著者
鳥飼 和史 星野 友哉 永田 雅彦
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.17-20, 2022 (Released:2022-03-12)
参考文献数
11

5ヶ月齢,メスのボルゾイの腹部に境界明瞭な淡紅色毛包性色素斑を左右対称性に認めた。病変部の組織生検により脂腺の増生とともに脈管拡張が観察された。臨床的および組織学的に病変は成長とともに消退し,再発はなかった。その病態として成長期内分泌系の関与を推察した。
著者
岡田 悟 山田 優樹 伊從 慶太 古家 優
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.3-9, 2022 (Released:2022-03-12)
参考文献数
15

7ヶ月齢の猫が,左後肢足底部からの反復性の出血を主訴に来院した。患部のパンチ生検による病理組織検査より,脈管奇形が示唆された。パンチ生検後に生検部位からの出血が止まらなかったため,電気メスを用いた焼灼処置を行った。出血量は減少したものの,その後も出血は改善と再発を繰り返した。第30病日に造影CT検査を行ったところ,患部周囲の血管新生および血管拡張が認められた。第37病日に止血を目的として,左後肢第4趾と第5趾を断趾した。断趾後の組織を用いた免疫組織化学による病理組織診断の結果,この脈管奇形は皮膚リンパ管奇形と診断された。病理組織学的マージンは確保されていた一方で,術後1ヶ月の肉眼所見では皮膚表面の小嚢胞が少数残存しており,完全切除に至っていない可能性が考えられた。しかし,術後20ヶ月の時点において出血は認められず,日常生活も問題なく送れている。本例は猫で報告の少ない皮膚リンパ管奇形の報告であり,その診断と治療について考察する。
著者
Takuro NAGAHARA Koichi OHNO Itsuma NAGAO Taisuke NAKAGAWA Yuko GOTO-KOSHINO Masaya TSUBOI James K. CHAMBERS Kazuyuki UCHIDA Hirotaka TOMIYASU Hajime TSUJIMOTO
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.21-0257, (Released:2022-03-14)
被引用文献数
1

Intestinal lymphangiectasia (IL) is often observed in dogs with chronic small intestinal diseases. Hypoplasia of the lymphatic vessel due to decreased lymphangiogenesis, which has been suggested in human idiopathic IL, may contribute to the pathogenesis of canine IL. This study aimed to evaluate the diameter and number of lymphatic vessels in full-thickness small intestinal specimens of dogs with IL. Immunohistochemical labeling of lymphatic endothelial cell markers was performed on retrospectively retrieved full-thickness small intestinal specimens. Sixteen dogs with histologically confirmed IL were included, of which 10 had lymphoplasmacytic enteritis (LPE), and six had granulomatous lymphangitis (GL). Nine dogs that died from non-gastrointestinal disorders and with little or no abnormalities in the small intestine were used as controls. Lymphatic vessel diameters in dogs with IL were significantly increased in all layers of the small intestine, including the villus lacteal, lamina propria, submucosa, muscularis, and mesentery, compared with controls (all P<0.01). There was no significant difference in the lymphatic vessel diameters between dogs with LPE and GL (all P>0.05). There was no significant difference in the number of lymphatic vessels between dogs with IL and the controls in all layers of the small intestine (all P>0.05). This study demonstrated that IL was observed in all layers of the small intestine, including the submucosa, muscularis, and mesentery, independent of the underlying disease. Factors other than reduced lymphatic vessels would contribute to the pathogenesis of IL in dogs.
著者
神長 英輔
出版者
新潟国際情報大学情報文化学部
雑誌
新潟国際情報大学情報文化学部紀要 (ISSN:1343490X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-14, 2012-04-01

