著者
小谷 允志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.262-272, 2012-07-01 (Released:2012-07-01)
参考文献数
7

米国,カナダは記録管理の先進国である。両国においては国立公文書館が現用から非現用のアーカイブズまでのライフサイクル管理を,強力なリーダーシップにより一元的に管理しているのが特徴である。最近,これら両国立公文書館を視察する機会を得たので,その時の見聞をもとに両国の公文書管理の最新動向を紹介する。両国とも,記録管理の専門職体制がしっかりと根付いていること,また電子記録管理に対する新しい取り組みを積極的に展開しているのが印象的であった。
著者
森 功次
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.37-48, 2012-06-30

In the last section of Saint Genet (1952), Jean-Paul Sartre attempts to vindicate Jean Genet's immoral works. Sartre tries to save Genet from severe moral criticism in French literary world at the time. In this paper, I will organize Sartre's argument and examine his complex defense. According to Sartre, the immorality of Genet's works consists in the veriter's devious intention to invert our values and the bad influence he has on his readers. On the other hand, Sartre claims that Genet's works have some moral merits: to give readers some understanding of what Sartre calls 'solitary' positions such as Genet's, and to impress upon readers an identical possibility for themselves. Moreover, these moral merits are supported by the aesthetic appreciation of his works. The fact that readers could fully appreciate Genet's immoral works irresistibly points out to the readers the relation between themselves and the immorality of the works. It is not, however, clear how these moral merits are able to overcome the criticism against Genet. Moreover, because Sartre's argument presupposes an appreciation that deviates from Genet's own intention, which Sartre himself recognizes, it is not clear whether or not Sartre's attempted vindication can be viewed as a legitimate evaluation of Genet's works.
著者
宗 村盛 鈴木 豊史 高野 賢児 島田 侯陛 井上 真由美 川井 龍美 深水 啓朗 伴野 和夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.5, pp.587-595, 2013-05-01 (Released:2013-05-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2

Japanese patients with normal renal function were retrospectively analyzed to characterize increases in serum creatinine (SCr) observed following the use of a sulfamethoxazole-trimethoprim (SMX-TMP) combination product and identify factors affecting these increases. In the patients studied (n=49), an individual comparison was conducted for the three factors of age group [≤74 years (n=21) vs. ≥75 years (n=28)], sex [male (n=24) vs. female (n=25)], and total dose throughout the treatment period [≤7 g (n=24) vs. ≥8 g (n=25)] to determine the extent of SCr increase following SMX-TMP combination product use. SCr increased significantly following SMX-TMP combination product use in patients ≤74 years of age and ≥75 years of age, in both males and females, and in patients with a total dose of ≥8 g (8 to 96 g) (p<0.05). Multivariate logistic regression analysis was used to determine the independence of these factors. Total dose was identified as an independent factor and had an odds ratio of 6.571 [95% confidence interval=1.735-24.882, p=0.006]. Post-treatment percent increases in SCr were compared using pre-treatment levels as the baseline. The group with a total dose of ≥8 g (mean 29.8 g) had a significant SCr increase of 18.4% (p=0.002), while the increase in the ≤7 g (mean 5.3 g) group was only 4.5%. The data showed that SCr increased by about 20% when the total dose taken over the treatment period was around 30 g (about 2.4 g as TMP) and indicated that total dose contributes more than age and sex to the post-treatment increase in SCr.
著者
金子 茂
出版者
二松學舎大学
雑誌
二松学舎大学國際政経論集 (ISSN:09193693)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.73-85, 2000-03-25

