著者
金子 成延 児玉 偉丈 神山 紀子 渡辺 寛人 早瀬 文孝
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.439-442, 2013-08-15 (Released:2013-08-31)
参考文献数
17
被引用文献数
4 9

押麦加工した大麦に加水後加熱して生じる揮発性化合物を連続水蒸気蒸留法で抽出してGC,GC-MSで分析し,炊飯した大麦の香気成分についてアルデヒド11種,アルコール11種,ケトン9種,カルボン酸1種,フラン化合物2種を同定した.AEDA法により最大のFDファクターを示したアルデヒド4種(hexanal,(E,E) -2,4- nonadienal,(E) -2-nonenal,(E,E) -2,4-decadinenal) が炊飯大麦の香気の特徴に関与していることが明らかになった.
著者
漆原 正貴
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.182-184, 2015-03-15

ユマニチュードという不思議な響きを私が耳にしたのは、昨年の夏頃でした。「話す」「触れる」といった看護の基本を徹底するだけで、暴れたり徘徊するお年寄りのケアに絶大な効果を発揮する──。そんな新しい認知症ケアの技法があると聞いて、「これは催眠に使えるかもしれない」と興奮したのを覚えています。 私の研究テーマは催眠であり、認知症とそこまでかかわりが深いわけではありません。ですが、催眠は「話す」技術であり、「見る」ことや「触れる」ことに細心の注意を払います。だからこそ、そうしたコミュニケーションの基礎を突き詰めた技法がケアの世界にあるのであれば、しかもそれが魔法のような効果を発揮するのだとすれば、異なる領域ながら参考になるかもしれないと考えたのです。そんな軽はずみな気持ちから入門書を手に取ったのですが、ユマニチュードについて詳しく知るにつれ、私は幾度も驚かされることになりました。「これって催眠と全く同じじゃないか」と。

1 0 0 0 OA 袖珍日本図

著者
星野悳一 著
出版者
鳴鳳館
巻号頁・発行日
1893
著者
木林 悦子 鏡森 定信
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.145-153, 2002-06-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

