- 著者
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的野 晃整
小島 功
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.33-45, 2009-03-31
本稿では,分散環境における RDF 問合せ処理の効率化を目指し,ブルームフィルタを拡張して転送量を減少させる手法を提案する.RDF はメタデータ記述のための枠組みで,近年様々な応用分野に広く利用されており,各地でボトムアップに作成・管理されている.それらの分散した RDF データに対して,横断的・包括的な問合せを行いたいという要求が高まっている.これまで,分散 RDF データ検索に関する研究はいくつか提案されているが,それらの多くは,トップダウンに配置した RDF データに対する処理手法やトリプルパターンマッチングのような単純な検索に関する研究が主であった.我々が提案する手法のような,ボトムアップに作成された RDF データに対して,結合や和集合などの演算を含む高度な問合せ処理の効率化を目指した研究は,これまでほとんど行われていない.提案手法では RDF トリプルに対応した 3 次元のブルームフィルタを用い,問合せ処理時にブルームフィルタ間でビット演算を行うことで,リモート RDF データへアクセスする前に,そのデータが解に含まれているかどうかを判断することができるため,データ転送量を削減でき,処理時間の減少につながる.我々は,RDF 問合せ言語 SPARQL を処理するプロトタイプシステムを作成し,分散環境における RDF データ問合せ処理の効率が向上することを実験によって確認した.