著者
西野 厚志
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.65-80, 2013-05

Tanizaki Jun'ichiro is known to have owned a six-volume set of The Works of Plato (Bohn's Classical Library; London : George Bell and Son, 1848-54). There is some evidence that he was particularly familiar with the content of the second volume, which contained The Republic. It is in The Republic that the famous "Allegory of the Cave" appears. There are previous studies that point out the similarities between what the allegory describes and the mechanism of film projection. This paper argues that Tanizaki made use of the concept of the limitations of human perception described in the "Allegory of the Cave," as well as the concept of Idea, in those of his works that feature blindness, such as Shunkin sho (A Portrait of Shunkin,1933). The ultimate goal for Plato was for humans to see the light itself. Tanizaki seems to have wanted to warn against the danger of too much light, by transferring this allegory into the projection of films in modern times. In his time, films were made with nitrate, and they often caught fire while being projected, causing the destruction of the images on the screen. A Portrait of Shunkin and other stories with the theme of blindness can be understood as Tanizaki's expression of what may be called "the degree zero of representation" caused by excessive light.
著者
松岡 茂
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.19-28, 1994-07-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
12
被引用文献数
1

地上で採食しているヒヨドリに人間が接近して行って,ヒヨドリの群れが飛び立ったときの,人間とヒヨドリの群れとの距離(飛び立ち距離:FLD)と群れサイズ(SIZE)との関係を野外で調査した.ヒヨドリの群れサイズが大きくなるにつれ,飛び立ち距離が大きくなった.回帰式は,FLD=6.9×ln(SIZE)+26.1であった.ヒヨドリの群れサイズの増加に伴い,群れの広がり(RD)も増加した.回帰式は,RD=1.3×ln(SIZE)-1.1であった.しかし,飛び立ち距離の増加は,群れの広がりの増加だけでは説明できなかった.1羽のヒヨドリの飛び立ち距離の分布をもとに,もっとも神経質な個体の飛び立ち距離が群れの飛び立ち距離を決定するという仮定で,シミュレーションを行なったところ,回帰式SFLD=3.6×ln(SIZE)+28.2を得た.これは,実際のヒヨドリの飛び立ち距離の回帰式の傾きとは有意に異なっていた.実際の群れの飛び立ち距離とシミュレーションの結果との違いを神経質な個体の行動から考察を行なった,その結果,神経質な個体は,単独あるいは小数羽の群れに出現する頻度が低いという予想を得た.
著者
田端 節子 飯田 憲司 木村 圭介 岩崎 由美子 中里 光男 鎌田 国広 広門 雅子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.111-115, 2008-04-30 (Released:2008-05-26)
参考文献数
12
被引用文献数
17 19

HPLCおよびLC/MS/MSを使用した同時分析法により,市販食品中のオクラトキシン(OT) A, Bおよびシトリニン(CIT)の低濃度(0.1 μg/kg)までの汚染実態調査を行った.また,一部の試料についてはアフラトキシン(AF)などのカビ毒についても調査を行った.その結果,157試料中,国産表示の2試料を含む44試料から0.11~4.0 μg/kgのOTAが検出され,カカオパウダー,インスタントコーヒーなどで検出率が高かった.OTBは,OTA含量が比較的高い試料から0.10~1.8 μg/kg検出された.また,穀類でOTAとCITおよびデオキシニバレノール,カカオでOTAとAFとの複合汚染が認められた.コーヒー豆中のOTAは約30%が抽出液に移行した.
著者
石田 万実
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.21, pp.32-44, 2014-08-02

本稿は、日本のお笑い番組において登場人物がどのように表現されてきたのかを分析し、笑いの中にどのようなメッセージがあるのか、また、男性が女性を演じる「女装」がどのような役割を持つのかを明らかにすることを目的としている。このため、日本のコミックバンド「ザ・ドリフターズ」が出演したコント番組、『8時だョ!全員集合』と『ドリフ大爆笑』のDVDを研究対象とし、内容分析を行った。分析の結果、ザ・ドリフターズのコント番組では、ジェンダーに関する当時の価値観や秩序が笑いとともに再生産され、メッセージとして視聴者に伝えられていた傾向があることがわかった。その中で女装は主に、男性が「女らしさ」「母親らしさ」を演じ、笑いをおこすために利用されていた。しかし一方で、女性が女性を演じる場合は表現されない「女性に期待される役割の風刺」は、男性が女装をすることによって可能となっていた。
著者
柏原 全孝
出版者
追手門学院大学
雑誌
追手門学院大学社会学部紀要 (ISSN:18813100)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-15, 2015-03-30

審判 / 誤審 / ホークアイ審判補助システム / テニス / 大相撲 / ビデオ判定

13 0 0 0 OA ヘス事件の全貌

著者
世界情勢研究会 編
出版者
興亜書林
巻号頁・発行日
1941
著者
森口 大地
出版者
京都大学大学院独文研究室研究報告刊行会
雑誌
研究報告
巻号頁・発行日
no.32, pp.1-21, 2019-01

