著者
谷沢 永一 タニザワ エイイチ
雑誌
樟蔭国文学
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-10, 1979-10-10
著者
妹尾 剛光
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.185-211, 2007-03-30

『記憶と和解』は、カトリック教会が教会構成員の過去及び現在の行ないのあるもの(代表的な例は、「キリスト者の分裂」、「真理に仕える時の強制力の使用」、「ユダヤ人に対する敵意や不信」)の過ちを認めて、それに対する神の赦しを求め、傷つけられた人々の赦し、その人々との和解を求める文書である。その根底には、聖書に啓示された、心から認めた罪に対する神の赦しと神の掟「兄弟愛、アガペを生きよ」がある。基本的な問題は、観念としては誰彼を問わずどの人間に対しても与えられるべき愛であったアガペが、特に中世や近代の実践においては、信仰を同じくする人々の間での愛であり、異教、異端の人々に対しては、教会分裂、十字軍、異端審問、不正な権力との協同などが真の信仰に基づく業として行なわれてきたということにある。この文書は従って、カトリック以外のさまざまな信仰、信念を、それが当然の社会秩序、即ち、人間の権利、万人に共通の善を傷つけない限り、それぞれに独自な価値を持つものとして尊重し、寛容すること(第二ヴァティカン公会議教令)を基にしている。
著者
森本 泰夫 喜多村 紘子 空閑 玄明 井手 玲子 明星 敏彦 東 敏昭 佐藤 敏彦 相澤 好治
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-10, 2009 (Released:2009-02-05)
参考文献数
52
被引用文献数
2 3

トナー粒子における新たな生体影響調査と労働衛生管理について:森本泰夫ほか.産業医科大学産業生態科学研究所―トナーの加熱印字(プリントアウト)を行う際にナノ粒子のような微細粒子やvolatile organic compounds(VOC)の発生を伴うことが社会問題になったため,トナー自体の影響だけでなく,これらの付加的化学物質の影響もふまえた生体影響調査が必要となった.しかし,どのようなナノ粒子が発生したのか不明であること,及びその測定法も確立されたものがないことより,対応に苦慮した.このような状況を鑑み,トナーの構成成分より考えられる浮遊化学物質をリストアップし,疫学的及び動物試験等の知見を収集し,これを元に労働衛生管理の対応を検討した事例を紹介する.トナーの主成分のカーボンブラック,及び表面付着物質のナノ粒子である二酸化チタンやアモルファスシリカ,VOCを想定される対象化学物質として,生体影響の文献調査を行った.これらの微細化学物質やVOCのデータを基に,有効な曝露指標の検索,環境曝露や測定法についてまとめた.その結果から,微細粒子またはVOC曝露のバイオマーカーとして高感度CRP,尿中8ヒドロキシデオキシグアノシン,心拍間変動係数が有用であること,加熱印字の際のVOC濃度は低かったこと,ナノ粒子などの微細粒子が発生したこと,微細粒子の測定法として,scanning mobility particle sizer(SMPS)による個数基準計測が多く報告されていることが認められた.これらの結果をふまえ,トナーの印字により発生する付加的化学物質に対する労働衛生管理を展開することが検討されている. (産衛誌2009; 51: 1-10)
著者
野澤 秀樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.635-653, 1986-11-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

19世紀フランス最大の地理学者の一人に数えられるエリゼ・ルクリュ (1830-1905) は,ほとんど忘れられた存在であったが,近年地理学史やrelevantな地理学への関心から,再評価されつつある.本稿はルクリュ地理学の体系とその思想を彼の地理学三部作の中に探ることを目的とする.ルクリュは人類史の前史として地球の諸現象を地的調和の中に捉え(第1作『大地』),次いで世界各地で自然と人間が織りなす地表面の姿を記述し(第2作『新世界地理』),これらの事実の中から根本法則を引き出し,人類の歴史を跡づけることを課題とした(第3作『地人論』).ルクリュの地理学体系は個別科学としての地理学の体系化に寄与するというより,人類の歴史,人類の歴史的有り様を追究した壮大な歴史哲学といえる.ルクリュの思想は人類の歴史を階級闘争史観で捉える社会科学的視点に立つ一方,自然と人間の調和ある統一を理想とした目的論的世界観であるロマン主義の思潮と進化主義の思想とが統一された思想であった.
著者
中岡 慎治 滝 久雄 合原 一幸
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.235-240, 2010-05-01 (Released:2010-09-22)
参考文献数
20

本研究解説では,免疫学における定量数理モデルを用いた研究の紹介を通じて,理論免疫学(theoretical immunology)分野における最近の研究動向についてレビューする.続いて,各研究グループによって独立に構築されてきた数理モデルを横断的に検討し,それら数理モデル間に共通性・類似性が存在することを示す.
著者
Ahmet Akcay Cemal Tuncer Talantbek Batyraliev Mustafa Gokce Beyhan Eryonucu Sedat Koroglu Remzi Yilmaz
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.1254-1258, 2008 (Released:2008-07-25)
参考文献数
22
被引用文献数
21 27

