著者
小林 岳人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

本研究は教育困難校の一つの目安となる退学者の分布の分析を行うことによって教育困難校の改善のための方策を探るものである。筆者の前任校である千葉県立沼南高柳高等学校も教育困難校の一つである。1)入学者の居住地住所を10進緯度経度に変換しArcGISにて居住地と沼南高柳高等学校までの距離を求め距離帯ごとの退学者率を算出、2)卒業者の平均距離と退学者の平均距離を算出しこれらの間の有意差を検定(t検定)、という分析を行った。その結果、1)通学者は沼南高柳高等学校を中心に、東武鉄道野田線や新京成電鉄線の沿線に分布、2)沼南高柳高等学校からの距離が4kmまでは退学者の比率は漸増し、その後ほぼ一定、10kmを越えると再上昇、3)卒業者と退学者のそれぞれの平均通学距離の差に関するt値は0.0337で5%の水準で平均距離のその差は有意、という3点が明らかになった。教育困難校形成要因は多様である。その一つに学力による序列化がある。公立高等学校は学区によって通学範囲が制約されるが、千葉県では隣接学区への通学も認められている。この規定により学区境界の制約をそれほどうけることなく生徒の通学が可能となっている。しかし、普通科高等学校には学力による細かな序列化が形成された。志望生徒が学力に見合って高等学校を志願するため、少数の学力上位校と少数の学力下位校が生じた。これらの高等学校の通学区は広域なものとなる。そこで、この広域な通学部分を崩すことに注目する。それには、高等学校自身による「学区づくり」というアクションが効果的である。居住地までの距離2km以下の退学者率が15%と最も低いことから、この部分は沼南高柳高等学校が「おらが町の学校」というような地域的な意識がある範囲と考えられる。地域からより多くの生徒が通学してくるような学校にすることが学校改善のための重要な方策となる。これは、沼南高柳高等学校の学校改善のビジョンである「地域に密着した学校づくり」の意思決定への重要な背景となった。生徒募集のため教員の中学校訪問は10km以内の中学校を目安とした。近接中学校には管理職が訪問し連携を模索した。地域から「開かれた学校委員会」「ミニ集会」「沼南高柳高等学校応援団」、本校から「芸術演奏会・展覧会」「通学路清掃」「近隣中学校との部活動交流」など相互関係の構築をはかり、地域との密着感をより一層強めていった。
著者
松本 正俊 井上 和男 竹内 啓祐
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.103-112, 2012 (Released:2012-04-28)
参考文献数
54
被引用文献数
3 5

医師の都市部集中とへき地・地方での医師不足は積年の社会問題となっている。医師の地理的偏在是正のために政策の果たす役割は大きく,特に医学教育への政策介入について,過去に多くの実証研究が行われた。本稿では過去の研究成果をレビューし,効果的に地方やへき地で働く医師を増やすためのエビデンスに基づく方策を考察する。医師のへき地就労を促進する因子として,医師自身がへき地出身であること,プライマリ・ケアに関連する総合性の高い診療科を標榜していること,へき地医師養成プログラム出身であること,卒後早期のへき地診療経験などがある。その他,卒前の地域医療実習,へき地勤務を条件とした奨学金貸与,医学部キャンパスをへき地に設置することなども有効性が示唆されている。わが国における政策としては昭和47年設立の自治医科大学,および平成20年以降急速に拡大し入学定員が1,000名を超えた医学部地域枠がある。さらに近年,卒前医学教育における地域医療実習,卒後臨床研修における地域医療研修が必修化された。これら政策はある程度上記のエビデンスを踏まえたものになっている。しかしながら地域枠の制度設計は都道府県によってばらつきが大きく,また地域枠の入試制度,卒前の地域医療実習,卒後の地域医療研修にはまだ改善の余地が大きい。今後これらの政策が有効に働くために,科学的根拠に基づくさらなる改革が求められる。
著者
菅沼 祐介 橘田 聖 野村 浩司 氏家 康成
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.855, pp.17-00352-17-00352, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
17

