著者
齋藤 隆則
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.19-27, 1984-01-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
23

二つの破壊様式を有する粘弾性モデルを用いて, 高分子材料の破損包絡線を定式化した. 破壊様式の一つは “粘性破壊” といい, 粘性流動による材料の実質上の破損である. 他の様式は “弾性破壊” といい, 蓄積エネルギーによる界面の切り離れである。次いで “二様式のうち与変形速度に対して最小の破壊ひずみを与える様式が実現する” という “最小破壊ひずみ基準” を設けて, 破壊様式間の遷移を調べた. 主な結果は次のとおりである.非橋かけ無定形高分子の粘性流動的変形では, ひずみ速度の全域にわたり粘性破壊である. 橋かけ高分子の粘弾性的変形においては, ある臨界ひずみ速度で粘性破壊から弾性破壊様式への遷移が生じ, しかも橋かけ密度vの増大につれて破損包絡線の形が変化する. また包絡線の最右端における破壊ひずみがv-1/2に比例することを理論的に示し, 何人かの研究者による実験結果との一致を見た. 更に破損包絡線の形と位置を左右する因子について考察した.
著者
林 賢紀 瀬尾 崇一郎 阪口 哲男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-28, 2016-02-25 (Released:2016-04-15)
参考文献数
21

Web技術によるデータ公開の方法としてLinked Open Data(LOD)が注目されている.しかし,既存のWeb上の情報資源の多くは人が読む利用形態に適したデータ構造のままであるなど,構造化が不十分であることが指摘されている.本研究においては,異なる性質の要素を持つ複合的な情報資源に対し,相互運用性を持ちかつ情報損失を起さずにLODを適用する方法について検討を行った.この結果,対象となる情報資源に記載されている情報を元にして,文書の構造や使用されている語彙などを分析することにより,LODへの再構成を効率的に行うことが可能であることを明らかにした.また,関連付けが可能な他の情報資源を用いて不足している情報を補うことを前提とした構造化により,人が読む利用形態に適したデータ構造に基づいていても適切なLOD の適用を可能とし利活用しやすくするための一手法を示した.
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.952, pp.101-104, 2007-05-21

ICカードをかざして改札機を通過したり,お金を支払ったり…。JRグループの「Suica」や「ICOCA」,首都圏の鉄道23事業者とバス31事業者が利用する「PASMO」。ビットワレットが運営する「Edy」やセブン〓イレブンの店舗で使える「nanaco」。電子乗車券や電子マネーに使う非接触ICカードは,今や日常生活に欠かせないものになった。
著者
島 貴宏 寺沢 憲吾 川嶋 稔夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.418, pp.57-62, 2010-02-11
参考文献数
7

割注の含まれた活字文書資料画像における文字切り出しの手法を提案する.市販OCRソフトウェアでは割注を検出することができないため,電子化の妨げとなっている.本研究では,割注の特性に注目して射影のモデルを立てることにより,割注を含んだ文書画像から文字の切り出しを行う.
著者
Sakiko ABE Osamu EZAKI Motohisa SUZUKI
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.133-140, 2017 (Released:2017-05-26)
参考文献数
26
被引用文献数
18

The combined supplementation of medium-chain triglycerides (MCTs), L-leucine-rich amino acids, and cholecalciferol (vitamin D3) increase muscle strength and function in frail elderly individuals. However, their effects on cognition are unknown. We enrolled 38 elderly nursing home residents (mean age±SD, 86.6±4.8 y) in a 3-mo randomized, controlled, parallel group trial. The participants were randomly allocated to 3 groups: the first group received a L-leucine (1.2 g)- and cholecalciferol (20 μg)-enriched supplement with 6 g of MCT (LD+MCT); the second group received the same supplement with 6 g of long-chain triglycerides (LD+LCT); and the third group did not receive any supplements (control). Cognition was assessed at baseline and after the 3-mo intervention. The difference in changes among the groups was assessed with ANCOVA, adjusting for age and the baseline value as covariates. After 3 mo, the Mini-Mental State Examination (MMSE) score in the LD+MCT group increased by 10.6% (from 16.6 to 18.4 points, p<0.05). After 3 mo, the Nishimura geriatric rating scale for mental status (NM scale) score in the LD+MCT group increased by 30.6% (from 24.6 to 32.2 points, p<0.001), whereas that in the LD+LCT and control groups decreased by 11.2% (from 31.2 to 27.7 points, p<0.05) and 26.1% (from 27.2 to 20.1 points, p<0.001), respectively. The combined supplementation of MCTs (6 g), L-leucine-rich amino acids, and cholecalciferol may improve cognitive function in frail elderly individuals.
著者
山肩 洋子 正司 哲朗 角所 考 美濃 導彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.433, pp.55-60, 2005-11-17
参考文献数
5
被引用文献数
5

調理者の調理を知的に支援するスマートキッチンの研究を通じて, 調理観測機能や音声対話機能を持つキッチンシステムを構築した.本稿ではこのキッチンシステムを用いて, 一般の調理者が自分の考案したレシピのマルチメディアコンテンツを作成するというタスクにおいて, (i)カメラやマイクにより調理者の調理行動を認識し, レシピに基づき調理進行を把握し, (ii)アシスタントエージェントが調理者と音声対話することにより言語的な情報を追加して, (iii)レシピに対し冗長な映像部分を削除編集して, 視聴者に分かりやすいマルチメディアコンテンツを自動生成するための枠組みと, 作成したコンテンツに対する考察について述べる.

