著者
イコノミデス キャサリン
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

非可換幾何学は1970年代からフランスのConnes氏に開発された分野です。その分野の色々な道具を使って、葉層構造の研究をしています。2010-2011年度の研究は以下の通りです。1-"ホロノミーをほとんど持たない"葉層構造を研究していて(葉層のコンパクトでない葉は、すべてホロノミーを持たないということ)、その葉層構造のC*環のK理論を計算しています。特に幾何学や接触構造の研究でよく出てくる"spinnable foliation"(open book decompositionから生まれる葉層構造のこと)という葉層構造の具体例の場合は、幾何学的な意味を持つ結果を得ました。K群の次元が、コンパクトな葉の数と一致しているという結果です。2-ConnesとMoscoviciの指数定理を研究しています。その指数定理とConnesの巡回コホモロジーを使って、Novikov予想を解ける方法について考えています。その方法は1990年代から研究されているので色々な群が考えられてきています。私の場合は、円の区分線形同相群の部分群であるThompson群の具体例を考えています。Thompson群のコホモロジーは、知られていますので、群のコホモロジー類を巡回コサイクルとして表して、指数定理を書いてみました。それを使って、Thompsonの群はNovikov予想を満たすことを示しました。
著者
森 治嗣 手塚 健一 加賀見 雄一 手塚 英昭
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2003, no.3, pp.187-188, 2003-08-05

Dry-out and rewetting on fuel rods in a reactor core, possibly observed during the events of pump trip or reactor power increase etc., are significant phenomena from the viewpoints of securing the integrity of a fuel rod and safety evaluation on MCPR in the design. The two-phase flow boiling visualization experiments of dry-out and rewetting processes by a high-speed digital movie were successfully carried out under BWR rated-operating condition of ∿7MPa and ∿286℃ in the present work; on the other hand, these visualization tests could be found only under the atmospheric pressure conditions so far. The tests were carried out using the thermal-hydraulic experimental loop of Tokyo Electric Power Co., Inc. (TEPCO), which enables us to directly observe the two-phase flow boiling, dry-out and rewetting phenomena under the BWR rated-operating conditions of ∿7MPa and ∿286℃. The observations by a high-speed digital movie, measurements of void fraction increase by optical-fiber void probes and rods' surface temperature soaring and steep diving by thermocouples brought us incontrovertible evidences of the occurrence of rewetting just after dry-out in transients.
著者
山本 博一 吉益 光一 宮下 和久 福元 仁 竹村 重輝 宮井 信行 宮井 信行
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

地域住民では、うつ病に関連する身体要因は明らかでない。地域住民および警察職員の健診受診者から得られた健診データと、精神疾患簡易構造化面接法の結果を統合し、うつ病・自殺リスクに関連する身体要因を調査した。その結果、自覚症状をはじめ多彩な要因がうつ病・自殺リスクと関連していた。易疲労感、頭痛・頭重感、めまい・立ちくらみ、吐き気・胸焼け・胃もたれ・腹痛などの胃腸症状、腰痛・関節痛などの自覚症状は、うつ病の存在を示唆するかもしれない。
著者
吉田 典子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、ゾラの小説および美術批評と、同時代の絵画の動向との相関関係を調査・分析することによって、小説家と画家たちが共有した関心はいかなるものであったかを、近代都市パリの歴史的・社会的・文化的な文脈の中で検討することである。本研究の成果は、次の3点にまとめられる。1.アカデミズム絵画とその表層の美学について、『獲物の分け前』における第二帝政期のパリ・モードと女性の身体の問題の視点から考察した。虚飾に満ちた第2帝政期を批判する内容を持つこの小説は、絵画との関連から見て、なめらかな表層と物語主題を追い求めるアカデミズム絵画に対する批判と解釈できる。2.第3共和政成立期の都市パリと新しい絵画の関係について、『パリの胃袋』と都市風景画の問題を、二つの観点から分析した。ひとつは、パリ・コミューンによって多くの建物が廃墟と化した都市パリの再構築と産業化の問題である。鉄とガラスの近代建築の賛美、光を浴びた鮮やかな色彩による都市の装飾は、モネや印象派の絵画と共通する。もう一つは「共和主義」と絵画の問題であり、ゾラの小説と、モネおよびマネによる都市風景画の関連を指摘した。3.商品経済の発達と絵画の関連について、とりわけ近代絵画における物質主義や、商品と女性へ注がれるまなざしの問題を、二つの観点から考察した。ひとつは、『パリの胃袋』における食料品の描写と静物画の問題である。ゾラにおける中央市場の食品の描写とマネの描く静物画には、物質主義的側面が顕著であると同時に、それらの食材や花には商品性が刻印されている。もうひとつは近代商業の象徴としてのショーウインドーの問題である。商店や売り子を扱ったゾラの小説や同時代の絵画には、女性の身体の断片化や商品化が頻繁に見られるが、彼らはまた、近代の商業社会において、自分たちの芸術もまた商品であるという意識をもっていたことが指摘できる。
著者
岡部 幸祐 金成 真由子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
no.85, pp.1-11, 2009-03

