著者
熊谷 進
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.15-21, 2008 (Released:2008-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

エルゴティズム、ATA症(alimentary toxic aleukemia)、七面鳥X病以外にも多数の人や動物の疾病が、かび毒を原因としたものであることが提唱されてきた。その例として、中国等におけるアフラトキシンによる人の肝臓がん、インドやケニヤで発生した人や動物の急性アフラトキシン中毒症、南アフリカ等におけるフモニシンによるウマの白質脳軟化症や人の食道がん、バルカン地方におけるオクラトキシンによる人の腎症などが挙げられる。最近では人の神経管欠損へのフモニシンの関与が提唱されている。しかし、こうした教科書的に語られるかび毒に起因する疾病は、必ずしも疫学的あるいは毒性学的証拠に十分に裏付けられているわけではなく、広く受け入れられているかび毒の毒性機序にも未解決の問題が残っているように考えられる。その例として、アフラトキシンの化学構造と急性毒性との関連、腎症と尿路系腫瘍におけるオクラトキシンAの関与、動物種によるフモニシン毒性の顕著な差異などが挙げられるであろう。
著者
児島 晃 大塚 敏之
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.310-312, 2003-04-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
12
被引用文献数
4
著者
西 良浩 菅 愛子 高橋 大志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin172, 2020 (Released:2020-06-19)

金融市場において配信されるニュース記事は資産価格評価に影響を及ぼす重要な情報である.配信されたニュース記事が株価変動に及ぼす影響について分析を行った取り組みは多くあり,ニュース記事のような非構造化データには,財務情報のような構造化データにはないファンダメンタル情報やセンチメント情報が含まれている可能性が報告されている.しかしながら,ニュース記事の数には限りがあり,取得可能なデータ数の制限は深層学習を用いた分析の精度に影響を及ぼす.本研究では,ニュース記事配信前後の株価変動に基づくニュース評価モデルの構築を行い,GPT-2を介したニュース記事の生成を通じ,モデルの精度向上を試みた.分析対象を日本の電機メーカーとし,ニュース配信前後の株価変動に基づきラベル付けを行い,ニュース評価モデルを用いて分析を行った.分析の結果,GPT-2によるニュース記事生成を通じ,ニュース評価モデルの精度を向上できる可能性があることを見出した.
著者
為栗 敦生 中村 鴻介 高橋 良颯 山口 実靖
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2021-NL-249, no.1, pp.1-7, 2021-07-20

深層学習は文書分類等の自然言語処理にて活用され,Self-Attention などが大きな成果をあげている.一方で深層学習による分類は,分類精度は高いがその判断根拠を人間が理解することが困難であるとの指摘がされている.本稿では,テーマが定められたニュース記事群のテーマによる分類のタスクに着目し,深層学習による分類の判断根拠の提示手法について考察する.具体的には,LSTM Attention により記事分類を行い,高い精度で分類をできることを示す.そして,Attention 値や既存の判断根拠提示手法 Smooth-grad に着目し,自然言語記事分類の判断根拠提示手法について考察する.また性能評価により,これらに着目することにより判断根拠を提示できることを示す.
著者
長澤明範
雑誌
BMTh
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.247-249, 1995
被引用文献数
2
著者
森井 悠太
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.79-84, 2021 (Released:2021-08-17)
参考文献数
31

多数の市民の目による監視が外来生物の早期発見につながることから、外来種問題は市民科学が最も威力を発揮する分野のひとつであると考えられ、市民科学の貢献が期待されている。研究者や行政による外来種への対応が予算や時間など高いコストを要求するのに対して、研究者以外の市民による対応は多くの方々の力を借りられることから生物の分布域の把握や外来種の初期の検出に対して効力を発揮する手法として注目されている。筆者はこれまで、北海道を拠点に活動する市民や博物館関係者、国内の研究者らと共に、「外来ナメクジをめぐる市民と学者の会」という非営利団体を立ち上げ、代表の一人として外来生物をめぐる市民参加型の研究プロジェクトを推進してきた。具体的には、近年日本に侵入したばかりの外来種であるマダラコウラナメクジを対象に扱っており、1)市民や研究者、メディアをも巻き込んだ外来ナメクジの継続的な観測と駆除、2)市民と研究者の連名による専門的な学術雑誌や一般向けの科学雑誌などへの発表、3)博物館やボランティア団体と連携した市民向け観察会や講演会の実施とそれらを通した自然保護や科学リテラシーの普及と教育、の 3つを軸に活動を続けている。本稿ではまず、筆者の参画する市民科学のプロジェクトによる成果を紹介する。その上で、市民参加型のプロジェクトを企画・運営するにあたり筆者自身が心掛けている経営論について意見を述べる。未来の市民科学を成功に導く道標となることを期待したい。
著者
辻 基宏 大石 哲 中北 英一 池淵 周一
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.40, pp.245-262, 1997-04

