著者
奥 健太 中島 伸介 宮崎 純 植村 俊亮
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG11(TOD34), pp.162-176, 2007-06-15

本論文では,ユーザの状況に応じて適切な情報を提供する状況依存型情報推薦システムのプロトタイプを提案する.膨大な情報からユーザの嗜好に合致する情報を提供する手法として,情報推薦システムに関する研究が行われているが,ユーザのそのときの状況(時間帯や天気,同伴者,予算など)に応じて変化するユーザの嗜好に対し,柔軟に対応することは容易ではない.そこで我々は,状況に応じて変化するユーザの嗜好を適切にモデル化する手法を提案した.本論文では,このモデル化手法を適用した状況依存型情報推薦システムのプロトタイプを提案し,検証実験に基づいて,提案手法の評価を行った.この中で,提案手法であるコンテクスト依存型情報フィルタリングとコンテクスト依存型協調フィルタリングの有効性や特長の違いを明らかにするとともに,対象コンテンツの特徴パラメータの最適化に関して考察した.
著者
石川 朋子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.12, pp.163-185, 2014-03

本稿は、普通体基調会話教育の現状把握を目的として、日韓の日本語教科書の分析結果を報告するものである。分析の結果、日本の教科書の方が普通体基調会話をより多く提示していること、また、両国の日本語教科書の普通体基調会話に共通する問題のあることが明らかになった。現行の教科書を見る限り、普通体基調会話は断片的に扱われているに過ぎず、日本語教育においては普通体基調会話を体系的に学習者に示す必要がある。
著者
伊藤 一成
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.20, pp.1-7, 2015-10-03

日本語は,多くの同音異義語が存在するのが特徴である.人名や組織名等々の同音異義語を表記してしまった為に他者や他組織に不快な感情を与えたり,時に誤った情報を発信する結果となり迷惑をかけてしまう場合がある.また SNS のように気軽に書き込めるというメディアの特性が,表記誤りを加速してしまっている現状は何らかの対策を講じる必要があると考える.一方,表記誤りはヒューマンエラーの代表例であり,無下にそれを注意したり非難する対処法では,問題解決に直結しない.日常利用の中で気づきを継続的に与えていくのが望ましいと考えている.そこで 「ご丁重」 と 「ご低調」 のメタファに基づき,自律的に各人が表記誤りに関する事象について考えることを促すコンテンツ GOTEICHO を制作した.

1 0 0 0 OA 表紙

雑誌
立教大学経済研究所年報 = Annual report
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015-06
著者
徳永 哲
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing (ISSN:21868042)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.61-72, 2011-12-28

ナイチンゲールの思想は、1842 にプロシアの特使ブンゼン男爵と知り合いになった時点から急速に進歩、深化した。ブンゼン男爵の豊富な知識は、神学者でありながら異端者として火刑に処されたブルーノやエックハルト、さらにネオ・プラトニズムにまで及んでいた。また、ドイツのカイザースヴェルト学園の情報誌などを届けてくれたのはブンゼン夫妻であり、彼を通して知った宗教思想や哲学はナイチンゲールの看護への意志を支え、励まし続けた。1840 年代後半になると、ロンドンにはプロテスタントとカトリック双方の女子修道会が発足し、貧困者の救済に修道女が活躍するようになった。ナイチンゲールは特に看護修道女の活動を知るようになった。クリミア戦争ではナイチンゲールを支えて献身的に働いた看護修道女のフライやマザー・ムーアから、彼女等の看護への意識の高さを思い知らされた。その一方で、キングス・カレッジのボーマン医師の外科手術に立ち会ったことから医療技術の進歩に直面し、病院看護の新しい方向性を見出す切掛けとなった。また、彼女が自発的に習得した公衆衛生学や統計学の知識は近代看護の確立基盤となった。宗教と科学、この矛盾したものがナイチンゲールの思想の中には一体となって存在し、近代看護は生み出されたのである。
著者
渡辺光祐 小林亜樹
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.379-380, 2014-03-11

本稿では、利用者の嗜好や気分を反映し、心地よく聴取を続けられるような楽曲推薦方式について述べ、試作システムによる評価を行う。本方式では、利用者の嗜好や気分を楽曲のテンポに基づき表現するため、基準となるテンポとして精神テンポを用いる。また、心地よく聴取を続けられるようにするため、楽曲の再生履歴を用いて楽曲間の聴取時のつながりの良さを指標化し、これらを使ってプレイリストを生成する。試作システムでは、音楽プレーヤ内の最終の再生ならびにスキップ日時を用いて、楽曲間のつながり行列を得ておき、これとタッピングにより取得した精神テンポ、つながり情報を反映して楽曲の推薦評価値を求めることでプレイリストを生成する。実験により本手法の有効性について検証した。
著者
小林 健二
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.08, pp.141-183, 1982-03-30