Sind Vampire normalerweise weiblich oder männlich? Diese Frage ist schwer zu beantworten. Weibliche Vampire, sozusagen Urvampirinnen, finden sich bereits im griechischen Mythos oder in der Bibel, z. B. Lamia, Empusa oder Lilith, aber auch in der neuzeitlichen Literatur treten Vampirinnen auf, etwa Goethes Braut van Korinth oder Southeys Thalaba the Destroyer. Andererseits scheinen männliche Vampire wie Lord Ruthven und Count Dracula bis heute auf der Bühne, in der Literatur oder im Film usw. für das Genre bestimmend zu sein. In seinem Aufsatz über die Braut van Korinth schrieb Hans Esselbom, dass das 19. Jahrhundert die Zeit der weiblichen Vampire gewesen sei. Aber um seine Behauptung zu beweisen, sind noch detailliertere und sorgfältigere Analysen der zeitgenössischen Vampirliteratur notwendig. Zumindest bislang lässt sich kaum etwas dagegen einwenden, dass es nicht weniger weibliche Vampirgestalten als männliche gibt. Rauschniks Totenbraut ist die erste heute noch existierende deutschsprachige Vampirprosa, in der eine Vampirin auftritt. Diese Vampirin, die Marchese von Val Umbrosa, trägt die seit Lord Ruthven typischen vampirischen Merkmale, während sie zugleich den Figurentyp der ›Fatal Woman‹ repräsentiert, die Mario Praz in seinem prominenten Werk The Romantic Agony behandelt hat. In der Geschichte begegnet auch ein Domherr, der die Marchese verfolgt und sie am Ende vemichtet, wodurch er zum ersten Vampirjäger in der Literatur wird. Er erinnert nicht nur an Apollonius in John Keats Lamia, sondem auch an den Typ des ›Outlaw‹ bzw. ›Fatal Man‹, dernach Praz im deutschsprachigen Räuberroman wie in der Gothic Novel beheimatet ist und sich in der englischen Romantik des 19. Jahrhunderts in den ›Byronic Hero‹ verwandelt. In der Totenbraut gibt es also sowohl ›The Fatal Woman‹ als auch ›The Fatal Man‹, so dass dieses Werk eine Verbindung zwischen der Vampirliteratur und der Gothic Novel herstellt.
著者
石川 卓 黒崎 将広 鈴木 一人 石井 由梨佳 彦谷 貴子 ワックスマン マシュー 徳地 秀士 彦谷 貴子 リー トマス 那須 仁 クー ジュリアン アダムス マイケル スクーヴィル ライアン
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、国際法規範がはたして日米同盟の実施運用そしてさらなる強化を支える「共通言語」ないし「共通のロジック」たり得るのかを検討することを目的としたものである。日米豪の専門家集団による3年にわたる検討と意見交換の結果、両国ともに日米同盟の柱となる国際法上の武力行使と自衛権の概念および枠組みを極めて重要なものとして位置づけつつも、国際法および国内法上の武力の意味、ならびに自衛権行使の発動条件および当該行使にかかる行政府(首相・大統領)と立法府(国会・議会)の権限関係といった様々なレベルで大きな違いが存在することが明らかとなった。
著者
嘉名 光市 増井 徹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.685-690, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
24

本研究では船場センタービル建設における、事業手法検討段階で提示された数多くの基本構想(案)に着目し、その検討に至る経緯、および複数提示された案について、その内容を比較し、各案の考え方を示す。さらに、中層ビル案に決定した後の、建物の配置検討を行った実施計画(案)の変遷を把握し、船場センタービルの計画思想を明らかにすることを目的とする。基本構想(案)の段階では幹線道路を建設するにあたって、近代的なビルを建設する高層ビル案、中層ビル案に対し、既成市街地にはできるだけ手をつけずに幹線道路を通すトンネル案も存在した。また道路法の改正を必要としない平面街路案も存在した。これらの案は、通過交通を排除するという計画思想が共通していた。また、案の多くが再開発により市街地を刷新する計画思想であった。しかし、実施計画(案)の段階では、筋の連続性をできる限り残すための変更がなされ、隣接市街地との関係について一定程度の配慮する計画思想があった。具体的には、変更によって筋の連続性が保たれたこと、東西方向沿道に歩廊を設置したことが挙げられる。
著者
金子 奈美
出版者
日本イスパニヤ学会
雑誌
HISPANICA / HISPÁNICA (ISSN:09107789)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.59, pp.61-83, 2015 (Released:2016-05-10)

スペイン・バスク地方の作家ベルナルド・アチャガが2003年にバスク語で発表し、2004年に彼自身によるスペイン語訳が刊行された長篇小説『アコーディオン弾きの息子』は、その複雑な構造を大きな特徴とする。本稿では、作中に二人の作者及び語り手が存在すること、すなわち小説全体が主人公ダビの回想録を彼の友人ヨシェバが書き直した本と設定されている点に着目して、作品の複雑な構造を捉え直すとともに、ヨシェバの書き直しがダビの自伝的語りに対しどのような機能を担っているかを考察する。とくに分析の対象とするのは、 ダビが回想録を執筆することで向き合おうとしたいくつかのトラウマ的出来事が、作中のどのセクションで、ダビとヨシェバのどちらによって、どのように 語られるかという点である。分析の結果、ダビの過去のトラウマをめぐる語りが作品構造の一つの軸を成していること、そしてそれぞれのトラウマ的経験の異なる語られ方とそこにおけるヨシェバの介入の効果が明らかになる。
著者
境 有紀 中川 文寛 鈴木 達矢
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.4_54-4_81, 2010 (Released:2011-11-09)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

2008 年岩手県沿岸北部地震を対象として,震度6 弱以上を記録した全ての強震観測点と5 強を記録した一部の強震観測点周辺の被害調査を行った.その結果,いくつかの観測点周辺で外装材の落下,外壁のわずかなひび割れ,窓ガラスの破損といった軽微な建物被害は見られたが,いずれの観測点周辺でも,大破・全壊といった建物の大きな被害はなかった.観測された強震記録の性質について検討した結果,そのほとんどが0.5 秒以下の極短周期が卓越した地震動で,建物の大きな被害と相関をもつ1-2 秒応答は小さく,このことが大きな震度にもかかわらず建物の大きな被害が生じなかった原因と考えられる.
著者
新井 健司
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.73-87, 2008-03