著者
髙久 智広
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.182, pp.89-113, 2014-01-31

これまで幕藩制社会における官僚制の問題は、将軍や幕閣といった政権担当者の交代や改革に伴う幕府の機構改革の側面から論じられることがほとんどであった。しかしそうした改革や政権交代には必然的に積極的な人材登用とともに前政権が行った政策の批判的継承と前政権の諸政策を担った諸役人の処分や否定も付随する。このように考えると、幕府の官僚組織を編成する側の論理もさることながら、その構成員たる幕臣たちが、組織内での地位の上昇・下降をどのように捉えていたのかを明らかにすることが、組織の実態を明らかにするうえでは欠かせない作業となってくる。そこで本稿では武士の立身出世を題材にした出世双六のうち、「江戸幕臣出世双六」「御大名出世双六」「御役替双六」の三点を検討素材として、史料としての有効性を測りつつ、幕府の官僚組織における出世を、幕臣たちがどのように捉えていたのかを考察した。本稿では、まず第一節において、「江戸幕臣出世双六」と「御大名出世双六」の比較からこれらの双六には、職制上の階梯を昇っていくことだけではなく、それに伴う禄高の上昇や御目見以下から以上、あるいは旗本から大名への家格の上昇、また殿席や官位・官職の上昇、さらには武家としての継承・繁栄までを組み込んだ出世観が示されていると位置づけた。また、この二つの双六の特徴として、まずそれぞれの場に応じた上役や関係諸職との間で交わされる付届けの贈答関係、即ち交際のあり様がより重視されており、それは出世・昇進とは不可分の関係にあったこと、またその結びつきの強弱はこれらの双六では付届けの数によって示されているが、その多少は職階の上下以上に、それぞれの職務内容や権限がより大きく作用する構成となっていることを指摘した。またこれら二つの双六は「振出シ」や「家督」のマスにおいては、サイコロの出目というある種の運命によって振り分けられる武家としての身分的階層が、現実世界と同様に御目見以下の最下層に位置する中間から、最も上層の万石以上まで大きな幅をもって設定されており、そうした各家に歴史的に備わった家格=身分的階層が出世・昇進と密接な関わりを持っていることがゲームを通じて実感される構成となっている。その一方で、佐渡奉行が側用人や伏見奉行に飛躍するような実際にはあり得ない抜擢人事の要素をも組み込んでいて、しかもそれが両双六において採用されていることから、これらの双六にみられる特徴は、幕臣の出世に関し、当時共有されていた認識を示すものではないかと本稿では位置づけている。また、本稿で検討した三つの双六では、サイコロを振るごとに単純に地位が上昇していく仕組みではなく、降格や処分を意味する設定が実態に即した内容で組み込まれている点が重要ではないかと考えた。そのことにより、どの役職や場に、どのようなリスクがあるのかということも知ることができるからである。なかでも第二節においては「御役替双六」に設定された「振出シ小普請」と「一生小普請」に注目した。これは三〇〇〇石以下の無役を意味する一般的な小普請と、処分や粛正によって貶される咎小普請という、幕府の官僚組織の特色の一つである小普請の両義性を明確に提示するものである。特に「一生小普請」については、当該双六の作成時期として比定される享保期から天明期にかけての勘定奉行・勘定吟味役、大坂町奉行の動向を追い、「御役替双六」における「一生小普請」の設定が、一八世紀半ばにおける上記三職就任者の処分・粛正と小普請入りの実態を反映したものであることを指摘した。同時代に生きた幕臣やその子弟たちは、「御役替双六」の「一生小普請」と諸職の対応関係をみただけで、現実にあった政権担当者の交代やそれに伴う政策方針の転換、前政権担当者や関連諸役の粛正などを想起したであろう。こうした出世双六は、本来、幕府の官僚組織のあり方を論じる上では二次的・三次的史料に分類されるものではある。また、概ね実態を反映する形で構成されてはいるものの、それぞれの双六には製作者の意図や認識が組み込まれている。しかし、これらの双六において再現される立身出世のプロセスは、現実世界を強く照射するものでもあり、一次的史料に即して批判的に検証したことで、有効な研究素材になりうることを明らかにできたのではないかと考える。
著者
築山 高彦 山田 光治 愛知県西三河児童・障害者相談センター 岡崎女子短期大学幼児教育学科
雑誌
岡崎女子大学・岡崎女子短期大学 地域協働研究 (ISSN:21892385)
巻号頁・発行日
no.1, pp.19-27, 2015-03-30

