著者
磯部 秀樹 高須 直樹 水谷 雅臣 木村 理
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.599-605, 2007
被引用文献数
5

<b>目的</b>:がん罹患率のなかで大腸癌が増加しているが,高齢者に対する手術や化学療法も増加してきている.高齢者に対する外科治療の問題点を明らかにすべく,近年の高齢者大腸癌の特徴を調べた.<b>方法</b>:1990年から2004年までの15年間に手術を施行した80歳以上の高齢者大腸癌67例(男性38例,女性29例)について,70歳&sim;74歳の大腸癌症例130例を対照とし,臨床病理学的特徴,手術術式,術前の併存基礎疾患,術後合併症,化学療法,術後生存率に関して検討した.<b>結果</b>:大腸癌の進行度としては80歳以上群でDukes Bが多く,70&sim;74歳群でDukes Aが多かった.結腸癌では2群間に手術術式による差はなかったが,直腸癌においては,80歳以上群にハルトマン手術と経肛門的局所切除が多かった.リンパ節郭清では結腸癌においては有意差をみとめなかったが,80歳以上群の直腸癌において郭清度が低く,直腸癌において2群間に有意差を認めた.根治度には有意差はなかった.術前併存基礎疾患は80歳以上群で76%に認められ,循環器疾患が多く,次いで呼吸器疾患,脳梗塞後遺症,老人性認知症が続いた.80歳以上の51%に術後合併症が認められ,70&sim;74歳群と比べ術後せん妄が多かったが他の合併症に差はなかった.80歳以上群に術死は認めなかった.<b>結論</b>:高齢者においても全身状態に応じた手術を行うことにより,合併症の発症を抑えQOLを損なうことなく安全な手術を行うことができると考えられた.<br>
著者
矢沢 静江 小池 保次 高島 文三
出版者
東京女子大学
雑誌
Science reports of Tokyo Woman's Christian University (ISSN:03864006)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.1239-1272, 1994-03-15

東京女子大学善福寺キャンパスの植物調査を1986年より1993年まで行なった。その結果を「東京女子大学キャンパスの植物目録」としてまとめ640種を掲載した。園芸種については一部を記載した。「目録」は分類表に準じて記載し,更に便宜のために和名の五十音順で配列して花期,花色,草本,木本等を記入して「一覧」とした。1935年の目録との比較検討は今回行なわなかったが,杜の会が植えた樹木の一部についての追跡調査を緑の会の学生達が先輩たちを訪ねて1979年に行なったことがある。1979年の台風20号による被害で倒れた樹木の年輪からも,また昔の時代を知る人達の証言からも,杜の会の時代に植樹されたものがかなり残っていることが明らかである。このキャンパスの植生は,移転当初から,「ここに樹を植えて杜をつくろう」という教職員と学生の熱意によって形成されそれをひき継ぐ人達が各時代にいて,自分達のキャンパスとして守り育てようとする多くの人達の連繋によって今日に到ったと云えるだろう。寮の先生方のお蔭で,寮の近くにヒトリシズカやニリンソウ・ヤマブキソウなどの群落があり,また,東校舎の北側の大木の下にはギンランの群落が見られる。一方,近年になって,キンラン・サイハイラン・ジュウニヒトエ・フデリンドウなどは姿を消しかかってきている。キャンパスの植生の今後の課題としては,除草剤散布・大気汚染・人手不足・建築計画等の影響から,長期間かかってつくられた生態系をできるだけ保全し,大切な種を保護して,キャンパスの自然を調和のとれたものとして存続させて行くための方策を立てて,実行することが大切な事だと思う。この目録を作成できたのは直接,間接に前に述べたような多くの方達のお蔭によるものです。個人名はあげきれませんが,心より感謝したいと思います。欅の会・杜の会の方達とそれを支援して下さった多くの方達,そしてそれをひきついだ方達,植物研究会の方々,それからキャンパスの中で過された植物好きの歴代の寮の先生方と職員住宅に居られた職員の方達実際に植物の手入れを行なってきた歴代の職員の方達,生物研究会・緑の会の学生の方達,樹木地図を作成し現在の植生に心を配っている植物趣味の会の職員,植物の手入れや植樹等に努力して下さっている職員の方達,この数えきれない程多くの方達のお蔭で現在の豊かな植生があり,目録にのせることができました。おわりに心より感謝申し上げます。また調査には杉並区の植生研究会の方々に大変おせわになり,まとめにあたっても友人・学生の方々に御協力をいただき,ありがとうございました。
著者
加藤 久遠
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2003-03

