著者
堀 勇治 永野 義彰 福原 隆 寺本 修二 谷口 宏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1408-1413, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
11

水あるいはアルコール存在下のDBUは,CO2を可逆的に吸収してDBUの炭酸塩あるいは炭酸水素エステル塩を生成した。また,この塩は温和な条件下でアルキル化剤と反応し,好収率で炭酸ジアルキルを生成した。一方,水とCS2とDBUの(モル比2:3:4)混合物を,80℃ に加熱すると,1モル当量のCO2を発生して,2モル当量のDBUのトリチオ炭酸塩が生成し,さらにこれはアルキル化剤と反応して,好収率でトリチオ炭酸ジアルキルを生成した。これらのCO2とCS2の場合の反応の相違は,生成するS-イオンの求核性がO-イオンよりも大きいためと考察した。
著者
市川 康夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2021年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.53, 2021 (Released:2021-03-29)

本報告では、フランスにおいて農村移住はいつ始まりどのように展開し、その特性はいかなるものなのかを提示したい。そのために、過去の文献や調査資料、公表データからフランス田園回帰の展開を整理し、実際の移住者たちについて都市郊外農村(ジュラ県)、山地農村(オート・ロワール県)での聞き取りからフランス農村移住の生活の実態とその特性をみることにしたい。 フランスの農村移住の展開は以下の「3つの波」に整理されると考える。第1の波は、1968年の五月革命が発端であり、運動に挫折した若者たちは,都市社会や資本主義から逃避し,理想郷を求めて南フランスの山村を目指した。ヒッピー文化に影響を受けていた彼らは,南仏のセヴェンヌ地方を中心に,孤立した農村廃墟や小集落に共同体を組織した。こうした、「反体制文化(カウンター・カルチャー)」としての農村移住によって、300〜500ほどの共同体が乱立し,そこで暮らす若者の総計は冬季におよそ5千〜1万人,夏季には3万〜5万人に上った。これは、「大地へ帰れ」運動と呼ばれ、1970年代にはエコロジー思想や有機農業の拡大とともに一般的な層にも農村移住は拡大した。 第2の波は、1980年代からの「家族による移住」の時代であり、農村移住における大衆化の時代ともいえる。都市化の影響が周辺農村において強くなったことで、郊外の田園化が進み、中流階級の子育て世代や教育水準の高い層が多く移住するようになり、都市にはない農村アメニティを「理想郷」とみなした。それ以外では、経済の停滞や失業率の増加によって、農村へと逃れる層も現れ、移住者の多様化も同時に進展した。 第3の波は、2000年代以降であり,「新たな自給自足経済」を求める人々の出現である。彼らはリベラル運動やラディカルな思想,アルテルモンディアリストやエコロジストであり,「新たな社会運動」に属する人々である。それと同時に、富裕層やベビブーマーの退職移動なども進んでいる。 フランスの田園回帰は全体で一様に進展しているわけではない。農村でも都市近郊農村や観光産業やリゾートに近接する地帯に偏っている。例えば、都市近郊ではパリやリヨンの大都市圏のほか、ブルターニュ地方などが該当する。海辺では、南仏地中海沿岸や大西洋岸のリゾート地域、あるいはアルプス地域の周辺農村も流入者が多い。農村移住は、社会階層によっても特徴が異なり、上級管理職・知的専門職が大都市との近接を重視するのに対し、ブルーカラー層は遠隔地への移住割合が高い。一方、退職後におけるこの傾向は全く逆になり、年収が高いほど遠くへの移住を求める特性を示す。 都市郊外農村として、ジュラ県の村を事例に挙げる。この村では、1970年代から人口回帰が始まり、当時から人口は約2倍にまで回復した。本調査では、1990年代以降の流入者を移住者と定義し、彼らにヒアリングを行った(12組)。その結果以下が明らかになった。移住者の多くは公務員職であり、いずれも同県か近隣の県の出身者である。彼らは、就職や結婚といったライフステージのなかで都市間の転居移動を経て、子どもの誕生や庭付き戸建ての取得を契機に理想の住環境を求めて事例村へと辿り着いている。彼らは、自主リフォームを行うものが多く、古い農村家屋を購入後、週末を利用して家屋や納屋を改修し、数年かけて移住を果たしていた。移住者が評価する農村は、「勤務地との近接性」、「住環境としての静けさ」であり、カンティニ村は若年カップルや子育て世代、戸建て住宅取得を目的とした中流階級の移住という、フランスの現代農村移住の典型をよく表した事例といえる。 山村に定着した移住者の事例として、オーベルニュ地方への就農者たちを取り上げたい。サンプルは少ないが、ライフヒストリーを含むロングインタビューを3組の移住農家に行った。フランスでも保守的なオーベルニュ地方にあって、彼らの就農は容易ではなく、農地の取得や拡大が困難であり、また政策的な援助や就農支援も不足しているなかでの移住と就農を経てきた。彼らに共通しているのは、いずれも大規模農業の正反対として、オルタナティブな農業のあり方を模索している点である。それは換言すれば農薬・化学肥料への対抗や自然栽培、独自の地方品種の採用や山村イメージの付加などを通じた「生産の質」の追求である。とりわけ、有機栽培、互助組織、マルシェ、生計へのツーリズムの導入は彼らにとって重要な意味を有している。彼らは、前述でいう第3の波に属する移住者であり、エコロジーや反グローバル化の思想を背景に有し、中央高地の山村という困難な場所であえてそれを実践することに、意義を見出しているともいえる。
著者
坂本 晶子 福井 彩華 山脇 真里
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.665-668, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
2

