著者
實 清降
出版者
奈良大学総合研究所
雑誌
総合研究所所報 (ISSN:09192999)
巻号頁・発行日
no.11, pp.109-126, 2003

公共交通は地域住民の足である。第二次大戦後、都市を郊外へと発展させていった原動力として「車」の役割は大きい。米国を始め新大陸の国々では特に顕著である。米国では、強引な自動車資本の政界工作によって「路面電車」は忽然と都市交通からその姿を消してしまった。然し、近年情況が変わってきた。高齢化、環境にもやさしいまちづくりが喧伝され、公共交通のもつ比重がとみに増した。LRTの増設、「バスの無料化」など、環境にもやさしい交通を軸にしたまちづくりが進んでいる。日本も傾向としては米国と同じである。だが、公共交通政策が「独立採算」をベースになされたために、民鉄、バス、とりわけ、路面電車はドラスティックな消滅を余儀なくされた。現在、日本は急速に「高齢者大国」になり、「交通弱者大国」の様相を呈してきている。ここに、交通弱者の「公共交通民権」を補償する責務が生じ、「公共交通」を軸にしたまちづくりの取り組みが始まった。例えば、「路面電車を充実し、可能な限りLRTを導入」とか「コミュニティバスの導入」がそれである。当論文で日米の公共交通をベースに据えたまちづくりの取り組みの比較を試みた。
著者
矢田 登
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.275-287, 1980-03-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
45
被引用文献数
1 1

Recent advances of prodrug formation of therapeutic agents were reviewed with 44 references in terms of (1) improvement of stability, (2) masking of bitter taste, (3) increase of water solubility, (4) improvement of bioavailability, and (5) selective distribution into the site of action.Basic consideration for rational design of prodrug was also presented.
著者
関屋 実
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.176-181, 1980-02-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

N- [(N-Nitrosoalkylamino) methyl] amides were recently reported from author's laboratory as new precursors for generating diazoalkanes. This review introduces N- [(N-nitrosoalkylamino) methyl] -carbamates and N- [(N-nitr osoalkylamino) methyl] benzamides as new diazoalkane-generating agents with their superiorities for practical use and stable diazoalkane-reagents, N, N-dialkyl-4-diazome-thylbenzenesulfonamides, prepared in this way, as new UV-detective labelling agents for acidic substances.
著者
遠藤 勝義 井上 晴行 押鐘 寧 片岡 俊彦
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は、絶縁体表面の原子構造と電子状態を原子レベルの空間分解能で観察できる高周波パルスSTM/STS装置を開発するとともに、超精密加工された絶縁体材料表面を計測評価し、加工条件の最適化を図ることである。絶縁体表面をSTM観察するためには、帯電と原子の移動を防ぐ必要性から、交流で伝導体に電子を注入するのに充分なバイアス電圧をmsec以下の短パルスで印加するとともに、探針-試料間の浮遊容量の影響を避けてトンネル電流の信号によってのみフィードバック制御する検出回路を開発しなければならない。さらに、絶縁体表面の欠陥準位を求めるために、トンネル電流のバイアス電圧依存性いわゆるトンネル分光を可能にしなければならない。そこで、矩形パルス電圧を印加した場合に浮遊容量によって生じる電流に妨げられることなくトンネル電流成分のみを検出できるRC回路を考案した。10kHz以上、±10Vまでの高周波矩形波パルスバイアス電圧を印加して、トンネル電流検出回路の出力をダイオードにより整流した信号をフィードバック制御する独自の高周波パルスSTM装置を設計・製作した。そして、導電性のあるHOPGの原子像を本パルスSTM装置によって観察することに成功した。しかし、真性半導体Siや酸化膜付きSi表面の原子像を観察するまでには至っていない。これらの原子像を観察するためには、100kHz以上の高周波領域における電流アンプのS/Nを改善するとともに、フィードバック制御系の追従周波数の向上が不可欠である。そこで、目的の高周波領域まで動作する電流アンプと印加する矩形パルス周波数のみを増幅するロックインアンプからなるトンネル電流検出系を提案し、新たな高周波パルスのトンネル電流制御系を設計・製作した。この検出系によれば、ダイオードによる整流回路の必要がなくなり、ノイズが低減されてフィードバック制御系の追従周波数が1kHzとなり、絶縁体表面の観察を可能にする。
著者
上長 然
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.21-33, 2007-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
44
被引用文献数
4 1

