著者
鈴木 壮衛
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤大學文學部研究紀要 (ISSN:04523636)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.A90-A106, 1970-03

1.武道は,仏教そのものではなく,医療そのものでもないけれど,ただ「行」としてのgong-fuを基本として成り立っているという点で,かかる三者は明らかに一つに結びつく接点を見出される。2.かかる三者は,調身調息調心という生理心理的反映であり,その全体的な相互連関として捉えることもまた可能である。3.東洋は言うまでもなく生命智,体験智,全体智,内面智による機能主義医療,主観的あるいは直観的医療に立つ診断治療過程であり,まさにそこには人間の根源的な問題が具有されている。それに対し欧米的な診断治療過程は経験知・理論知・外面知・部分知をもって疾病を処理する点で,まさにそれを科学医療と呼ぶことができよう。そのように東洋は西洋と異なるが,その両者は相互依存の関係であり,つまり人間でたとえれば男と女との関係の存在に類似している。4.武道,仏教,医療のいずれも精神の分析そのものより,むしろ精神の統合をするところに大きな意味がある。精神統合とは診断治療を超えて人間のもつ無限なる潜在的諸能力の開発と人間的実存の根底を発見に努めることなのである。

1 0 0 0 二十八人集

著者
田山花袋 小栗風葉編
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1908
著者
桑田忠親著
出版者
中央公論社
巻号頁・発行日
1982
著者
神田 康行
出版者
一般社団法人 粉体粉末冶金協会
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.145-152, 2023-03-15 (Released:2023-03-15)
参考文献数
33
被引用文献数
1

This report investigated the spark plasma sintering (SPS) of Shuri castle breakage roof tile powder for the effective utilization of the Shuri castle breakage roof tiles. First, we examined the fundamental characteristics of Shuri castle breakage roof tiles. The chemical composition of broken roof tiles mainly comprises SiO2. Scanning electron microscopy analysis revealed the dispersion of quartz lumps in the inner structure. Additionally, the density of the broken roof tile was 2.43 g/cm3, and the open porosity was 17.9%, the Vickers hardness (HV) was 87.5 at the matrix side and 1200 at the quartz lump, and the flexural strength was 15.7 MPa. Meanwhile, the fundamental characteristics of the SPS compact formed using breakage roof tile powder comprised a density of 2.68 g/cm3, an open porosity of approximately 0%, an HV of 259, a flexural strength of 105 MPa, and a flexural modulus of 83.1 GPa at a sintering temperature of 1323 K. The formation of magnetite was confirmed via X-ray diffraction patterns of the sintered products; however, the crystalline phases were almost identical to those of the broken roof tile powders.
著者
進藤 軌久 豊柴 博義
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.157, no.1, pp.41-46, 2022 (Released:2022-01-01)
参考文献数
5

世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をパンデミック(世界的大流行)と認定してから1年以上が経過した.いまだ有効な治療薬は限られており,その開発は世界中で喫緊の課題となっている.このような状況において,我々が独自に開発した人工知能(AI)システムConcept Encoderは,創薬プロセスを劇的に加速しつつある.Concept Encoderはライフサイエンス領域に特化したAIであり,膨大な文献情報の中から疾患と遺伝子の関係を学習している.そして,現時点では明らかになっていない疾患と遺伝子の関連の強さを予測し,原因性因子なのか応答性因子なのかといった疾患と遺伝子の関係性についても予測することができる.さらに,分子間相互作用や酵素基質の関係等の分子と分子の関係についても学習しており,原因性因子と応答性因子の間をつなぐ分子を網羅的に探索し,疾患の分子ネットワークの全体像を明らかにしている.我々は,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)由来の遺伝子のいくつかに着目してCOVID-19治療薬の研究を進めており,本稿ではそのうちのひとつであるORF8に関する解析の一端を紹介する.
著者
Yoshikuni Hiroi Tomokazu Hokada Tatsuro Adachi Kazuyuki Shiraishi Yoichi Motoyoshi Edward S. Grew
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (ISSN:13456296)
巻号頁・発行日
pp.221209, (Released:2023-03-28)
被引用文献数
3

