著者
荻原 国宏 川上 高嶺 奥村 克司 遊道 義憲
出版者
Japan Society of Dam Engineers
雑誌
ダム工学 (ISSN:09173145)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.21-28, 1999-03-15 (Released:2010-04-30)
参考文献数
3

長径間のシェル構造ローラゲートでは, 微小開度において自励振動を起こすことが報告されている。自励振動の発生範囲は, 水圧による梁の変位を考慮した上での, ゲート下端からの流量が最大になる水位以上の領域であるとされている。本実験では, 姫川第六発電所洪水吐きの下流傾斜形シェル構造ローラゲートの実機を用いて微小開度における振動実験を行い, 設計段階での理論上の自励振動発生範囲と実際の振動発生範囲を比較することができた。その結果, 振動発生範囲については, ゲートのたわみを起因として振動が発生するという理論とよい相関を示すことが確認された。
著者
赤石 樹泰
出版者
武蔵野大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

クルクミン誘導体CNB-001には、経口で正常ラットの記憶力を高める効果が見出されたため、アルツハイマー病治療薬開発のリード化合物として注目されている。本研究では、主に海馬スライス標本を用いた電気生理学的検討により、その作用機序の解明を試みたところ、CNB-001はMAPキナーゼやPKC経路には影響せずに、NMDA受容体ならびにCaMKⅡ依存性機構により、海馬における記憶形成の分子過程である長期増強現象(LTP)を促進することが明らかとなった。
著者
Jun Oikawa Hidehira Fukaya Shinichi Niwano Daiki Saito Tetsuro Sato Gen Matsuura Yuki Arakawa Yuki Shirakawa Shuhei Kobayashi Ai Horiguchi Ryo Nishinarita Naruya Ishizue Jun Kishihara Junya Ako
出版者
International Heart Journal Association
雑誌
International Heart Journal (ISSN:13492365)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.838-842, 2020-07-30 (Released:2020-07-30)
参考文献数
11

Complex atrial tachycardias (ATs) after catheter ablation or a MAZE procedure is sometimes difficult to determine the circuits of the tachycardia. A high-density, grid-shapes mapping catheter has been launched, which can be useful for detecting the detail circuits of tachycardias on three-dimensional mapping systems. The signal quality is also important for performing electrophysiological studies (EPSs), such as entrainment mapping, to identify the circuit. This unique mapping catheter has 1 mm electrodes on 2.5 Fr shafts, which improve the signal quality. The high-quality intracardiac electrograms facilitate differentiating small critical potentials, which allows us to perform detailed entrainment mapping in targeted narrow areas. Here, we describe a patient with a perimetral AT with epi-endocardium breakthrough after a MAZE surgery and catheter ablation, which was treated successfully along with detailed entrainment mapping using the HD Grid. This catheter with high-quality signals could be a significant diagnostic tool for a classic EPS as well as for the construction of 3D mapping.
著者
浅香 智也
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.87-90, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
9

要旨 2019 年7 月10 日に愛知県新城市の水路において,スジボソハシリグモDolomedes augusti- virgatus によるカワムツNipponocypris temminckii の捕食を観察した.この水路はコンクリート三面張りで,土砂が溜まり植物が生い茂っていた.捕食の様子は,スジボソハシリグモの上顎がカワムツの頭部に深く食い込み,陸上に引きずり上げていた.
著者
片山國嘉編
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
1882
著者
田中 洋平 Yohei Tanaka
雑誌
淑徳大学人文学部研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
vol.第4号, pp.97-108, 2019-03-15

本論では中等教育段階における歴史教育と歴史学研究の結節を企図し、高等学校で使用されている日本史教科書の記述について、歴史学的知見からこれに検討を加えた。具体的には、近世宗教史分野の研究成果を整理するとともに、これに新たな研究知見を付与したうえで教科書の記述を再検討している。ここでは、これまでの研究史及び『肥後藩人畜改帳』の分析から、寺檀制度の成立に照応させつつ、それを担う寺院が建立されたことを確認し、にもかかわらず、そうした寺院がどの段階で造営されていったかという点について、教科書中には記述がないことを指摘した。併せて近世宗教史研究のうえで長らく議論されてきた「近世仏教堕落論」についても、これを教科書に記載したうえで、歴史事象に関する生徒間の討論を深化させるための素材とすることができる可能性について言及した。
著者
谷村 省吾 TANIMURA Shogo
巻号頁・発行日
2017-04-04

