著者
大原 貴都 藤平 達 茂岡 知彦 新田 泰広 岩崎 力 杉山 達也
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.2014-SLDM-165, no.5, pp.1-6, 2014-03-08

組込みシステムの開発効率向上のため,MATLAB 注 1/Simulink 注 2を用いたモデル駆動開発の適用が進められている.モデル駆動開発の一つである SILS では,S-Function ブロックを用いてソフトウェアをモデル上に取り込む.しかし,S-Function ブロックを用いた際,ブロック間の信号量に比例してシミュレーション速度が低下する課題がある.本稿では,共有ライブラリを用いることで Simulink ブロック間の信号量を削減し,高速なシミュレーションを可能とするモデル構成を提案する.提案手法を業務用空調機器に適用し,暖房のシミュレーション時間を約 90%削減し,本提案手法の有効性を確認する.
著者
前鼻 啓史 渡 正 伊藤 真紀 鈴木 宏哉 渡邉 貴裕
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.290_3, 2018

<p> 2020東京パラリンピックのレガシーにより、著しく障害者スポーツに関するニーズが高まることが予想される。したがって、量的普及の後に期待される質的な充実や多様なニーズに対応できる基盤を如何に構築していくかという課題がある。2012ロンドンパラリンピックを契機に同様の課題を抱え、かつ先進的な経験と知見を有する英国の障害者スポーツに関する事例は、日本にとって有益な情報を提供してくれるものと考えられる。そこで、本研究は英国エヴァートンフットボールクラブにおける障害者サッカーの包括的な取り組みについて明らかにすることを目的とした。英国にてクラブの代表者へインタビュー調査を実施するとともにクラブの活動資料を収集し調査内容を質的に分析した。調査の結果、多様なニーズに対応した多種目の障害者サッカーチームを組織しているとともに、地域の特別支援団体と提携し、毎年千人程度の障害のある子どもや大人を対象としたサッカーや身体活動の機会を提供するマルチスポーツプログラムを有していることが明らかとなった。今後は本研究で得られた知見やノウハウをもとに、次世代型パラスポーツモデルの拠点形成に関する取り組みへと繋げていきたい。</p>
著者
Shunji FUNASAKA Koji NAKANO Yasuaki ITO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E99.D, no.12, pp.2986-2994, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)
参考文献数
22
被引用文献数
2 8

The main contribution of this paper is to present a work-optimal parallel algorithm for LZW decompression and to implement it in a CUDA-enabled GPU. Since sequential LZW decompression creates a dictionary table by reading codes in a compressed file one by one, it is not easy to parallelize it. We first present a work-optimal parallel LZW decompression algorithm on the CREW-PRAM (Concurrent-Read Exclusive-Write Parallel Random Access Machine), which is a standard theoretical parallel computing model with a shared memory. We then go on to present an efficient implementation of this parallel algorithm on a GPU. The experimental results show that our GPU implementation performs LZW decompression in 1.15 milliseconds for a gray scale TIFF image with 4096×3072 pixels stored in the global memory of GeForce GTX 980. On the other hand, sequential LZW decompression for the same image stored in the main memory of Intel Core i7 CPU takes 50.1 milliseconds. Thus, our parallel LZW decompression on the global memory of the GPU is 43.6 times faster than a sequential LZW decompression on the main memory of the CPU for this image. To show the applicability of our GPU implementation for LZW decompression, we evaluated the SSD-GPU data loading time for three scenarios. The experimental results show that the scenario using our LZW decompression on the GPU is faster than the others.
著者
岸本 成史 小佐野 博史 奥 直人 渡邊 真知子 安藤 崇仁 厚味 厳一 板垣 文雄 大藏 直樹 岩澤 晴代 長谷川 仁美 長田 洋一
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, 2021

<p>帝京大学薬学部では,4年次に統合型の演習科目「薬学統合演習1」を開講し,約300名の学生を対象に講義室内で薬物治療症例の問題基盤型学習を行っているが,2020年度はCOVID-19のパンデミックによりオンライン形式での遠隔授業として行うことになった.オンライン授業はオンライン会議システムと学習管理システムを組み合わせて用いて実施し,症例検討のスモールグループディスカッションはオンライン会議システムのブレイクアウトルーム機能を利用して行った.また,症例シナリオや授業の実施内容を極力変えず,履修者全員が確実に授業に参加できるよう考慮して授業を行った.授業終了後に学生が得られたと感じた学修成果や授業の満足度は,従来の授業と比べて差異がなかったことから,本演習をオンライン形式で行った場合でも,対面形式と遜色ない学修成果が得られたものと考えられた.</p>
著者
大塚 俊幸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.2, 2003

