著者
難波 直彦 若松 千秋 山口 孝一
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.203-210, 1983-03-15

1.かんがい用調整池の水平ブランケットに粘性土を用いる場合, 地盤の沈下による変形に対する安定性を検討する方法として, 地盤土にWinkler-modelをあてはめた地盤反力法の適用を検討した.2.境界条件として, イ)両端固定, ロ)一端固定他端移動, ハ)一端固定他端自由の3種をとり, それぞれについての解を求めた.解に含まれる4つの積分定数C_i(i=1〜4)の無次元量G′_iについて, それぞれが無次元数αLに対して示す変化を調べ, αL≧7では境界条件いかんにかかわらず, 同じ結果(C′_1=C′_2=0,C′_3=C′_4=-1)を与えることを明らかにした.3.境界条件とαLの違いによるたわみと曲げモーメントとの軸方向の分布を比較した.αLが小さいときには, 境界条件による違いが目立つが, αLが大きいときには固定端からはりの中央部まで, ほとんど差異が無い.4.地盤, ブランケット材および荷重について一定の仮定を設け, 絶対値最大曲げモーメントの生じる固定端断面での曲げ引張り応力を調べた.はりの変形係数Eをパラメーターとし, 地盤反力係数kに対する最大曲げ引張り応力σ_tの関係を示した(Fig.10).5.安定条件を明らかにするため, ブランケット材として用いられた粘性土の曲げ試験, 一軸圧縮試験を行い, 限界応力, 変形係数の値を求め, 前項のFig.10に対比して, 限界条件の例を示した.6.上記の実例の施工実績を検討し, この方法による安定解析の可能性を明らかにしたが, 地盤反力係数kの決定法に, なお問題が残されている.
著者
仲嶋 伸明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.579-583, 2006-12-01
参考文献数
6

情報漏洩事故の裁判における損害賠償額の判例を紹介して情報漏洩対策の必要性を喚起することと,日本国内のセキュリティ対策の現状,電子情報技術産業協会が発表したパソコン消去のガイドライン,アメリカ国防総省のハードディスクのデータ消去,総務省のガイドライン,金融庁が施行を検討の金融商品取引法の内部統制など日本のセキュリティに関する動向を紹介して,電子記録媒体を記録方式別に,磁気記録,光ディスク,半導体メモリーにそれぞれ分けて,ソフトによる上書き消去,磁気消去,物理破壊,光ディスクの破壊,シュレッダーによる破壊について解説を行い,あわせて情報消去後のリサイクルに関しても言及する。
著者
高橋 雅人
出版者
神戸女学院大学
雑誌
女性学評論 (ISSN:09136630)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.37-53, 2003-03-31

It is well known that Plato insists in the Books II-III of his Republic that guardians' education should be consisted of both music and gymnastics. While one of these, i. e. music (or poetry), is widely and thoroughly argued in this dialogue, the other, i. e. gymnastics, is much less discussed. However, this does not lead us to the conclusion that gymnastics is not so important for the education. In this paper I analyze 403c9-412bl of Republic III, 'the gymnastics part', with two purposes : first, to show the unity of 'the gymnastics part', which is at first sight seemed to have a digression ; second, to clarify the feature of gymnastics in Plato's educational system. Before analyzing 'the gymnastics part', I check how Plato uses the word 'rouvaotikn (gymnastics) in all of his dialogues. According to these data, when he argues art as itself (as in mainly Gorgias), he always treats gymnastics with medicine. On the other hand, when his concern is about the application of art (as in Republic and in Laws), Plato never discusses gymnastics without music. In the next section I propose the unity of 'the gymnastics part', which can be divided into three segments. This reading shows that the second segment (405al-410a6) is not digressive but significant for our understanding of Plato's treatment of gymnastics. The reason why he discusses medicine here is that gymnastics is important not only for childhood and youth but also for a person's whole life in order that one does not need physicians except unavoidable wounds or seasonal diseases. And Plato's critic against Herodicus, who mixed gymnastics with medicine, is to be linked with the final segment (410a7-412bl) in which he tells us that the mixture of gymnastics with music is good and desirable. In this blend the other and main purpose of gymnastics is newly uncovered. In the first segment (403c9-404e6) gymnastics is said to be for physical strength, but in the final it is declared to be for psychic harmony. The last section of my paper deals with the question how and by whom gymnastics can be mixed with music. That a 'philosopher' can mingle the two arts most befittingly with his wisdom is my answer.
著者
北村 晃寿
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
no.63, pp.40-48, 1997-12-20
被引用文献数
1

