著者
梶井 直親
出版者
法政大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of graduate studies = 大学院紀要 = Bulletin of graduate studies (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.87-94, 2017-10-31

物語を提示するメディアは様々な種類がある。物語理解過程の研究はそのメディアごとに検討されている。そのため,メディアの枠を超えた統一的な物語理解過程モデルは検討されていない。本研究ではメディアの類似性を視聴者がどのように主観的に認識しているかについて調査した。本調査では7 つのメディアを採用した。具体的には,小説,絵本,漫画,アニメーション,実写映画,芝居,ミュージカルの7 つであった。参加者は21 対のメディア同士の類似度について評定する質問紙に回答した。この評定値はクラスター分析と多次元尺度構成法(MDS)で分析された。クラスター分析の結果,2 つのグループにまとまった。1 つは小説と絵本,漫画,アニメーションのグループであり,もう一方は実写映画と芝居,ミュージカルのグループであった。多次元尺度構成法では,アニメーションは小説や絵本,漫画の近くに配置された。つまり,アニメーションは視聴覚のメディアであるが,視聴者はアニメーションを視覚的メディアに近いと認識していると考えられる。本研究の結果から,アニメーションや絵本,漫画の理解過程には,文章の理解過程モデルを応用することができると提案する。
著者
滝沢 優子 Yuko Takizawa
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 = Doshisha Kokubungaku (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.83, pp.15-25, 2015-12-20

小野宮実資の日記『小右記』の内容が、これを編集した養子の資平の意図による影響を受けていることを指摘する。「記録」「資(史)料」として扱われてきた漢文日記であるが、編集者の介在により『小右記』は、家の継承の過程を語る「物語」の性格を備えることとなった。有職故実書には不要な記述が、「物語」としての『小右記』の中で果たす役割を考察する。

1 0 0 0 アジア時報

著者
アジア調査会 [編]
出版者
アジア調査会
巻号頁・発行日
vol.11(3), no.119, 1980-03
出版者
国民文庫刊行会
巻号頁・発行日
vol.文学部 第4巻, 1932
著者
中嶋 秀人
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.64, 2022 (Released:2022-05-12)
参考文献数
20

【要旨】抗 N-methyl-d-aspartate 型グルタミン酸(NMDA)受容体抗体を含む神経細胞表面抗体が関与する自己免疫性脳炎の臨床スペクトラムが解明されるにつれ、自己免疫性脳炎の診断機会が著しく増加している。一般的に自己免疫性脳炎は免疫療法に良好な反応性を示すため、早期の抗体診断にもとづく免疫療法の導入が推奨され、自己免疫性脳炎の診断アルゴリズムも提唱されている。自己免疫性脳炎の診断として、抗 NMDA 受容体抗体など個々の神経細胞表面抗体の同定には cell-based assay(CBA)が有用であるが、自己免疫性脳炎の幅広い臨床スペクトラムにおいては既知の CBA が陰性のことも少なくないため、CBA の相補的検査であるラット脳凍結切片を用いた免疫染色である tissue-based assay(TBA)と初代海馬培養細胞による抗体診断を併用した神経抗体スクリーニングを含む診断アルゴリズムの構築が求められる。実際の臨床の現場においては、TBA を含む抗体スクリーニングで陽性を確認したのち CBA の結果を待たずすみやかに免疫療法を導入する治療アルゴリズムが適用できる可能性がある。近年、スペインにおける単純ヘルペス脳炎コホートを対象とした前向き追跡調査では、単純ヘルペス脳炎後 27%に自己免疫性脳炎が続発し、全例で神経細胞表面抗体が陽性であることが確認されている。単純ヘルペス脳炎を含めた神経感染症と自己免疫性脳炎の双方をあわせて理解したうえで、自己免疫性脳炎の新しい診療アルゴリズムについて考察する。
著者
豊田 一則
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.75, 2022 (Released:2022-05-12)
参考文献数
16