栄養疫学研究に役立てることを目的として, 20歳女子の食事によるタウリン摂取量と食品群別摂取量の関連より, 魚介類及びレバー摂取量を用いたタウリン摂取量の推定式の開発を試みた。さらに, タウリン摂取量の季節変動や日常の食事中タウリンの1日摂取量を求めるために必要な食事調査日数, 推定式の交差妥当性についても検討を行い, 以下の結論を得た。1) 食事によるタウリン摂取量を従属変数とし, その他の食品群別摂取量 (動物性食品及び海藻類) を独立変数とする重回帰分析の結果, 82%が説明され, タウリン摂取量と魚介類摂取量の間には, 標準偏回帰係数0.60(p<0.001), レバー摂取量との間には, 0.52(p<0.001)で有意な関連が認められたが, その他の食品群については, 関連が認められなかった。2) 食事によるタウリン摂取量を従属変数, 1日の魚介類別 (6分類) 摂取量及びレバー摂取量を独立変数とし, 夏 (6~7月) と冬 (12~1月) の食事調査結果をそれぞれについて重回帰分析し, 比較した結果, 夏と冬のいずれにおいてもタウリン摂取量と魚類摂取量, いか・たこ類摂取量の間に関連が認められたが, タウリン摂取量と貝類及びえび・かに類との間には, 冬においてのみ, レバー摂取量については, 夏においてのみ関連が認められた。3) 日常の食事中タウリンの1日摂取量を算出するのに必要な食事調査日数は, 10%以下の誤差範囲で704日, 20%以下で176日であった。4) 夏と冬の食事調査結果をもとに算出した1日の食事中タウリン摂取量を従属変数, 1日の魚介類及びレバー摂取量又は魚介類別及びレバー摂取量を独立変数として重回帰分析を行い, タウリン摂取量の推定式を検討した結果,“タウリン摂取量(mg/day)=1.909×魚類摂取量(g/day)+6.798×貝類摂取量(g/day)+2.867×その他魚介類摂取量(g/day)+22.95×レバー摂取量(g/day)+14.02”となった (決定係数が73.5%)。以上, 魚類摂取量, 貝類摂取量, その他魚介類摂取量(えび・かに類, いか・たこ類, その他) 及びレバー摂取量から, タウリン摂取量の推定式は, 他の地域の対象者での交差妥当性の検討からも, 20~21歳女子学生において, タウリン摂取量推定の精度, 妥当性も高いものを得ることができた。また, 日常の食事中タウリンの1日摂取量を求めるには, 10%以下の誤差範囲で704日, 20%以下の誤差範囲で176日以上の食事調査をもとに算出する必要性が示唆された。今後, さらに幅広い年齢層や男性においても活用できる食事中タウリン摂取量の推定式の検討を考えている。
著者
島田 真美
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.46-49, 2014-04-10 (Released:2015-04-15)
参考文献数
12
著者
有馬 貴之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p>Ⅰ</p><p></p><p> 2021年3月現在,日本には観光を学べる系学部・学科が100以上ある.それらは大きく研究中心型教育と産業人材育成型教育に分けられるが,いずれの教育においても学外(実社会)における体験との親和性は大変高い.そういったなかで,地域を多面的な要素から理解する地誌学も大変重要である.ただし,観光学は多様な学問領域の総合体であり,そのことを前提に地誌学の役割を考察する必要がある.そこで,本発表では複数の大学における学外観光教育実践の事例を報告し,観光教育と地誌学との接点についての議論の題材を提供する.</p><p></p><p></p><p></p><p>Ⅱ</p><p></p><p> 報告者はこれまでに複数の大学で教鞭を取ってきたが,それぞれの大学の学問や学びに対する姿勢や意義が異なるため,実施してきた学外教育の内容も異なってくる.以下では,それぞれの実施内容から地誌学との関連性を検討する.</p><p></p><p></p><p></p><p>1.</p><p></p><p> 首都大学東京自然・文化ツーリズムコースでの学外教育は,地理学調査の意味合いが強いものであった.具体的には,学生は各観光施設への聞き取り調査や施設の分布調査などを行った.地誌学(的思考)は事前知識としての箱根の地域把握において活用された.本事例は,既存の地理学教育の枠組みとして提供されたものであることから,「観光地域の把握方法の理解」が目的であり,地誌学的学習との親和性も高かった.</p><p></p><p></p><p></p><p>2.</p><p></p><p> 帝京大学観光経営学科は産業人材育成型大学であり,学生も観光産業への就職を希望して入学するものが多い.そのような場合,実践的な場,具体的には企業や地域団体と連携した教育が学生に好まれる傾向にあり,教員もそのような舞台を確保しがちである.学外団体との連携を前提とした教育では,学外団体のメリットとなることも求められ,これまでに街歩きアプリにおけるスポット紹介コンテンツの作成や,プロモーション動画の作成などを行ってきた.これらの学外教育では,「観光地域のプロモーションの理解」を目的とした.このような活動においても,地誌学は事前の地域理解の手段として活用された.ただし,本事例では,地域の理解と同等に,市場,つまり消費者(観光者)理解や,アプリや動画撮影などの広告に対する理解も学生に必要となる.そのため,地誌学的理解に割かれる時間は物理的にも減少した.</p><p></p><p></p><p>3.</p><p></p><p> 帝京大学観光経営学科での学外教育では学生企画によるツアーやイベント造成も行った.段取りとしては,ツアー・イベント作成事前には地域調査として資料収集や聞き取り調査などを行い,それを基にイベント企画や散策ツアーの造成を行うといものである.なお,自身が自らガイドを担う場合はガイド(プレゼンテーション)の練習を,ガイドを地域の方々に担ってもらう場合には,ガイド原稿の作成を行った.これらには地誌学的ストーリーの構築が必要とされた.また,ツアーやイベントにかかる他機関との調整や,ポスター等のデザイン作成も行った.これらの学外教育は「観光商品の作成過程の理解」を目的としており,地誌学的な地域理解にさける時間を減少させてしまった.そのため,風景の見方,資料収集の方法,地域の要点を理解する思考などは,当該科目とは異なるところで学習が必要となる.ところが,産業人材育成型の観光系大学において,地誌学的思考法を教授している大学は決して多くないであろう.</p><p></p><p></p><p></p><p>4.</p><p></p><p> 現在実践している学外教育は,築地場外市場商店街と連携した取り組みである.ここでは長期的な視点を持った地域のプロモーションやブランド化を目的に,現地組織の協力を経て実施している.これらは,これまでの教育実践の景観を組み合わせたものでもある.また,SNSマーケティングや,マネタイズの側面すなわち「ビジネス面をも考慮した地域経営の理解」を目的としている.地誌学的理解としては,現在,地域の歴史とともに店舗への聞き取り調査を実施している最中である.</p><p></p><p></p><p></p><p>Ⅲ</p><p></p><p> 地理学者としては,研究中心型教育の実践が自らの研究指向性と合致する.しかしながら,観光学における地理学という側面では,観光という文脈において,他の学問分野との接点を見出した教育が求められる.例えば,地誌学による地域理解だけではなく,その地域理解を消費者に伝達していく発想力やプレゼン力,マーケティングの知識も教育に必要になってくる.そのような知識を,地域理解の後に加える必要があるのである.</p><p></p><p> ただし,大学における学生の学習時間は有限である.そのため,純粋な学問的意義とかけ離れていくジレンマが観光教育における地誌学にはある.特に,産業人材育成型大学では,地誌学の重要性の比重は下がっているとも考えられる.上記の報告者の教育実践でも反省すべき点であるが,地誌学を地域理解の手段としてのみ捉えるのではなく,学問性として地域の課題発見の方法としての有効性や,ビジネス的視点との関連をより追求する等の新しい動きがあっても良いのかもしれない.</p>
著者
二宮 浩彰 Hiroaki Ninomiya
出版者
同志社大学スポーツ健康科学会
雑誌
同志社スポーツ健康科学 (ISSN:18834132)
巻号頁・発行日
no.1, pp.9-18, 2009-03