33 0 0 0 OA 漱石全集

著者
夏目漱石 著
出版者
漱石全集刊行会
巻号頁・発行日
vol.第9巻 (小品・評論・雑篇), 1918
著者
竹内 桂
出版者
日本法政学会
雑誌
法政論叢 (ISSN:03865266)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1, 2017 (Released:2017-05-19)

Takeo Miki, who assumed the position of prime minister in 1974, is one of the primary statesman in postwar Japan. He won his seat at the 20th general election in 1937, and was subsequently voted into office 19 times in a row. The purpose of this thesis is to classify the activities of Miki in the period of his school days at Meiji University after which I consider the significance of his student days. From the analysis, I can point out the following significant points. Firstly, Miki developed an interest in real politics. He decided that he would run in a general election in the future. Secondly, Miki was aware of the importance of what can be obtained from travel. Because of that, he developed international sensibilities and an interest in international affairs. Thirdly, Miki met Shintaro Fukushima and Kazushige Hirasawa, who both played important roles as Miki’s mentors at a later date. Fourthly, Miki came to recognize the importance of the mass media. It was essential for Miki to have entered Meiji University in order to become a member of the House of Representatives.
著者
宮里 修
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2008

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2518号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2008/1/15 ; 早大学位記番号:新4648
著者
川崎 幸彦 細矢 光亮 片寄 雅彦 鈴木 仁
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.104-109, 1999-02-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
19
被引用文献数
4 12

近年, 麻疹やRSウイルス (RSV) 感染症に対するビタミンA補充療法 (本療法) の有効性が報告されているが, 本邦のようにビタミンA欠乏が問題にならない国における本療法の治療効果に関する報告は少ない.今回, 私達は, 基礎疾患を有さず栄養状態の良好な麻疹患児108例とRSV感染症患児95例を臨床症状の重症度により中等症と重症の2群に分類し, 各群についてビタミンA投与群と非投与群で, その主要臨床症状の持続期間, 入院期間, 合併症の有無を比較検討した.ビタミンAは入院第1, 第2の両病日に各々10万単位を経口投与した.麻疹患児群ではビタミンA投与群において重症度にかかわらず咳噺の持続期間が有意に短縮したが, 発熱期問や入院期問および合併症の出現率に有意差はみられなかった.RSV患児では重症度においてビタミンA投与により陥没呼吸や瑞鳴の出現期間が短縮した.すなわち, ビタミンA補充療法は本邦における麻疹やRSV感染症において, 特に重症例ではその臨床症状を改善するものと考えられた.
著者
真辺 諒 長尾 哲志 安藤 一秋
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

本研究では,オンラインショップで購入できない土産情報をブログや掲示板,Twitterなどから自動抽出し,リアルタイム性や話題性を活かした様々な情報をユーザに提示するシステムの構築を目指している.本稿では,Twitterに焦点を当て,土産に関するツイートのバースト現象を分析し,そこで注目されている土産情報を調査することで,Twitterの有用性について考察する.
著者
湯浅 景元 福永 哲夫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.36-41, 1987-02-01
被引用文献数
4

全身にわたる皮下脂肪厚を測定し、その分布パターンを明らかにした研究は今のところみられていない. 本研究では,2名の成人男子を対象にして,超音波診断装置(Bモードlinearタイプ)を用いてほぼ全身の皮下脂肪厚を測定し,その分布パターンを明らかにすることにした. 本研究によって得られた結果は次のようであった. 1) 体幹で皮下脂肪が厚い箇所は,臍を中心とした腹部中央と側腹から腰部外側にかけての部分であった. 2) 体幹で皮下脂肪が薄い箇所は,胸部上方の部分であった. 3) 体肢では大腿や上腕のように中枢に近いところにある体節で,かつ中枢に近づくほど皮下脂肪は厚かった. 4)以上のことから,体幹では皮下脂肪厚が幅広く分布しているのに対して,体肢ではほぼ均一に分布する傾向のみられることが示唆できた.
著者
永田 雅宜
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.203-209, 1961-05-20 (Released:2008-12-25)
参考文献数
12
著者
小野 貴大 飯澤 勇信 阿部 善也 中井 泉 寺田 靖子 佐藤 志彦 末木 啓介 足立 光司 五十嵐 康人
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.251-261, 2017-04-05 (Released:2017-05-13)
参考文献数
15
被引用文献数
11 32

2011年3月の福島第一原発事故により,1号機由来の放射性物質が飛来したと考えられる原発北西地域の土壌から,強放射性の粒子を7点分離した.分離された粒子は100 μm前後の大きさで歪いびつな形状のものが多く,2号機から放出されたとされる直径数μmの球形粒子(Csボール)とは明らかに異なる物理性状を有していた.これらの粒子に対して,大型放射光施設SPring-8において放射光マイクロビームX線を用いた蛍光X線分析,X線吸収端近傍構造分析,X線回折分析を非破壊で適用し,詳細な化学性状を解明した.1号機由来の粒子はCsボールに比べて含有する重金属の種類に富み,特にSrやBaといった還元雰囲気で揮発性が高くなる元素が特徴的に検出され,粒子内で明確な元素分布の不均一性が見られた.粒子本体はCsボールと同様にケイ酸塩ガラスであったが,Feなど一部の金属元素が濃集した数μm程度の結晶性物質を含有していた.これらの粒子は3月12~13日に大気中に放出されたものであると考えられ,核燃料と格納容器との熔よう融がかなり早い段階で進行していたことが示唆された.さらに放出源の推定において,放射性物質自体の化学組成情報が放射能比に代わる新たな指標となることが実証された.