Background Isolated single coronary artery (SCA) is an extremely rare congenital coronary anomaly. Some subgroups of SCA can lead to angina pectoris, acute myocardial infarction or even sudden death in the absence of atherosclerosis. Young patients, especially, have the risk of serious clinical events, but middle-aged-to elderly patients have a variable clinical course. Methods and Results The aim of this study was to present the clinical and angiographic properties, relatively long-term follow-up (54±14 months) and management of adult patients (mean age 57±12 years) with SCA. The records of 70,850 patients undergoing coronary angiography between 1999 and 2005 were reviewed. Ten patients (0.024%) were found to have SCA, originating from the left sinus of Valsalva in 3 (30%) patients and from the right sinus of Valsalva in 7 patients (70%). No atherosclerotic involvement was seen in 7 (70%) patients. One patient was also treated by stent implantation to the SCA. Other patients were followed medically. All patients have been followed uneventfully. Conclusion Medical treatment is usually adequate for middle-aged to elderly patients with SCA in the absence of ischemia and/or acute coronary syndrome. (Circ J 2008; 72: 1254 - 1258)
著者
光石 鳴巳
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

今年度は、本州西部における縄文時代草創期遺跡の地名表の作成と、前年度までにおこなった愛媛県上黒岩岩陰遺跡出土遺物の資料化作業をとりまとめた。また、北海道における草創期資料の実査をおこない、長野県神子柴遺跡出土資料を検討する機会を得た。縄文時代草創期遺跡ならびに遺物出土地点のデータベース作成については、最終的に本州西半部の21府県を対象とし、978ヵ所を収録した。対象府県は北陸地方(富山県26ヵ所、石川県14ヵ所、福井県12ヵ所)、東海地方西部(岐阜県170ヵ所、愛知県79ヵ所、三重県114ヵ所)、近畿地方(滋賀県36ヵ所、京都府35ヵ所、大阪府110ヵ所、兵庫県100ヵ所、奈良県39ヵ所、和歌山県27ヵ所)、中国地方(鳥取県37ヵ所、島根県17ヵ所、岡山県26ヵ所、広島県44ヵ所、山口県8ヵ所)、四国地方(徳島県13ヵ所、香川県20ヵ所、愛媛県31ヵ所、高知県20ヵ所)である。この一覧表については、『本州西半部における縄文時代草創期の様相』と題する冊子として編集し、本研究の経費の一部によって印刷、刊行した。愛媛県上黒岩岩陰遺跡出土遺物については、実測図の製図をおこない、所見を加えて「上黒岩岩陰遺跡とその出土遺物についての覚書-国立歴史民俗博物館所蔵資料の紹介を中心に-」と題した小文にとりまとめ、『古代文化』誌に投稿した。現時点で掲載時期は未定だが、すでに採用されることが内定している。
著者
村上 昇
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.14, no.24, pp.1-20, 2007-10-10 (Released:2009-02-16)
参考文献数
152

九州は旧石器時代終末から縄文時代初頭にかけての変化を考える上で,また,草創期土器編年研究の上で重要な地域である。しかし,研究者ごとに土器資料の新旧を判断する基準が異なるため,近年,九州を含む日本列島西部の草創期土器編年における研究者間の共通認識は崩れつつある。これに対し,本稿では,南九州における雨宮編年を踏襲し,施文手法の違いを時期差と捉えると同時に,遺跡内の地点差や「遺跡の引き算」からより短い編年上の時期幅を抽出することで,編年の時間軸を明確化し,改めて南九州を含めた日本列島西部の草創期土器編年を示すことを目的とする。南九州の隆起線文土器は【隆起線に押圧が加わる土器→隆起線上に矢羽根状に連続する摘み痕を残す土器】と変化し,その後,口縁部に密に爪形文を配する土器が出現し,南九州の草創期土器は岩本式まで続く。以上の南九州における土器編年との併行関係と前後関係を検討し,日本列島西部の草創期土器編年を組み立てた。日本列島西部の草創期土器編年は概ね5期に区分でき,全体としては,時期が下るにつれて,地域色が顕在化する傾向が認められる。特に本稿V期には,九州と本州との間の繋がりが土器からは伺いにくくなる。以上の編年作業によって得られた先行研究と異なる知見としては,主に以下の2点が指摘できる。第1には,本州東部方面の「厚手爪形文土器」の影響を受けて,九州で爪形文土器が発生し,南九州を含めて爪形文土器単純期(本稿IV期)が認められる点が挙げられる。また,第2には,九州における最初期段階の隆起線文土器の底部形態は平底が主流であると考えられる点が挙げられる。本稿における土器編年作業は,縄文時代草創期における日本列島東西の併行関係を考える上での足掛かりとなる。また,土器編年が示す細かなタイムスケールは,旧石器時代終末から縄文時代初頭にかけての日本列島史を理解する上で有効であり,多方面の応用と活用が可能である。
著者
王 婷 渡辺 悌二
出版者
北海道地理学会
雑誌
地理学論集 (ISSN:18822118)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.13-31, 2020-09-24 (Released:2020-10-05)
参考文献数
39
被引用文献数
1 1