【要旨】近年の衛生環境の変化に伴い、梅毒や結核などの脳動脈への直接感染は減った。現在での直接感染による脳卒中の代表例は感染性心内膜炎で、患者の 10〜35%に脳合併症を認める。一方で脳動脈に対する感染の間接作用として、末梢血単核球からの炎症性サイトカインの増加をはじめとする諸反応が粥状硬化を促進し脳梗塞を起こし得る。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、発生初期の報告では脳卒中を増やしたが、その後の各地からの報告では脳卒中患者が減ったとの報告が目立ち、これには受診控えなどの社会的側面が影響するとみられる。
著者
Yoshihiro Watanabe Yurika Yoshida Toshiyuki Tokiwa Mayuka Higo Sayaka Ban Akari Ikeda Yoshihiko Noguchi Tomoyasu Hirose Toshiaki Sunazuka Kenichi Nonaka Takashi Yaguchi Masato Iwatsuki
出版者
Applied Microbiology, Molecular and Cellular Biosciences Research Foundation
雑誌
The Journal of General and Applied Microbiology (ISSN:00221260)
巻号頁・発行日
pp.2022.03.002, (Released:2022-05-20)
参考文献数
15
被引用文献数
3

A new antifungal polyketide, named hakuhybotric acid (1), was isolated from a cultured broth of a mycoparasitic fungus Hypomyces pseudocorticiicola FKI-9008, together with two known analogs, F2928-1 (2) and Cladobotric acid E (3). Their structures were elucidated by MS and NMR analyses. The structure of hakuhybotric acid was the two epoxy groups of F2928-1 converted to olefins. All compounds showed antifungal activity against four different species of Aspergillus spp., the causative agents of aspergillosis. It was suggested that mycoparasitic fungi are a useful source to search antifungal drug lead compounds.
著者
中尾 善明 高田橋 篤史 鎗田 勝 藤元 登四郎 田村 俊世
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.805-814, 2011-12-10 (Released:2012-04-10)
参考文献数
19

Remarkable progress in cognitive neuroscience has revealed the involvement of the prefrontal cortex and the orbitofrontal cortex in human working memory, but the orbitofrontal cortex is still one of the least understood regions in the human brain. To elucidate the contribution of the orbitofrontal cortex to human working memory, we studied EEG P300 activity in n-back task. We elicited early P3 around 300 ms and late P3 around 360 ms of P300 components in n-back ERP. The amplitudes of the respective peaks changed depending on the working memory load (0-back, 1-back, 2-back, 3-back). We used source analysis to evaluate the orbitofrontal cortex in P3 components. A source model was constructed with the sources seeded from fMRI meta-analysis of n-back task and additional sources in the orbitofrontal cortex and the visual cortex estimated with P100 and late P3 components in the n-back ERP. This source model had more than 99% of GOF (goodness of fit) in n-back ERP. It gave us an insight of brain activity at the positions where sources existed. Early P3 was mainly produced by the dorsolateral prefrontal cortex, the ventrolateral prefrontal cortex, the inferior parietal lobule, the medial posterior parietal and the visual cortex. Late P3 was mainly produced by the medial premotor, the lateral premotor, the frontal pole and the orbitofrontal cortex. The contribution of the frontal pole and the orbitofrontal cortex had peaks around 390 ms which were later than late P3 component. In this study, the method to evaluate the orbitofrontal cortex activity in n-back ERP was provided. Our results elicited the involvement of the orbitofrontal cortex in late P3 component of n-back ERP.
著者
本島 健次
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.66-73, 1959-01-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2
著者
蟻川 幸彦 髙橋 寿知
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.8, pp.554-564, 2013 (Released:2018-01-15)
参考文献数
2

市販清酒は,品質の良し悪しに加えて,売る酒,売れる酒としての要件を備えていることがもとめられる。筆者らはラベル等に表示される製品コンセプトに着眼し,長野県産と全国的に評判が高い市販清酒についてコンセプト審査を行って,コンセプト達成度などを評価し,品質や成分,指摘項目等との関係を解析された。コンセプト審査法ならではの有益な知見が随所に得られており,長野県のみならず,全国の清酒関係者にとっても大いに参考となる記述となっている。
著者
堀籠 崇
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.239-250, 2010-10-29 (Released:2010-10-27)
参考文献数
31
被引用文献数
2