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1780号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2003/3/24 ; 早大学位記番号:新3582
著者
大類 孝 山谷 睦雄 荒井 啓行 佐々木 英忠
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.305-313, 2003-07-25
参考文献数
74
被引用文献数
6 4

口腔は, 皮膚と腸管とともに3大細菌網で, 口腔雑菌を知らず知らずに飲み込んでいる. 誤嚥性肺炎患者では, その口腔の中のセンサーが悪く, 唾液がたまったことを感知できない, いわゆる嚥下反射が低下している. そして気管に誤嚥したときは咳として出さなければいけないけれども, 咳反射も低下している. そして不顕性誤嚥を何回も起こしているうちにいつか肺炎になる.<br>それではなぜ嚥下反射, 咳反射が落ちるかというと, 迷走神経あるいは舌咽神経の知覚枝の頸部神経節でつくられるサブスタンスPという物質が少ないからである. サブスタンスPがなぜ少ないかというと, 黒質線状体でつくられるドーパミンという物質が少ないからである. なぜドーパミンが少ないかというと, 深部皮質における脳血管性障害があるからである.<br>サブスタンスPが少ないことから, 抗生物質に頼らないお年寄りの肺炎の予防が可能になる. カプサイシンという物質がサブスタンスPを強力に放出する物質であるため, カプサイシンを口の中に入れてやると嚥下反射が良くなる.<br>ドーパミンが少ないため, ドーパミンを上げてやれば良い. アマンタジン (シンメトレル<sup>&reg;</sup>) はドーパミンの遊離を促す. ドーパミンを投与した群としない群に分け, 3年間にわたって投与したところ, 肺炎の発生率を1/5に減らすことができた.<br>アンジオテンシン変換酵素阻害薬はサブスタンスPの分解も阻害するため咳が出るが, 肺炎をくり返すお年寄りは咳が出ないで困っているので, ACE阻害薬を投与した. イミダプリル (タナトリル<sup>&reg;</sup>) を2年間にわたって投与したところ, 投与しない群に比べて肺炎の発生率を1/3に減らすことができた.<br>65歳以上であれば半分の人たちは何らかの脳血管障害がある. 深部皮質に不顕性脳血管障害がある人は, 2年間に30%が肺炎を起こすという成績が得られた. したがって要介護老人のみの問題ではなく, 65歳以上であれば身近な問題であると言える.<br>脳血管性障害を防ぐことがお年寄りの肺炎を防ぐことにつながる. シロスタゾール (プレタール<sup>&reg;</sup>) を3年間にわたって投与したところ投与しない群に比べて脳梗塞の発生率を半分に減らすことができた. しかも肺炎の発生率も半分に減らすことができた.

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著者
村垣素行 著
出版者
岡村庄助
巻号頁・発行日
vol.巻之1, 1877
著者
松本 浩司 MATSUMOTO Koji
出版者
名古屋大学大学院教育発達科学研究科附属生涯学習・キャリア教育研究センター
雑誌
生涯学習・キャリア教育研究 (ISSN:18803148)
巻号頁・発行日
no.2, pp.45-53, 2006-03

This article argues on "Comprehensive School Guidance and Counseling Program (CSGCP)" including career guidance/counseling in America. First, the author states briefly about the history of CSGCP that N.Gysbers contributed theevolution of CSGCP and building the ASCA national model. Then the author analyzes the features of CSGCP (Gysbers'smodel and ASCA model) and the components about career guidance/counseling activities in CSGCP. Next, discussingthe development of CSGCP in the state of Michigan, it reveals that Michigan's CSGCP(MCGCP) stands on the ASCAmodel and is associated with state's other educational policies.The author also examines the role and training of school counselors in the state. They are expected to take thecentral role of practicing MCGCP and trained to be able to work with MCGCP in schools as a educational professionand to perform career/multicultural counseling. Moreover, examining the actual work of a school counselor at a middleschool, it shows that school counselors are regarded as a educational profession by theirselves and others because theyteach students the skills such as career skills in classrooms.The article concludes with a discussion on implications of CSGCP and school counselors in America. In America,"career education" is not the same as "career guidance." Career guidance in Japan should be reconsidered as systematicand dynamic activities like CSGCP. The school counselors in Japan should be trained as a educational profession withcounseling skills.
著者
末永 恵子
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.163-170, 2014-09-26 (Released:2017-04-27)