1950 年代,全国各地で若者の合唱サークルが組織された.1940 年代末に起こったこの運動はうたごえ運動と呼ばれた.うたごえ運動は文化運動,労働運動,反核平和運動と連携し,1950年代半ばに最盛期を迎えた.しかし,早くも1960 年代前半には人気を失った.この運動はどのようにして同時代の若者の心をとらえたのか.またなぜ若者の心はうたごえ運動から離れていったのか.この論文は進化論の観点から文化を理解するミーム学の知見を用いてこの疑問に答える. ミームとは模倣であり,遺伝子に似た「文化の自己複製子」として理解される.うたごえ運動とは「正しく,美しく歌え」などの指示のミーム,「歌の力によって大衆を組織し,世を動かす」という物語のミーム,ミームとしての歌からなるミーム複合体である.うたごえ運動が拡大し,一転して衰えた過程はこれらのミームが複製された(されなくなった)過程として説明できる.
著者
先崎 彰容
出版者
福沢諭吉協会
雑誌
福沢諭吉年鑑
巻号頁・発行日
no.46, pp.85-98, 2019
著者
村上 直樹 Murakami Naoki
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 = Jinbun Ronso: Bulletin of the Faculty of Humanities, Law and Economics (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.37-47, 2021-03-31

常識的には、人間は、物事を「頭の中」で理解していると考えられている。例えば、人間は、他人の言葉を、耳や目といった感覚器官を使って体の中に取り入れ、それを「頭の中」で理解していると考えられている。しかし、この描像は正しくない。他人の言葉は、「頭の中」で理解されているわけではない。そもそも他人の言葉そのものは、「頭の中」には入ってこない。では、他人の言葉は、どのようにして理解されているのだろうか。人間が、他人の言葉を理解するということはどのようなことなのだろうか。本稿の目的は、まずこの問いに答えることである。また、人間が理解しているのは、他人の言葉だけではない。人間は、言葉として表明されない他人の気持ちや意向、ひいては世界における様々な物、事象、現象をも理解している。そして、それらも人間の「頭の中」で理解されているわけではない。では、それらは、どのようにして理解されているのだろうか。こうした問いに答えることも本稿の目的である。
著者
北村 英祐
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.70-71, 2012-02-29

犬における,慢性経過の皮膚病のうち,特に背側の脱毛の症例に対し,通常の治療に加え,リゾープス菌麹抽出生理活性物質である「R&U」を用いたところ,それまでの治療では奏功しなかった脱毛改善し,著明な治療効果が認められたため,その概要を報告する。
著者
三鍋 昌春
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.96, no.7, pp.466-474, 2001-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

日本初の国産ウイスキ-はスコッチウイスキーを範として始まった。その後日本人の味覚にあったウイスキーを追求するようになり, 製造方法に独自の手法が採り入れられるようになった。ウイスキ-の製造方法はすでに周知のとおりであるが, 国産ウイスキーの品質の特徴が製造工程のどの段階のどのようなメカニズムによるものなのか興味深いところである。本稿ではウイスキーの製造方法に造詣の深い筆者に, 国産ウイスキ-が生まれた経緯と国産ウイスキーの製造方法を解説していただいた。また, 日本におけるウイスキーの将来についても言及していただいた。
著者
Wang Hsien-Chi Lee Shu-Hwae Chang Tien-Jye WONG Min-Liang
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.855-859, 2004-07-25
参考文献数
9
被引用文献数
9

牛海綿状脳症(狂牛病)のような遅発性神経病は,動物による汚染飼料の摂取によって伝達されることがある.したがって,市販飼料中の肉成分を検査することは,こうした疾病をコントロールする上で公衆衛生上重要なことである.そこで,PCR-RFLP法を用いて,犬用飼料と猫用飼料の肉成分の検査を行った.動物ミトコンドリア・チトクロームb(cytb, CYT)遺伝子のヌクレオチド配列(359塩基対)をPCRで増幅してから,制限酵素AluIまたはMboIで切断する方法により,台湾で市販されている犬用飼料と猫用飼料各8銘柄について検査を行った.その結果,犬用飼料については全銘柄が,犬以外の3種類以上の動物種(牛,豚,山羊,鶏)由来の肉を含むこと,猫用飼料については5銘柄が鶏肉を含むことが認められた.