMFR群は対照群に、また、60分後以降はストレッチング群と比較して有意な増加を認めた。FFDは群と時期に有意差を認めなかった。SFEは1日後までMFR群は対照群に、また、30分後・120分後・1日後 でストレッチング群と比較して有意な増加を認めた。各群における介入前と比較した各時期の差については、MFR群のみASLR・PSLRで各時期に有意な増加を認め、SFEで1日後までに有意な増加を認めた。【考察】 本研究の結果より、MFRの効果は1日以上持続することが分かった。MFRとストレッチングの効果の持続時間という点では、明確に二つの手技に差を認めることはできなかったが、PSLRでMFRは60分後以降にストレッチングと比較して有意な増加を認めたことから、MFRはストレッチングに比べ他動運動時の伸張性の改善あるいは疼痛閾値の上昇を期待でき、その効果はストレッチングより持続すると考える。今回、FFDに有意差が出ずSFEに有意差が出た要因として、FFDでは上半身の自重によりハムストリングスの遠心性収縮が起き、慎重性の改善効果が減少してしまったのに対し、SFEでは重力の影響を受けず、ハムストリングスの伸張性の向上により骨盤が前傾した分だけ改善したと考える。【理学療法学研究としての意義】 MFRの効果の持続時間を明らかにすることで、治療プログラムの立案、治療頻度を考慮する上での参考となると考える。また、本研究を参考にその効果を延長させる方法なども今後の検討課題と考える。
著者
音羽竹槌 編
出版者
音羽竹槌
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1916
著者
野々木 宏
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.119, no.9, pp.1187-1193, 2016

<p> 米国と欧州ガイドラインとともに JRC 蘇生ガイドライン2015が同時発表された. この診療ガイドラインの特徴は, 万国共通の国際的な科学的コンセンサスをもとに加盟国がそれぞれの医療事情に応じたガイドラインを作成していることであり, 他の診療ガイドラインには類を見ないものである. 最も注目される変更点はエビデンスの質を評価するための透明性の高い GRADE システムを採用したことである.<br> 蘇生方法の今回のポイントは, 病院内外での心停止の予防をさらに強調していること, 市民による心肺蘇生の実施率を上げるため心停止かどうかの判断に自信が持てなくても心肺蘇生と自動体外式除細動器 (AED) の使用を開始することを強調し, それには119番通報時の通信指令台による口頭指導が役立つことを示した. また, 胸骨圧迫と AED の使用法に内容をしぼった短時間の講習や, 学校教育の重要性を示し, 医療機関で行われる体温管理療法や脳機能モニタリングなど, 心拍再開後の集中治療の重要性を強調した. さらには市民の救命処置への参加をさらに促すために, 倫理的・法的課題についても言及した.<br> 本ガイドラインを普及啓発することで心停止の予防や救命率向上がはかられ, さらにわが国からのエビデンスの発信が期待される.</p>
著者
白地 孝
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.73, no.12, pp.1479-1494, 1976

閉塞性黄疸時のビリルビンの腎よりの排泄機序, 閉塞性黄疸時の腎障害, 尿排泄障害時における血中ビリルビン値の変化, ビリルビンによる腎障害などについて, 臨床的, 実験的に検討し, つぎの様な結果を得た.<br>1) 尿中へのビリルビンの排泄量は, 血清総ビリルビン値および直接型ビリルビン値と正の相関々係を示し, また血清アルブミン予備結合能と負の相関々係を示すことから, ビリルビンの尿中への排泄には, アルブミンと結合していない遊離の直接型ビリルビンが尿中に排泄される可能性が強いことが示された.<br>2) 片側尿管の結紮その他によつて尿排泄障害をおこし, あるいは腎障害を有する例では, 尿中排泄ビリルビン量が減少し, 血清ビリルビン値がより高値を示すことから, 血清ビリルビンの値は, 腎機能と密に関係していることも明らかになつた.<br>3) 黄疸発現よりの期間が長くなるにつれ, 腎障害が増強し, 尿中へのビリルビンの排泄量が減少した.
著者
大野 明美 永野 勝稔 山方 純子 野口 昌代 柴田 綾子 菊池 春人 村田 満
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.534-540, 2015

