著者
吉江 秀和
出版者
日本音楽学会
雑誌
音楽学 (ISSN:00302597)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.83-97, 2013-03-15

The Academy of Ancient Music, which was founded in 1726 and aimed to revive the sacred music and madrigals of the 16^<th> and 17^<th> Century, entered upon an era of reform in the 1780s. At that time, the Academy commenced to give public concerts, whose diverse programmes consisted of modern works, such as compositions of Joseph Haydn (1732-1809), as well as those of George Frederic Handel (1685-1759). Meanwhile it was beset with financial problems and internal conflict between its younger directors and older ones. At the end of 1789 Samuel Arnold (1740-1802) was appointed to the conductor at the Academy after Benjamin Cooke (1734-93) resigned the post. However, the circumstances within the Academy have not been fully researched. The author of this paper intends to elucidate the reasons behind this conflict by researching further the managers of the Academy since the 1780s. In the course of his study the author confirms that some of the members of the Glee Club, especially Robert Smith (1740/1-1810) - the founder of the club -, took up important posts at the Academy before and after Arnold's appointment as the conductor. Hence, it is concluded that the members must have played a key role in Arnold's appointment. In his paper the author also focuses on the reasons why Arnold was appointed through a study of the changes of the concert programmes at the Academy. These reasons include the new taste for music in which Cooke could not demonstrate his leadership, and the young managers' lack of interest in the original notion of 'ancient music'. From this point of view, the author intends to develop his assumption that the conflict was caused not simply by a personnel problem, but by the transition of their musical preferences, which was influenced by contemporary concerts in London.
著者
須貝 哲郎 山本 幸代 渡辺 加代子 麻生 五月
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.421-430, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
21
被引用文献数
1

1974年から1979年にわたる6年間に施行した香料系パッチテストの結果を総括して報告する。対象は化粧品皮膚炎, 顔頸部の炎症後色素沈着症患者1, 325例である。当科常備の香料アレルゲンのうち27種をcomputer FACOM 230-28に登録し, 6年間の蓄積データからその陽性頻度を算出した。登録香料の内訳は天然香料9, 単離香料11, 香料成分ミックス1, 調合香料6である。陽性率の首位はICDRGの香料成分ミックスで06% (6/91), イランイラン油6.1% (51/833), benzyl galicylate6.0% (43/713), 調合香料ミックス義7% (19/336) の順であった。使用量のもっとも多いといわれるchemodermは11位で3.2% (10/314) の陽性率を示した。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.636, pp.38-41, 2007-09

2007年7月16日。3連休の最終日に新潟県中越地方をマグニチュード6.8の「新潟県中越沖地震」が襲った。2004年10月の新潟県中越地震に続き,わずか3年で2度の大地震に見舞われた同地方では,水道やガスなどのライフラインが遮断するなどの大きな被害を被り,震源近くのメーカーでは操業に影響も出た。 その一方で,前回の地震の教訓を生かして被害を最小限に食い止めた地元企業も多い。
著者
小林 正美 秋山 満知子 木瀬 秀夫 渡辺 正
出版者
一般社団法人日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.196-200, 1997-09-25
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

光合成の反応中心は従来その構造タンパクやキノンのような安定な電子受容体の種類によって分類されてきた. ところが近年,反応中心のみ数分子,特殊なクロロフィルが存在することが明らかになってきた. これらの色素を高速液体クロマトグラフィーによって分析するだけで,反応中心の種類や存在量が簡単かつ正確に見積もれるようになった.
著者
吉井 甫
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.81-88, 1941 (Released:2009-04-03)
参考文献数
14
被引用文献数
4

1) 各種稻品種の有する葉片の強靱度・珪酸竝びに窒素含量を比較し,その結果を各品種の稻熱病抵抗性との間に何等かの相關的關係を見出さんとした。2) 本實驗に於て供用した稻の品種はカマイラズ・旭・晩神力・銀坊主・龜治・愛國・眞珠1號・戰捷の8品種であつた。3) これらの品種を春日井液の窒素を3倍にせるものによつて水耕し,その穗孕期直前の葉片を材料として稻熱病發病程度・強靱度(貫穿抵抗)・珪酸竝びに窒素含量を求めたのである。4) 葉片の強靱度・珪酸及び窒素の測定方法は前報文(12, 14)の通りである。發病程度を調査するに當つては,先づPiricularia oryzaeを噴霧接種し,その抵抗性の強弱を發病比數によつて求めると同時に,野外に於てポット栽培をなせる同じ品種の稻に自然發生せる稻熱病につき,その發病程度を目測によつて求めた。5) 實驗の結果によれば,稻熱病に對する稻の品種的抵抗性の強弱は,各品種の稻葉片の示す夫々の強靱度・珪酸含量・窒素含量或は後兩者の含有量に於けるSiO2/Nの比の何れとも相關的の關係がないのである。即ち品種間抵抗性はかかる物理的或は化學的の計量の外にありと云はざるを得ない。
著者
平木 敬 笹田 耕一 定兼 邦彦 牧野 淳一郎 井田 茂 稲葉 真理
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究開発では、関数型オブジェクト指向言語であるRubyを拡張し、HPC向け高生産言語としてHPC Ruby言語を確立した。また、Rubyの特徴である計算環境の統合を生かし、HPC情報環境における新しいソフトウェア体系を実現した。HPC向け新言語の普及のため地球科学分野、天文分野、離散最適化分野においてRuby言語モデルを用いて問題定式化し、Rubyの科学技術計算位おける優位性を示した。分散実行環境の実証研究では、日米欧を100Gbpsインターネットで結び、その90%を高効率利用する通信方式を確立し、実験により実証した。これらの成果を総合し、Rubyを中心とした科学技術計算の体系を確立した。
著者
川又 新一郎
出版者
拓殖大学
雑誌
拓殖大学論集. 政治・経済・法律研究 (ISSN:13446630)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.42-102, 2005-03-31
被引用文献数
1

