著者
尾山令仁著
出版者
地引網出版
巻号頁・発行日
2007
著者
平岡 義博
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.26-31, 2017

科学捜査研究所の勤務経験から、科学鑑定と捜査本部の捜査に影響するバイアスについて考察し た。科学鑑定におけるバイアスとして、DNA 型鑑定のエレクトロフェログラムの閾値問題(閾値を 下げた場合、ピークとノイズを間違う可能性)、指紋鑑定における合致基準のグレーゾーンと「鑑定 可能」と「鑑定不能」のダブルスタンダード問題に言及した。いずれも捜査情報からのバイアスに影 響されやすく、結果として鑑定を誤る危険性が内在することを指摘した。凶悪事件の捜査を担う捜査本部は、犯人検挙のため一丸となって組織力・行動力を発揮する体制 であるが、捜査情報や鑑識資料が希少なケースなどでは、犯人性を支持する情報が取捨選択されて 証拠固めされ、否定的情報が十分検討されない(被疑者検挙という目的しか見えない状態:捜査バ イアス)まま送致されることが、無罪判決や冤罪の遠因になっていると考えられる。こうしたバイ アスの危険性を認識し、これを最小限に抑える対策が必要である。
著者
木村 晃彦 柿沼 太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_61-I_66, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
5

砕波を考慮した数値解析に基づき,サーフィンにおいてテイクオフが可能となる条件に関して考察した.まず,水平方向において,サーファが波頂に追い越されないために必要な,パドリングスピードの水平方向成分を検討した.これより大きな水平方向成分を有するパドリングスピードが実現されるとき,テイクオフが可能となる.次に,鉛直方向に関して,水面から力を受けるサーファに働く,波前面に沿う方向の力を検討した.この力が0,または,下向きである位置でテイクオフが可能である.そして,水平及び鉛直方向のテイクオフ可能条件を総合し,各地点でテイクオフが可能な時間内において要求される,パドリングスピードの水平方向成分の時間変化として,対象とした巻き波型及び崩れ波型の砕波型式を示す2種類の波に対するテイクオフ可能条件を示した.
著者
三瀬 遼太郎 井原 雄人 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.652-658, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1

パリ協定で定められた温室効果ガス削減目標を達成するためには、特に影響が大きい交通環境負荷の低減が不可欠である。そこで、複数の低炭素な次世代交通機関を導入することで、交通環境負荷を削減する試みが注目されている。本研究では、電気自動車(EV)、次世代型路面電車システム(LRT)、自動運転車、電動バスに着目して、交通量、EV普及率、発電構成比の観点から、実際の交通流の想定下で次世代交通が及ぼす環境改善効果を定量的に評価した。その結果、対象地である宇都宮市においてLRTが開通した際に環境負荷を低減するには、10%以上の自動車交通量の削減が必要であることを明らかにした.さらに、宇都宮市を対象に、次世代交通の導入を想定したうえで、公共交通を推進する政策や太陽光発電を推進するエネルギー政策の導入を仮定し、交通環境負荷の将来推計を行った。その結果、現状では公共交通を推進することで大きく環境負荷が低減するが、将来的に自動車のEV化が進み、かつ電力のCO2排出係数が小さくなると、その利点は薄れることを明らかにした。
著者
福留 奈美 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.152, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】調理操作を表す用語・表現の中でも切り方を表す用語・表現は多種多様に存在し、調理初心者は食材や料理によって異なる幅・太さ・長さなどサイズの範囲がわかりにくい。本研究では野菜類・いも類・きのこ類の切り方に着目し、①切り方の用語・表現の食材別用法の整理、②解説書や料理書に見られるサイズ表現の調査、③用語・表現と実際のサイズを照合するための評価法の検討、を目的として調査実験を行った。【方法】1999年以降に出版された切り方の解説書17冊に出現する切り方の用語・表現を食材別に調べた。また2009年度高校家庭科教科書20冊に出現する切り方の用語・表現をサイズに関する修飾表現も含めて抜き出し、用法を整理した。さらに、せん切りなどの線状、みじん切りなどの角状に切る切り方が解説書や料理書においてどのようなサイズ表現がなされているかを調べた。また1~5mm角のニンジンを模した合成樹脂のフードモデルを作成し、調理指導者を対象として用語・表現との対応評価実験を行った。【結果】解説書に登場した切り方の用語・表現は200種以上あり、輪切り、せん切りなどの一般的な切り方、特定の食材との対応が強い飾り切り、フランス料理の切り方のカタカナ表記などが含まれた。家庭科教科書のレシピ表現では、長さや太さの数値的表現、形容詞・副詞による修飾語の有無など様々であった。線状・角状の切り方についてはサイズに幅があり、食材によっても違うため、切り方の解説書や料理書では厳密に特定できていないことがわかった。また切り方の用語・表現と実際のサイズを照合させる方法として様々な切り方のフードモデルをサンプルとして使用することは有効であることが示された。
著者
村尾 俊道 中川 大 松中 亮治 大庭 哲治 本田 豊
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.645-651, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
14

