著者
福井 次郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木史研究論文集 (ISSN:13495712)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.165-175, 2004

Jiun Masuda (1883-1947) was a bridge designer representing Japan who played an active part in the Showa period of prewar days from the end of Taisho period (1920th-1930th). However, few documents remain from that time, but Masuda has been known only to a small group of specialists. In Fall 2002, it became clear that many reports and drawings for bridges that Masuda designed are saved in the Public Works Research Institute. In this paper, the achievements of Masuda were reviewed through these new documents and the actual bridges he designed. The research clarified that besides the well known bridges, Masuda had designed about 20 more bridges, subway stations, docks, quay walls etc. Moreover, it was revealed that he worked with very capable staff, designed the bridge of a variety of structure types, etc. Finally, the future application of these documents was discussed.
著者
上野 俊一
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.163-198, 1985

オニメクラチビゴミムシ群 (group of Trechiama oni) の甲虫類, 主として中国山地の東部と四国北東部とに分布し, 淡路島南部と和泉山脈にもそれぞれ1種が生息する。日本海岸から瀬戸内海の南側まで拡がっているので, この種の昆虫群としてはかなり例外的な分布域をもつことになる。本来は地下浅層にすむものらしいが, 石灰洞など自然の洞窟や鉱山の廃坑からも見つかっている。既知種は17あり, 新たに6種を追加記載した。これら23種のすべてを文献とともに列挙し, 区別点を検索表を検索表で示すとともに, 既知種のうちで原記載の不完全な2種の再記載も行った。 この種群は3亜群に大別され, そのうちのふたつはさらに2∿3の系列に次のように区分される。 1) サトウメクラチビゴミムシ亜群 a) ゾウズサンメクラチビゴミムシ系 ムラカミメクラチビゴミムシ T. murakamii S. UENO, ゾウズサンメクラチビゴミムシ T. instabilis S. UENO b) サトウメクラチビゴミムシ系 フジワラメクラチビゴミムシ T. fujiwaraorum S. UENO, オノコロメクラチビゴミムシ T. onocoro S. UENO, サトウメクラチビゴミムシ T. satoui S. UENO, シロトリメクラチビゴミムシ T. tenuis S. UENO 2) オニメクラチビゴミムシ亜群 a) フジタメクラチビゴミムシ系 フジタメクラチビゴミムシ T. fujitai S. UENO, ワカスギメクラチビゴミムシ T. moritai S. UENO, キンショウメクラチビゴミムシ T. spinulifer S. UENO, マチオクメクラチビゴミムシ T. cuspidatus S. UENO, トノミネメクラチビゴミムシ T. crassilobatus S. UENO, ヒウラメクラチビゴミムシ T. hiurai S. UENO, ユキコメクラチビゴミムシ T. yukikoae S. UENO(この種は別系列のものである可能性が強い) b) オニメクラチビゴミムシ系 オニメクラチビゴミムシ T. oni S. UENO c) コスゲメクラチビゴミムシ系 タンゴメクラチビゴミムシ T. tangonis S. UENO, シュテンメクラチビゴミムシ T. shuten S. UENO, イチジマメクラチビゴミムシ T. silicicola S. UENO, コスゲメクラチビゴミムシ T. kosugei S. UENO, ムコガワメクラチビゴミムシ T. expectatus S. UENO, イズミメクラチビゴミムシ T. dissitus S. UENO, テンガンメクラチビゴミムシ T. yoshiakii S. UENO, ノトメクラチビゴミムシ T. notoi S. UENO 3) タイシャクメクラチビゴミムシ亜群 a) タイシャクメクラチビゴミムシ系 タイシャクメクラチビゴミムシ T. insolitus S. UENO これらのすべてが同一の祖先から分化したものかどうか, という点には多少問題があるが, いずれもヨシイメクラチビゴミムシ群 (group of T. ohshimai) のうちから派生したことは確かなので, ここでは単一の種群の亜群として取り扱った。 最初の亜群は, 四国の北東部と淡路島南部とに分布し, 吉野川本流の右岸には侵入していない。このことからみて, 中国山地の東部から瀬戸内海を渡って四国へ移住した祖先型のチビゴミムシは, おそらく讃岐山脈を中心に分化したものと推察される。次の亜群は, 主として中国山地の東部に分布し, 東からコスゲメクラチビゴミムシ系, フジタメクラチビゴミムシ系, オニメクラチビゴミムシ系の順に拡がっている。系列間の相互係は複雑で, 分化の過程を追跡するのも容易ではないが, 少なくともオニメクラチビゴミムシが, 2番めの系列のうちから分化したことは確かだろう。最後のタイシャクメクラチビゴミムシ亜群は, 上翅の剛毛式がほかの亜群の場合と大きく異なり, 分布の様子も遺存的なので, かなり古い時代から隔離されてきたものであるにちがいない。 この種群の甲虫類の調査はまだ不十分で, とくにオニメクラチビゴミムシ亜群に属する系列間の空隙を埋める地域の様子がよくわかっていない。将来, 千ヶ峰山地, 西丹山地西部, 播但高原北部, 津山盆地周辺の山地などからこの亜群メクラチビゴミムシ類が発見されれば, 系統関係も分布の過程も, より高い信頼性をもって解析できるようになるだろう。
著者
下川 裕太
出版者
埼玉大学社会調査研究センター
雑誌
政策と調査 = Policy & research (ISSN:2186411X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.33-60, 2019-03

