著者
高木 泰 土屋 務 梅沢 純夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.10, pp.2001-2009, 1985-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
3

フッ素が導入されたアミノ配糖体抗生物質の合成の一環として表題化合物を合成した。6''-デオキシ-6''-フルオロカナマイシンAと6''-デオキシ-6''-フルオロアミカシンはそれぞれ,アミノ基をベンジルオキシカルボニル基で保護したカナマイシンAおよびアミカシンにDAST試薬を反応させて合成した。表題化合物の最後の2物質は保護された3-アミノ-2-フルオロプロピオン酸の活牲エステルを遊離の1-位アミノ基をもつカナマイシンA誘導体[13]に縮合させて合成した。目的物質の構造はNMRスペクトルにより確認したが二次元NMRスペクトルが構造決定に有効であること,またとくにフッ素の存在が解析に有用であることが示された。

1 0 0 0 OA 東仙詩鈔

著者
竹内貞 著
出版者
裳華書房
巻号頁・発行日
1898
著者
神田 久生 渡邊 賢司 In Chung Jung
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.24, pp.6, 2002

3年前、ブラウンの天然ダイヤモンドを高圧下で熱処理することによって淡色化や緑色化させ、宝石としてのカラーグレードを向上させることが話題になった。このブラウンの着色は、結晶成長後、何らかの外圧で結晶がひずみ、そのとき生じた欠陥(カラーセンター)による着色であるといわれている。そして、そのカラーセンターは、熱処理により消失する不安定なものである。また、天然のピンクダイヤモンドも歪みが関係しているといわれている。このようなことから、結晶の色を考える場合、歪みも一つの考慮すべき評価要素といえよう。歪みに関しては、気相合成のダイヤモンド薄膜の研究においても良質の結晶の作製という観点から興味ある課題であり、薄膜内部の歪みの評価の研究も多い。今回は、カソード·ルミネッセンス(電子線照射によって発生する蛍光)測定において、歪みに関係する情報が得られたので、それを報告する。熱処理によって色が変化するブラウン結晶には、491nmの発光ピークがみられ、熱処理すると消失する。このピークはIaB型結晶を塑性変形することでも発生することが知られている。したがって、このピークは歪みと関係することが予想されるが、まだその欠陥構造など詳細は明らかでない。今回、ブラウン結晶内での491nmピークの分布を調べた。用いた試料は約2mmの八面体結晶で、これを(110)面に平行に研磨し、その断面についてカソード·ルミネッセンス測定を行った。測定にはトプコン製走査型電子顕微鏡にローパー製分光装置を接続したものを用いた。試料は、液体窒素で冷却して測定した。得られたデータは、発光の面内分布を示す発光像と、特定の位置での発光スペクトルである。今回は、とくにマッピング(試料上を直線に沿って数ミクロンおきにスペクトルを測定すること)で発光分布を調べた。カソード·ルミネッセンス像では、木の年輪のような成長縞の他に、それを横切る直線状の筋が何本もみられた。この分布からみて、この筋は、結晶が成長後、外圧を受けて生じた結晶歪みに関係し、結晶格子がずれたスリップラインといえる。この筋は500nm、400nmでの発光像においてみられたが、250nmではみられなかった。250nmでの発光像には成長縞のみがあり、これはN9とよばれる発光の分布を示していると思われる。発光像の観察ではシャープな発光ピークの分布は明瞭には観察されないので、マッピング測定により発光ピークの分布を調べた。ブラウン結晶の熱処理の実験においてN3, H3, 491nmという種類の発光に顕著な変化があることが知られているので、これらに注目してマッピング測定を行った。マッピングデータによると、スリップラインのところではN3, H3は強くなっていたが、491nmピークには変化はなかった。491nmピークは塑性変形で生じるといわれているので、スリップラインで強くなることを期待していたが、スリップライン内外で強度は一定であった。また、スペクトルを高分解能で測定すると、H3ピークに分裂と波長のシフトが認められた。この分裂やシフトは結晶の歪みによるものであるが、このピーク分裂やシフトはスリップライン上で大きくなるという傾向は認められなかった。以上のことから、この結晶に存在する歪みは、スリップラインだけにあるのではなく、全体的にも歪んでいるといえる。
著者
章 忠 井 和章 三宅 哲夫 今村 孝 堀畑 聡
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.74, no.739, pp.642-649, 2008-03-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