バストは重力により,たわむように変形し,上部の皮膚が伸ばされるという負荷を受けている.「重力に負けないバストケアBra」は,カップ内部に中央付近が本体と分離するシートを持つ構造であり,シートは立位時だけでなく,日常生活で主に着崩れの原因となる前屈時にも対応して機能 する.立位時は,皮膚伸長を抑制して微小重力環境下に近いひずみのない自然なバスト形状に整え,前屈時にはシートの着圧バランスが変わることでバスト形状変化を抑制し,日常生活における重力の影響を軽減することが可能である.
著者
林 俊雄 池田 一也 大石 武
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1403-1407, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

アリルニジチオカルバメートのリチウム塩とアルデヒドの反応における添加物のレギオ選択性に対する影響を検討した。添加物として4種の典型金属元素の塩,3種のクラウンエーテル,および4種のLewis酸を選び,実験した。これら添加物中Ti(OPri)4がもっともいちじるしい効果を示し,98%の選択率でα-付加体を与えた。この反応の機構としてカルボニル基がチタン原子に配位した六員環いす形遷移状態を仮定し,結果を説明した。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.848, pp.76-79, 2013-11-28

可視化を進める中で、見えてきたのは縦割りの弊害だ。事業部制を敷くダイキン工業では、空調や油機の事業部にそれぞれIT担当者がおり、個別に予算を確保してシステム化を進めている。その一方で、サプライチェーンマネジメント(SCM)関連や基幹系など全社で…
著者
小野 朗子
出版者
近畿大学工業高等専門学校
雑誌
近畿大学工業高等専門学校研究紀要 = Research reports Kindai University Technical College (ISSN:18824374)
巻号頁・発行日
no.14, pp.65-69, 2021-03-15

In this study, we analyzed the vegetation changes in the semi-arid regions of Tanzania in Africa using a normalized difference vegetation index (NDVI) and a normalized difference water index (NDWI) calculated from Terra/MODIS satellite data. NDVI and NDWI are the most widely used vegetation index. They have a relatively higher value in the wet season between November and April and represent the change and spread of land cover (vegetation coverage). From 2009 onwards, during drought conditions, the NDVI and NDWI time series have shown a gradual decrease.
著者
山本 俊行 YAMAMOTO Toshiyuki 北村 隆一 KITAMURA Ryuichi 熊田 善亮 KUMADA Yoshiaki
出版者
土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.667, no.50, pp.33-40, 2001-01