京都市の「らくなん進都」と京都駅を直結する新設路線として平成22年10月から運行を開始し、その後9年にわたりバス乗車人員が一貫して増加し続けてきた京都らくなんエクスプレス(R’EX)を取り上げ、乗車人員が増加し続けた経過を記録するとともに、平成28年経済センサス及び平成18年事業所・企業統計調査の2時点間の比較により、沿線企業がその間に従業者数を増加させてきた要因について考察を行った。その結果、輸送力の増強や定時性・速達性の確保、バス待ち環境の改善、車内モニター・バスロケーションシステム、優れたデザインの導入などバス交通を高度化し、あわせて地域地区や都市整備を適切に進めることで、輸送力の限られるバスであっても、まちを変え得る可能性があることを明らかにした。
著者
水野 信男
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.42-61, 2000

ウンム・クルスーム一この歌手の名を知らないエジプト人,ひいてはアラブ人がはたしているだろうか。実際そうおもえるほど,彼女はいまなお,彼らのこころのなかに生きている。中東地域の音文化のフィールドワークをつづけるうち,筆者はしばしば,ウンム・クルスームの名を耳にした。なかには,その歌の旋律を得意気にくちづきむ人もいた。すでに没後 25年になろうというのに,今なおカイロ放送は,ウンム・クルスームの往年の名歌をことあるごとに電波にのせているし,テレビもまた彼女の生前の演奏会の映像をながしつづけている。 エジプトばかりか,アラブ諸国を旅するごとに,ウンム・クルスームの歌が,そこに住む人びとのなかにつねに新鮮に息づいていることを実感する。ウンム・クルスームに関する音源資料はいまだに各地で続々とリリースされ,文献さえもあらたに刊行されている。ウンム・クルスームをして,これほどまでに現代にその存在を印象づける理由は, 一体何なのだろう。中東の旅でのこの素朴な疑問が,はからずも筆者をウンム・ クルスーム研究へと駆り立てた。そしてそのウンム・クルスームの芸術のなかに,中東の人びとが長年にわた ってつちかかってきた音文化が,さまざまのかたちで脈動していることに気づきはじめた。本稿では,ウンム・クルスームがその生涯をとおしてうたったおびただしい歌曲のレパートリーを追いながら,そこに投影するアラブ・イスラームの伝統をあとづけてみたい。
著者
井手口 健 難波 朋和 古賀 広昭
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J83-A, no.7, pp.924-927, 2000-07-25

音楽聴取時に音源に対応した振動を聴取者の身体に付与した場合,音楽の印象がどのように変化するのか実験的に検討した.その結果,付与する振動の種類や振動の強さ,振動を付与する身体の箇所を選ぶことにより音楽の印象を強調できる見通しが得られた.
著者
小野寺 翔 山本 智清 内坂 直樹 寺川 偉温
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.590-597, 2020

<p>長野県在住の40歳代女性が,1カ月間の増悪寛解を繰り返す発熱で受診した.血液培養からブルセラ属菌が検出されたが,このブルセラ属菌は既知のブルセラ属菌のいずれでもなく,2017年に同じく長野県内で発症した患者より分離されたブルセラ属菌と近縁であった.また,同様に発熱等を呈した家族も抗体検査で陽性を示し,ブルセラ属菌に感染していたことが判明した.長野県内に当該新規ブルセラ属菌の宿主動物の生息が推測される.</p>