従来, 都市における水害の原因は台風と低気圧に伴う豪雨によるものが大半を占めていたが, 近年それらは相対的に減少し雷雨性の集中豪雨によるものが増加している.そこで本研究では, そのように都市の防災上重要となる狭域・短時間の可能最大降水量(PMP)の推定をColdRainも表現できる1次元積雲モデルを用い, 10分間のPMPとして80mmを物理的根拠を持って推定した.さらに, 得られたPMPを用いて確率雨量の評価も行った.In urbanized areas, heavy rainfall in short periods of time and in small areas can potentially result in extreme damage.It is important, therefore to estimate the short duration PMP(Probable Maximum Precipitation) which takes heavy rainfall into consideration when planning for river management in or near urbanized areas.In this study, traditional methods for PMP estimation are reviewed, and a new method for short duration PMP estimation, which uses a one‐dimensional cumulonimbus model developed by Ferrier and Houze, is proposed. The 10 minutes PMP for an urbanized areas in the Kinki region is estimated using this method, for which a value of 80 mm was obtained.
著者
村田 徳治
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.242-250, 1995-05-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
19

乾電池は, 環境汚染や資源枯渇が問題視されている重金属やその化合物から構成されており, 持続可能な社会を構築する上でエネルギー効率や資源的な視点から, 乾電池のエネルギー収支を試算した。その結果, マンガン乾電池は, その原料である金属亜鉛・電解二酸化マンガン・鉄を製造するために消費したエネルギーのたった0.3%以下しか利用することができず, 残りの99.7%はエネルギーの無駄使いになっていた。また, 効率が良いとされているアルカリマンガン乾電池ですら, エネルギー効率はわずか0.6%以下であった。製造に関する基礎的なデータはメーカー側に握られており, 試算のための基礎資料の入手は困難であった。産業側が秘匿している基礎データの開示とデータベースの充実により, 科学的なデータに立脚したLCAが実施される必要がある。
著者
外崎 みゆき
出版者
関東学院大学図書館||カントウガクイン ダイガク トショカン||Kanto Gakuin University Library

機関リポジトリにおいて本文検索は重要な機能である。画像PDFで提供されたデジタル論文はそのまま機関リポジトリに登録しても、本文検索の対象とならない。これらの画像PDF論文を市販のOCRソフトを使用して透明テキスト付きのPDFに変換する事ができれば、検索が可能となる。結果としてリポジトリに登録されるデータの品質が向上する。本調査では市販のOCRソフトを用いて解像度を変えてデジタル化を行い、画像PDFに透明テキストを付与した時の解像度が透明テキストに及ぼす影響、および、処理後のファイルサイズを比較した。調査結果をふまえ、紙媒体の資料を機関リポジトリ登録用にデジタル化する際の指針を提示する。
著者
門間 信也
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.89-93, 2000

N 2 PM for newsprint was started up in Feb., 1998, at Yatsushiro mill. This machine is one of the wide and high speed machines in the world. The wire width is 9, 050 mm, and the operating speed is max. 1, 600 mpm. The plan production capacity of newsprint is 700 tpd. Our goal of this new machine is that the Yastushiro mill can win the competition in the world by restructuring of two old machine-lines and cost down, and can continuously supply the best quality newsprint especially to the user of Kyushu area, and N 2 PM can be the most efficient machine in the world. This machine has a lot of the newest equipments. using the highest technologies, in Japan or in the world. For example, those are the first CFD former in Japan as newsprint machine former, the shoe presses at first and third press introduced for the first time in the world. the top and single deck dryer configuration at pre-dryer and after dryer. the jumbo rolls and spools handling system between reel and rewinder, and so on.<BR>After start up. N 2 PM continues to be operated efficiently, improving some problems.<BR>This paper mentions about the N 2 PM outlines and operating experience from start-up.
著者
坂井田 瑠衣 諏訪 正樹 野口 奈摘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料
巻号頁・発行日
vol.2011, no.11, 2011

<p>会話で臨機応変に役回りを演じ,場を活性化するスキルは暗黙知である.他者の発言を好機に,自己の個性を活かして多様な役回りを演じる顕著な例題として,お笑い番組を選び,出演するタレントらのスキルを詳らかにする.</p>
著者
小堀 彩子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.193-200, 2010 (Released:2010-11-05)
参考文献数
23
被引用文献数
4 2

This study elucidates processes of coping with work-family conflicts in double-income couples with children. Eight stories of dilemmas concerning work-family conflicts were constructed. Regular employees (N=20) were instructed to narrate the parts of the story in which they thought about how to cope with work-family conflict situations. The protocol analyses revealed the following: (a) most people prioritized their home over their jobs when their families encountered difficult situations, and (b) in cases where either spouse had a demanding or difficult job, there were gender differences with regard to the process of coping with work-family conflicts. The implications of these results are discussed.