児童養護施設等で発生している暴力問題に対して、児童と職員の安心・安全な生活を保障する取り組みとして、安全委 員会方式が一定の効果を上げている。愛知県の児童相談所が施設と協働しながら、平成24年度からその導入に取り組んだ 具体的な状況について整理し、導入のために必要な条件として、①施設長のリーダーシップ、②中核的職員の存在、③理 事会の理解と支援、④児童相談所のバックアップの4点を、具体的に導入を進めて行く上での必要な手続きとして、①内 部委員の決定、②施設内コンセンサスの形成、③児童への周知・説明、④外部委員の選定・依頼・研修の4点を指摘し、 それぞれについて検討を加えた。
著者
菊井 和子 竹田 恵子
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.63-70, 2000-06-26

エリザベス・キュブラー・ロスの名著「死ぬ瞬間」(1969年)がわが国に導入されて以後, 死にゆく患者の心理過程はターミナルケアにあたる医療職者にとっても社会全体にとっても重要な課題となった.なかでもその最終段階である"死の受容"についての関心が高まった.キュブラー・ロスは"死の受容"を"長かった人生の最終段階"で, 痛みも去り, 闘争も終り, 感情も殆ど喪失し, 患者はある種の安らぎをもってほとんど眠っている状態と説明しているが, わが国でいう"死の受容"はもっと力強く肯定的な意味をもっている.患者の闘病記・遺稿集およびターミナルケアに関わる健康専門職者の記録からわが国の死の受容に強い影響を及ぼしたと考えられる数編を選び, その記述を検討した結果, 4つの死の受容に関する構成要素が確認された.つまり, 1)自己の死が近いという自覚, 2)自己実現のための意欲的な行動, 3)死との和解, および4)残される者への別離と感謝の言葉, である.わが国における"死の受容"とは, 人生の発達の最終段階における人間の成熟した肯定的で力強い生活行動を言い, 達成感, 満足感, 幸福感を伴い, 死にゆく者と看取るものの協働作業で達成する.
著者
朝岡 康二
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.543-562, 2003-10-31

本稿はスペイン・バルセロナにおける公的な博物館群の社会的な位置付けやその表象機能を紹介するとともに,これらの博物館群のひとつを構成するバルセロナ民族学博物館の特徴を示し,同時に,そこに収蔵されている日本関係コレクションの持つ意味の検討を行ったものである。同博物館の日本関係コレクションは,収集を行ったエウドラド・セラ・グエルの名を借りて,ここでは仮に「セラ・コレクション」と称することにする。同コレクションは決して古いものではなく,1960年代のいわゆる民芸ブームの中で収集された民芸品(あるいは観光記念品)であり,美術的な価値という点から評価するならば,貴重であるとは,必ずしも言い難いものである。しかし,見方を変えるならば,戦後の観光文化(なかでも地方都市の文化表象としての)を具体的に示すものとして興味深い資料であるし,また,当時のヨーロッパの一般的な観点からの「日本文化」であると言う点から言えば,また別の意味を導き出すことができる。近年のヨーロッパにおける大衆的な日本ブームと繋がるものだからである。さらに,このコレクションを集めた意図・過程・集めた人物などを検証していくと,その成立の背後に戦後のバルセロナのブルジュワと芸術家の集団があることがわかり,その持つ意味を知ることができるし,あるいは,明治・大正・昭和に跨るヨーロッパと日本を繋ぐ複雑な人的関係の一端も明らかにすることができる。そのキーパーソンがエウドラド・セラ・グエルなのである。本稿においてこれらの諸点が充分に解明されたというわけではない。いわば手掛かりを得たに過ぎないのであるが,それでも,次の点を知ることができた。それは,バルセロナにおけるセラを中心とする広範な人的関係に加えて,セラと日本を結ぶ(したがって,「セラ・コレクション」の背景となる)人的関係に,住友財閥の二代目総理事であった伊庭貞剛の一族がおり,「セラ・コレクション」はこの一族の広範な海外交渉史の一面を示すものでもある,ということである。
著者
鈴木 勇祐 桜谷 保之
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.43, pp.81-90, 2010-03-01