筑波大学附属図書館では,利用案内ビデオを改訂するにあたり,図書館利用促進ツールとして,図書館そのものに興味を抱かせるプロモーションビデオを制作した。学生志向に視点を転換し,必要な情報を提供するとともに新しい図書館利用を提案する内容とした。また,公開はWebで行い,利用案内情報とのリンクやプロモートを意図したコンテンツも合わせて掲載することで,図書館リテラシーの向上を期待し,学生との関係性構築及びコミュニケーション促進の可能性も考慮した。その企画,制作,公開の実際を報告する。
著者
細田 正洋 石川 徹夫 床次 眞司 金賀 愛子 伊藤 亮輔 内田 直希 荻原 俊輔 笠 喜洋 川内 隆行 石井 忠
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 : hoken buturi (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.221-226, 2007-09

The bio-kinetics of radon ingested from drinking water was investigated for eight Japanese subjects. A whole-body counter at National Institute of Radiological Sciences (NIRS) was used for the measurement of the ^<214>Bi transfer half-life from the stomach to the small intestine. The transfer half-life seemed to be affected by water quality (chemical/physical properties) as well as the meal ingested before the experiments. The shortest transfer half-life among the subjects was about 50 minutes. During the whole-body counting, the air expired by the subjects was sampled and its radon concentration was measured using two ionization chambers. The changes in radon concentration in the expired air could be classified into three patterns. (1) It decreased with time after ingestion. (2) A peak appeared at the 15 minutes after ingestion. (3) A peak appeared at the 25 minutes after ingestion. These patterns seemed to be related to the ^<214>Bi transfer half-life and the amount of ingested water.
著者
吉村 富美子
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、効率的に書く力に転移するような英文の読み方について、理論的、実証的検証を行った。文献研究から書く力に転移するような英文の読み方を特定し、そのような読み方を取り入れたチェックリストを作成し、その効果について実験研究と教室研究を行った。実験研究からは、読み書きを統合すること自体転移を促進し、チェックリストはその読み書きの統合をスムーズにすることがわかった。また、教室研究からは、チェックリストを使った指導は学習者の英文を書く力を向上させるのに有効であることが示された。
著者
尾田 十八 高田 宏樹
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2005, no.5, pp.131-132, 2005-09-18

It is hard to use the drill by bare-handed. We want to develop machine that the vibration or impact was suppressed. A woodpecker is enumerated as for repeatedly an impact. A woodpecker strikes its beak toward a tree repeatedly. But, the damage of the brain or the living body doesn't occur by this action. Therefore, it is predicted that the brain and body of woodpecker is protected from the shock by some methods. And it turns out that the woodpecker has the original mechanism that endures impact. In this study, from the structure of woodpecker (especially hyoid bone) makes a model. And the model is analyzed. It thinks about the endures impact from the result.
著者
望月 俊男 北澤 武
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.299-308, 2010
被引用文献数
6

