著者
田崎 晴明
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.215-219, 2006-09-13 (Released:2017-02-10)
参考文献数
3

さる2006年3月に愛媛大学・松山大学で開催された第六十一回物理学会年次大会において,「『ニセ科学』とどう向き合っていくか?」というテーマのシンポジウムが開かれた。不穏な天候にもかかわらず,ジャーナリストや人文系研究者などの非会員を含む三百数十人が参加し,定員が三百人弱という会場を埋め尽くす大盛況だった。また,シンポジウムの最後の討論では,幅広い参加者たちが活発に発言し,予定時刻を大幅に延長して熱い議論が続いた。物理と社会にかかわる問題について大学院生を含む一般の会員が真摯に議論しあえる機会がもてたことは,きわめて有意義だった。以下では,このシンポジウムの基調になる考えを説明し,また,シンポジウムでの講演や討論などを通じて浮かび上がってきたいくつかの論点を整理したい。より具体的な「ニセ科学」の実例や,「ニセ科学」批判の実際については,菊池,天羽の寄稿を参照されたい。
著者
小谷 康敬
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.917-924,a1, 1991

平成2年における主要な災害としては,<BR>(1) 6月2日から7月22日にかけて九州地方を中心とした地域に被害を与えた梅雨前線豪雨<BR>(2) 瀬戸内海地方を中心とした地域に被害を与えた台風19号 (9/11~9/20) および秋雨前線による豪雨<BR>(3) 九州および関東地方を中心とした地域に被害を与えた台風20号 (9/26~10/1) による豪雨<BR>の3災害が挙げられる。<BR>これら3災害をふりかえり, その概要と被害の内容を述べる。
著者
川島 利兵衛 天下井 清 蛇沼 俊二
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.107-115, 1980

The typhoon 20, 1979 was strong and severe. It ran through the Japanese Islands quickly and caused damages throughout Japan. In this paper, the behaviour of typhoon 20, 1979 and the state of the sea as the typhoon approached the coast of Hokkaido, were investigated. In addition, the damages to fishing boats, fishing facilities and establishments and sea causalities of fishing boats were investigated. In this investigation, the relationship between the movement of the typhoon 20 and damages and sea causalities caused by the typhoon were considered and discussed.
著者
藤沢 〓 浜田 哲郎
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
教育・社会心理学研究 (ISSN:0387852X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.35-46, 1960 (Released:2010-03-15)
参考文献数
21

Fスケールによって測定される人格構造を明らかにするために認知的, 情動要因あるいは社会的-文化的要因および個人的経験的要因等の背景的要因を追究し, 併せてFスケールのresearch vari-ableとしての価値をも検討した。結果を要約すると次の通りである。A. 日本語版Fスケールの作成1. 項目得点平均は原著のスケールと殆んど差異がなかった。しかし, SD, DP平均は原著の方が大きかった。即ち, 原著のスケール構造は異質性が大で. 筆者のは等質性が大であると考えられた。2. 原著と比較して得点差の大きい項目が見出された。これによって, 彼我の文化-社会構造の差異が人格構造に影響を与えていることが示唆された。3. 原著と比較して一段階信頼度が低く, 筆者のスケールにはまだ改訂の余地が残されている。B. ロールシャツハ・テストとTAT4. ロールシャツハ図版IとVに多く出現した “威嚇” 反応はFスケール高得点者の人格特徴を示すコンテントであった。5. TAT図版13の “殺” と “性” 反応は高得点者にドミナントに見られるパターンであると考えられた。6. 従って, 高得点者の人格には“威嚇” , “殺” , “性” に対する態度指向性あるいは潜在的不安があることか示唆された。7. 高得点者の反応は多義的な刺激図形に対して不寛容であった。C. 連想時のGSR8. 高得点者は性的, 情緒的刺激語に対する連想反応が中性語に対するそれよりも優勢な者がいずれの測度においても多かった。9. 低得点者の中には中性語に対す反応の小さい者もおり, 反応の仕方が多義的であることを示した。10. 連想に伴うGSRの潜時は高低両得点者を弁別するに最も有効な測度であった。11. 刺激語の種類にかかわらず, 反応時間, 潜時, 反射量, 反射持続時間のいずれの測度でも高得点者の数値の方が大であった。12. これらの高得点者の友応特徴は潜在的な情緒不安あるいは性に対する過度の態度指向性を投影しているものと考えられた。D. 知覚のかたさ13. 反転図形の観察において「構え」が反転回数に及ぼす効果は低得点者の方が大きかっに。しかし, 両群間に有意差はなかったが, 分散差は有意であった。14. 両群の反転比の差異は傾向としては認められるが, 2つのクラスターをのぞぐと有意差はなかった。しかし, 全得点および5つのクラスター得点では有意な分散差が認められた。15. 反転比とF得点との間には多/自とは正の相関, 自/少とは負の相関が見られたが, 相関性が有意であったのはクラスターfの自/少とgの多/自の2つであった。16. 全体得点と自/少, クラスターeと多/自との間には有意な曲線相関が見出された。即ち, 反転比がF得点へ回帰することが示された。17. この事実は低得点者にsubgroupとしてのrigid lowsの存在が明らかになった。18. 従って, Fスケールによる人格の硬さと知覚の硬さとの関係が, 図形反転における多義性不寛容の形で現われることが検証された。19. この関係は全得点とだけでなく, クラスターd以外の全てのクラスターとの間に認められ, 特にクラスターe, f, gは図形反転と密接な関係にあると思われた。
著者
和田 謙寿
出版者
駒澤大学仏教学部
雑誌
駒沢大学仏教学部論集 (ISSN:0389990X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.p12-29, 1985-10
著者
田中 朱美 高橋 潔 申 龍熙 増冨 祐司 山中 康裕 佐藤 友徳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_237-I_248, 2012
被引用文献数
1