本研究は, 思春期の身体発育と抑うつ傾向との関連について, 思春期の身体発育の発現が直接抑うつ傾向に影響するのか, 思春期の身体発育が発現に対する受容感や身体変容行動を媒介として抑うつ傾向と関連するのかを検討することを目的として実施した。中学生870名 (男子445名, 女子425名) を対象に思春期の身体発育の発現状況, 思春期の身体発育の発現に対する受容感, 身体変容行動 (体重減少行動・体重増加行動), 露出回避行動, 身体満足度, 抑うつ傾向について測定した。その結果, 1) 男子においては思春期の身体発育の発現は抑うつ傾向と直接的にも間接的にも関連していなかった。2) 女子においては, 皮下脂肪がついてきたことにおいて抑うつ傾向と直接的な関連がみられたが, 他の身体発育では見られなかった。3) 女子においては, 思春期の身体発育の発現は, 発現に対する受容感が身体満足度と露出回避行動を媒介にして抑うつ傾向に関連するという構造が示された。

1 0 0 0 IR 英文要旨

出版者
慶應義塾大学アート・センター
雑誌
Booklet (ISSN:13420607)
巻号頁・発行日
no.23, pp.134-137, 2015

ldole♥Heroine V
著者
飯倉 拓也 松田 哲 大竹 千尋 草間 淳 飯塚 奈々 小澤 万純 河方 知裕 堀内 康志 齋藤 大嵩 長谷川 陽子
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.57-65, 2019-03-29 (Released:2019-03-28)
参考文献数
33
被引用文献数
1

概要:今回,上唇可動量の過剰によるガミースマイルに対し,口唇移動術を行い,1年の経過を追い,良好な結果が得られたので報告する。症例は過度な歯肉露出を主訴に来院した24歳の女性である。全身状態は良好,歯肉に炎症を認めなかった。笑った際に上顎前歯部で8 mmの歯肉露出を認め,口腔内検査所見およびX線写真検査所見より上唇可動量の過剰によるガミースマイルと診断した。治療方針:口唇移動術に先立ち,組織の切除を行わない可逆的試験処置を行った。1週間経過観察を行い,口唇移動術を実施することを決定した。治療経過:口唇移動術は上唇小帯を保存することにより,術後の左右非対称を防止できる改良型口唇移動術を行った。術後,口唇の運動制限を指導した。1週間後の抜糸時には,疼痛,腫脹,皮下出血を認めた。1ヶ月後には症状は消失し,笑った際の歯肉露出は上顎前歯部で8 mmから1 mmに改善し,口唇の非対称性などの合併症も認めなかった。1年間の経過観察を行い,後戻りも認められず,経過は良好で満足度は高かった。考察:過度のガミースマイルは審美的な問題となる。ガミースマイルに対する治療法は様々あり,口唇移動術は適応可能な症例や長期予後に関して議論の余地がある。可逆的試験処置を行うことにより予知性を高めることができ,的確な診断のもと行えば,補綴や外科矯正と比較して,治療期間,侵襲の点などで優れた治療法であると考察する。
著者
杉浦 太紀 小口 和代 後藤 進一郎 河野 純子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1117-1120, 2019-11-10

要旨 【目的】ADL維持向上等体制加算病棟(以下,ADL病棟)におけるリハビリテーション介入の標準化を検討する.【対象】2017年8〜10月に刈谷豊田総合病院(以下,当院)のADL病棟3病棟に入院した641例とした.【方法】専従療法士の介入種類を入院時Barthel Index(BI),年齢,入院前日常生活動作(activities of daily living;ADL)により,評価群,指導群,療法群の3群に分類するアルゴリズムを作成した.評価群はBI 65点以上かつ年齢75歳未満の患者,指導群はBI 65点以上かつ年齢75歳以上の患者とBI 30点以上60点以下の患者,療法群はBI 25点以下の患者とした.BI 25点以下の患者で,入院前と比べADLの低下がない場合は指導群とした.アルゴリズムによる分類と療法士の主観的判断を比較した.【結果】療法士介入アルゴリズムによる3群の構成割合は,評価群338例(52.7%),指導群261例(40.7%),療法群42例(6.6%)だった.アルゴリズムと療法士の判断に相違があった患者は641例中54例であり,全体の8.4%であった.【考察】アルゴリズムの使用は,専従療法士間の介入判断の差を減少させ,専従療法士のリハビリテーション介入基準を一定に保つと考えた.
著者
稲葉 梨恵
出版者
日本フランス語学会
雑誌
フランス語学研究 (ISSN:02868601)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.49-63, 2010-06-01 (Released:2017-06-24)
参考文献数
15

