著者
坂田 貞二
出版者
拓殖大学言語文化研究所
雑誌
拓殖大学語学研究 = Takushoku language studies (ISSN:13488384)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.149-171, 2018-02-20

Among many festivals celebrated by the Hindus in North India, this paper describes only five of them mainly dedicated to the Goddesses in this manner: the days and the ways they are celebrated, the stories on their origin and the songs sung on the day. The five are as follows: ・Gangaur, in which the wives pray to Gan and his wife Gaur for the long lives of their husbands.・Śītalāstomī, in which the ladies pray to the goddess of smallpox Śītalā not to attack their family members.・Vat Sāvitrī, in which the wives pray to the Goddess and pious wife Sāvitrī for the healthy life of their husbands.・Dīwālī, in which men and women invite the Goddess of wealth Laksmī to their homes.・Holī, in which men and women invite Holikā, the Goddess of spring/new year.On the occasions of these festivals goddesses living in the heaven come down to the earth and meet human beings. Thus, Hindu Festivals dedicated to the Goddesses provide excellent occasions for human beings to come closer to the heavenly Goddesses.
著者
瀬谷 政樹 張 英夏 向井 信彦
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 40.11 映像表現&コンピュータグラフィックス (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.227-228, 2016-03-02 (Released:2017-09-22)

液体が物体と衝突した際の液体の挙動に関する研究は数多く存在するが,凹面状物体に落下した液体の挙動に関する研究はあまり報告されていない.そこで本稿では,凹面状の物体に落下した液体が形成する薄膜の表現手法について考案する.液体の挙動解析には,流体の解析に広く用いられている粒子法を用いる.粒子法の一つであるSPH (Smoothed Particle Hydrodynamics)法を用いて,流体の支配方程式であるナビエ・ストークスの方程式を解く.また,凹面状物体と液体粒子の距離に応じて,液体粒子は凹面状物体からの影響を受ける.さらに,凹面状物体に落下後,飛散する液体に対して空気抵抗,および表面張力などの外力を考慮することで,より現実に近い液体の落下および飛散を表現する.
著者
星野 裕司 篠原 修
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.317-326, 1995-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

魅力ある落水表情は河川景観において重要な役割を担っている。しかし河川横断構造物では設計からそれが考慮されることは稀であり、人工の滝のデザインでも経験に基づくのみで水理学的な考察が欠如している。そこで本論は、自由落下型の落水を対象として、現実表情の観察による落水表情の分類、既存の水理学経験式等の適用による規定要因の考察、予測と現実表情との比較を通して、落水表情の予測、制御が可能となるデザイン方法論を提示した。以上のように本論は、水理学上の新たな知見を得るものではないが、落水現象を景観的視点から全体的に把握し、水理学上の理論をデザイン方法論へ統合したことに意義があると考えている。
著者
松木 啓子 Keiko Matsuki
出版者
同志社大学言語文化学会
雑誌
言語文化 = Doshisha Studies in Language and Culture (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.[345]-368, 2009-12-31

本論の目標はコミュニケーションにおける儀礼理論の意義を再検討することであると同時に、コミュニケーションにおける儀礼的諸相の再考察である。デュルケムに大きく影響を受けた人類学の儀礼研究が今日のコミュニケーション研究に深く関わっているこを確認すると同時に、コミュニケーションにおける儀礼的諸相とそのような諸相を通して構築される社会的意味の重要性を指摘する。特に、儀礼の機能と意味の問題に注目しながら、人類学の儀礼研究を貫く「連帯」と「聖なるもの」の概念に注目する。
著者
逢澤 正行 篠原 修
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.593, pp.105-115, 1998-05-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

自由乱流の重力噴流に属する自由落下型落水表情と壁面乱流の開水路急変流に属する越流型落水表情の両者について, レイノルズ数の連続的変化に伴う自由表面の断続的形態変化が, 自由表面の安定問題となる第1領域, 遷移領域である第2領域, 全体が乱れる第3領域の不連続な3領域に区分できることを実験的に求め, その境界値を無次元量によって示した. また, 第1領域において, 自由表面の安定問題が微小擾乱の成長問題となり, 自由落下型の場合には表面張力が, 越流型の場合には重力が, 微小擾乱に対抗する復元力として作用することを示した.
著者
荒木 希和子 福井 眞 杉原 洋行
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.169-180, 2017 (Released:2017-08-03)
参考文献数
54
被引用文献数
2

質を示すのは良性腫瘍である。また、悪性腫瘍(ガン)は、自らゲノムを改変したサブクローンを作り、そのニッチ幅もしくは環境収容力を広げることによって、周辺組織や他臓器に適応し、浸潤・転移する。これは細菌以外の生物個体レベルでは知られていない特異的な進化メカニズムである。マクロな生物の成育環境と同様、ガン細胞も変動環境下に存在し、治療や免疫は生体内での細胞に対する攪乱と捉えられる。そして、腫瘍細胞に突然変異等の遺伝的変化が蓄積するに伴い、ゲノム構成もサブクローン間で異なってくる。この遺伝的変化の時間的進行は、クローン性進化の分岐構造として、系統樹のような分岐図として示すことができる。組織内でのガン細胞の空間的遺伝構造は、組織内や成育地内で環境の不均一性とサブクローンの限られた分散距離を反映し、サブクローンがパッチ状に分布した構造になっている。このように、細胞レベルのクローン性の特性を生物のクローン性と比較することで、両分野に新たな研究の進展をもたらすことが期待される。
著者
尾崎 真奈美
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.79-90, 2021 (Released:2022-07-03)