若者の低投票率対策として,不在者投票のPRがさかんに行われている。ところが,全国72 の自治体では,実家に住民票を置く下宿学生からの不在者投票申請を拒否しているという。地元の市町村長・議員選挙ならばともかく,国政選挙に際して自治体間で対応が異なるのはなぜか。加えて,同じ自治体内でも,国会議員や単身赴任者と下宿学生との間で扱いが違うのはなぜか。下宿学生である筆者は,住民基本台帳法および公職選挙法,施行令,逐次解説,そして各種判例などの検索・照合にとどまらず,自ら当該72 自治体へのアンケート調査を実施する。さらに,総務省へのヒアリング取材も試み,不条理の実態を探索し,その背景を検証する。最後に,試案の提示も行う。Absentee voting is actively promoted in an effort to improve low voter turnout among young people. However, seventy-two municipalities rejected absentee ballot applications from students who live on or near campus but whose family home is registered as their legal residence. Why do municipalities handle local mayoral and municipal council elections differently from national elections? Additionally, why is it that, even within the same municipality, National Diet members and business people living away from their families are treated differently from students living away from home?The author, a student living away from home, examined the Basic Resident Registration Act, the Public Offices Election Act, enforcement orders, legal commentary, and a wide variety of judicial precedents. In addition, the author conducted a questionnaire survey of the abovementioned seventy-two municipalities. The author will also attempt to conduct an interview at the Ministry of Internal Affairs and Communications, examine illogical cases, and identify the background issues. Finally, a tentative plan will be submitted.はじめに第一章 不在者投票 第一節 不在者投票制度 第二節 現状の間題点 第三節 一年という目安第二章 学生が投票出来ない経緯 第一節 判例 第二節 学生の意識第三章 各市町村の対応 第一節 アンケート調査 第二節 調査結果の考察第四章 国の対応 第一節 ヒアリング調査 第二節 アンケート調査 第三節 調査結果の考察第五章 下宿学生の不在者投票間題をどう解決するか 第一節 行政の課題 第二節 「学生特例」創設の提案 第三節 「近いうちに」ではなく今すぐ解決をまとめにかえて
著者
妹尾 剛光
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.129-135, 2006-10

小論は、ルソーにおけるコミュニケーションの主体の形成とそこにある基本的問題点、即ち、母の愛を知らずに育ったルソーの直接的コミュニケーション、「心の底からの親しい交わり」への強い欲求は、この欲求を核とする人間の本心を善、社会あるいは大人の悪を子どもの悪の原因とする人間観、及び、これと結びついた、汚れを知らない孤独の中の人間は、技術の発展とともに依存、服従関係でしかない社会に入らざるをえないという社会観をルソーに持たせ、人間がコミュニケーションの主体に成熟して作る社会を、『エミール』以前にはルソーに考えさせなかったということを、更には、それにもかかわらず、『社会契約論』、『エミール』においてルソーはロックやスミスと基本的なところでは同じ人間論、社会論に辿り着いたということを、彼の主要著作の検討を通して明らかにする。
著者
大東 辰起
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学経済論集 (ISSN:13451448)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.29-55, 2016-10

Since the bubble economy collapse, local bond funds have drawn attention due to the increase of outstanding local bonds. One of the local bond funds is government funding. Local governments annually obtain great amounts of funds from government funding, which is known to be good, as long term, stable money. Previous research has shown the following issues. The first issue is the local government's control through government funding, and distribution of government funding as financial support by concentrating funding in weak local governments. A secondary issue is the relaxation of fiscal discipline due to receiving bonds as an easy solution to obtaining funds. This paper reveals that these issues are no longer current problems.Since the bubble economy collapse, local bond funds have drawn attention due to the increase of outstanding local bonds. One of the local bond funds is government funding. Local governments annually obtain great amounts of funds from government funding, which is known to be good, as long term, stable money. Previous research has shown the following issues. The first issue is the local government's control through government funding, and distribution of government funding as financial support by concentrating funding in weak local governments. A secondary issue is the relaxation of fiscal discipline due to receiving bonds as an easy solution to obtaining funds. This paper reveals that these issues are no longer current problems.
著者
又吉 里美
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.49-64, 2007-01-01