医学は人間の生命と尊厳を守ることを最終目的としているので、医学研究はヒューマニズムに基づく行為と見なされがちである。しかし、一般論では医学研究は肯定されても、それが実施される時期や地域や社会環境によっては、社会との調和のとれない状況を呈することがある。その研究の意義や有益性は認められても、社会状況にそぐわないとして批判され、再検討を求められている場合もある。本稿が取り上げる「東北メディカル・メガバンク計画」の問題は、まさにその代表例といえる。「なぜ今被災地で、ゲノム研究をするのか」という疑問の声は、計画のはじめから現在まで絶えない。そこで、この事業の推進論と反対論の主張を取り上げ、両者の議論の対立点を洗い出した上で、被災地における医学研究および医療政策はどのようにあるべきなのか、方向性やその意思決定の手続きについて考察することとしたい。
著者
赤池 実希 神宮司 広美 小竹 佐知子 乙黒 親男 赤池 実希 神宮司 広美 小竹 佐知子 乙黒 親男 Miki AKAIKE Hiromi JINGUJI Sachiko ODAKE Chikao OTOGURO アカイケ ミキ/ Akaike Miki ジングウジ ヒトミ Jinguji Hiromi オダケ サチコ Odake Sachiko オトグロ チカオ Otoguro Chikao
出版者
山梨県立女子短期大学
雑誌
山梨県立女子短期大学紀要 (ISSN:03850331)
巻号頁・発行日
no.29, pp.107-117, 1996-03-31

Ume fruit brined with 0-0.9% calcium hydroxide on a fruit weight basis was either non-exposed or sun-exposed, and subsequently colored with new coccine, acid red, red cabbage color or perilla color. A comparison was made between the sun-exposed and non-exposed samples by Hunter L-, a- and b-values as objective measurements and by sensory evaluations as a subjective measurement. It was confirmed that the color change with each colorant had almost reached equilibrium after 7 days. It was also noticed that the dye effect of red cabbage color and perilla color was weaker than that of new coccine and acid red. The L-, a- and b-values of the sun exposed samples were higher than those of the non-exposed and non-exposed samples with any colorant. The sun-exposed samples were evaluated as being lighter, redder and more preffered than the non-exposed samples with all colorants by the sensory test.
著者
頼 美麗
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2008-03

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2564号 ; 学位の種類:博士(日本語教育学) ; 授与年月日:2008/3/15 ; 早大学位記番号:新4710
著者
Takanari Kitazono Kazunori Toyoda Kazuo Kitagawa Takehiko Nagao Hiroshi Yamagami Shinichiro Uchiyama Norio Tanahashi Masayasu Matsumoto Kazuo Minematsu Izumi Nagata Masakatsu Nishikawa Shinsuke Nanto Yasuo Ikeda Toshiaki Shirai Kenji Abe Akira Ogawa PRASTRO-I Study Group
出版者
Japan Atherosclerosis Society
雑誌
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis (ISSN:13403478)
巻号頁・発行日
pp.56093, (Released:2020-06-04)
参考文献数
19
被引用文献数
10

Aims: The efficacy of antiplatelet therapy may vary among different disease subtypes. Prasugrel is generally a more potent, consistent, and fast-acting platelet inhibitor than clopidogrel. This sub-analysis of the phase III comparison of PRAsugrel and clopidogrel in Japanese patients with ischemic STROke (PRASTRO-I) trial aimed to assess the differences in efficacy of these treatments for each stroke subtype. Methods: In the PRASTRO-I trial, a total of 3,753 patients with ischemic stroke were recruited from 224 centers throughout Japan and randomized (1:1) to prasugrel (3.75 mg/day) or clopidogrel (75 mg/day) for 96 weeks. For the sub-analysis, strokes were classified as large-artery atherosclerosis, small-artery occlusion (lacunar), stroke of other etiology, and stroke of undetermined etiology. The cumulative incidence of primary events (ischemic stroke, myocardial infarction, and death from other vascular cause) and hazard ratios (HRs) were calculated for each subgroup. Results: For patients with large-artery atherosclerosis, the primary event incidence was 3.8% in the prasugrel group and 4.8% in the clopidogrel group (HR 0.79; 95% confidence interval [CI] 0.45–1.40). For patients with small-artery occlusion, the incidence was 3.3% in the prasugrel group and 3.9% in the clopidogrel group (HR 0.83; 95% CI 0.46–1.53). For patients with stroke of undetermined etiology, the incidence was 4.6% in the prasugrel group and 3.0% in the clopidogrel group (HR 1.56; 95% CI 0.90–2.72). The incidence of bleeding was similar across subtypes. Conclusions: Although statistical significance was not reached, the efficacy of prasugrel was potentially different between stroke subtypes, warranting further studies.