現在気候下の北海道のコメ収量変動を再現するため,潜在作物生産性モデルGAEZの北海道への適用可能性評価および改良を実施した.改良前のGAEZでは計算対象期間の大半で北海道のほぼ全域で気温条件を満たさず収量がゼロとなり,耐冷性の強化によってコメ栽培が可能となった北海道にはそのまま適用できなかった.モデルの改良として(1)気温条件の緩和,(2)バイオマス計算論理の変更,(3)出穂日推定論理の追加,および(4)障害型冷害の考慮を実施した.(1)により寒冷地でも収量を得ることが可能となるが,観測の収量変動をほとんど再現しなかった.(1)に加え(2),(3),(4)を組み合わせることで再現性は大幅に向上した.特に障害型冷害の考慮と出穂日の推定が北海道の観測収量変動の再現性向上に大きく寄与した.
著者
矢野 勝正
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 = Disaster Prevention Research Institute Annuals (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.3-9, 1965-03-01

本年は6月に新潟地震, 7月に北陸山陰水害, 9月に台風20号災害などが発生した。北陸山陰水害は7月7, 8日に北陸4県(新潟・富山・石川・福井県)に発生し, 公共土木施設のみの被害額として, 新潟県60.0億円, 富山県10・0億円・石川県14・0億円・福井県20。0億円合計104.0億円にのぼっている。また7月18, 19日にかけて島根県に集中豪雨が来襲して公共土木施設の被害額は60.0億円におよんだ。いずれも連続雨量にして200~300mm程度のもので, 特に激甚災害という程のものではなかったが, 改修工事のおくれている中小河川にかなりの被害がおきていることが注目すべき大きな特徴であった。すなわち新潟県の信濃川水系の刈谷田川, 五十嵐川・破間川, 石川県の津幡川, 島根県の斐伊川水系の赤川などの中小河川が被災している。島根県では松江市の西部地区(赤川水系)に各所に山崩れを発生し100人におよぶ人命を一瞬にしてうしなっているのもこの災害についての注目すべき問題の一つである。以下今次水害の気象概況, 出水ならびに被害状況などについての概略を説明し, ついで学術上の興味ある研究課題を考察し, 今後の防災対策上の研究資料を提供しようとするものである。著者は石川, 福井, 島根の3県の被災河川現場を視察する機会をえたが, 再三にわたって出水破堤した新潟県の刈谷田川は見ていないが全般的に共通して問題となることは, 先にも述べたように, 中小河川が被災してしかもいずれもが水系全体としての治水計画との関連において今後の処置について十分検討する必要があることを痛感した。このことについては後に個々の問題について, 斐伊川の改修計画, 河北潟の干拓計画, 九頭竜川の治水計画などと関連して説明していきたいと思うThe concentrated heavy rain fall attacked to San-in district on 7-8 th, July, 1964 andalso to Hokuriku district on 18-19 th, July, 1964 succesively. As the banks of many riverswere destroyed and inundated to the farms and towns, so the transportat on and communicationplants were stopped in these districts. Especially in Shimane prefecture, one hundred humanlives were unexpectedly lost. The total amount of rain fall were recorded to 20O~~300 mmand the total damages of the public work structures were counted about 20.0 billion yen.In this paper, the author discussed mainly about the necessity of the comprehensiveprogram of the river planning and management, taking the examples as the case of R. Hii, R. Kuzuryii and Kahoku-Gata.
著者
松田 俊道
出版者
中央大学文学部
雑誌
文学部紀要 史学 (ISSN:05296803)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.171-188, 2020-03-10
著者
長嶺 邦雄
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.30-34, 1962

