著者
興津 裕康
出版者
近畿大学
雑誌
生駒経済論叢 (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.95-105, 2004-04-25

本稿は,会計教育の観点から企業会計原則を考えようとするものである。企業会計原則を遠い昔の遺物と考えている人もいれば,未だ大きな存在意義を持っているとみている人もいる。企業会計原則それ自体は,大きく変わる経済的環境に十分対応できなくなり,その結果,国際会計基準などを考慮して多くの会計基準が公表されている。しかしながら,わが国の会計学,会計制度,会計教育の近代化は,企業会計原則に由来しているということを事実として受け止めなければならない。たしかに,会計基準が多く公表されている現在,会計基準が企業会計原則にみる処理基準に代わって機能している一面がみられる。しかしながら,あくまでも,企業会計原則にみる考え方を否定するものではない。たとえ,新しい会計基準が出てきても,会計教育のエッセンスは,この企業会計原則から出ているということができる。
著者
松田 憲幸 高木 佐恵子 曽我 真人 堀口 知也 平嶋 宗 瀧 寛和 吉本 富士市
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J91-D, no.2, pp.324-332, 2008-02-01

初心者のための鉛筆デッサンの基礎は,対象を見えたまま正確に描きとる写実であり,獲得が難しい技能である.初心者は自己の写実の誤りに気づくことができない,あるいはデッサン画全体に漠然とした違和感を感じることができても,具体的に写実の何が誤りかを判断できず,同じ誤りを繰り返す.反復練習を指導する教師は,写実の誤りを理解させるため,描く対象と異なった立体物をイメージさせるたとえ(比喩)を用いる.学習者は比喩説明を聞く過程で徐々に,明らかに異なるイメージの写実と感じるようになり,ついに自己の写実の誤りに気づくと考えられる.本論文は学習者の鉛筆デッサン画像に含まれる写実の誤りを顕在化した三次元モデルを構築する手法を検討する.本手法は誤った写実による1枚の画像から,誤りを映し出し,かつ直感的に不自然さを感じさせる三次元モデルを構築する.写実の8種の誤りを対象に,デッサン画像の誤りを特徴づける15個の特徴量を用いて三次元モデルのスケーリング変換を定義した.三次元モデルを表示する顕在化ツールを実装した.学習者が本ツールを用いることで,鉛筆デッサンに含まれる写実の誤りに気づきやすくなると期待できる.
著者
林 則博
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.125, no.3, pp.255-261, 2005-03-01 (Released:2005-03-01)
参考文献数
22
被引用文献数
5 9

The present study examined the phototoxicities of a series of 7-(3-aminopyrrolidinyl) quinolones containing various substituents at position 1 by use of a mouse model. For the 7-(3-aminopyrrolidinyl) quinolones with a halogen atom at position 8, well-known substituent groups such as a cyclopropyl, an ethyl, or a difluorophenyl at position 1 were found to be responsible for severe phototoxicity. However, when an aminodifluorophenyl or an isoxazolyl group was placed at position 1, even 8-halogeno quinolones were found to be mildly phototoxic. This is the first report of 8-halogeno quinolones that are not severely phototoxic. Two structurally similar 8-chloro quinolones (the 1-aminodifluorophenyl 8-chloro quinolone and the 1-difluorophenyl 8-chloro quinolone) were investigated further. The former was mildly phototoxic; the latter was severely phototoxic. We demonstrate that these two 8-chloro quinolones have practically the same areas under the concentration-time curves from 0 to 4 h in auricular tissue, suggesting that the mild phototoxicity is not due to pharmacokinetic instability. The rates of UV photodegradation of these compounds were also measured. We found that these two quinolones photodegrade at similar rates, suggesting that the mild phototoxicity is not attained through increased photostability. In conclusion, the phototoxic potentials of fluoroquinolones are influenced not only by the substituent at position 8 but also by that at position 1. We also discovered a mildly phototoxic 8-chloro quinolone which did not have increased photostability.
著者
阿部 眞理
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.35-44, 2005-03-31
被引用文献数
1