_I_ 研究目的中心商業地縁辺部は、商業地と住宅地の双方を背後に擁することにより、多様な都市機能が複合した生活空間として再生する可能性を秘めている。従来、都市地理学では都市の内部構造について都市機能の地域的分化の観点から論じられることが多く、商業機能と居住機能が複合した生活空間という観点から中心商業地縁辺部について論じた研究は少ない。そこで本研究では、中心商業地縁辺部に焦点をあて、マンションの持つ多様な機能に着目し、店舗併用マンションの立地要因と周辺地域へのインパクトを明らかにするとともに、いかなる地域的要因が絡み合って中心商業地縁辺部の再生に結びついていくのか、そのプロセスを明らかにした。_II_ 対象地区本研究で対象とする四日市市諏訪新道地区(L=716m、会員数107店舗)は、かつては商業の中心であり、現在でも祭りや「市」の舞台にもなっているが、環境変化に伴い住宅地としての色彩が強まっている中心商業地と住宅地との境界地域に位置する地区である。_III_ 研究方法 マンション居住世帯および地区内商業者へのアンケート調査、新規出店者およびマンション供給業者等への聞き取り調査を実施し、その結果をもとに考察した。_IV_ 結果と考察(1)マンション立地と居住世帯当地区では1991年以降、現在建設中のものも含めて6棟の分譲マンションが建設されている。当地区は、本来民間によるマンション建設がなされにくい地域であるにもかかわらずマンション建設が行われた背景には、行政の積極的な誘導による再開発事業の実施がある。6棟中4棟が再開発事業によるものであるが、これらは当初商業系再開発として計画されていたが、厳しい経済情勢のもと計画が変更され、店舗併用マンションという形態になった。マンション居住世帯の家族構成は、30歳代_から_40歳代の夫婦のみおよび夫婦と子ども世帯が全体の約半数を占め、前住地は市内が約3分の2を占めている。居住地選定に際しては、価格、公共交通への依存度、都市的利便性、親との近接性、都心としてのまちのイメージなどの諸要素が絡み合っている。(2)マンション立地が商店街に与える影響マンション立地は個店経営にはすぐには結びつくとは限らないが、街並みが一新されたことにより商店街のイメージアップにつながったこと、そして1階部分に店舗空間が供給されたことにより新規店舗の立地を促す引き金になり、かつての中心商業地であるという街のイメージも作用して、商店街全体の機能集積の拡大に寄与している。具体的には、マンション1階への入居以外にも、商店街の空き店舗へ10店舗の新規出店があった。それらは従来の物販店ではなく、こだわりの店、ショールーム機能を付加した店、実験的性格を有した店、飲食店、サービス業などである。新規店舗の立地要因は、アクセス性、周辺環境、場所性、出店コスト、建物の新しさ、路面店であること、家主との関係、地域コミュニティの存在、マンション居住者への期待などであり、経営主体や経営方針により重視する要因が異なる。(3)中心商業地縁辺部の再生過程中心商業地のコンパクト化により住宅地化を余儀なくされた中心商業地縁辺部は、商業の核心部が駅前に移る以前の中心であり、都市のシンボル的空間であった。そのため、行政もその活性化に向けて積極的に取り組むこととなり、再開発事業により店舗併用マンションの供給を可能にした。それにより商業空間の機能更新を果たすとともに、地区の居住世帯構造に大きな変化をもたらした。当地区は、再開発事業が実施されなければ、居住機能に侵食される地区である。しかし、かつての商業中心としてのポテンシャルが作用し、低層部への商業機能の立地を促すこととなった。このように、中心商業地縁辺部は商業機能と居住機能の双方の影響を受け、それらの機能が複合した生活空間としての再生が期待できる地域である。
著者
溝口 敦
出版者
小学館
雑誌
サピオ
巻号頁・発行日
vol.9, no.10, pp.89-91, 1997-06-11
著者
森岡 聖次 奥田 恭久
出版者
日本禁煙科学会
雑誌
禁煙科学
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.1-5, 2012

<b>要 旨</b><br>背景:多くの喫煙者は禁煙挑戦しようと考えているが、決断に到るきっかけがむずかしい。そこで、喫煙者への禁煙導入を促すため、著名人の死亡記事などから情報を収集し、データベースを構築し、講演会、禁煙外来での患者指導などに用いた。<br>方法:データ源は2003年4月以降の全国紙のほか、人生のセイムスケール等のインタネット情報を用いて収集した。死亡者が生前喫煙者であったかどうかは本人の記述や喫煙している写真を判断根拠とした。喫煙関連疾患は、加濃らの提唱した260以上の疾病リストを照合した。生没年は百科事典のほか、ウィキペディア等を参照した。啓発方法は防煙教育の場や禁煙外来等で啓発対象者の年齢、背景を考慮して、作成したリストの中から代表的な俳優(女優)、歌手、作家、学者、スポーツ選手等を紹介した。<br>結果:2010年7月現在で、516人(最古生年1804→最新生年1971:うち女性35人)を収集(うち日本人・東洋系は81%)した。このうち54人は現段階で死因不明であった。残る462人の職業は、作家32%、俳優(女優)17%、歌手12%が上位であった。死亡年齢は最年少31歳から最高100歳までで、この516人とは別に、喫煙歴不明の181人が喫煙関連疾患死亡者として収集されたが、現時点では生前の喫煙歴は確認されていない。死因別では、男女ともがん(男44%、女54%)、循環器疾患(男29%、女26%)、呼吸器疾患(男女とも9%)が多かった。<br>結論:著名人の死亡は話題性も高く、たばこ病を身近なものとして認識させ、禁煙挑戦を促進するうえで有用であると示唆された。新聞報道などでは、可能な限り死因と喫煙歴を掲載することが期待された。また禁煙効果の啓発のためには、禁煙した著名人自身が禁煙啓発する必要があると考えられた。
著者
鈴木 秀樹 小池 翔太
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集
巻号頁・発行日
vol.10, pp.41-42, 2021