筆者は1961年9月3日〜9月24日の21日間,琉球八重山群島の石垣,西表両島の昆虫,主に蝶類採集を行った.その間,台風20号,18号と二度も台風に見舞われ,また2人でテントをかついでの旅行とあって十分な採集も出来なかったが60種を目撃し,47種を採集することが出来た.また幼生期に関しても若干の新知見を得たのでここに報告したい.なお私の採集してない種でも同行の長嶺将昭氏の採集した種はこの報文に加えた.その際は氏の姓名の頭文字(M.N.)を文尾に附した.
著者
内藤 健晴
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.985-988, 2003-10-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
池上 正
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.355-361, 2008-12-15
被引用文献数
1

<p>経済産業省は平成17 年度に「産学連携製造中核人材育成事業」を立ち上げ,産業横断的・日本縦断的に65 プロジェクトが採択されている.化学関連では水島と千葉の2 プロジェクトが製造中核人材育成の課題に取り組んでいるが,本稿では水島での活動について報告する.水島では中核オペレータ向けの安全・安定運転関連2 コース12 講座,中堅マネージャー対象のリスク管理・競争力強化関連2 コース7 講座の教材を開発し,実証授業を経て昨年度より事業を開始している. 講義への参加は中国地域を中心に関東,近畿,四国,九州地区から約57 社・事業所,受講者800 人にのぼっている.本講座の活用・取組みについては企業・事業所それぞれの考え方が反映されているが,Know─Why に基づいたKnow─How・考える人材の育成という基本方針には強い共感が寄せられている.</p>

1 0 0 0 OA 軍歌 雪の進軍

著者
日本放送合唱團
出版者
ニッチク
巻号頁・発行日
0000
著者
Orbelyan Gevorg ゲヴォルグ オルベイアン
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.195-208, 2017

This paper presents discussion of a special temporary exhibition inMinpaku, Japan held during September 29–October 11, 2016. The exhibition,"The Story of Khachkar: Armenian Cross Stones," introduces and explainscultural and spiritual aspects of Armenia and Christianity to Japanese people.The process of planning and creating the museum exhibition are described.This exhibition offers visitors an opportunity to gain objective knowledgeabout the Caucasus region, specifically Armenia. Its several museumobjects and stories are displayed in a specific spatial arrangement to facilitatelearning. The description of the exhibition compares new and conventionalapproaches and analyzes principles underlying specific characteristicsof Christian culture through the exhibition.After consideration of the role of special exhibitions in museums, a discussionis presented of how museum exhibitions communicate with visitorsto deliver information simply, transmitting general knowledge to museumvisitors without using advanced technology of media communications.本稿は、2016年9月29日から10月11日まで国立民族学博物館(みんぱく)において開催されたイベント企画「ハチュカル―アルメニアの十字架石碑をめぐる物語」についての議論である。本展示は、アルメニアとキリスト教の文化的・精神的側面を日本の人々に紹介し、説明を与えるものであった。ここでは展示を企画し、作り上げた過程についても記述する。 本展示は、コーカサス地方、特にアルメニアについて客観的な知識を来館者が得る機会を提供した。複数の博物館資料や物語が、学ぶことを助けるように考えて空間的に配置された。展示に関する議論では、新しい方法と従来の方法が比較され、展示を通してキリスト教文化の諸特徴を強調する考え方が分析される。 博物館における特別展示の役割についての考察の後で、最先端のテクノロジーを使うことなく来館者に一般知識を伝え、単純な方法で情報を提供するには博物館展示が来館者とコミュニケーションをいかにとるべきかという議論を行う。