本研究の目的は,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用し,教育実習生が実習期間中の体験報告に基づいた対話を行う場を提供することで,教育実習の振り返りを促進するとともに,教育実習生が実習期間中に身近なソーシャル・サポートを得られるようにすることである.授業実践を行った結果,SNSに備えられた日記とコメント機能を用いて,教育実習中に様々なソーシャル・サポートが交換された.実習期間中の日記をもとにした対話が,実践的知識の振り返りにつながるだけでなく,教育実習生が教育実習に関する事前知識や他者の実践的知識を共有することで,肯定的な思考を持つことができることが示唆された.
著者
佐々木 康成 笹倉 千紗子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.229-237, 2010
被引用文献数
2

ソーシャルネットワーキングサービス(以下SNS)を,実習を中心としたコンピュータリテラシの授業における学習サポートとして導入した.システムとしてはオープンソースのSNSソフトウェアを利用した.まずSNSを授業期間の一部において学習サポートとして導入し,学習の機会が増加するか,学生間の交流に影響があるかについて予備的な研究を行った.続いてその結果に基づいて,全授業期間を通じた学習サポートの場としてSNSを活用した.授業とSNSが密接に関連するように,SNSの機能を活用する授業デザインを行い,ブレンド型授業実践を行った.その結果,学習者の授業満足度は上昇し,学習者間の交流が活発になるなどポジティブな結果が求められた.一方で情報のただ乗りが発生することなどが明らかになった.また,授業の準備および運営に関して教員の労力が必須な点なども明らかになった.
著者
松田 法子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本採択課題では、「近代保養地の形成に関する都市史研究」というテーマのもと、近代に巨大化した温泉町である熱海や別府をはじめ、大磯や鎌倉など主として海浜に形成された近代保養地を主な対象に、建築史および都市史の観点から検討を進めてきた。巨大温泉町は、近代日本のある現象面が集約された産業都市として捉えることができ、大磯や鎌倉などは保養と近代の居住にかんする諸問題を把握しうる事例である。本研究は、従来建築史学の分野から行われてきた都市史研究に対して、〔1〕地方地域の近代都市化過程への注目、〔2〕都市と地方地域の関係そのものを都市史の方法論として検討すること、〔3〕これまでほとんど未開拓である温泉町や保養地、観光地にかんする研究、〔4〕社会構造にかんする検討を積極的に空間に落とし込む方法の開拓、〔5〕場所のイメージと都市形成にかんする方法論の提示、などの視角において新規性と独自性をもち、具体的な研究過程においては、(1)近世近代移行期における伝統的社会および空間構造の変化にかんする検討をメインテーマとし、(2)伝統的社会および空間構造の解明、(3)資源開発と都市形成について、(4)伝統的権利と空間の関係について、(5)芸娼妓の社会および空間について、(6)保養都市、観光都市の形成と場所のイメージにかんする方法論的検討、などを主たるサブテーマとして報告を行ってきた。本年度はとりわけ(5)と(6)について重点的に考察をすすめた。その成果は「11.研究発表」に挙げるとおりである。また、本採択課題の研究テーマに関連したアウトリーチ活動を、本年度も継続的に実施した。
著者
渡部 英二
出版者
芝浦工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は効果的なハウリングキャンセラの実現を目標にハウリング波形を周波数が未知の歪んだ正弦波であるととらえてIIR形適応ノッチフィルタにより除去する方法を研究した。本研究で得らわた成果を要約すると以下の2つになる。(1)実際のハウリング信号のスベクトルは位相揺らぎのためにラインスベクトルではなく、バンドパス形になっている。適応ノッチフィルタによりバンドパス形スベクトルを持つハウリング信号の帯城端周波数を検出する方法を提案した。この成果は2006年1月の電子情報通信学会回路とシステム研究会で発表した。現在、電子情報通信学会の論文誌に投稿するための準備をしているところである。(2)本研究の最終目標である実時間でのハウリングキャンセルに成功した。研究開始から3年間にとたって検討してきた内容を最終年度に総合することにより、パーソナルコンピュータ上のプログラムとしてハウリングキャンセラを実現した。入出力インターフェースとしてパーソナルコンピュータの音源ボードを使用した。まだ適応係数の追従性に改良の余地があるため、耳障りにならない程度の音は残る。しかしながら、このキャンセラを動作させていないときは増幅器の利得を絞らないとハウリングが発生してしまうことを考えると、劇的な効果といえる。今後考えることは、適応係数の追従性のさらなる改良と、組み込み機器への応用を目指してプログラムを進化させた上でハードウェアを完成させることである。これが出来たあかつきには特許出願等も考慮したい。
