著者
倉田百三 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1926
著者
林勇 著
出版者
学海指針社
巻号頁・発行日
1912
著者
矢野 聖二
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.939-943, 2009 (Released:2009-12-09)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

EGFR活性型変異を有する肺腺癌はEGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるゲフィチニブやエルロチニブが著効する.しかし,EGFR活性型変異を有する肺腺癌の25∼30%はゲフィチニブに自然耐性を示す.また,奏効症例においてもその大半が1年程度で獲得耐性を生じ再燃するため,EGFR活性型変異を有する肺腺癌におけるゲフィチニブ耐性の克服は臨床的にも重要な検討課題である.EGFRのT790M second mutationやMET増幅が,獲得耐性のそれぞれ50%および20%に関与することが知られているが,残りの30%の症例の耐性機序および自然耐性の機序は不明である.著者らは,肝細胞増殖因子(HGF)による第三の耐性機序を明らかにした.癌細胞自身あるいは間質の線維芽細胞が産生するHGFは,その受容体であるMETをリン酸化し,EGFRやErbB3とは無関係にPI3K/Akt経路を活性化することにより,ゲフィチニブ耐性を誘導した.HGF-MET阻害薬はHGFによるEGFR-TKI耐性を克服することも見出した.以上より,HGF-MET経路はEGFR-TKIの治療効果をより高める上で,非常に重要な標的と考えられる.
著者
玉木 裕
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.69-81, 2009

過去3度のOECD による「生徒の学習到達度調査」(PISA)で,日本の順位は低下し続けている。このため,従来から論じられてきた学力低下問題はもとより,「学力」そのものを問いなおす気運が生まれている。もっとも,「学力」ということばは漠然としたもので,人によりその解釈がさまざまである。果たして,PISA で問われている「学力」とは,どのようなものだろうか。本小論は,これからの社会で求められる「学力」について,特にPISA の結果をふまえ,国際比較で上位国であるフィンランドの教育思想に関連させながら考察する。そして,そこから導き出された理念を音楽科教育において適用するとともに,その姿を生涯学習の視点からとらえ直し,望ましい音楽科教育のあり方を考えようとするものである。Japan has moved down the ranking list of the Programme for International Student Assessment (PISA)conducted by OECD the last three times the assessment has been administered. For that reason, a tendencyto question "academic ability" itself has arisen, as well as problems of declining academic ability, which hasbeen argued. However, because the term "academic ability" itself is ambiguous, its interpretation differsamong observers. What is "academic ability" has become an issue for the PISA.This paper presents examination of "academic ability" required for applicability to future society, based onPISA results in particular, relating to educational thought in Finland, which has attained a high ranking incrossnational comparisons. Subsequently, we intend to apply the ideas derived from that investigation.Additionally, we examine ideal music education through reconsideration of it from the perspective of lifelonglearning.
著者
吉川 彩 野崎 淳夫 成田 泰章
出版者
Society of Indoor Environment, Japan
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.3-13, 2011
被引用文献数
1 1

本研究では消臭剤の噴霧量,環境条件,噴霧方法について検討し,より実用的な試験評価法を提案した。また,新たな試験法を用いて,噴霧器を統一し,消臭液におけるホルムアルデヒドとVOCの除去性能を試験的に把握した。試験においては,ガス状汚染物質(ホルムアルデヒドとVOC)の初期濃度,環境条件をある一定のレベルに統一した。なお,消臭剤の噴霧は,製品記載の方法で行った。本試験では一般量販店で購入した6種類の消臭液(ホルムアルデヒド除去試験は2種類のみ)と,その性能を評価するためにコントロールとして精製水を用いた。<BR>消臭液のホルムアルデヒド除去性能(相当換気量<i>Q</i><sub>eq</sub>[m<sup>3</sup>/h])を求めた結果,35種類の植物抽出エキスを主成分とする消臭液(1),フィトンチッドを主成分とする消臭液(2)のホルムアルデヒド相当換気量は,それぞれ0.10,0.06 m<sup>3</sup>/hであり,精製水の相当換気量(0.28 m<sup>3</sup>/h)よりも小さい値であった。この値は最新の空気清浄機におけるホルムアルデヒド相当換気量(<i>Q</i><sub>eq</sub>=99.6 m<sup>3</sup>/h)と比較しても,非常に小さい値となった。本研究で対象とした消臭剤は液体であるため,親水性物質であるホルムアルデヒドの除去効果が期待されたが,精製水のみを噴霧した場合でも,大きな室内ガス状汚染物質濃度の低減効果は認められなかった。<BR>また,消臭液のVOC相当換気量(TVOC換算値)は0.40~1.11 m<sup>3</sup>/hの範囲にあった。特に消臭液(4)のVOC相当換気量(TVOC換算値)が最も大きく,精製水の相当換気量(<i>Q</i><sub>eq</sub>=0.16 m<sup>3</sup>/h)の約6.9倍であった。<BR>更に,VOC物質毎の除去性能を求めた結果,各消臭液は,17物質のうち6~11物質に対して除去効果が認められた。最も多くの物質を除去していたのは,ヒノキとユーカリの精油を主成分とする消臭液(5)であり,その相当換気量の平均は0.91 m<sup>3</sup>/hと比較的小さいが,有効成分含有率を上げることにより増大することが期待される。<BR>各消臭液の物質別相当換気量は,平均で0.44~3.85 m<sup>3</sup>/hの範囲にあり,最も大きな相当換気量を示したのは酵素を主成分とする消臭液(3)であった。しかしながら,相当換気量はガス状汚染物質の初期濃度,消臭剤の噴霧量や他の測定条件によって値は異なるため,これらの更なる検討が求められる。
著者
松尾 美里
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.26-56, 2013