圏論にまったく馴染みのない人に圏論の基本的な考え方と語彙を解説するために書いたノート。「圏論は射・関手・自然変換という三種の矢を駆使する数学だ」というメッセージを前面に押し出している。その他の主要なメッセージ:対象たちが無関係にばらばらにあるのではなく、射の有機的なネットワークでつながっているのが圏だ。圏論用語としての普遍性は「すべての事態に通用し、しかもその通用のしかたが一通りしかない」という性質を指す。圏論は、対象の内部に立ち入らずに、外から対象に刺激を与えてそこから出て来る応答を見ることによって対象の特徴を探る、対象を知ろうとする。圏論は、個と個の関係性を重視するだけでなく、関係性があって初めて個性が定まるという考え方をする。圏論においては、射の正体・解釈は固定されていない。圏のネットワークのありようが射に意味を与える。対象と射の意味づけ・解釈が、他者との関係性・文脈・コミュニケーション・ネットワークを通して行われる。複雑な世界を記述する豊かな表現力が圏論に備わっている。圏論は、さまざまな理論に見られる相似構造を抽出して、まとめて面倒を見ることができる。圏論を使うと、異なる数学理論の間の関係を一段高い視点から見ることができる。「木を見て森を見ず」という言葉があるが、圏論は、その逆の「木を気にせず森を見る」ような視点を提供してくれる。(本稿は、2016年10月31日に東京、情報システム研究機構会議室で開催された「第5回量子基礎論懇話会」と、2017年2月12日に名古屋大学で開催された「量子と古典の物理と幾何」研究会で行った講演をもとにしている。リポジトリ投稿 2020年8月12日。全ページ数 32, うちタイプしたページ 20, 手書きページ 12)

7 0 0 0 OA 不便益と共創

著者
川上 浩司
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.1079-1081, 2012-11-10 (Released:2020-04-23)
参考文献数
9
著者
大津 透
出版者
法制史学会
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.48, pp.119-152, 1999-03-30 (Released:2009-11-16)
著者
稲田 尚子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.117-125, 2015-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
11

患者報告式アウトカム尺度が翻訳されることにより、研究成果の国際比較および国際共同研究が可能となる。翻訳された尺度から得られるデータの質は、その翻訳の正確さに依存する。ISPOR(International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research)タスクフォースによるガイドラインは、患者報告式アウトカム尺度の翻訳に関する質を担保し、ひいては研究報告の質を高めるうえで有用となる。本稿では、当該ガイドラインに従って、推奨される10の手続き((1)事前準備、(2)順翻訳、(3)調整、(4)逆翻訳、(5)逆翻訳のレビュー、(6)調和、(7)認知デブリーフィング、(8)認知デブリーフィング結果のレビューと翻訳終了、(9)校正、(10)最終報告)について解説した。また、当該ガイドラインに基づく具体的な記載事例の紹介を行い、尺度翻訳の際の留意事項について考察した。
著者
北川 良子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.345-357, 2010 (Released:2011-04-07)
参考文献数
31
被引用文献数
4

目 的 本研究の目的は,病院に勤務する助産師が,妊娠・出産・育児をしながら就業を継続していくために必要な要因について明らかにすることである。対象と方法 産科・産婦人科を標榜している336の病院に勤務する,妊娠中もしくは0歳から小学校卒業までの子どもを養育している助産師1,469名を対象に,郵送法による無記名自記式質問紙を用いた量的横断的記述研究である。調査内容は,属性,対象者の健康状態,家族・家庭環境,子ども・保育環境,職場環境,仕事意欲等である。分析方法は各調査項目と『今までの就業継続状況(就業継続群と一時離職群)』『今後の就業継続予定(継続希望群と退職考慮群)』との関連を検討した。結 果 調査票の回収数は986部(回収率は67.1%)であり,有効回答数は951(有効回答率96.5%)であった。対象者の平均年齢は36.8±5.2歳,子どもの平均人数は1.96人で2人が一番多かった。仕事意欲測定尺度得点の平均値は58.7±8.6であった。『今までの就業継続状況』と実父母・義父母の理解・協力の間に有意差が多く見られた。『今後の就業継続予定』では家族の協力・理解との間に有意差はほとんど認められず,職場環境要因の職場の働きやすさ・仕事と育児の両立しやすさ,上司の理解,モデルとなる助産師の存在において有意差が認められた。結 論 病院に勤務する助産師が,妊娠・出産・育児をしながら就業を継続していくために重要な要因は,助産師本人の高い仕事意欲と家族の理解・協力を前提に,育児と仕事の両立しやすい職場環境と上司の理解が就業継続を決定付ける上で重要な要因であることが示唆された。