産業政策は幼稚産業を育成し,衰退産業の撤退を円滑にする等,異なる産業部門の間の資源配分を効率化し,長期的な経済厚生最大化を目的とする。他方,社会政策は経済的困難にある者を(時限的に)救済する。日本の農業政策は農業の生産性向上という産業政策としてでなく,既存農業者の利益擁護という社会政策として理解することができる。この点を農業に関する資本補助金の主要部分を占める土地改良投資に関して検討する。最初に,農業の主要な生産要素の1つである農地に関して,日本の特殊性,政策の問題点,解決の方向を述べる。農地に関する多くの政策は既存農業者の利益確保を目的として策定されているが,そのために,互いに矛盾する効果を生んでいる。農業者が補助金に頼らず,自立的,健全な農業を営むためには,農地当たりの農業者数を大幅に減少させる必要がある。それは自然の流れでもあるが,政策的には農業者間の競争強化と退出者への過渡的措置により,産業政策と社会政策を調和させることができる。農地に関しては,新規参入の自由化を図ると同時に,(公共部門が農地への投資に補助するならば)実質的な転用規制を強化すべきである。農地の生産性向上のための土地改良投資は日本では他国,他産業に例を見ないほど納税者の負担が大きい。しかも,農業を巡る社会,経済環境の変化に対し,土地改良投資の大幅な縮減をすべきであったが,農業者を含む関係者の利益を守るため,納税者の負担比率を高めることにより投資総額を拡大しつつ,投資目的を徐徐に,かつ,着実に方向転換してきた。土地改良投資が齎す社会的費用は大きい。このような公共部門による非効率的な投資が続いている政治的な理由に関しても触れる。最後に,若干の政策的提言を纏める。
著者
日置 貴之
出版者
明治書院
雑誌
国語と国文学 (ISSN:03873110)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.36-51, 2013-09
著者
江崎 朋人 橋山 智訓
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2003論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.39-43, 2003-11-07

将棋には局面の進行状況を表現する尺度として序盤・中盤・終盤という概念がある.それぞれの状況において各駒の重要度が変わると言われており,序盤・中盤・終盤において戦略が異なる.現在コンピュータ将棋は,序盤・中盤・終盤などの進行状況を判断するのを苦手としている.進行状況が判断できれば,それぞれに適した戦略を取らせることが可能になる.プロ棋士は序盤・中盤・終盤を判断する上で局面や手数を情報源としており,そこには不確実さを持ち合わせていると考える.本研究ではこの不確実さを証拠理論に基づいて定量化し,将棋年鑑2001・2002の棋譜を用いて序盤・中盤・終盤を分類することを試みた.
著者
竹中 太一 槇 俊孝 若原 俊彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J97-D, no.12, pp.1693-1695, 2014-12-01

週刊サッカーマガジンなどの雑誌やSoFIFAのWebサイトでは,サッカーの各試合における選手の評価を行っている.本論文では,Webサイト上の試合後の監督や評論家などのコメントや寸評などから簡易にテキストマイニングして選手の評価を行う分析手法を提案し,実験を行ってその結果よりその有効性を示す.
著者
塚本 祐一 石川 佳治 北川 博之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J87-D1, no.2, pp.202-215, 2004-02-01

近年,地図情報の電子化や位置計測技術の発展,携帯端末などの普及を受けて,携帯端末をもって移動する利用者やナビゲーション機器を備えた自動車などの移動オブジェクトに対し,移動状況に即した周辺情報の提供を行う手法の開発が求められている.一般に,移動オブジェクトに周辺情報を提供する場合,移動体の現在位置を中心として決められた範囲を検索をすることが考えられる.しかし,これまで通ってきた経路やこれから通る予定経路が明らかであれば,それらの情報を利用してより適切な情報が提供できる余地がある.そこで我々の研究グループでは,移動経路や移動速度などを考慮して移動オブジェクトに対して情報を提供するための空間データベース検索モデルの開発を行い,提案した検索モデルに基づく移動オブジェクトに対する周辺情報提供モデルを,商用のGISソフトウェア上で実装した.本論文はこのシステムの設計について述べ,実験をもとにその有用性について評価する.