著者
中村 由果理 西原 詩子 藤原 桜
出版者
神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.13, pp.186-192, 2020

基礎看護技術における創傷管理技術では、看護学生が基本的な創洗浄や創処置ついての看護技術を修得することを目的としている。看護技術の修得にはより実践的な教育が必要である。看護学生が教科書や講義から知識を得るだけでなく、演習で創傷処置技術が修得できるよう『創傷モデル』が作成された。『創傷モデル』の作成においては〝創傷被覆材が着脱できる〞〝水での洗浄ができる〞〝石鹸での洗浄ができる〞ことを考慮した。『創傷モデル』は臀部注射モデルを土台として利用し、グルーガンとクリアファイル、ホットメルト接着剤を使用し作成した。90人が使用する材料費は60円であった。『創傷モデル』に創傷被覆材を貼付し、石鹸とぬるま湯で洗浄したが、90名の学生が行う創傷処置への耐久性があった。『創傷モデル』は、作成が簡単で安価であり、さらに創傷処置技術を演習する必要な耐久性を備えていると考える。今後、学生の反応など調査し活用を検討していく。| The objective of the "wound management" teaching unit of basic nursing techniques is to help nursing students acquire the skills of basic wound cleaning and wound care. Nursing techniques require an educational method based on a more practical approach. Accordingly, a "wound model" was created with the objective of students obtaining knowledge not only through textbooks and lectures, but also through technical practice using the wound model. The model was created considering how "dressing materials can be used on it," "it can be washed with water," and "can be washed with soap." The "wound model" uses the buttock injection model as a foundation. The wound model was created using a glue gun, a clear file folder and a dissolving hot melt adhesive. The necessary expense for 90 students was approximately 60 yen. Using the created model, dressing materials were used and washing was performed with both soap and lukewarm water. The model could withstand the practice of 9 0 students. The wound model was both easy and inexpensive to create. Furthermore, the model had the durability necessary for use in practice. Hereafter, we believe we can survey student responses and use the model in the next academic year as well.
著者
馬水 信弥 田中 康太郎 安永 卓生
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.104-108, 2020-12-30 (Released:2021-01-13)
参考文献数
17

クライオ電子顕微鏡による単粒子解析では,試料中に含まれる複数のタンパク質構造を分類しながら解くことが出来る.ただし分類された構造間のダイナミクスの情報は類推するしかない.この問題について2020年に発表された三次元再構成およびクラス分類を行うための深層学習アプローチであるcryoDRGNは,離散的なデータ分割による構造分類を脱却し,連続的な構造分類を実現した.そこでは,オートエンコーダーをベースとし,入力粒子画像から投影パラメーターに依存する情報を分離して潜在空間を構築している.本稿では従来の構造分類と,cryoDRGNおよびその背景となる深層学習のトピックについて解説を行ったのち,構造分類のベンチマークとして6種類の複合体を有するGroEL/ESの実データについて三次元再構成とその分類を試みた.
著者
小菅 雅美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.255-262, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10

虚血性心疾患の中でも急性冠症候群は発症早期に心事故を生じうる可能性の高い救急疾患であり,迅速なリスク評価とこれに基づく治療を行う必要がある.急性冠症候群の日常診療において心電図は簡便かつ基本となる診断法であり,診断のみならず重症度評価,治療方針の決定,予後予測に有用な情報が得られる.最近では冠動脈造影検査が普及し,急性期心電図所見と冠動脈造影所見とが対比検討され,両者の関係が明らかになるとともに,その臨床的意義も従来にも増して大きくなっている.
著者
守屋 俊夫
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.114-119, 2020-12-30 (Released:2021-01-13)
参考文献数
30

生体高分子の近原子分解能での構造決定において,クライオ電子顕微鏡による単粒子解析法が現在急激に発展している.特に,本手法は構造のサイズ,構造の不均質性,組成の変動性のために他の構造決定手法が適用できなかった対象でも直接的な可視化を実現した.単粒子解析は画像処理ヘビーな手法であるため,多種多様なアルゴリズムが試されて既に多くの手順が自動化されており,着々とその手順のルーチン化が進んでいる.しかし,過去の構造解析経験に基づいている人の汎用的な視覚認識や総合的な判断だけは自動化することがこれまでできていなかった.ところが近年になりAI分野に革命をもたらした深層学習技術がこの状況を打破しつつある.そこで本稿では,単粒子解析の様々な処理ステップにおける深層学習技術の応用例を紹介し,その中でも全自動化が実用レベルまで達している粒子ピッキングの代表例としてcrYOLOとTopazを少し掘り下げて説明する.
著者
綾塚 祐二 雅樂 隆基 安川 力 吉高 淳夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.379-387, 2022-02-15

機械学習を用いた画像分類は医療を含め幅広い分野で多くの成果をあげている.しかしその分類は何を根拠としてなされているかが人間には分かりにくい場合も多く,どこを見て分類を行ったかを可視化するためのさまざまな研究が行われている.疾患の分類のような目的のためには,画像中の「それらしい」正の寄与部分(所見)だけでなく「そぐわない」,すなわち負の寄与部分となる所見も診る必要があるが,既存の研究では負に寄与する部分は可視化の対象として注目されていない.我々は,機械学習モデルに対し,画像に微小な差異を加えた画像を入力した場合の確信度の出力の大きさの変化を画像化し提示する手法,DiDAを提案する.提案手法ではグリッド単位で区切りマスクした画像を用いて出力の差異をとらえ,複数のグリッドサイズを用いることで,正負の寄与領域を的確に描出する.DiDAを光干渉断層計による眼底の断層画像からの疾患分類に適用し眼科専門医の見解と照合した結果,DiDAによる解析画像は正負の寄与を的確にとらえていることが分かった.また,眼底の断層画像の疾患分類において画像中の正負の寄与領域を既存手法よりも的確に描出することを確かめた.
著者
マルクス 著
出版者
白揚社
巻号頁・発行日
vol.第1分冊, 1931
著者
井上 史郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.506, pp.76-78, 2000-10-09