Grandidierite, (Mg,Fe)Al3O2(BO3)SiO4, was found in a garnet-clinopyroxene-ilmenite-rich mafic granulite from Austhovde in the Late Neoproterozoic to Early Cambrian Lützow-Holm Complex (LHC), East Antarctica, the first reported occurrence of this borosilicate in a mafic granulite. It occurs in one of the many nanogranitoid inclusions (NIs) in garnet. Quartz, sodic plagioclase, myrmekite, K-feldspar, epidote and biotite are also found only as inclusions in garnet. Garnet porphyroblasts show marked compositional zoning: Ca increases and Mg decreases from the core to rim with little change in Fe and Mn contents except for the outermost rim. Anorthite content of inclusion plagioclase increases from core to rim of host garnet in parallel with increase in garnet Ca towards the rim. This together with the distinctly different mineral assemblages within and exterior to garnet porphyroblasts suggests that partial melting took place and produced melts were extracted leaving a mafic and calcic restite. Partial melting also occurred locally in garnet porphyroblasts consuming different hydrous mineral inclusions to produce various NIs ranging from K-feldspar-rich to K-feldspar-free. Subsequent decompression at high temperatures resulted breakdown of garnet to orthopyroxene + calcic plagioclase with further consumption of quartz, such that none remained in the matrix of the granulite. Grandidierite may have formed by a reaction between a trapped boron-bearing aluminous granitic melt and host garnet upon cooling.
著者
李 娜 青山 透 堀 弘 江崎 孝行
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.763-769, 1997-08-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
12
被引用文献数
4 3

24時間循環風呂のレジオネラ汚染対策を検討するため, この風呂を使用している家庭を選択し浴槽水のレジオネラと一般細菌数を抑制する試みを行った.実験に先立ち, 24時間風呂を使用している家庭16軒の浴水を調査した所, 6軒の浴水からレジオネラが分離された.陽性になった5軒を選び, 風呂水を交換しモニターを開始したところ5軒中3軒の風呂からLegiouella pueumophilaが分離され, 菌数は最高値で103CFU/mlに達した.また一般細菌数も最高値で105CFU/mlに達した.このことから24時間循環風呂の汚染を除去する対策を立てるため, 使用後の浴水に塩素剤を投入し, 一般細菌とレジオネラの菌数の変動をモニターした.初期有効濃度が2ppmになるように塩素を投与すると1時間後には一般細菌, レジオネラのいずれも検出されなくなった.この条件で実際の浴槽の菌をモニターした結果, 毎日, 使用後に塩素濃度が2ppmになるように投与した場合, レジオネラは検出されなくなることがわかった.
出版者
淡交社
雑誌
ヌードの東アジア : 風俗の近代史
巻号頁・発行日
2023-03-25

はじめに / 斎藤光1部 身体ヌードの東アジア / 井上章一ストッキングの戦後 : 「もの」をめぐる心性史の試み / 西村大志マネキン以前のこと : 人体模型、呉服店、博覧会、共進会 / 川井ゆう2部 装いカフェー・女給・エプロン : 図像資料から読む / 斎藤光近代中国女性の婚礼衣裳における洋風化 : ベールの受容を中心に / 劉玲芳モダン都市「京城」を洋傘(日傘)が歩く : 朝鮮の写真絵ハガキで見る日傘を差す新女性 / 申昌浩3部 空間ダンスホールの「植民地」 : 日本の「西洋化」と日本をとおした「西洋化」 / 永井良和変身しつつ持続するオンドル / 濱田陽, 李珦淑オンドル体験と床暖房の日本 / 濱田陽, 李珦淑京都の長崎料理〈しっぽく〉三態 / 加藤政洋4部 映像「白」と「黒」の近代 : 写真花嫁とスピンオフしたモダニティ / 嘉本伊都子絵はがきにみる「風俗」としての洗濯 / 安井眞奈美日本映画の海外進出と挫折 : 『羅生門』の成功の陰で / 北浦寛之映画とカフェー / 木村立哉5部 ミセラネア井上章一的風俗史 : 風俗・民俗・土俗 / 長田俊樹あとがき / 井上章一共同研究「近代東アジアの風俗史」について
著者
宇野 雄一 奈邉 健 新田 陽子 鶴田 宏樹
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

イチゴにより口腔アレルギー症候群を発症するケースがあり,生活の質の低下や,生産物の消費低迷が懸念されている.本研究では,イチゴに含まれるアレルゲンおよび抗アレルギー成分の解析を行い,誘発性評価システム開発のための基礎的知見を得た.IgE結合能の解析により,イチゴの主要アレルゲンはFra a 1であると考えられた.Fra a 1 の含量は,品種,栽培方法,生育段階,および部位の違いにより増減し,その構造は,60℃以上の加熱により変化した.また,イチゴの抗アレルギー成分にも品種間差がみられた。以上により,品種,栽培方法,調理方法などの適切な選択によりイチゴアレルギーが緩和できる可能性が示唆された.
著者
吉田 一彦 柴田 憲良 藤本 誠 高志 緑
出版者
名古屋市立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

本研究は、「偽」というマイナスのイメージから研究上の価値が低いと誤認されてきた「疑偽経典」を、豊かな思想を伝えるテキストととらえ直し、その思想作品としての価値を解明するとともに、それらが日本および東アジアの社会、文化に果たした役割を明らかにしようと企図するものである。本研究では、日本に仏教が土着していった様相を、疑偽経典の受容、作成、浸透に着目して考察し、そこから日本仏教の歴史と思想の特質を考究する。