「名取熊野縁起」が形成された過程を、本縁起を構成するモチーフを吟味することにより、「道とをし」の熊野神詠譚が、梛の葉や虫喰いの神詠等の諸要素を取り込みながら、陸奥在地の名取老女の熊野勧請説話と結びついて作り出されたこと、また、その成立に紀州熊野三山の先達組織が関与していたであろうことを考察する。 The process when “Natori Kumano Engi”(名取熊野縁起)was formed by examining a motif constituting this Engi (writing about the history) closely, followings were considered that while Kumano Shineitan of ”Michitooshi”(道とをし)taking in elements of a leaf of Nagi and the worm-eaten state Shinei (waka which God wrote), it was created to be tied to the Kanjin-setsuwa of an old woman in Natori in the local area of Mutsu Province and Sendatsu group of Kumano Sanzan (three major shrines, Kumano-Hongu-Taisha, Kumano-Hayatama-Taisha and Kumano-Nachi-Taisha) would participate in the establishment.
著者
増山 滉一朗 藤田 悠 奥原 颯 天野 英晴
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-217, no.21, pp.1-6, 2015-10-01

バッテリー駆動デバイスのための高性能低電力アクセラレータとして silicon on thin BOX(SOTB) プロセスを用いて開発された,Cool mega array-SOTB-2(CMA-SOTB-2) について報告する.CMA-SOTB-2 は大規模な演算素子 (PE) アレイ,データ転送を管理するためのμコントローラ,およびデータメモリから構成される.今回導入したμコントローラ内のデータマニピュレータにより,データメモリヘの並列アクセスが可能となった.また遅延調整機構の導入により,PEアレイ内演算のための最適な遅延時間を容易に検出,設定できるようになった.実装においては,前回の試作機である CMA-SOTB の時のものよりもリーク電力が少ないセルライブラリを使用した.これにより実チップ評価にて,わずか 0.4mW の消費電力で 297 MOPS の性能を達成した.この電力効率は CMA-SOTB のほぼ倍である.CMA-SOTB-2はレモンを 3 つ使用したレモン電池により,およそ 0.3mW の電力で画像アプリケーションを動作させることが可能である.
著者
坂元 宗和 高木 幹雄
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.63(1992-CG-058), pp.35-42, 1992-08-10

2変数関数の剰余類を選んで平面上にプロットすると,思いがけない複雑なパターンが現れる.そのいくつかの論理和をとり,画像処理的に加工してジャギネスを抑えると,白黒の模様ができる.4枚の白黒模様を重ね,色番号を定義するビット・プレーンと見て,各色番号に重複して色価を割当てれば,新しいモチーフが出現し,カラー模様ができる.高品質の模様を作るには,適切な生成関数のパラメータ選択とデザイン加工が必要である.パラメータ選択が理論的な知識に基づくことは言うまでもないが,審美的判断を必要とする美術的応用の際は,応用分野における評価の基準を知らなければならない.
著者
ファム バン フック 井上 義昭 浅見 暁 内山 学 千葉 修一
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2015-HPC-151, no.19, pp.1-9, 2015-09-23

本研究では C++ オープンソース OpenFOAM を対象として,利用しているデータ交換形態,C++ テンプレートおよび MPI プラットフォームの特徴とその課題を述べた.また,「京」 コンピュータの Tofu 高機能バリア通信機能を活用して,データ型に合わせたテンプレートの追加による全体実行時間の軽減を確認した.また,OpenFOAM 特有の PstreamBuffer 全体データ交換形態を必要最小限の隣接データ交換形態に改良し,通信バッファサイズおよび通信時間が減少した.これらにより大規模並列処理を可能にして,アプリケーション全体の実行効率が大幅に向上した.
著者
いとう まい子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, 2015-09-15
著者
小嶋 秀樹 伊藤 昭
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.482-489, 1997-03-15

本論文では,単語間の意味距離を文脈依存的に計算する手法を提案する.各単語は,英語辞書から抽出された多次元ベクトルとして,意味空間と呼ばれるベクトル空間における点に写像される.文脈から独立した意味距離は,このベクトル間の距離として計算すればよい.文脈に依存した意味距離は「意味空間のスケール変換」によって計算する.文脈の手がかりとして単語(キーワードなど)の集合が与えられると,この単語集合が均整のとれた分布を持つように,意味空間の各次元のスケールを拡大・縮小する.このスケール変換によって,意味空間における任意の2単語間の距離は与えられた単語集合の意味的な分布に依存した値となる.先行テキストに基づく後続単語の予測によって本手法を評価した結果,本手法が先行テキストの文脈をよくとらえていることを確かめた.