本研究の目的は,占領期におけるインターン制度の形成過程という歴史的フィルターを通じて新医師臨床研修制度の課題を明示するところにある。そこで本研究では,インターン制度の狙いの解明に焦点をおく。本研究が用いた資料は,第一にスタンフォード大学フーバー研究所所蔵のSylvan E. Moolten Papers,1945-1986である。本資料により,インターン制度導入意図を解明し,医学教育審議会(CME)内部の連合国最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)と日本側委員との関係性を再検証した。第二に国立国会図書館憲政資料室所蔵のGHQ/SCAP Record内の公衆衛生福祉局(PHW)文書である。本資料に含まれるCME議事録の精査から,CMEの発したインターン制度構想について明示した。結果は次の通りである。インターン制度の真の狙いは,地域医療と医学教育システムとの融合による,最新医療の市民への還元及び開業医のレベルアップにあった。それは,インターン制度を通じた学閥解体とともに国立メディカルセンター計画による医療提供システムの再構築により果たされる予定であったが,前者の,制度としての練りこみ不足と,後者の頓挫とによって失敗に終わった。この結果より,新臨床研修制度が医療提供システムに与える影響の検討と,日本の医療システム全体をいかにデザインするかという視点からの当該制度の見直しの必要性が示唆された。
著者
井上 雅裕 角田 和巳 長原 礼宗 八重樫 理人 石崎 浩之 丸山 智子
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.3_3-3_8, 2022 (Released:2022-05-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2

The digital transformation of society and universities has been accelerating in the COVID-19 pandemic. The digital transformation of education will advance beyond distance and time by utilizing digital technology and develop international and industry-university collaboration. The Japanese Society for Engineering Education initiated a survey and research committee in April 2021. First, the direction of the digital transformation of engineering education will be presented through a multifaceted survey of social needs, information technology, international collaboration, and industry-academia-government collaboration. Secondly, as an advanced model, the realization of graduate and recurrent education in international inter-university and industry-academia collaboration is investigated. This paper is an interim report.
著者
松田 安樹 福山 美季 三笘 里香
出版者
一般社団法人 日本臨床看護マネジメント学会
雑誌
日本臨床看護マネジメント学会誌 (ISSN:24352691)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.38, 2021 (Released:2021-08-31)

目的:看護学生と看護師のアセスメント能力,状況判断能力向上を目的としたシミュレーション教育の効果についての先行研究から,その効果と課題を分析,考察することを目的とした. 方法:医学中央雑誌Web版を用い,キーワードを「シミュレーション」「教育」「効果」「看護師」とし,論文種類を原著論文で絞り込み,対象が看護学生,看護師であるもの,またシミュレーション教育の目的がアセスメント能力,状況判断能力についてまとめられているものに限定し,13論文を対象とした. 結果:2010年以降シミュレーションを取り入れた教育は充実してきているが,実際の臨床現場や実習現場での行動への効果を評価したものは限られていた.また単回のシミュレーションでの効果は乏しく,事前学習やディスカッションと組み合わせ,学習者が復習できる機会を設けることが学習の定着に繋がることが示唆された. 結論:看護師のアセスメント能力向上のためには,十分な期間を設けたシミュレーションの反復,事前学習やディスカッションによるフィードバック等により充実,改善を図り,さらにシミュレーション後の実践現場での行動への効果を評価する必要があることが示唆された.
著者
山田 碩道
出版者
The Resources Processing Society of Japan
雑誌
資源処理技術 (ISSN:09124764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.241-247, 1987-12-25 (Released:2009-06-05)
参考文献数
13
著者
岩室 雅也 神崎 洋光 川野 誠司 河原 祥朗 田中 健大 岡田 裕之
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.1428-1434, 2017 (Released:2017-06-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2

当院で胃・十二指腸へのランタン沈着症と診断した10症例について,内視鏡所見および臨床背景を後ろ向きに検討した.10例(男性9例,女性1例)の平均年齢は64.3歳(42歳~77歳)であり,全例が慢性腎不全のため血液透析中であった.炭酸ランタンの服用期間は12~86カ月.全例で胃にランタン沈着があり,通常観察にて白色病変として観察された.拡大観察を行った6例では微細顆粒状の白色沈着物がみられた.3例では十二指腸にもランタン沈着があり,いずれも白色の粘膜を呈した.これらの所見がみられた場合には,ランタン沈着症として経過を追跡する必要があると考えられた.