Microgravity experiments of flame spread along a fuel droplet array were performed to examine the effect of ambient pressure on the flame spread speed. The purpose of this research is to investigate growth mechanism of group combustion of fuel droplets. A fuel droplet array was suspended by SiC fibers of 14 μm in diameter. The number of fuel droplet was varied from 6 to 10 depending on the droplet spacing. Nondimensional droplet spacing and ambient pressure were varied from 2 to 12.5 and from 0.10 to 0.60 MPa, respectively. To simulate flame spread through a 3D fuel-droplet-matrix, a fuel droplet array was placed on the axis of a rectangular optical cell. n-decane was employed as a fuel. The normalized flame spread speed decreased as the ambient pressure increased. For all ambient pressures, the normalized flame spread speed takes the maximum between 3 and 3.75 in the nondimensional droplet spacing. The dependence of the normalized flame spread speed on ambient pressure increases with the increase in the nondimensional droplet spacing. An empirical model equation which expresses the dependence of flame spread speed on the ambient pressure was proposed.
著者
花岡 悟一郎 大畑 幸矢 松田 隆宏 縫田 光司 あったらぱどぅん なったぽん
出版者
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
雑誌
Synthesiology English edition (ISSN:18830978)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.92-104, 2014

この論文では新たに設計される高機能暗号技術が提供する機能や安全性について第三者が理解することが容易でないことが同技術を実社会へ導入する際の大きな障壁となっていることを指摘し、それを軽減するための設計思想について議論を行う。そのような高機能暗号技術の例として代理再暗号化技術を取り上げ、提案する設計手法によってそのような障壁が軽減されていることを論ずる。
著者
Youichi OHKUBO Chieko KADOSIMA Takashi KANEKO Junichi CHUCHIYA Yosiaki AKUTSU Masamitu TAMURA Tadao YOSHIDA
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
Journal of Japan Society of Air Pollution (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.212-220, 1990-05-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
17
被引用文献数
2

シガレヅトスモーク中には高反応性で見かけ上長寿命の気相ラジラルが存在することが見いだされている。このラジカルの生体への有害性に関する基礎的な知見を得るため, シガレットスモークおよびスモーク中の気相ラジカル生成をモデル化したオレフィン/NO/空気系反応ガスが生体膜の主要構成脂質である高度不飽和脂酸 (PUFA) の自動酸化を開始することを共役ジエン生成法および酸素吸収法を用いて検討した。その結果, シガレットスモークは主としてその気相ラジカルによりPUFAの自動酸化を開始し, 生体に有害な過酸化物を生成することを見いだした。

1 0 0 0 OA 毛利家文書

出版者
巻号頁・発行日
vol.[22],
著者
黒崎 佐仁子
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.181-196, 2010-10-20

This paper analyzes the study of kanji learned in elementary schools in Japan and China. Chinese kanzi (hanzi) taught in elementary schools in China include most Japanese kanji taught in Japanese elementary schools. This means that most Japanese kanji are equivalent to Chinese hanzi, though they may differ in form.
著者
Tsutomu DOI Toru KIUCHI Akihiro MIHOSHI Hiroshi KITAGAWA Kazuo NISHII
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
INFRASTRUCTURE PLANNING REVIEW (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.367-374, 1995-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

本研究は、鉄道沿線の地域イメージとその構造的特徴を分析することを目的としている。.こごでは、関西の私鉄の中から、阪急神戸線、近鉄奈良線、南海高野線の3つの沿線地域を取り上げる。本研究ではまず、これらの沿線に存在する物に関する普通名詞・固有名詞を抽出する。次いで、それぞれの名詞のイメージに類似する名詞をこれらの抽出された名詞群から選ぶという意識調査を実施する。この調査データを用いて、想起率が高いモノ・コトを選定する。また、モノ・コトのイメージにおける類似度の関係をイメージ空間上に布置したイメージマップを作成することにより、沿線イメージの構造の特徴を明らかにする。さらにこれらの特徴を考慮しながら、これからの鉄道沿線の地域づくりにおける基本的課題に言及する。
著者
八尾 信光
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.4-15, 2014-04-20 (Released:2017-04-25)