ファミリーマートが伊藤忠商事など6社と共同で設立した電子商取引(EC)事業運営会社「ファミマ・ドット・コム」(東京都豊島区)が,いよいよ10月30日にサービスを開始する。井上史郎社長は,「各店舗がそれぞれの個性を生かしたECサイトを立ち上げ,地域密着型のビジネスを展開する。この戦略で,ライバルのコンビニに対抗する」と宣言。
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1012, pp.43-47, 2009-09-07

視覚的なARは,視界中の特定の映像に,それに関連する情報を重畳して表示する技術である。例えば,街中で見掛けるビルや店頭の製品,新聞や雑誌といった印刷物など,あらゆるものから会社名や商品の追加説明,プロモーション映像などが飛び出すようなサービスを構築できる注1)。ARの中でも,視覚に関するサービスは最も多く登場しそうだ。
著者
松浦 孝典
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

GBR(骨再生誘導法)を行なったインプラント周囲組織に対し炎症を惹起させると、使用した骨補填材によって炎症の影響に差があるか組織学的に評価することを目的として実験を行った。イヌ下顎骨顎堤に骨欠損を作製しインプラントを埋入、インプラント周囲の欠損部に自家骨、異種骨を補填し治癒後に実験的周囲炎を惹起させた。組織切片上で計測したBIC、新生骨面積、骨吸収面積などの各パラメーター間には統計学的に有意な差を認めなかった。本結果より、異なる骨移植材を用いたGBR後のインプラント周囲組織の炎症の影響には差がないことが示唆された。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケ-ション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.338, pp.108-113, 2001-03-19

ブロードバンド回線の本格展開に伴い,高品質な映像を配信するサービスが現れている。しかし,現状はせっかくの高速回線を生かし切れていない。ADSL回線で家庭用ビデオと同品質の映像を配信できるのか。ネットワークを流れる映像品質の可能性を探る。「ナローバンド時代の映像配信サービスは,映画のプロモーション映像や広告,サービスの紹介などを目的としたものが大半だった。
著者
鵜飼 渉 辻野 華子 杉村 政樹 木川 昌康 田山 真矢 石井 貴男 古瀬 研吾 廣瀬 奨真 橋本 恵理 澤田 いずみ 山本 武志 白鳥 正典 河西 千秋 相馬 仁
出版者
札幌医科大学医療人育成センター
雑誌
札幌医科大学医療人育成センター紀要 = Journal of center for medical education Sapporo Medical University = Journal of center for medical education Sapporo Medical University
巻号頁・発行日
vol.9, pp.35-43, 2018-03-31

精神科教室セミナーを終えた懇親会で,演者としてお招きした大学教授のA 先生から,突然,“先生も扁桃体クラブの会員なのですね(笑)。”と,言われ驚いたことがある。若くて優秀なその先生に,大変やさしい笑顔で話しかけられ,固く握手までしてもらったと記憶している。“扁桃体クラブ”という“人の集まり”が存在するのかどうか私は知らない。しかし,それがもし“会員制”であったなら,私はぜひ会員の皆様との集いに参加してみたいと思う。私たちはこれまで,精神疾患における,対人コミュニケーション能力をはじめ,種々の社会的な認知機能障害の脳病態の解明を目指す研究を進めてきたが,その観点からは,“扁桃体クラブ”という言葉にはとても魅力的な響きがある。ここでは,近年,家庭,学校,職場で起きている,いわゆる“コミュ障”(コミュニケーション障害の略語とされている)問題を越えていくためにも,本題の“ディープコミュニケーション”の脳機能に関連する知見を集めてみた。
著者
伊勢田 哲治 Iseda Tetsuji
出版者
応用倫理学研究会
雑誌
応用倫理学研究
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-17, 2006

功利主義者たちは戦争の問題について何を言ってきただろうか、そして彼らの議論から我々は何を学ぶことができるであろうか。歴史を振り返るならば功利主義の戦争論としてはベンサムやシジウィックの著作があり、近年においてもR.M.ヘア、リチャード・ブラント、ジョナサン・グラバー、ピーター・シンガーらがそれぞれ数本の論文を発表している。本論文では、そうした文献の中でも、特に現代の著作を紹介・検討することを通じて、戦争倫理における功利主義的思考法の利点と欠点について考える。戦争と倫理の関わりについては、大きくわけて、戦争を始めるのが正当化されるのはどういう場合なのか、あるいはそもそも正当化される戦争などないのか、をめぐる論争と、戦争の中ではどういう行為が許されてどういう行為が戦争といえどもゆるされないのか、を巡る論争がある。本論文では、まず、正戦論についての功利主義者たちの議論を紹介し、次に戦争の規則についての彼らの議論を紹介する。そののちに、戦争倫理学における功利主義的思考の利点、正戦論と戦争の規則を明確に区分することの意味、個々の戦争について功利主義者が発言する際に気をつけるべきことなどについて論じる。