これまでの圧縮木材に関する研究では、家具・建具及び内装用部材へ適用する際に必要となるスギ圧縮材の力学的特性および視覚、触覚といった感覚特性について他の木材と比較し、その位置づけを行った。そのいずれにおいても硬い広葉樹材と同等の特性を保有する結果となったことから、本稿では、家具・建具及び内装用部材へのスギ圧縮材の適用方法を検討した。その結果、スギ圧縮材を無垢で使用するだけでなく、その突き板単板による木質材の製作が可能であることを確認した。そこで、これらによる学校用および家庭用家具、室内用ドア、床材、成形合板による家具及びシロフォンの試作を行った。その結果、スギ圧縮材およびその突き板単板による木質材は、従来の木製品に対する製作技術と同等に扱うことが出来、仕上がりも遜色ない製品の製作が可能であるといった結果を得た。このことから、スギ圧縮材は、高品質の新たな木材料として期待できることが明らかとなった。
著者
和久屋 寛 Zurada Jacek M.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.684, pp.109-116, 2000-03-13
被引用文献数
3

これまでの時系列予測に関する研究は、その大部分が神経回路モデルの構造や学習アルゴリズムに注目したものである。これらは、主として"一方向型"計算様式あるいはそれを改良したものが中心であるが、本稿では、これらとは異なる視点から未来-過去情報の統合作用を利用する"双方向型"計算様式を提案し、実際の課題への適用を試みる。ここで提案する双方向型モデルでは、未来予測系と過去予測系の結合効果によって時系列予測の精度向上が期待でき、従来の一方向型モデルよりも良好な予測結果が得られると考えられる。標準的なベンチマークテストとしてよく用いられる太陽黒点数の予測課題に応用したところ、実際に提案手法が有効であることを確認できた。

1 0 0 0 OA 徒然草講義

著者
伊藤平章 著
出版者
誠之堂
巻号頁・発行日
vol.上, 1897
著者
法邑 雄司 鈴木 忠直 條 照雄 安井 明美
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.36-40, 2005-03-05
被引用文献数
5 2

産地の明らかな日本産10点, 中国産5点の黒大豆「丹波黒(新丹波黒の突然変異種1点を含む)」計15点の種子をマイクロ波試料分解装置により酸分解し, 1%硝酸により試料溶液を調製したのち, 誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS法)によって9元素(Al, Mn, Ni, Cu, Zn, Sr, Ba, Rb, Cs)を定量した.日本産, 中国産の産地の違いを反映し, 濃度に有意差があった7元素(Al, Ni, Cu, Sr, Ba, Rb, Cs)の含量組成を階層型クラスター分析(Ward法)及び主成分分析で解析した結果, 日本産と中国産が良く分離し, 無機元素組成の差異によって「丹波黒」の産地表示の信憑性を検証できることが示唆された.
著者
田中 和明 吉田 隆一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.371-372, 1992-09-28

近年の計算機処理能力・画像表示能力・通信技術の向上により、さまざまな分野で、さまざまな画像データが計算機上で取り扱われている。しかしながら、質の高い画像を表現するために多くのデータ量を必要とし、これらを取り扱う技術が要求される。このような要求から、大容量の画像の蓄積・伝送を効率的に実現するための画像の符号化、つまり画像データの圧縮についての研究が行わてれいる。画像は多くの冗長を含むことが知られている。このことは、画像の伝送・蓄積を、その冗長を取り除くことによってより少ない資源で実現することが可能であることを意味している。本研究では、このような画像の冗長に着目してDCTを用いた画像符号化を行い、視覚的に劣化を口だたせないような量子化を行う。この量子化を決定するものが量子化テーブルである。ここでは、画像全体にわたって劣化が均一になるような量子化テーブルを自動生成し、画像符号化を行うアルゴリズムについて提案を行う。