The substantial economic magnitude of every country in the world should be compared by GDP converted into the dollar by purchasing power parity. Then, Iillustrated the economic expansion process and fluctuation process in the main capitalist states for 165 years in 1850 to 2015 by this method. Based on such a viewpoint, Iused statistics of Angus Maddison, and statistics of IMF. Moreover, the expansion process of the world economy in 1950 to 2015 was illustrated. Based on the secular trend [shown in this figure] for 65 years, the increase process of the real average income and real economic magnitude in the "advanced nations" and the "emerging countries" by 2100 was viewed. Based on such research, Ihave judged as follows. (1)The economy of "advanced nations" goes to rapid growth→medium growth→low-growth→zero-rate economic growth (1960-2050). (2)The economy of "emerging countries" is pursuing it behind time for about 60 years by the aggregate average (2010-2100). (3)The structure of the world economy changes rapidly and it makes the growth rate decrease gradually as the whole (2000-2100). Considering the above secular trend, probably, the target in the future world (2010-2100) will be as follows. (1)Establishment of the democratic welfare society on the basis of economical richening. (2)Formation of the world system of government based on rise of emerging countries. (3)Conversion into "the society of citizen bases" from "the society of capital basis." Japan realized postwar reconstruction and high growth based on the Reform of the social system after the Second World War. In the face of many subjects, Japan had many experiences and has got the result in the meantime. Many countries which are pursuing the Japan back can refer to the experience and result. Probably, the technology and the system which Japan developed are utilizable. The Constitution of Japan is aimed at democratic welfare society in peace. It is also precious property of Japan to have maintained this firmly. If such experience and property are utilized effectively, future Japan will be able to do the big contribution for realization of better society and the better world.
著者
塩釜 裕子 宮本 正
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.287-295, 2014 (Released:2015-03-19)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

【目的】色覚補正眼鏡の一種であるカラービューに対する有効性を検討すること。【対象と方法】カラービューを用いて以下の四項目について検討した。①石原色覚検査表の誤読数及び、パネルD-15の横断線が減少するか。②20色の色の名前を正しく答えられるようになるか。③日本眼科学会ホームページに記してある、先天赤緑色覚異常が見分けにくい色の組み合わせの各二色(8種類、合計16色)が見分けやすくなるか。④「先天色覚異常の方のための色の確認表」を用いて複数の色から色名を用いて特定の色を選択できるようになるか。これらは1型2色覚、1型3色覚、2型2色覚、2型3色覚、各1名、合計4名の色覚異常者の協力を得て行った。【結果】カラービューの使用によって結果は以下のようになった。①石原色覚検査表の誤読数とパネルD-15の横断線は減少した。②色名を正しく認識できるようにはならず、逆に色名がわかりにくくなる場合もあった。③検討した二色の多くが見分けやすくなった。④色名を用いて特定の色を選択することはできなかった。【結論】色覚補正眼鏡カラービューでは正常色覚者と全く同じ色の認識を得ることはできない。特に色の名称を正しく認識するのは不可能である。また、使用することによって逆に色を混同する場合もあった。だが、特定の二色間の識別に関しては有効であった。
著者
[豊田天功] [著]
巻号頁・発行日
vol.[162], 1800
著者
松下 洋一
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
1988

制度:新 ; 文部省報告番号:乙694号 ; 学位の種類:工学博士 ; 授与年月日:1988-10-13 ; 早大学位記番号:新1464 ; 理工学図書館請求番号:1247