In this study we investigated ground beetles living in the Nara Campus of Kinki University, central Japan. In threeenvironments (pound edge, grassland, forest), ground beetles were collected using pitfall traps. A total of 1641 beetleswere collected, representing 18 families and 74 species. Of these, 298 beetles, representing, 11 families and, 39species, werecollected at the pound edge. The dominant species at this site were Onthophagus nitidus, Eusilpha japonica, Carabusyaconinus yaconinus, Amara chalcites, Pheropsophus jessoensis and Platydracus inornatus. A total of 248 beetles, including 12 families and 47species, were collected in the grassland. The dominant species of this site were Synuchus congruous, Pheropsophus jessoensis, Harpalus niigatanus, nisodactylus punctatipennis, Agrypnus scrofa and Bradycellus subditus. A total of 1097 beetles, representing 13 families and 42species, were collected in the forest. The dominant species of this site were Onthophagus nitidus, Synuchus congruous, Nebria chinensis and Nebria chinensis. The Shannon-Weaver diversity index (H') was 5.23 at the pound edge, 4.85 in the grassland and 3.55 in the forest. The Simpson diversity index (SID) was 11.14 at the pound edge, 18.28 in the grassland and 7.87 in the forest. The Kimoto similarity index (Cπ) was 0.654between the pound edge and the grassland, 0.495 between the forest and the grassland and 0.455 between the pound edge and forest. Ochiai similarity(OI) was 0.375 between the pound edge and the forest, 0.349 between the pound edge and the grassland and 0.236 between the grassland and the forest. The disturbance degree index( ID) was 1.81 at the pound edge, 1.42 in the grassland and 1.28 in the orest. These plots are subject to disturbance; that at the pound edge and in the grassland is similar to that reported for riversides, and that in the forest is similar to that reported for mountain forests.
著者
上田 将嗣 佐々木 睦美 横山 大輔 知識 拓弥 先立 英喜 山本 保文 藤村 直美
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-43, no.16, pp.1-7, 2018-09-20

九州大学情報統括本部 (以下,「情報統括本部」 という.) では,2017 年から 2018 年にかけて,キャンパスライセンスを締結するセキュリティ対策ソフトの切り替えを実施した.本稿では,切り替えに至る経緯及び切り替え作業の内容と遭遇した問題点について報告する.
著者
水越 一郎
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-43, no.15, pp.1-3, 2018-09-20

アドビシステムズが 1993 年に開発し,2008 年 7 月には ISO 32000-1 として標準化された PDF (Portable Document Format) は学術論文や公的資料など情報公開時のスタンダードとなっている.その機能は単なる印刷フォーマットではなく,電子署名やメタデータなど情報処理に適したものを有している.国内では官報のように電子署名 ・ タイムスタンプを付与した利活用がされる一方で,墨塗り処理のミスに対する対策として画像化したものを改めてスキャンして公開するといった,情報の利活用に反した事例も見られる.本報告では,1) 誤った墨塗りによる PDF 公開の事例の調査結果を報告し 2) 学術論文の構造に注目したメタデータの活用について提案する.
著者
中井 さち子 丹羽 光明 山崎 成一郎 堀井 博
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 = The journal of Kyushu University of Nursing and Social Welfare (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.13-18, 2015-03

「目 的」 生産方法の違いが、農産物の持つ抗酸化力にどのような影響を及ぼすのか、特に土壌養分の質の違いに着目し実験を行った。「方 法」 慣行農法と有用微生物群(EM)を活用した有機農法で別々に育てられた、自家採種の自然種の野菜(ダイコン)の抗酸化力・糖度・電気伝導度・可給態窒素を圃場にて栽培測定した。測定機器はウイスマー社フリーラジカル評価システムF.R.E.E(Free Radical Elective Evaluator)、アタゴ社製Brix糖度計およびHORIBA社製コンパクト電気伝導率計B-173を使用し、測定を実施した。統計処理は、Studentのt検定を行った。「結 果」 ダイコンにおける抗酸化力の平均値は、EM農法が493.05μmol /mlに対して慣行農法は440.44μmol /ml、一方糖度の平均値はEM農法が7.5Brix%に対して慣行農法は7.1Brix%であった。抗酸化力(0.01<p<0.05)、糖度(p<0.01)共にEM農法のほうが慣行農法に比較して高い抗酸化力を示した。一方、野菜から体に入り、有害とされる硝酸態窒素は慣行農法が高かった。また養分(肥料)は慣行農法の方が一気に土中に放出されるが、有機農法の方は微生物が養分を抱え込みながら徐々に土中放出することが示された。「考察・結論」 有用微生物群を活用したEM農法の方が、慣行農法に比べて抗酸化力・糖度の高い農産物を栽培できることが示唆された。EM農法で育てられた抗酸化力の高い食材を摂取していくことは、活性酸素の影響を防ぎ、ヒトの健康維持に有用であると考えられる。さらに有用微生物群は土中で養分を作物に供給する調整能力があることが伺われた。
著者
鈴木 善充
出版者
近畿大学経済学会
雑誌
生駒経済論叢 = Ikoma Journal of Economics (ISSN:24333085)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.21-35, 2018-07-31

