著者
松本 剛次
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.158, pp.97-111, 2014 (Released:2017-02-17)
参考文献数
19

インドネシアの中等教育では,2004年発表の「普通高校・宗教高校カリキュラム」以降,「能力を基盤とするカリキュラム」という考え方が唱えられてきた。そこでは「変化や複雑さ,不確実さに対応できる能力の育成」が重視され,日本語の授業もそれに貢献するものとされた。 しかしこのような考え方は,実際の授業に取り入れられることはあまりなかった。それが近年になり,教育系大学による新たな教師研修・教師養成制度の開始や,それに伴う「PAIKEM(活動・革新・創造・効果的で楽しい授業)」・「科学的アプローチ」といった方法論の紹介などを通して,次第に現場の教師にも理解されるようになってきている。アクション・リサーチ,レッスン・スタディなどの報告も増えている。 「能力の育成に貢献する日本語教育」という考え方はインドネシアの中等教育に限定されるものではない。今後それらが連携していくことで,さらなる進展が期待できる。

1 0 0 0 OA 精度って何?

著者
秋山賢一
出版者
日本自動車研究所
雑誌
自動車研究
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, 2007-12
著者
大野 ゆかり 森井 悠太
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.65-70, 2021 (Released:2021-08-17)
参考文献数
20
被引用文献数
2

限られた研究費・労働力・調査時間の中で研究を行う研究者にとって、市民参加型調査は非常に魅力的な調査方法である。市民参加型調査には、広範囲で大量の生物観察データが得られる、得られたデータを使用して研究ができるといった、研究者にとってのたくさんのメリットがある。また、市民参加型調査は研究上の調査手法というだけではなく、研究のアウトリーチ活動になることや、市民の自然への関心を高めることができる、科学リテラシーの普及活動になるといった、研究者の社会貢献的な意味合いのメリットも、市民参加型調査から受け取ることができる。研究者(市民参加型調査の立案者)がこれらの市民参加型調査のメリットを十分に得て、目的を達成するためには、市民参加型調査の特徴を知り、適切なデザインをすることが必要である。海外における市民参加型調査の特徴を分析した研究によると、様々な市民参加型調査を主に、1.参加者が特定の少数で計画的に行うか/参加者が不特定多数で自由に行うか、2.参加者に求める調査の負担が大きいか/小さいか、の2つの軸で類別できるとされている。本特集ではさらに、3.調査対象の生物種が特定の少数か/不特定多数か、というもう1つの軸を加え、様々なデザインの市民参加型調査について紹介したい。東北大学の大野ゆかりが、不特定多数の参加者によって、簡便な調査方法を用いた、特定の生物群(ハナバチ類)を調査対象とする市民参加型調査について情報を提供する。京都大学の森井悠太が、たった1人の市民が多大な労力を払うことによってもたらされた、外来種・マダラコウラナメクジの調査データを基にした研究について情報を提供する。さらに、バイオーム(株)の藤木庄五郎博士は、不特定多数の参加者が簡便な調査方法で不特定多数の生物種を対象とする市民参加型調査について情報を提供する。最後に、東京大学の一方井祐子博士は、生態学に限らない様々な分野の市民参加型調査を俯瞰しつつ、市民科学(シチズンサイエンス)の可能性と課題を議論する。本特集では、研究者(市民参加型調査の立案者)が市民参加型調査のメリットを十分に得て、目的を達成するための適切なデザインの提示を目指す。本特集が読者らにとって、市民参加型調査の理想や、市民科学のもたらす未来について議論するきっかけとなることを期待したい。
著者
齋藤 岳人 井上 和哉 樋口 大樹 小林 哲生
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第19回大会
巻号頁・発行日
pp.4, 2022 (Released:2022-04-20)

本研究の目的は,記憶や流暢性現象(真実性効果など)において重要な要因と考えられている書体の読みやすさに書体への接触,使用経験が関与するのか明らかにすることである。そこで,大学生を対象として,無意味文字列に対する書体の読みやすさと接触頻度,使用頻度のWeb調査(7件法のリッカート法)を行い,これらの関係を検討した。書体ごとの評定値を平均し,相関係数を算出したところ,読みやすさと接触頻度で.69,読みやすさと使用頻度で.77の高い正の相関が有意であった。しかし,特徴的な形態の書体や,特定の種類の書体では接触,使用頻度に関係なく,読みやすさが判断されていた。この結果は,普段から目にすることが多く,使用する機会の多い書体が読みやすいと判断される一方で,形態的要因から読みやすさが判断される書体も存在することを示唆する。
著者
福田 八寿絵
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.67-74, 2012-09-19 (Released:2017-04-27)

治療行為や医学研究に際し、その対象者の同意が治療や研究の正当性の要件となっている。しかし子どもが対象者となる場合には、親権者を対象としたインフォームドコンセントのみで治療や研究がなされることが少なくなかった。国連こどもの権利条約発効以来、医療行為に関しても子どもの意思表明権などを認めることが世界的潮流となってきている。その先例としてイギリスには、親権者の同意なしで子どもが医療の意思決定を行うことが可能となる"Gillick rule"が存在する。本稿は、このGillick Competenceをめぐる議論を、特に治療行為に焦点を当て、子どもの意思決定に関わる医療者の役割と課題を明らかにすることを目的とする。治療行為における子どもの権利の法的枠組みとGillick Competenceとは何か、判例をもとに"Gillick rule"の問題点を検討し、利害関係者の役割とその克服すべき課題について考察する。医療チームは、子どもの生活環境への影響に鑑みて同意能力を評価し、子どもとの信頼関係を築き、子どもの秘匿性、プライバシー権にも配慮することが求められる。意思決定への参加を促し、医療専門職、子ども、家族との間で情報の共有化を図ることが医療専門職の責務である。
著者
貝瀬 満 大森 順 鈴木 将大 藤森 俊二 岩切 勝彦
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.807-812, 2018-07-31 (Released:2020-01-09)
参考文献数
21