The middle part of the early Pleistocene Omma Formation (1.5-1.0Ma) is composed of eleven depositional sequences caused by glacio-eustatic sea-level changes associated with Milankovitch cycles (41, 000-year orbital obliquity). Each depositional sequence contains inner shelf sediments of transgressive and high-stand systems tracts. Within each depositional sequence the molluscan fauna changes from cold-water associations to warm-water associations, followed again by cold-water associations. On the basis of detailed stratigraphic distributions of molluscs and planktonic foraminifers, the following events can be recognized during the warming interval from a glacial stage to an interglacial stage : 1. initiation of inflow of the warm Tsushima Current into the Japan Sea, 2. local extinction of cold-water molluscs, 3. absence of both cold-and warm-water molluscs, 4. successful migration of warm-water molluscs. The absence of both elements may have been caused by high seasonal fluctuations of water temperature associated with the unstable inflow of the Tsushima Current.
著者
近藤 祐一郎 長瀬 公秀 青木 弘行 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.45-52, 1998-09-30
被引用文献数
1

青森県稲垣村をケーススタディとして, 籾殻燻炭を用いた生活排水路の水質浄化実験を行った。実験は中期測定(朝8時と夕4時の1日2回, 10日間連続して測定)と, 短期測定(朝6時から夜10時まで2時間毎に測定)を行った。そして, 籾殻燻炭を設置した上流と下流の水質に対して, 水素イオン指数, 導電率, 濁度, 溶存酸素, 水温, 水深, 流速を測定した。実験の結果, 以下の知見を得た。1)籾殻燻炭を通過した排水は, 魚類が繁殖可能な値まで水素イオン指数が上昇し, 稲が生長可能な値まで溶存酸素が増加することを確認した。 2)籾殻燻炭を設置した区間内で, 従来まで確認することのできなかった水棲生物を確認した。これは, 指標生物学的に排水路の水質が浄化されたと判断することができる。 3)水質浄化活動を住民が目に見える形で行うことによって, 環境美化に発展することを確認した。
著者
若月 利之 小村 修一 安部 裕冶 泉 一成
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.335-344, 1989-08-05
被引用文献数
8

黒ボク土,赤色土,マサ土,ゼオライト,炭素減資材(ジュート,木箱等)を層状,階段状に充填して多段土壌層構造をもつ生活排水浄化装置(多段土壌層法と呼ぶ)を作り,その浄化能力を約2年間にわたって試験した.その結果,本研究で提案した多段土壌層法を用いた浄化装置のうち,黒ボク土,マサ土およびゼオライトを積層した装置は,平均濃度,BOD 220 mg/l,COD 88 mg/l,T-N 56 mg/l,T-P 22 mg/l の生活排水を,2年間の実験期間中目詰まり現象は起きなかった.また,炭素源としてジュート袋を挿入した装置は窒素除去能が89%に向上した.多段土壌層法による以上の家庭排水装置は,高い浄化能を長期間安定して維持した.すなわち,2年間の平均で4装置ともBODは4 mg/l 以下,CODは3~7 mg/l,T-Pは装置4を除き0.5 mg/l以下,T-Nは装置2を除き7~16 mg/lであった.したがって,浄化処理水の水質として現在立てられている最高水準の目標値,BOD 10 ppm以下,COD 15 ppm 以下,T-N 10 ppm 以下,T-P 1 ppm 以下を満足するものであることを認めた.
著者
小比類巻 淑
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.45-50, 2007-03-20

2006年2月のNew York Cityでの展示に引き続き韓国の釜山でも展示を行うことになった。亜細亜という近しい存在にありながらも違った感性を持ち合わせている韓国で国際的な展示を行う事となった。これについて以下に述べる。
著者
橋本 雅和 阿多 信吾 北村 浩 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.689, pp.79-84, 2005-02-24