[要旨]本稿では,所得税における扶養控除の見直しの1つである配偶者控除を取り上げて現行制度の課題について検討をおこなった。第1に,これまでの政府税制調査会での議論からは,過去では配偶者の就労への中立性や家事労働への経済的価値などが議論されていたが,最近では,配偶者控除廃止による財源での子育て支援や新たな夫婦控除の創設が議論されていることがわかった。また配偶者控除を所得控除方式から税額控除方式へ転換させるべきとの議論が存在している。第2に,過去の研究によると,配偶者控除の存在が配偶者の労働供給に負の影響を及ぼしているかどうかについては,廃止による既婚女性の労働供給への影響はわずかに増加する程度であり,過去の配偶者控除が拡大された税制改革によって有配偶の女性への有業率にわずかな正の影響があるという結果がえられていることがわかった。第3に,同水準の世帯所得の共働き世帯と片働き世帯を取り上げて担税力の比較をおこなったところ,片働き世帯は家事労働による帰属所得を得ているとみなすことができるので,片働き世帯が多くの負担をすべきであるが,現行制度では帰属所得に課税することができないので,片働き世帯に有利な税制になっていることがわかった。[Abstract]This paper examined the spousal deduction that is one of the reviews of the credit for dependents in the income tax and examined the problem of the current system. First, the Tax Commission has discussed neutrality of spousal’s employment and economical value of domestic labor in the past. Recently, however, the commission considered child care support and introduction of the“new married couple deduction”based on the revenue from abolishing the spousal deduction. This discussion also contains the conversion of the spousal deduction system into tax deduction from income deduction. Second, previous studies have focused on whether the spousal deduction has a negative effect on the labor supply of spouses. These studies clarified that the labor supply of married spousal women decreased slightly, white the expansion of the spousal deduction had a slight positive effect that increased the employment rate of women with spouses. Third, comparison of the tax capacity between the married couple with dual-income and a single income at the same income level showed that the married couple with a single income has an advantage in tax system. This is because the married couple with a single income has imputed income in domestic chores, so that the couple needs to pay more taxes. However the tax system cannot levy imputed income.
著者
髙橋 昌士 猪俣 敦夫
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-43, no.13, pp.1-6, 2018-09-20

フィッシングメールによる機密情報の搾取は非常に多くの人にとって驚異である.現在の主な対策は自然言語処理フィルタやファイルのハッシュ情報を活用したスパムフィルタリングを行っているが,検知精度はフィルタリングを提供する側の知見に依存する.そこで今回は巧妙なフィッシングメールをメールのヘッダ情報を特徴にして,機械学習のロジスティック回帰のアルゴリズムで識別することを検討した.取り組みの結果としては 3031 通のサンプルに対し約 70% の確立で識別することができた.
著者
周 家興 廣瀬 幸 柿崎 淑郎 猪俣 敦夫
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-43, no.11, pp.1-6, 2018-09-20

ランサムウェアが実行される時,ファイルを削除したり,暗号化したり,または他の動作を行うために,必ず API を使う.更に,同じファミリーに属するランサムウェア亜種であれば,実行された時ランサムウェアの親プロセスに使用された API の種類が同じである.本稿ではランサムウェアが実行された時の親プロセスにより呼び出された API の頻度に着目し,API 同士間の相関係数を求め,その相関係数を特徴量として機械学習を用いてランサムウェア亜種のファミリーを区別する方法を提案する.
著者
谷所 基行 大久保 克彦 江原 鉄男 中山 典保
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-43, no.9, pp.1-6, 2018-09-20

SDN / NFV 環境の品質確保のためには,低コストかつ高精度な遅延測定環境が必要であるが,専用測定器は高価であり,ソフトウェア測定器は精度が得られないといった問題がある.これらの問題を解決するため,Network Processing Unit (NPU) を搭載した SmartNIC を用いて,サブマイクロ秒の高精度な転送遅延計測装置を開発した.本稿では,その実現方法 ・ 実装について示すとともに,本装置を用いて測定した遅延の測定結果について報告する.
著者
松本 直人
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-43, no.8, pp.1-4, 2018-09-20

20 世紀末から続くインターネットの普及に伴い,情報システムを支えるデータセンターも規模拡大が続いている.そのような中でデータセンターでは,サーバー技術の発展に伴う単位面積あたりの熱密度増加も顕著になり,これらが持続可能なデータセンターのサービス提供とサーバー収容の課題となってきている.本稿では,これら高密度化するデータセンターにおけるサーバー等計算機向けの冷却方式について,今後も持続可能に成長を続けるために必要とされる方策について考察する.