The direction of a generated sound source can be estimated by humans using the time difference between both ears and the characteristics of the sound. However, it is very difficult to create an estimation system using a computer and two microphones. Aims of this study are the achievement of three dimension sound localization with two microphones. We have developed the sound source direction estimation system, in which the sound source direction can be shown by two angles, the horizontal angle α and the vertical angle, β. The former is presumed from the difference of the arrival time when the sound progresses from the source to right and left ear, and the latter is presumed from spectrum correlation analysis using head related transfer function (HRTF). In this study, we propose a novel sound source direction estimation method, in which the feature difference of two recorded microphone signals is used. As a result, an average correct estimation rate of 96% was obtained in determining the location of 11 kinds of object sounds.
著者
高 興和 古屋 正貴
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.38, 2016

タンザナイトの色の評価については、タンザ ナイトファウンデーションが提唱する"Tanzanite Quality Scale"などが知られている。青系、紫 系と分けているところにタンザナイトならではの 特徴があるが、他の色石同様色の強さ(彩度)が高いものが良いとされている。 <br>この研究ではタンザナイトの色の評価となる 青、紫の強さがどのような要因で決定されるか考察し、色に影響をするものとしては、1)色の 原因であるVの含有量、2)加熱の有無、3)結 晶の方向(オリエンテーション)が考えられた。 <br>実験の結果、非加熱のものでは V の含有量 と色の間に相関関係は見られず、加熱のものでは図1のように V の含有量と色の強さに相 関関係が見られた。また、結晶の方向は色の 強さには関係せず、青か紫かを決定するよう に考えられた。この結果は加熱によって含有 される V による色が十分に発現したことによる と考えられる。また、逆にその V が含有量から 推測されるほどに発現していないことは、非加熱であることを示唆するとも考えられた。 <br>また、市場で"ファンシーカラー・タンザナイト"とも呼ばれるピンクやオレンジ、また緑色のも のについてもその色の原因を調べた。 ピンクやオレンジのものからは青、紫系のもの には見られない高い Mn の含有が確認された。 また同時に V の含有も確認され、加熱によってはより紫になったものも確認された。また、緑のものからは比較的高い濃度の Cr が検出 された。またサンプルの多くは加熱されており、 V の含有量が少ないこともあって加熱後も緑 色のままだった。 <br>このように青、紫系のタンザナイトは加熱の有 無と V の含有量によって、ピンク系のゾイサイ トは Mn、緑系のゾイサイトは Cr による着色であり、それらが複雑に影響し合い、色が発現していることが確認された。 <br>また、今年5月にブロック D の鉱山を視察し た。ブロック D では 100 人規模の大規模な採 掘が行われていたが、機械化はされておらず、 手作業による採掘によってすでに坑道が長さ 800m、深さ 450m に達するまで採掘が進められている。前年に報告を行った、ブロック B で はその半分程であったことから、ブロック D の 採掘の活発さが分かる。 <br>ブロック D から産出するタンザナイトはブロック Bのものに比べ色が強く、また透明度の高いものも多く、その高い品質から上記のような活発 な採掘が行われているものと考えられる。
著者
Gen Adachi Tomoki Oshikawa Hiroshi Akuzawa Koji Kaneoka
出版者
The University of Tokushima Faculty of Medicine
雑誌
The Journal of Medical Investigation (ISSN:13431420)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3.4, pp.274-279, 2020 (Released:2020-11-05)
参考文献数
32
被引用文献数
2

The purpose of this study was to clarify the influence of different postures on the activity of the shoulder girdle and lower back muscles while using a smartphone. Sixteen healthy male participants maintained two postures while using a smartphone : a good posture in which the tragus and acromion were closer to the vertical line passing through the greater trochanter, and a poor posture in which the tragus and acromion were farther from the vertical line passing through the greater trochanter. The target muscles were the rhomboid major (Rhom), upper trapezius, middle trapezius, lower trapezius (LT), lumbar erector spinae (LES), and lumbar multifidus (LMF). The activities of the Rhom and LT were significantly lower with poor posture than those with good posture. The activities of LES and LMF were significantly higher with poor posture than those with good posture. The results of this study indicated that poor posture was associated with hypoactivity of the shoulder girdle muscles and hyperactivity of the lower back muscles when compared with good posture. Poor posture for prolonged periods while using a smartphone would lead to malfunction of the shoulder girdle muscles and musculofascial lower back pain. J. Med. Invest. 67 : 274-279, August, 2020
著者
稲垣 実果
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.56-66, 2013 (Released:2013-09-18)
参考文献数
37
被引用文献数
6 1