<p>教室内でオンライン会議を行い,更にブレイクアウトルーム機能を使ってグループ分けすることにより,少人数での話し合い活動をすることを試みた。結果,対面での場合と遜色ない話し合い活動を実現することができ,通常の教室での話し合いよりも積極的になる児童が見られた。オンラインだと「緊張しない」こと,誰かが発言を始めたら自然と他の子は聞き手に回るので,発言が入り混じっていないこと等の理由が予見された。また,学習者用デジタル教科書の画面を共有して編集していくことが話し合いをスムーズに進めることに有効であることも観察できた。</p>
著者
山口 正寛
出版者
日本学校メンタルヘルス学会
雑誌
学校メンタルヘルス (ISSN:13445944)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.81-90, 2016 (Released:2021-04-08)
参考文献数
28

【問題と目的】本研究では,感情調整と社会性に困難を抱える学生を対象にした,認知行動療法的アプローチ(以下,CBTプログラム)とソーシャル・スキルズ・トレーニング(以下,SSTプログラム)に基づく心理教育による集団介入の実践報告を通して,これらのプログラムの有効性とその運用上の課題を検討した。【方法】9名の大学生が全10回のCBTプログラムに参加し,そのうち7名が引き続き全13回のSSTプログラムに参加した。CBTプログラムは,リラクゼーション,自他の感情理解に関する練習を中心に構成し,自尊感情とストレス・コーピングを効果測定の指標とした。SSTプログラムは,話の聴き方や対人葛藤場面における対処法などを中心とするスキル練習から構成し,ソーシャル・スキルと自己効力感,大学への適応感,精神的健康度を効果測定の指標とした。【結果】CBTプログラム実施後には,参加者の自尊心の向上が示唆され,SSTプログラム実施後では,ソーシャル・スキルの向上が示された。一方で,両プログラム実施後の参加者のストレス・コーピング,自己効力感,適応感及び精神的健康には改善が認められなかった。【考察】CBTプログラムを通して,客観的な自己理解の視点が得られたことや,リラクゼーションなどを活用して感情をコントロールするスキルを獲得することが自尊心の向上につながったと考えられた。また,SSTプログラムは対人関係上のソーシャル・スキルの改善に有効と考えられた。本研究の結果から,感情調整と社会性に困難さを抱える大学生を対象にした心理教育による集団介入は,一般大学生を対象とした心理教育と同様の効果が得られると考えられた。また,大学内における心理教育を運用する際の課題として,参加者のアセスメント,集団介入による否定的作用,介入効果の妥当性について検討する必要について考察された。
著者
中川 威 権藤 恭之 増井 幸恵 石岡 良子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.205-216, 2018-03-01 (Released:2018-03-06)
参考文献数
52
被引用文献数
2 1

加齢につれ,人は感情状態を調整するように動機づけられ,その結果感情状態が良好になるとされる。本研究では,改訂版感情調整尺度を用い,成人期にわたって感情調整が発達するか検証することを目的とした。青年期を対象にした調査1 (153名)と壮年期から高齢期までを対象を対象にした調査2 (518名)の結果,すべての年齢群および青年期以外の各年齢群で改訂版尺度の1因子構造が確認された。青年期では適合度と内的整合性は低かった。また,改訂版尺度は,楽観性,外向性,適応的コーピング,肯定的感情,認知的再評価と正の相関を示した一方,神経症傾向,不適応的コーピング,否定的感情,感情表出抑制との関連は示されず,構成概念関連妥当性が確認された。年齢差を検討した結果,感情調整は高齢期で中年期以前よりも高く,仮説が支持された。今後,感情調整の発達が感情状態を良好にするか検討するため,縦断研究の必要性を議論した。
著者
Renzo Andrés Venturo Barriga Vincent E. Defalque Jorge Guzman Rodriguez Siever Morales-Cauti
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-15, 2022 (Released:2022-03-12)
参考文献数
22

Heterodoxus spinigerによる刺咬性シラミ症と診断された1歳齢の雄犬において,サロラネル2.5 mg/kgを用いた単回の経口投与にて良好な治療成績を得た。投与後,急速な皮膚病変と掻痒の改善が認められた。治療後28日目の時点でも,皮膚検査の結果は基準範囲内であり,シラミは検出されなかった。本報告は,筆者の知る限りHeterodoxus spinigerによる刺咬性シラミ症と診断された犬に対してイソキサゾリンを用いて治療を実施した初めての報告である。