著者
光延 忠彦
出版者
千葉大学大学院人文公共学府
雑誌
千葉大学人文公共学研究論集 = Journal of Studies on Humanities and Public Affairs of Chiba University (ISSN:24332291)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.237-246, 2018-03-29

[要旨] 2000年代初頭から行われた「平成の市町村合併」と、2009年の政権交代後に新政権によって行われた「事業仕分け」とによって、国政選挙における投票所数は、島根県や県内自治体はもとより他の都道府県でも削減された。このような制度改正と並行して、2000年代中葉期を分岐に島根県はもとより県内自治体の投票率は、従来の横ばいから逓減傾向へと移行した。果たして投票所数の削減は投票率に何らかの影響を及ぼしたのであろうか。従来の研究では、投票所数と投票率の関係はあまり議論されて来なかったが、本稿は、こうした疑義を検討するための準備として、いくつかの論点を考察してみたい。
著者
井原 奉明 Ihara Tomoaki
出版者
光葉会
雑誌
学苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.870, pp.83-94, 2013-04

Abstract It is the author's present design to determine, by an exhaustive analysis of the existing findings and evidence, how the conception of mono is understood and applied around the Jodai era. This study is the first step toward the primary research of the cosmology of the concept. Such a task pertains to linguistics, philosophy and other related academic fields. The author begins with a critical inquiry into Ms. Hasegawa's study of mono. For more integrated explication, he hypothesizes it derives from the idea of mana of the Pacific region. The adequacy was illustrated by an extensive clarification of how the concept acquires a variety of meanings and captures spatially-directed significances as a null symbol within the phenomenological "lived" space of subjectivity.
著者
マスキオ パオラ
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.81-106, 2018-11-30

『寓骨牌』(天明七[一七八七]年刊)は、その時期に江戸で大流行していた「めくりカルタ」(ポルトガル由来のトランプカードで行われるカードゲーム)を擬人化して登場させる山東京伝の黄表紙である。従来の研究では、珍しい題材の擬人者の一つとして挙げられてきたが、特に意義があるとはされてこなかった。しかし、当時の読者が持っていためくりカルタの知識を意識しながら本作を読むことで、その構成や娯楽性を理解することができる。 本稿ではまず、めくりカルタの基礎知識や遊び方を紹介し、『寓骨牌』でそれぞれの札がどのように擬人化されているかを分析した。『寓骨牌』の擬人化の手法はゲームにおける役割を反映しているといえる。例えば、クラブ・スペード・ダイヤ・ハートに当たるハウ(青札)・イス(赤札)・オウル・コップの四種一~十二の計四十八枚のうち、最大の点数が付く青札の六は、姫君の六大御前として擬人化されている。実際のゲームで点数の高い札が狙われるように、『寓骨牌』の物語で六大御前はさまざまな登場人物に思いを寄せられる。 次に、作品の趣向を考察した。「めくり」のルールを意識しながら物語を読んだ結果、登場人物の関係もゲームを反映していることがわかる。例えば、赤蔵がお七と桐三郎を追いかけている時に、鬼と幽霊が突然現れて難儀を救う場面は、ある遊戯者が赤札の七で青札の七を取ろうとしている様子に、ジョーカーのような役割を果たす鬼札や幽霊札が突然現れるゲームの様子に見立てられている。よって、『寓骨牌』は「カルタ見立て」の趣向を持っているといえる。 このような解釈によって、山東京伝の擬人物黄表紙における『寓骨牌』の位置付けを改めて考察することが必要になる。京伝が『御存商売物』(天明二年)で人気作者となってから素材を変えて同じパターンで天明期に執筆した擬人物黄表紙と比較して、『寓骨牌』では擬人化された札にお家騒動に見立てためくりの勝負を演じさせることで、「お家騒動の擬人物」の趣向をさらに複雑にし、凝りに凝った作品を生み出した。この後、寛政の改革以降の大衆化した京伝の黄表紙には、そのように細かく編まれた擬人物は見出されない。そのため、『寓骨牌』は京伝の擬人物黄表紙の到達点と見なせるのではないか。