本研究は、フィンランドにおける社会距離拡大におけるポジティブな人間関係とwellbeingの可能性を、オンラインインタビューを通してケーススタディしたものである。2020年のロックダウン直後の6,7月にフィンランド在住フィンランド人9人を対象にオンラインによる半構造化面接を行った。その結果、以下の特徴が報告された。すなわち、物理的隔離においても様々な工夫により、対人関係の貧困化は見られずむしろ豊かになった。また、自然との触れ合いが増して自己との対峙の時間ができ、より内省的になった。社会問題により意識的になった。このようなポジティブな変化は、秀逸なIT環境・社会福祉制度という外的な要因が大きいと推測されるが、本研究は、社会距離拡大を通して、一人でいることを楽しむ精神性や態度が個人のwellbeingに関与している可能性を示した。
著者
石田 祥代 松田 弥花 本所 恵 渡邊 あや 是永 かな子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.37-51, 2021 (Released:2022-07-03)

本稿では、文献調査と聞き取り調査を通して、スウェーデンの義務教育からの移行支援およびインクルーシブ教育の構造を明らかにする。スウェーデンでは、義務教育後の進路の選択肢は、後期中等教育機関としての高校・知的障害高等部・聴覚障害高等部・肢体不自由高等部があり、セーフティネットとしての若年者支援プログラムとリカレント教育としての社会教育機関も受け皿として存在する。移行支援では、キャリアカウンセラーと特別教育家が連携し、最適な学習環境の視点からの進路選択、進学希望先への見学促進、教育的支援の情報伝達を行っている。後期中等教育におけるインクルーシブ教育システムを支えるのは子ども健康チーム、対応プログラム、高校の入門プログラムであった。特徴としては、途切れのない障害児教育システム、前期・後期中等教育間の接続、移民の子どもへの教育的支援、学習を保障する生涯教育システムが挙げられた。
著者
中丸 禎子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.65-78, 2021 (Released:2022-07-03)

スウェーデンの作家セルマ・ラーゲルレーヴは、日本において、「キリスト教作家」および「平和主義作家」として受容された。一方、日本の受容を媒介したと考えられるドイツにおいては、ナチ政権下で人気を博した。本稿では、反戦とナチズムという、一見対照的な作用をもたらした両国の受容が同じ根を持っていたという仮説を立て、ラーゲルレーヴ受容に大きな功績を果たした香川鉄蔵とイシガオサムがいずれも無教会とかかわりを持っていたことに着目する。まず、近代日本におけるキリスト教の流れを内村を中心に概観し、内村の「デンマルク国の話」とその受容、内村とドイツの接点であったヴィルヘルム・グンデルトの経歴、内村の北欧に関する記述を通じて、内村の北欧受容のあり方を検討する。次に、香川鉄蔵、イシガオサムのラーゲルレーヴ受容を通じて、日本における「血と土」思想の定着のあり方を考察する。
著者
福地 潮人
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.23-35, 2021 (Released:2022-07-03)

スウェーデンの賃金補助金は同国の障害者に対するアクティベーション政策の枢要を成している。しかし、同制度をめぐっては近年、「ロックイン効果」と雇用主による不正取得という二つの問題が生じていた。2017年の制度改革では、重度の障害や疾病のある参加者に配慮しつつも、教育訓練的側面が強化され、前者の問題への対応が積極的に行われた。が、これに比して、後者には十分な対応がなされているとは言い難い。後者の問題に対応する上では、労働組合や障害者団体などの市民社会組織のガバナビリティの一層の強化が求められよう。
著者
倉地 真太郎
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.53-63, 2021 (Released:2022-07-03)

本研究は、デンマークにおけるコロナ下のレジリエンス(危機時の行政・政府の能力や回復力)を、財政と財政をめぐる政治的合意システムの観点から検討することを目的とする。多くの先進諸国はコロナ対策として、類を見ない規模の財政措置を実施してきた。本稿で取り上げるデンマークは一時的な現金給付や付加価値税減税を実施するのではなく、所得保障制度を活用しつつ、政労使の合意により賃金補償を行うなど、既存のセーフティネットを利用・充実させることで雇用を維持している。その結果もあり、政府の対応は有権者から高い評価を得ている。 地方財政に目をむけると、デンマークでは毎年度行う地方財政計画の政府間合意によって地方政府にミクロレベルでの財源保障を行うことができている。また、これらの措置や対策が比較的早いスピードで、労働組合全国連合や地方政府代表組織を巻き込んだ緊密なインフォーマルな協力関係のもとで統合的な意思決定を行ったことも特徴的である。