ジアゾカップリング法を用いたビリルビン尿試験紙検査は,しばしば偽陽性を示すため,ビリルビン真陽性かどうかの確認試験が必要である。尿ビリルビンの測定法として,酸化法を測定原理とするRosin法,Harrison法,Watson-Howkinson法があるが,我々はこれらの方法とHarrison法,Watson-Howkinson法をアレンジした方法について確認検査としてどれが最も適切かの検討を行った。その結果,Watson-Howkinson法をアレンジした方法(W法-C)を選定した。W法-Cは吸収パッドの保存が簡単,操作も簡便で短時間に少量検体でも測定可能であった。W法-Cについて使用する吸収パッド,最低検体量,検出限界,イクトテストとの一致率を検討した。その結果,吸収パッドはワンショットドライが尿3滴で判定しやすい発色が得られ,適当と考えられた。イクトテストとの一致率は92.6%と良好であった。W法-Cはコスト面でも安価であり,日常検査における尿ビリルビン確認試験として十分使用可能であると考えられた。
著者
康 逸雄
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.159-170, 1966

In this experiment, the author investigated the changes of blood and urine of the rescue team workers engaging in heavy tasks in high thermal conditions, in addition to the reaffirmation of the previous results. Further, he encountered several cases of heat stroke occasionally.<br> The followings were the results obtained:<br> 1. Change of pulse pressure which the results were obtained previously was affirmed statistically by increasing the number of the cases.<br> 2. The cases of heat stroke suggested that the threshold limit of the increase of pulse pressure seemed to exist around the rate of 150%.<br> 3. The threshold limit of body temperature (under tongue) was around 39&deg;C.<br> 4. By remarkable sweating after the task, blood was concentrated, resulting the increase of specific gravity of the total blood, proteine in plasma, hematocrit value and hemoglobin content.<br> 5. The group of heat stroke showed higher pulse pressure, higher pulse rate, higher temperature under the tongue and has a tendency of a higher rate of blood concentration.<br> 6. Life-saving mask type 4 produced heat when soda lime absorbed CO<sub>2</sub> expired in the circulaing air. But the influence of the high temperature and high humidity of the environment was greater than the heated air-input of the mask.<br> 7. The limitation of the continuity of the task in such a high thermal condition seemed to be around 30 minutes. The resting time was needed at least 90 minutes for adequate recovery.
著者
砂原 庸介
出版者
大阪大学法学会
雑誌
阪大法学 (ISSN:04384997)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.143-169, 2015-07-31

論説
著者
長田 道
出版者
近畿大学 心理臨床・教育相談センター
雑誌
近畿大学心理臨床・教育相談センター紀要 (ISSN:24349933)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.43-50, 2019-03-15

[要旨]本稿は,不登校の小学生女児をスクールカウンセラーとして家庭訪問を行った2年間の過程を報告したものである。本児童は幼少期より消極的,受け身的な適応姿勢を続けていたが,周囲の子ども達が前思春期を迎え,密接な仲間関係を築き始めたことからその在り方が行き詰り,学校生活から退避したと考えられた。その背景要因として,本児の家族が社会との交流を避け,殻に閉じこもったような生活をしていた一方で,家族間には境界がなく未分化な状態であったため,本児の前思春期の歩みを支えるには脆弱であったことが考えられた。本児の家族のように閉塞した家庭には,家族以外の他者の存在が大きな意味を持ち,スクールカウンセラーは重要な役割を果たしうる。また,不登校の子どもや家族は積極的に支援を模索する力が不足している場合が多く,支援者が家庭に出向くことが有効である。その際には,明確な面接構造を保つことが,「安定した他者」として機能することを可能にする。この事例でも,スクールカウンセラーが安定した面接構造を設定したことで,本児にとっての「安定した他者」として存在することを可能にし,本児が家族と分離し,自己の確立に向かう前思春期の成長の過程を支えた。