業務トリップは、通勤トリップと異なり広い時間帯で発生することや、複数の目的地を持つトリップチェインを形成する傾向が強い等の特徴を持つ。本研究では、トリップチェイン前後の業務活動も含めたトリップチェイン全体の費用最小化行動を仮定した、業務トリイプの経路・出発時刻選択モデルを構築した。出発時刻選択については最適な出発時刻で総費用が極小値をとるとの条件を用い、連続時間軸上での時刻選択行動をモデル化した。路側配布によるアンケート調査で得られた実際のトリップチェインデータ、および時間帯別所要時間データに基づき未知パラメータを推定した。さらに、出発時刻や経路、立ち回り順序の変更や所要時間の変化に伴なう費用の変化を産出し、モデルの挙動を確認した。Unlike commute trips, business trips are generated throughout business hours, and several destinations tend to be visited in a trip chain. In this study, a route and departure time choice model for a business trip chain is developed based on the hypothesis that the trip chain is made so as to minimize the total cost, including costs associated with other business activities before and after the trip chain, as well as costs associated with travel time, toll fees, and the probability of being late. The empirical analysis is carried out using a data set obtained from a survey of business trip drivers. The properties of the estimated model are examined on a sample case
著者
加藤 文教 門田 博知
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.431, pp.115-124, 1991
被引用文献数
1

本研究では時間帯別業務交通の推計モデルを提案する. 推計モデルの特徴は, 就業者が1日に業務目的で行うトリップチェインに幾何分布を仮定し, 1サイクル中の立ち回り数とサイクル数の生起確率を求めている点と, そこで用いられる諸量が, 時間制約との関係から時間に依存するとしている点にある. パーソントリップデータへの適用を通して, モデル構築上の仮定の妥当性と, 政策評価モデルとしての有効性を示した.
著者
植田 陸玖 松澤 智史
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.87-88, 2020-02-20

複数人不完全情報ゲームは囲碁やオセロ等とは異なり、探索が難しいためAIの実装が困難である。そのため、不完全情報を完全情報として扱うことで探索の難しさを克服する。今回はトランプゲームの大富豪をテーマにしてDLで学習を行い、AIを実装する。
著者
プリツカー トーマス 東 昌樹
出版者
日経BP
雑誌
日経ビジネス = Nikkei business (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.2017, pp.82-87, 2019-11-18

私たちは6年ほど前、目標志向の会社になると決め、「ケア」を取り組みの中心に据えました。先日、サイバーセキュリティーの担当者と話すと、彼は「ゲストを守ることでケアしたい」と言いました。顧客と直接触れ合う部署だけでなく、すべての部門が自らの仕…
著者
飯島 英樹 清野 宏
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.205-214, 2021 (Released:2021-10-29)
参考文献数
77

消化管の内部には,多数の細菌,真菌などの微生物が生体と共生し,生体の機能に重要な役割を果たしている.消化管内の腸内細菌は,直接的に,あるいは代謝物を介して生体の構成細胞に影響を与え,免疫系の発達と機能をサポートする.消化管管腔内のみならず,小腸パイエル板などの粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue: MALT)内にも細菌が共生しており,生体の機能に影響を与える.食事成分も,腸内細菌叢の構成に影響を与え,生体の消化管粘膜バリアに始まり粘膜免疫系だけではなく全身系の免疫学的状態にも影響を及ぼす.共生微生物,生体の免疫系,食事により摂取された成分は相互に関係することにより生体機能に影響し,さまざまな疾患病態にも関連している.特に,分子に付加される糖鎖や細菌から産生される短鎖脂肪酸などの代謝物が免疫シグナルをはじめとする細胞―微生物間のメディエーターとして働くとともに,腸管に共生する微生物叢の構成に影響を与え,生体機能の制御に大きな役割を与えている.
著者
ウォーカー トーマスJ. 時実 象一 :訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.678-694, 1998
被引用文献数
2 5

フロリダ昆虫学会ではその学会誌Florida Entomologistの印刷版下ファイルからPDFファイルを作成し,インターネットに無料でアクセス提供している。また添付資料や著者のWebサイトへのリンクをAuthorLinkとして著者に販売している。これらの経験から,学会はPDFによる電子別刷りを,速報を希望する論文著者に販売して得る収益により,すべての論文をインターネット上で電子アクセス提供できることを主張する。背景として学術雑誌発行の歴史と最近の定期刊行物の危機について解説している。