<p>福島第一原発事故以来、さまざまな人々・組織が、さまざまな動機のもと大量の放射線測定データを採取・収集している。これらのデータは、科学的、医療的、歴史的な観点からして、極めて重要なデータであると言えるが、適切なアーカイブ化措置を欠くために、消失の危険にあるものも増えている。これをうけて、日本物理学会(JPS)と日本アーカイブズ学会(JSAS)は、国立国会図書館(NDL)の協力のもと、放射線測定データのアーカイブズ化を目指す試みに着手することとなった。しかし一方で、JSAS 内には、科学資料アーカイビングに精通したアーキビストが少ないという問題もある。小稿は、JSAS アーキビストが、上記試みに参画するきっかけの提供を意図して、科学資料アーカイビングに関する基本的な事項の紹介を行うものである。</p>
著者
岡本 栄司 中村 勝洋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.1498-1504, 1991-11-15

暗号システムにおいて 暗号化鍵はシステム全体の安全性の要であり 暗号化鍵の保護には十分な注意が必要である長い間同一の鍵を使用していると 悪意の第三者に知られる可能性が高くなるこのため 暗号化鍵は時々変える必要がでてくるそこで データを暗号化する鍵(ワーク鍵)を随時変更し 別の上位の鍵(鍵暗号化鍵)で暗号化して相手に送る方法が用いられているさらにこの鍵暗号化鍵を多段階層にすることもあるしかしながら これらの暗号化鍵 特に最上位の鍵(マスタ鍵)の変更をどの程度に行うべきかに関する「鍵の変更周期」あるいは「鍵の寿命」については まだ議論が少ないこれでは 実際に暗号システムを導入する際 運用上不安が残るそこで 本論文ではアメリカ標準暗号DESを想定して 暗号化鍵(ワーク鍵 マスタ鍵)の変更周期を調べた解読方法には 例として最も単純な全鍵探索法(Exhaustive Key Search)を用いたこの結果 マスタ鍵は毎年 ワーク鍵はメッセージごとあるいはセッションごとに変更したほうが良いことがわかったなお 本論文で示した考えは 暗号アルゴリズムと解読法を変えても基本的に適用できるものであるまた本結果は 最も単純な解読法を仮定しているため 一般に守るべき最低基準を示していると考えられる
著者
竹内 美由紀
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.19-23, 2014 (Released:2015-04-21)
参考文献数
33
被引用文献数
1 3

二次イオン質量分析法(SIMS)による元素イメージングの生物試料分析への利用が近年広がっている.元素の検出感度が高くすべての元素が検出可能であり,また高い二次元分解能を持つSIMS装置であるNanoSIMSを用いたイメージングでは,電子顕微鏡での形態観察に近い高分解能で元素あるいは同位体分布を分析することができる.そのため安定同位体による標識物質の利用と合わせて,動物細胞や微生物内での物質移動や代謝の定量解析等において様々な成果を挙げている.本稿ではNanoSIMSについて装置の概要と元素イメージングの生物試料への応用について紹介する.