2017年12月日本消化管学会が主幹となり関連学会と共同で大腸憩室症ガイドライン(憩室出血,憩室炎)を発表した。大腸憩室出血のkey statementを概括した。本邦では大腸憩室の保有率が上昇し,大腸憩室出血は増加している。大腸憩室出血は70~90%で自然止血し,再出血率も20~40%と高率である。大腸憩室出血の診断には止血術も可能な大腸内視鏡が推奨される。クリップ止血法では,出血点を直接把持する直達法に比べ,憩室口をふさぐ縫縮法で再出血率が高い傾向にある。出血憩室を機械的に結紮する憩室結紮法は,クリップ法に比して動脈塞栓術や外科手術への移行率が低い。憩室結紮法では少数例だが遅発性腸管穿孔も報告されている。再出血の予防にはNSAIDsと一次予防アスピリン内服中止を検討する。
著者
浜田 直子
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第37回, no.ソフトウェア工学, pp.783, 1988-09-12

YPS(YAC II Programing System)は,構造化表記法YAC II(Yet Another Control chart II)をベースとしたプログラミングシステムであり,パソコン上でYAC IIチャートによる詳細設計からコーディングデバッグまでの一連の開発作業を統合的にサポートし,効率化,品質向上を目的とするものである.YPSで作成した,詳細設計の例を図1に示す.

1 0 0 0 OA 浦和案内

著者
須賀健吉 著
出版者
須賀健吉
巻号頁・発行日
1912
著者
TAKANO Yuuki MIURA Ryosuke YASUDA Shingo AKASHI Kunio INOUE Tomoya
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.3_85-3_103, 2019-07-25 (Released:2019-08-24)

Application-level network traffic analysis and sophisticated analysis techniques, such as machine learningand stream data processing for network traffic, require considerable computationalresources.In addition, developing an application protocol analyzer is a tediousand time-consuming task.Therefore, we propose a scalable and flexible traffic analysis platform (SF-TAP) for the efficientand flexible application-level streamanalysis of high-bandwidth network traffic.By using our flexible modular platform, developers can easilyimplement multicore scalable application-level stream analyzers.Furthermore, as SF-TAP is horizontally scalable, it manageshigh-bandwidth network traffic.To achieve this scalability, we separate the network trafficbased on traffic flows, and forward the separated flows to multipleSF-TAP cells, each comprising a traffic capturer andapplication-level analyzers.This study discusses the design, implementation and detailed evaluation of SF-TAP.

1 0 0 0 OA 古事類苑

著者
神宮司庁 編
出版者
古事類苑刊行会
巻号頁・発行日
vol.第19冊, 1927
著者
近藤 祉秋
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.096-114, 2021-06-30 (Released:2021-09-23)
参考文献数
63

本稿では、渡り損ねた夏鳥の「残り鳥」や遡上するサケをめぐるディチナニクの実践について報告し、彼らが他種との間に築く「刹那的な絡まりあい」について論じる。北方アサバスカン民族誌学の先行研究では、「人間と動物」の二者関係が記述の枠組みとなってきたが、本稿では「人間-動物-ドムス」の三者関係から考察することを試みる。「刹那的な絡まりあい」は、ディチナニクが他種の生存に対する配慮を怠らない一方で、その関係性が束縛と支配に変わることを未然に防止しようとするせめぎ合いの中で生じるあり方である。ハラウェイは、人間と他種の「絡まりあい」を論じる際に、「自然と絡まりあう先住民」のイメージを前提として、「自然から独立する白人男性=人間」観を批判した。本稿の結論はハラウェイの前提には再検討の余地があることを示している。マルチスピーシーズ民族誌は人間と他種の絡まりあいに関する微細な記述を通して、生態学や生物学の視点からは扱われてこなかった側面を描くことができる。マルチスピーシーズ民族誌家は、人類学者独自の視点を通して、生態学者や生物学者の「人新世」論とより積極的な対話を図るべきである。本稿では、マルチスピーシーズ民族誌がとりうるそのような方向性の一例として、北米の生態学者によって提起された人新世論である「ハイパーキーストーン種」について民族誌事例を通じて検討する。

1 0 0 0 将棋月報

出版者
将棋月報社
巻号頁・発行日
no.242, 1943-03
著者
寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.199-201, 2018 (Released:2018-11-08)
参考文献数
11
被引用文献数
2

心身一如は漢方医学の基本的理念であり,現代の科学的医学とは異なっている。歴史的に見ると,科学は心と身を分離することを基盤に出発しているので,疾病の理解において,心身二元論が臨床的に用いられる結果になっている。しかしながら人間は心身一如のものとして存在している。筆者はこの心身一如という用語が鎌倉時代に道元により著された『正法眼蔵』を起源としていること,さらに,現代において,この用語を初めて用いたのは日本の心療内科の権威・池見酉次郎であることを明らかにした。
著者
守谷 賢二 斎藤 富由起 Kenji Moriya Fuyuki Saito
雑誌
国際経営・文化研究 = Cross-cultural business and cultural studies (ISSN:13431412)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.15-22, 2013-03-01

The purpose of this study is to develop the Mindfulness Scale in Dialectical Behavior Therapy (DBT), which draws attention as treatment of borderline personality disorder, based on previous studies. The author discovered that the scale has four factors: “emotional control”, “distress tolerance”, “effective interpersonal communication” and “core mindfulness”. This factor structure is more consistent with the DBT theory than those in previous studies. However, the validity and reliability of the scale need to be studied furthermore.