Le but de cet article est de mettre en évidence la différence existant entre ça et le en tant que complément d'objet direct. Pour montrer cela, j'ai choisi d'analyser comparativement l'emploi de ces deux pronoms lorsqu'ils sont associés aux verbes dire, faire et savoir. En envisageant leur antécédent et leur contexte, on peut supposer que l'emploi de ça permet d'imprégner le contexte de la subjectivité de l'énonciateur, dont le refus ou la défiance par exemple en sont une forme parmi d'autres. Par l'emploi de ça, l'énonciateur montre en quelque sorte qu'il se tient à l'écart du procès. Au contraire, l'emploi de le, quant à lui, permet à l'énonciateur de confirmer le contenu même de l'énoncé. Pour généraliser cette hypothèse, je propose pour ça l'idée d'indistinct, avancée par Corblin (1995), et pour le l'idée qu'il fonctionne comme l'article défini du point de vue référentiel et comme le pronom personnel du point de vue de la continuité thématique.
著者
平岡 透 桃嵜 真悟 越智 達郎 井上 光平
出版者
Japan Society of Photogrammetry and Remote Sensing
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.320-325, 2010-11-12 (Released:2011-11-01)
参考文献数
12

In this technical report, we propose a new clustering method based on histogram intersection. We prove the effectiveness the proposed method through experiments of land cover classification with multispectral image. Finally, we comment on the respects in which the proposed method is improved and on future prospects.
著者
木村 素子
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.59-72, 2019-03-31 (Released:2019-10-01)
参考文献数
19

本研究は、宮崎県の特別支援学校に在籍する聾重複障害児の在籍状況とその児童生徒の実態について、聞き取り調査を通して明らかにしたものである。宮崎県では、特別支援学校全在籍者の3.15%が聾重複児であり、その70%が知的障害特別支援学校や知的併置校に在籍していた。聴覚特別支援学校の在籍児では、重度・高度難聴の者が多く補聴機器を装用しており、知的障害の程度は軽度の者が比較的多かった。一方、知的障害特別支援学校や知的併置校の在籍児では、知的障害の程度の重い者が多く、難聴の程度は中等度・軽度の者が多かったが、知的障害特別支援学校に限れば60%が重度・高度難聴の者であり、手話や絵カード等の視覚的支援が常時必要と思われる児童生徒であった。知的障害の特別支援学校では、その教職員の専門性、学級編制、授業形態等から、重度・高度難聴の聾重複児に十分なコミュニケーション環境が保障されにくいことが示唆された。
著者
山本 裕靖
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.25-25, 1991-03
著者
山田 晃司
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.224-232, 2020-03-01 (Released:2020-09-01)
参考文献数
4
被引用文献数
2

1 0 0 0 OA 円朝全集

著者
三遊亭円朝 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
vol.巻の十一, 1927
著者
小林 幸夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.338-340, 1999-12-25 (Released:2017-02-10)
参考文献数
7
被引用文献数
5

量の概念と測定の意味を習得することは自然界の法則を見いだすために重要な課題である。しかし中学,高校,大学のどの段階でも,測定の意味に即した量=数値×単位という根本の関係を深く学習する機会が乏しい。教科書,学術誌では量と単位の関係があいまいであり,特に内包量を含む数値計算に誤解が生じている。高校物理,大学教養物理の段階で量の概念を学習項目に取り込み,測定の意味を強調した上で教科書の量の表記を見直すことを提案する。