- 著者
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図子 浩二
- 出版者
- 日本体力医学会
- 雑誌
- 体力科學 (ISSN:0039906X)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.2, pp.237-245, 2006-04-01
- 被引用文献数
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本研究では,体育大学の男子バスケットボール選手10名を対象にして,リバウンドドロップジャンプとメディシンボールを用いたプライオメトリックスを,1週間に3日,7週間にわたってバスケットボールの練習後に計画的に取り入れ,トレーニング導入前後における効果について検討した.下肢および上肢のプライオメトリックスを導入した結果,トレーニング後に以下のような結果が認められた.(1)リバウンドロップジャンプとジャンプシュートの跳躍高に有意な増加はなかったが,接地時間には有意な短縮が認められた.(2)直線走の平均速度に有意な短縮はなかったが,方向変換走には有意な短縮が認められた.この方向変換走速度の短縮は,方向変換に要する接地時間の有意な短縮に起因していることが認められた.(3)チェストパスにおける速投速度は,助走のない場合とある場合のいずれも有意に速くなり,チェストパス動作に要する接手時間も有意に短縮することが認められた.これらの結果から,リバウンドドロップジャンプを用いた下肢のプライオメトリックスは,短時間に踏切を遂行することができるジャンプ能力や,素早く切り返して方向変換するフットワーク能力を向上させることが明らかになった.また,メディシンボールのチェストパスを用いた上肢のプライオメトリックスは,短時間で素早く高速のボールを投げることのできるチェストパス能力を向上させることが明らかになった.