本研究では、Neirotti(2003)が提示したスポーツ・ツーリズムの動的モデルを用いて、日本におけるスポーツ・ツーリズムの現状を明らかにした上で、わが国におけるスポーツ・ツーリズムの動的モデルを構築することを目的とした。研究方法としては、スポーツ・ツーリズム関連の調査、およびスポーツ産業関連の報告書やレポートを二次データとして活用して、スポーツ・ツーリズムを供給サイドから分析することによって日本におけるスポーツ・ツーリズムの諸相について把握することにした。その結果、クルーズについては、わが国においてクルーズ旅行が注目されるようになってきているものの、スポーツ・ツーリズムに関係するプログラムの提供にまでは至っていない。一方で、観光ウェブサイトが提供しているスポーツ・デスティネーション情報調査(二宮,2008)において、アウトドア・レクリエーションについての情報が多く発信されていることが明らかになっており、アドベンチャーの領域に対する需要が高まっていることが分かる。以上のことから、本研究では、スポーツ・ツーリズムの主要領域から、クルーズを除外してアドベンチャーを追加することにした。したがって、日本におけるスポーツ・ツーリズムの動的モデルにおいては、アトラクション、リゾート、ツアー、イベント、アドベンチャーを主要領域とするスポーツ・ツーリズムの諸事象を例示し、スポーツ・ツーリズム市場においてインフラストラクチャーやステークホルダーとの関係が築かれる構図を提示した。この日本版スポーツ・ツーリズムの動的モデルを用いることで、わが国におけるスポーツ・ツーリズムの全体像を鳥瞰することができ、その動態を説明することが可能になるであろう。総説(Reviews)
著者
櫻井 梓 岩崎 聡 古舘 佐起子 岡 晋一郎 小山田 匠吾 久保田 江里 植草 智子 高橋 優宏
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.321-327, 2021 (Released:2021-10-12)
参考文献数
17

人工内耳(以下,CI)装用者に対し,楽器を使用した集団的音楽トレーニングを実施し,方向感および語音聴取への効果について検討した.20歳以上のCI装用者で,かつ装用下での57-S語表での単音節の聴取成績が60%以上で,音楽トレーニング参加希望者18名のうち,検査等が実施できた14名を対象とした.全12回(1回60分×月2回)のグループレッスンで,1グループ当たり9名の2グループで実施した.音楽トレーニング前後で単音節,単語,日常会話文のいずれにおいても有意差は見られなかった.方向感検査のd値の平均も,トレーニング前後で有意差は見られなかった.また,音楽経験ありと経験なしとの2群間での検討においても,両検査ともに有意差は見られなかった.ただ,有効な症例もあったことから,詳細な評価方法,より効果的な音楽トレーニング法の構築が必要と考えられた.
著者
小茄子川 歩
出版者
日本沙漠学会
雑誌
沙漠研究 (ISSN:09176985)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.59-63, 2015 (Released:2015-10-27)
参考文献数
1