本研究では, まず研究1において思春期(中学生)・青年期(高校生, 大学生および専門学校生)における自己愛的甘えの程度および質についての発達的変化を検討した。さらに, 研究2においては自我同一性の形成に対する自己愛的甘えの影響を検討するため, 自己愛的甘え尺度と多次元自我同一性尺度との関連について青年期である高校生と大学生および専門学校生との間で比較検討した。その結果, 中学生・高校生・大学生および専門学校生の全ての段階で, 自己愛的甘えの3つの構成概念(「屈折的甘え」「配慮の要求」「許容への過度の期待」)は同様に仮定できることが明らかになった。また, 思春期(中学生)においては「甘え」の欲求はあるが, 自己愛的甘えについての自覚が低いのに対し, 青年期(高校生・大学生および専門学校生)になると自己愛的甘えに対する自覚が高くなることが示された。さらに, 高校生においては自己愛的甘えが自我同一性に部分的に関わっているが, 大学生以降になると高校生に比べ自己愛的甘えの問題がより広く自我同一性の問題に関わってくることが示唆された。
著者
木林 悦子 鏡森 定信
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.145-153, 2002
被引用文献数
1

栄養疫学研究に役立てることを目的として, 20歳女子の食事によるタウリン摂取量と食品群別摂取量の関連より, 魚介類及びレバー摂取量を用いたタウリン摂取量の推定式の開発を試みた。さらに, タウリン摂取量の季節変動や日常の食事中タウリンの1日摂取量を求めるために必要な食事調査日数, 推定式の交差妥当性についても検討を行い, 以下の結論を得た。<br>1) 食事によるタウリン摂取量を従属変数とし, その他の食品群別摂取量 (動物性食品及び海藻類) を独立変数とする重回帰分析の結果, 82%が説明され, タウリン摂取量と魚介類摂取量の間には, 標準偏回帰係数0.60(<i>p</i><0.001), レバー摂取量との間には, 0.52(<i>p</i><0.001)で有意な関連が認められたが, その他の食品群については, 関連が認められなかった。<br>2) 食事によるタウリン摂取量を従属変数, 1日の魚介類別 (6分類) 摂取量及びレバー摂取量を独立変数とし, 夏 (6~7月) と冬 (12~1月) の食事調査結果をそれぞれについて重回帰分析し, 比較した結果, 夏と冬のいずれにおいてもタウリン摂取量と魚類摂取量, いか・たこ類摂取量の間に関連が認められたが, タウリン摂取量と貝類及びえび・かに類との間には, 冬においてのみ, レバー摂取量については, 夏においてのみ関連が認められた。<br>3) 日常の食事中タウリンの1日摂取量を算出するのに必要な食事調査日数は, 10%以下の誤差範囲で704日, 20%以下で176日であった。<br>4) 夏と冬の食事調査結果をもとに算出した1日の食事中タウリン摂取量を従属変数, 1日の魚介類及びレバー摂取量又は魚介類別及びレバー摂取量を独立変数として重回帰分析を行い, タウリン摂取量の推定式を検討した結果,"タウリン摂取量(mg/day)=1.909×魚類摂取量(g/day)+6.798×貝類摂取量(g/day)+2.867×その他魚介類摂取量(g/day)+22.95×レバー摂取量(g/day)+14.02"となった (決定係数が73.5%)。<br>以上, 魚類摂取量, 貝類摂取量, その他魚介類摂取量(えび・かに類, いか・たこ類, その他) 及びレバー摂取量から, タウリン摂取量の推定式は, 他の地域の対象者での交差妥当性の検討からも, 20~21歳女子学生において, タウリン摂取量推定の精度, 妥当性も高いものを得ることができた。また, 日常の食事中タウリンの1日摂取量を求めるには, 10%以下の誤差範囲で704日, 20%以下の誤差範囲で176日以上の食事調査をもとに算出する必要性が示唆された。今後, さらに幅広い年齢層や男性においても活用できる食事中タウリン摂取量の推定式の検討を考えている。

1 0 0 0 OA 文部省職員録

著者
文部大臣官房秘書課 [編]
出版者
文部大臣官房秘書課
巻号頁・発行日
vol.昭和16年 10月1日現在, 1941