山岳国立公園のおもなレクリエーション活動には登山と野営があり,登山者に提供される宿泊施設として野営場と山小屋が設置されていることが多い。野営場の適切な管理は,自然環境の保護・保全をすすめるために必要であると同時に,登山者に質の高い野営体験を提供するために重要である。本研究では,大雪山国立公園の高山帯に分布する,管理の行われていない野営場(正式呼称は「野営指定地」)に適切な管理を導入するために,野営場の予約制の管理制度が確立されている台湾の3 つの山岳国立公園を事例として,野営場の特徴を明らかにし,予約制管理の取り組みとその効果について調査を行った。 対象とした台湾の国立公園(国家公園)は,玉山,雪覇および太魯閣の3 つの国立公園で,まず,文献調査およびインターネット調査によって,これらの国立公園の野営場ならびに山小屋に関する情報を収集し,ArcGIS を使ってそれらの分布図を作成した。 次に,それぞれの国立公園の代表的な登山道沿いの宿泊施設(野営場および山小屋)の設置密度を計算した。その結果,登山道区間の長さ1 km あたりに設置された山小屋の数が少ないほど,野営場がたくさん設置されている特徴が見いだされた。また,玉山国立公園の登山道区間・八通関越嶺線では,登山道長1 km あたりの宿泊施設の設置密度が一番小さく(0.19 カ所/km),逆に山小屋の少ない太魯閣国立公園の登山道区間・奇萊東稜線で設置密度が一番大きかった(0.86 カ所/km)。台湾の山岳国立公園では,非公式野営場とオンライン予約の可能な野営場を組み合わせて配置することで,隣接する野営場の設置間隔を小さくし,個々の野営場面積を小さくすることに成功している。 さらに,これら3 つの国立公園で公園管理者に対して聞き取り調査を行った結果,それぞれの国立公園で異なる人数制限と予約制度が導入されていることが明らかになった。また,雪覇国立公園の宿泊施設利用者に対してアンケート調査を実施した。これらの調査の結果,予約制の管理制度の導入が野営場の混雑問題の軽減と野営体験の質の改善に役立っていることが明らかになった。しかし,無許可入園者の幕営による混雑がいくつかの野営場で問題となっているなど改善の余地が残されていることも明らかになった。 大雪山国立公園の高山帯には,土壌侵食と過剰利用が問題となっている野営指定地があり,こうした野営指定地では予約制度の導入が問題解決・軽減に有効であると考えられる。その際,太魯閣国立公園のように,今後,オンライン予約を必要とする野営指定地と予約のいらない野営指定地を組み合わせた緩やかな予約制度の導入が議論されるべきである。さらに,黒岳野営指定地のように利用者が多く土壌侵食の著しい野営指定地においては,テントパッドの設置のような能動的管理の導入が期待される。
著者
成橋 和正 藏所 志穂 中村 憲夫 NARUHASHI Kazumasa KURASHO Shiho NAKAMURA Norio
出版者
京都
雑誌
総合文化研究所紀要 = Bulletin of Institute for Interdisciplinary Studies of Culture Doshisha Women’s College of Liberal Arts (ISSN:09100105)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.135-141, 2021-07-29

Drug therapy with steroids and moisturizers is highly effective for the treatment of atopic dermatitis, but the use of steroids is dependent on the stage of the patient’s disease. Shiunkou is a Kampo topical ointment with a purple tinge called shicon. It has been reported to be used clinically in combination with a moisturizer; however its stability has not been described. In this study, we investigated the stability of Shiunkou and Hirudoid Soft Ointment when mixed. The simplest method for measuring stability is to observe changes in appearance. The mixed ointment did not change during refrigerated storage for up to 7 months. When stored at room temperature, oil separation occurred after the first month, and became more remarkable with time, such as at 3 months and 7 months. It has been shown that the ointment mixture should be stored refrigerated rather than stored at room temperature. When the stability of shicon, which is an active ingredient of Shiunkou, was examined in an aqueous solution, it decomposed very quickly regardless of the pH. Hirudoid Soft Ointment is a w/o preparation and contains water. When the ointment is mixed, and shicon, a the component of Shiunkou, comes into contact with the water contained in the Hirudoid Soft Ointment, there is a concern that the content of shicon in the ointment mixture may decrease, even if by a small amount or for a short time.
出版者
運輸大臣官房審理官室
巻号頁・発行日
vol.昭和31年, 1957