日本とアジア諸国のカバディ選手の身長・体重および年齢についての実態を分析して,得られたことを以下に要約する。1.第11回北京アジア大会出場の全日本カバディ選手の身長は174.8±3.4cm,体重は68.6±4.0kgである。年齢は,21.5±1.4歳であった。第12回広島アジア大会の全日本選手は,身長176.7±5.1cm,体重は,71.1±4.4kgである。年齢は,21.0±1.8歳であった。第13回バンコクアジア大会では,身長173.7±4.4cm,体重70.9±4.6kgであった。年齢は24.6歳±1.5歳であった。三つの大会をコミにしてみると,身長が175.0±4.4cm,体重が70.3±4.5kgであった。おおづかみにみて,全日本カバディ選手の身長は175cm前後,体重は70kg前後というところである。年齢については,大学卒業後数年の25歳前後が一番力を発揮できる頃と心算するが,バンコクアジア大会の全日本選手の24.6歳は筆者の考える国際的に力を発揮するカバディチーム編成に符合する。2.第12回広島アジア大会出場選手の身長では,パキスタンチームが177.6±6.7cmと一番大きい。体重でも78.8±0.9kgと一番重く,標準偏差の0.6kgからも規則ぎりぎりの80kg以下の選手でチームを編成してきていることが示されている。各国間の身長の比較をすると,インドとネパールに4.6cmの差があり,パキスタンとネパール間には5.5cmもの開きがみられる。体重においても,インドに4.1kg,日本に7.1kg,ネパールに10.4kgもの差がみられた。広島大会参加の5ケ国の選手をコミにしてみると,身長が175.6±5.2cm,体重が73.1kg±4.7kgである。年齢は,比較的若く,22.6±3.8歳であった。身長と体重の相関係数は,r=0.399(5%水準で有意)ほどであった。3.第8回南アジア連盟大会出場5ケ国(インド(金メダル),パキスタン(銀メダル),スリランカ(銅メダル),ネパール(4位),バングラデシュ(5位)の身長・体重・年齢についてみると,バングラデシュの身長が一番高く181.6±1.3cmであり,インドを5.5cm,ネパールを5.2cm,スリランカを4.3cm上回っていることがわかった。体重については,数値的に違いがみられるのみにとどまった。5ケ国の全選手をコミにしてみると,身長が177.7±4.2cm,体重が74.1±4.1kgというところであった。年齢では,25.4±2.8歳であった。4.第13回バンコクアジア大会出場選手の体重についてみると,パキスタンが79.0±0.4kgと一番重く,次いで,インドの78.4±1.1kg,スリランカの75.3±3.6kg,バングラデシュの74.6±3.6kgなどとなっている。日本は70.9±4.6kgであった。パキスタンチームの体重がアジア連盟規則の80kg以下ぎりぎりのチーム編成をしてきていることが数値からもわかった。しかも体重の標準偏差も±0.4kgと小さく,それだけ80kgに近い選手が集まっていることを物語っている。ちなみに,インドが金メダル,パキスタンが銀メダル,バングラデシュが銅メダル,スリランカは惜しくも銅メダルを逸したが,バングラデシュと引き分けての得失点率で敗れた。こうして見ると,体格的に優位なチームが上位を占めていることに着目できる。日本の体重は70.9±4.6kgであった。5.アジア大会参加のカバディ選手と他のスポーツの選手との比較するために,第8回南アジア連盟大会をT-スコアで50点とし,またその伸びについてみると,全日本男子ハンドボール選手の身長・体重が上回り,T-スコアでみると,身長で65.5点,131%,体重で72.4点,144.8%である。'96世界野球出場全日本男子選手が身長・体重で上回り,T-スコアで53.1点,106.2%,体重で62.0点,124.0%を示している。'96世界野球に出場したキューバ選手には,南アジア大会カバディ選手が,身長で上回り,体重では下回った。J1のサッカー選手との比較では,身長ではJ1選手が51.0点,102%とわずかに上回っているが,ほとんど同じ位であるといえる。体重では,J1選手が40.2点,80.4%と,カバティ選手が10点,20%近く上回っていることが示された。
著者
中山 心太
雑誌
第56回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.143-150, 2015-01-09

近年、スマートフォン上で遊ぶことができるフリーミアム型のゲームが増えてきている。フリーミアム型のゲームの収益は広告収入や、コンテンツ課金に依存している。コンテンツ課金は、多くの人が遊ぶことにより生まれる競争心や、多くの人が遊んでいる信頼あるゲームという感覚に強く依存している。そのため、より多くのユーザが遊んでいるゲームが、より多くの収益を得る、というビジネス構造になっている。より多くのユーザに遊び続けてもらうには、常に面白い体験を提供し続けなくてはならない。そのため、ユーザに退屈を感じさせないようにリリース後のゲームバランスの調整が常に行われており、その手腕は差別化の一因となっている。そこで本稿では、心理学と統計的アプローチを利用した、リリース後のオンラインゲームにおけるゲームバランスの調整手法の提案を行う。
著者
吉見 俊哉
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.491-497, 2013-11-01 (Released:2013-11-01)
被引用文献数
1 1