3 0 0 0 IR 小野篁の研究

著者
岩井 美奈 Mina Iwai
出版者
フェリス女学院大学国文学会
雑誌
玉藻 (ISSN:02887266)
巻号頁・発行日
no.52, pp.103-127, 2018-03
著者
間瀬 久美子
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 The proceedings of Chiba Keizai University (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.59, pp.1-26, 2018-12

江戸中期寛延の三件の怪異と地震に対する朝廷祈禱は、賀茂・阿部・卜部等の卜占や先例を基に判断されたが、怪異は祈禱名目や祝詞の文言からは除去され、天皇の慎みや国家安全祈禱として、その災禍に対処した。一方、自然現象への合理的解釈も社会に浸透し、神社社家等は、怪異を神社造営や運営参加を要求する契機として利用するようになった。
著者
井上 泰至
出版者
佛教大学国語国文学会
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
no.26, pp.30-43, 2018-11-24

『雨月物語』「蛇性の婬」の歌枕による舞台設定(紀伊国三輪が崎・佐野の渡り)は、当時の中世歌学に従った通念とは異なった国学(契沖『万葉代匠記』(精選本))の成果による歌枕考証を基にしつつ、その通念と国学説の間を、俳諧的連想で自由につなぐものであった。また、主人公豊雄が引用する「三輪が崎・佐野の渡り」を詠みこんだ歌は、『万葉集』が出典ではあるが、平安朝文学に耽溺する余り、その文学世界から抜け出てきたような謎の女、真女児(まなご)に誘惑され、豊雄が懸想する場面での引用の背景には、『源氏物語』「東屋」が介在していることを考証した。これらの新事実を出発点に、原拠の中国白話小説をいかに日本の物語に「見立て」ていったか、その知的遊戯の実態を確認し、「物語」の高度な達成と、本作の主題について私見を提示した。
著者
田尻 雅士
出版者
大阪外国語大学
雑誌
大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.195-218, 1991-12-15

中英語期にイングランド中部を中心に隆盛した尾韻ロマンス群のうち、「ユースタス・コンスタンス・フローレンス・グリゼルダ伝説」と呼ばれるサイクルの六つの作品の中に、古英語詩に頻出する「浜辺に立つ英雄」主題の残存例とおぼしいものが-類話群には見られないのに-確認できる。これらのロマンスは基本的に、有徳の主人公の流謫、そして結末における愛する者達との再会を扱った貴種流離譚であるが、この主題はその流謫の始まり、もしくは終わりという、物語における重要な転機に現れることが多く、主人公の危難と最終的勝利を聴衆に感知せしめる役割を果たしたのではないかと推測される。またこの主題の存在は、トラウンス(1932-34)の言う「ゲルマン叙事詩の雰囲気をとどめる尾韻ロマンス群」という見解に一つの証左を与えているとも考えられる。
著者
古賀 徹 Koga Toru
出版者
九州大学大学院芸術工学研究院
雑誌
芸術工学研究 : 九州大学大学院芸術工学研究院紀要 (ISSN:13490915)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.43-49, 2013

In the field of design, concept plays a significant role in the constitution of a design object. As a concept designates a goal for a design process, it has to be deliberately defined in order to maximize the functionality of the object. In other words, the concept should play a mechanical and an organic role at the same time. In their writings What Is Philosophy? Gilles Deleuze and Félix Guattari define the concept as a mechanical component that consists of sensory elements, each of which is itself a concept. We transplant their thought to the field of design as a tool capable of evaluating the sensory quality of the design object.
著者
大橋 直義
雑誌
和歌山大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:13425331)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.182-176, 2019-02-08

「我が国の言語文化」「伝統的な言語文化」としての「絵本」である絵巻・奈良絵本