著者
大里 俊晴 木下 長宏 BERNDT Jaqueline 榑沼 範久 大里 俊晴
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1 大里俊晴 全ての抑圧に抗して -コレット・マニーその生涯と芸術-フランスの女性作詞家-作曲家-歌手である、コレット・マニー(1926-1997)の作品を、年代を追って分祈することで、その特異性、重要性を浮き彫りにする。彼女は、キューバ革命、ベトナム戦争、パリの5月革命、チリ・クーデターなど、世界的な政治的抑圧に対して鋭く反応し、左翼的意見を表明した歌詞と、前衛的手法を大胆に導入した音楽で、抵抗の声を上げた。2 ジャクリーヌ・ベルント 大戦下の美術-芸術論への挑発 2006年のアルノ・ブレーカー展覧会を中心に-2006年にドイツで開催されたアルノ・ブレーカー(1900-1901)の回顧展やその人気を例に、1940年前後ファシズム系国策下で生み出された芸術をめぐる言説を追究する。その美術を「真正」や「自律」から問うよりも、鑑賞者が抱く期待の地平に加え作品の流通やそこでのメディアの役割といった関係性に焦点を当てる方が今日的芸術論に相応しいことを示す。具体的には、ブレーカー作品の「古典美」や、それを活かす広告写真に近い撮影を考察する。3 榑沼範久 快感原則の彼岸 -感覚/知覚の戦場-主として、アメリカの知覚心理学者ジェームズ・ギブソン(James J.Gibson)が第二次世界大戦期に陸軍航空軍(U.S.Army Air Force)で行っていた知覚研究・映画研究を、第一次世界大戦と第二次世界大戦における人間の感覚/知覚の歴史のなかに位置づける。この作業から抽出されるのは、二十世紀の二つの世界戦争があらわにした二つの「快感原則の彼岸」である。そして、この「快感原則の彼岸」に幾つかの芸術・芸術論も吸引されていくのを見るだろう。
著者
Tomoki Nishimura Takeshi Cho Andrew M. Kelley Magdalena E. Powell John S. Fossey Steven D. Bull Tony D. James Hiroyasu Masunaga Isamu Akiba Kazuo Sakurai
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
Bulletin of the Chemical Society of Japan (ISSN:00092673)
巻号頁・発行日
pp.1008170144, (Released:2010-08-21)
参考文献数
42
被引用文献数
10

Synthetic DNA-transfection reagents can overcome safety issues raised by use of viral DNA vectors. One of these candidates is a cationic lipid that can form a supramolecular complex with DNA. We have been working in a series of aromatic diamine lipids with different tail length from C6 to C18: [N-(3,5-dialkylbenzyl)ethane-1,2-diamine, denoted DA] as such a lipid. The present paper describes the synthesis and the fundamental properties of DA. SAXS from DA solution showed bilayer vesicle formation, while it showed lamellar formation after the complexation with DNA. When we measured the N/P ratio (molar ratio of the amine groups (N) in DA to phosphate groups (P) in the DNA) dependence of SAXS, the lamellar peak (spacing = 5.0 nm) increased proportionally to the added DNA concentration at N/P ≥ 8. On the other hand, in the range of N/P < 8, the spacing was increased to 5.5 nm and the area decreased as DNA increased. These different features between N/P ≥ 8 and N/P < 8 suggest that the lamellar supramolecular structures differ according to the composition.