5世紀前のグーテンベルク革命に比べられる今日のデジタル革命は,社会の記憶構造を大きく変化させる可能性がある。過去が消えなくなり,無限に集積されていく情報資源となりつつある。この情報資源を保存し,再利用可能にしていくには,以下の4点の基盤整備が重要である。第1は,新たな知識コンテンツの公共的再利用に必要な法システムの整備である。とりわけ著作権者や所有権者が不明な知的資源を公的に再利用できるようにすることが喫緊の課題である。第2に,新しい知識循環型社会のプロデューサーとなっていくことができる専門職人材の雇用を生み出す必要がある。第3は,日本やアジアの文化を世界に向けて発信・再活用していく基盤となるナショナルアーカイブの構築である。第4に,新しい知識循環型社会では,ローカルなレベルで「わが町・わが村・わが地域」の記憶を呼び戻していく開かれた仕組みが整備されていかなければならない。
著者
木村 晴美 市田 泰弘
出版者
青土社
雑誌
現代思想
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.p354-362, 1995-03
被引用文献数
6
著者
綿森 淑子
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.290-293, 1995-05-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2
著者
岡部 信彦
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.33-40, 2011 (Released:2011-05-17)
参考文献数
7
被引用文献数
1 5

予防接種は,生体を感染から守るもっとも重要な医学的予防法である。抗菌薬さらには抗ウイルス薬が使用できるようになった現代においても,その重要性は変わらない。予防接種は,個人の健康を守ることがもっとも重要な目的であるが,個人というよりは次世代の健康をも守ろうとするものもある。あるいは広く集団に免疫(herd immunity)を与え感染症の伝播を制限し,ある疾患が社会全体に広がることを防ぎ,さらにはやがてその病気を人類から追放しようとするものもある。天然痘の根絶達成,ポリオの根絶計画(polio eradication)・麻疹排除計画(measles elimination)に,ワクチンは欠かせない手段である。予防接種は多くの場合は健康な人に対する医療行為であるため,確実に安全であることが求められる。しかし生体に異物を投与する以上,正常な生体反応を超えた,予期せぬ,あるいは極めて稀であると考えられる異常反応が出現し,重大な健康被害が生じることが残念ながら皆無とは言えない。予防接種を行おうとする時には,そのメリットとデメリットについて適切に判断していくことが必要である。大多数が助かるのであればごく少数の被害は止むなし,とする考え方も極端である一方,少数といえども健康被害が発生する可能性がある以上ワクチンは危険・不要である,という意見もまた極端である。予防接種にあたっては,常に適切なバランス感覚を持つ必要がある。
著者
小川 英彦
出版者
愛知教育大学
雑誌
教養と教育
巻号頁・発行日
vol.2, pp.47-54, 2002-03-31

This paper deals with concept of “Ryoiku”. That is to say, this study focused process on the three time, I before World War Ⅱ, Ⅱ. after World War Ⅱ, Ⅲ. today. The results were as follows. The concept of “Ryoiku” was urged in the field of medical and education, and welfare. We examined process on this thought, it's concept was the problems of development.
著者
小塩 真司 岡田 涼
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.92.20310, (Released:2021-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
1

A previous study revealed curvilinear changes over time in 12 traits of the Yatabe-Guilford Personality Inventory in Japan (Oshio et al., 2019). The purpose of the present study was to examine relationships between the survey-year change of the inventory and social indices. A cross-temporal meta-analysis was conducted on 171 to 181 samples (68 to 74 papers) of Japanese undergraduates who completed the inventory from 1957 to 2012 (total N = 29,524–29,847). The dataset was partially identical to the previous study. Partial correlation with previous control scores of personality traits indicated that mean scores for seven personality traits are associated with changes in social indices. Results of time series analyses indicated that the change of social indices has significant associations with the following mean score changes of personality traits. Implications of the results are discussed.