本稿は、沖縄津堅島方言の手段表示機能を有する格助詞を取り上げ、構文論的な分析を行い、助詞の意味機能を見出そうとするものである。本稿の結論は以下の三点である。1.津堅島方言の手段表示機能を有する助詞には〓i、〓ka、karaの三つの助詞があることを見出した。2.三つの助詞は承接する名詞、結合する動詞によって使い分けられる。動詞の性質との関わりに注目すると、特に「動作行為、変化、移動」の性質を持つ動詞と結合し、これらの動詞の性質によって取りうる助詞が異なる。その対応関係は次の通りである。〓iは動作行為/状態変化の動詞と対応する。〓kaは位置移動/形質(状態)変化/状態変化の動詞と対応する。karaは移動動作/情報発信/情報獲得/生成の動詞と対応する。3.〓ka、karaと結合する動詞は動作行為、状態変化の中でもより限定された性質を持つ。その結果、承接する名詞も自ずから限定される。しかし、〓iはこのような限定の制約がない。その結果、〓kaやkaraの意味機能を獲得しつつあり、使用範囲を拡張しつつある。
著者
竹田 晃子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.101-117, 2015-04-01

国語調査委員会による「音韻口語取調」は明治末期に実施されたが,第二次取調は関東大震災で焼失したとされ,全国的に集約して学問的かつ学史的に検討されることがなかった。本論では,2回にわたって実施された「音韻口語法取調」を取り上げ,調査の全体像を把握し,残された第二次取調の報告類があることを明らかにした。また,岩手県の第二次取調の稿本を取り上げ,現代的視点から後代の研究成果と比較し,近代方言の資料としての価値があることを明らかにした。さらに,過去の方言調査資料を言語研究に有効に利用するために,調査目的や資料の成立背景などを方言学的・社会言語学的に把握する必要があることを指摘した。
著者
納見 健悟
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.948, pp.112-114, 2011-03-25

建築を取り巻く職域が広がっている。発想の転換で新たなビジネスにつなげられる。日本CM協会認定CMrで、あるく計画事務所共同代表の納見健悟氏が、4回にわたり最前線の事情を解説する。(本誌) 建築技術者の担う役割が変わり始めている。
著者
山本 佐和子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.29-44, 2012-01

助動詞「ベシ」は本来ク活用だが,中世室町期にはシク活用化したものが見られる。本稿では,シク活用化が「ツ+ベシ」である「ツベイ」でのみ起きることに注目し,「ベシ」の意味の二面性とモダリティ体系の史的変遷との関わりから,その要因を考察する。「ベシ」の意味は,状態・性質を表す〈事態的意味〉と,話し手の判断作用を表す〈認識的意味〉とに大別される。「ツベシ」「ヌベシ」は,中古から〈事態的意味〉専用の形式として存しており,「ツベシ」が「可能」,相補的に「ヌベシ」は「潜勢状態」を表す。室町期に,「ツベイ」から「ツベシイ」が生じたのは状態を評価的に表すためで,当期にク活用形容詞からシク活用形容詞が派生した現象と一連のものと捉えられる。また,当期には「ウズ」が,「ベシ」の〈認識的意味〉を担って,「ベシ」は文語化する。〈事態的意味〉を表す「ツベイ」は,「ベシ」より長く口語に残り,後代,「サウナ」等が発達するまで命脈を保ったものと考えられる。
著者
伊藤 雅光
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.112-129, 2008-01

小稿の目的はフロッピー版『古典対照語い表』を資料にして,語彙の量的構造史モデルを提案することにある。見出し語の使用頻度と時代的使用範囲を基準にした量的語彙構造分析法により,上代,中古,中世の各時代の語彙構造の二次元モデルと,それをさらに抽象化した語彙構造の一次元モデルとを構築する。各レベルの共時態を時系列順に並べることにより,各レベルごとに語彙の量的構造史が構築されることになる。それにより,語彙の量的構造史自体が抽象レベルの違いによる多層構造になると解釈した。
著者
劉 志偉
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.1-16, 2009-07-01

中世のテニヲハ研究の専門書を代表するものに「姉小路式」と呼ばれる一群の秘伝書が挙げられる。本稿では「姉小路式」の「かなをやすむる事」の巻を取り上げ、テニヲハ意識の展開を促したとされる「休めの類」について考察を行った。その結果、「姉小路式」を中心とする中世の「休めの類」は中古のそれを拠り所としながらも、完全に一致するものではないことが分かった。そして、それはその背後に進行していた当時の日本人の歌に対する接し方の変化やテニヲハ意識の深化によるものと考えられる。つまり、「休めの類」は、中古では歌語や古語解釈の一原理として用いられたのに対し、中世になると和歌の作法の修辞表現法として認識されるようになったのである。