IPv6の持つ新たな機能であるエニーキャストは, 同じサービスを提供する複数のサーバに共通のIPアドレスを割り当てて複数のサーバの中から最適なサーバを1つ選んで通信する機能であり, その特性から様々な用途が期待されている.特にIP層でのエニーキャストの実現は, 既存のアプリケーションに変更を加えず使用することができるという利点がある.しかし, 通信の対象となるノードがインターネット上に広く分散しているという特徴を持つグローバルエニーキャストの実現には, 既存の経路制御を大きく変更する必要があり, 実現が困難であると思われてきた.そこで本研究では, Mobile IPv6とグローバルエニーキャストのメカニズムの比較から多くの類似点を見いだして, Mobile IPv6のメカニズムを応用することによりグローバルエニーキャストを容易に実現できることを発見したので, その手法を報告する.
著者
神吉 健
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.E110-E114, 1984-02-20

CERNコライダーの完成で√<s>=540GeVという高エネルギーのp^^-p衝突実験が可能になった。s=して,291600GeV^2という,正に漸近的領域に一歩をふみ出した値である。衝突の漸近的振舞はポメロン交換によって理解出来ると思われている。コライダー実験の結果が,ポメロン物理にどうかかわっているかを簡単にレビューする。
著者
美宅 成樹
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.333-337, 1993-05-05

この小特集では生物の設計図であるゲノムについての最近の研究について紹介する.1990年代に入って,ヒトゲノム計画を始めとして多くのゲノム解析計画が始まり,生物についての理解が飛躍的に進むことが期待されている.この新しい生物科学の流れの中では情報学や物理学も無縁ではなく,むしろ非常に重要な役割を果たすのではないかと思われている.しかし,物理学会誌の読者の中には,生物について詳しい人はあまり多くないと思われるので,まずここでは生物やゲノムの基礎事項,その物理的側面および解決すべき問題点などをまとめておきたい.あとで参照しやすいようにできるだけ箇条書きにすることにした.
著者
国府 肇
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.140-154, 1987

非発作時の気管支喘息患児にアストグラフを用いてメサコリン吸入テストを行った際, 誘発されているにかかわらず呼吸抵抗(Rrs)曲線が下降する現象を17%の症例に認めた.この原因を追求するため, Rrsの構成要素である口腔内圧(P)と気流速度(V)の両波について解析したところ, Rrs下降群では負荷後両波の位相差が大であったため, Pは小さな値をとり, ΔPao/ΔVmax=Rrsは小となることによると思われた.また一方P-Vリサージュの解析からは, Rrs下降群ではメサコリン吸入後のリサージュ傾斜角が大であったが, 吸入前の傾斜角もすでに高値をとっていた.これは患児の吸入前の%FEV_1が44.3%と低値で, また吸入前Rrsが4.8cmH_2O/secと高値であったことと一致していた.以上のことより, 無発作にあると思われていてもかなりの気道収縮状態にある患児に負荷をかけた場合に, PとV間の大きな位相差がさらに大きくなり, そのことがRrs下降の一因と考えられた.生体側における他の種々の要因, 例えば披検児の呼吸パターン, 胸廓, 末梢気道閉塞およびair trappingの有無などは, Rrs下降現象との間に一定の関係を見いだせず, これらの関与は少ないものと考えられた.
著者
梶村 皓二
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.288-293, 1991-04-05

低温STM/STSが開発されたことによって, Giaever以来行われてきた超伝導体のトンネル分光法が原子スケールの空間的分解能という新機能を得た. この手法により, 超伝導体に侵入した磁束量子の渦糸(Vortex)内の素励起と酸化物超伝導体の異方的な局所状態密度が初めて明らかにされた. 一方, STMはその原理から絶縁性有機物質に適用するのは難しいと思われているにもかかわらず, 導電性基板表面に吸着・固定させて原子・分子配列の構造観察が行われ, DNAの塩基配列解読への挑戦にまで及んでいる. STM像が得られる機構についても考察する.