本論は,インド・ハリヤーナー州ヒッサール県に所在するラキー・カース村とラキー・シャプール村において実見した牛糞燃料の多角的利用方法について報告したものである.夏雨型の半乾燥気候に属する両村では,自然環境に起因する諸問題と日々蓄積する牛糞の処理という現実的問題のもっとも効果的な解決策の一つとして,女性達により一年を通して3種類の牛糞燃料(ゴーレイ,テープリー,ゴサ)が製作され,調理などの日常的場面と儀礼などの非日常的場面において多角的に利用され続けている。

1 0 0 0 OA 商工省職員録

著者
商工大臣官房秘書課 [編]
出版者
小松印刷所
巻号頁・発行日
vol.昭和6年8月1日現在, 1931
著者
松波 寿典 児玉 徹 佐野 広伸 金 和裕
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.231-240, 2016
被引用文献数
2

米の食味は,品種,環境,栽培技術が相互に作用しながら,水稲の生育および収量形成過程に影響した後,適正な収穫および乾燥・調製が行われ,決定される.そのなかでも,極良食味米は,品種が遺伝的に備えている米の食味官能特性や理化学的特性などの食味ポテンシャルが生産者の栽培管理技術により最大限発揮された生産物であると考えられる.本総説では,美味しい米を作るための栽培技術要素に関するこれまでの知見を整理するとともに,さらなる美味しい米作りに向けた栽培学的アプローチの方向性について検討した.美味しい米を作るためには,健全な根を発達させるための土をつくり,活着が良好となる健苗の育成や高温登熟を緩和できる適期に適切な栽植密度で移植を行い,低タンパクな玄米を生産する低次位・低節位分げつを確保した後,深水管理や中干しにより速やかに過剰な分げつを抑制する.また,幼穂形成期の栄養診断に基づく穂肥施用で籾数を適正に制御し,出穂期以降は良好な登熟に向けて高温対策と根の機能維持のための水管理(掛け流し,間断灌漑)を行い,適期収穫した後は,低めの温度設定で素早く乾燥調製することが重要であるとまとめられた.そして,さらなる美味しい米作りに向けた今後の栽培学的アプローチとしては,良食味米産地の中でも極上の米を生産する地域や篤農家圃場の地理的,気候風土的な条件と食味ポテンシャルを発揮させる個々の技術要素が水稲の生育や収量形成過程,食味関連特性に及ぼす影響を解析することが重要である.
著者
西田 京介 島田 章平 石川 悟 山内 康一郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J91-D, no.1, pp.51-64, 2008-01-01

オンライン学習を行うパターン分類システムにとって,学習対象の様々な変化に対応する能力は実世界問題を扱う上で必要不可欠である.特に,学習システムにとって重大な変化が突然発生した場合,すなわち,変化前の学習結果が新たな学習対象への適応を大きく阻害する場合には,変化をできる限り高速に検出して対応する必要がある.突然かつ重大な変化のみを正確かつ高速に検出可能な手法を実現するために,本研究では柔軟に様々な変化に対応できる人間に着目した.「最近の分類精度が高い状況で確信度の高い回答が短期間に連続して否定されるほど,人間は変化を高速に検出できる」という作業仮説を立てて行動実験を行い,得られた知見からLeaky Integrate-and-Fireモデルをもとにした手法を提案した.その有効性を検証するため計算機実験を行ったところ,ノイズがない場合とノイズや緩やかな変化が存在する場合の両方で,提案手法は従来手法よりも高い検出性能を実現できた.今後の課題は,問題に大きく依存するパラメータ値を学習中に自動で調整することである.
著者
原田 敏丸
出版者
滋賀大学経済学会
雑誌
彦根論叢 (ISSN:03875989)
巻号頁・発行日
no.第101・102号, pp.32-41, 1964-03