著者
山口 開 奥瀬 千晃 鈴木 啓弘 小林 裕太郎 長田 達郎 巴 雅威 遠山 裕樹 林 毅 吉田 秀樹 高橋 泰人 前山 史朗 打越 敏之 飯野 四郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.18-22, 1998-01-25 (Released:2009-11-17)
参考文献数
19

症例は23歳, 女性. 飲酒歴, 輸血歴および鍼灸治療歴はない. 常用薬剤なし. 感冒様症状に伴う食欲不振, 腹部不快感および2週間で約4kgの体重減少を主訴に近医を受診した. 生化学検査でtransaminaseの上昇を認め急性肝炎が疑われ当科紹介, 入院となった. 入院時現症では標準体重の-32%のるいそうを認め, 入院時検査所見では総蛋白, コリンエステラーゼの低下及びtransaminaseの上昇が認められた. しかし肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性で, 抗核抗体および抗ミトコンドリア抗体も検出されず免疫グロブリンはいずれも正常ないし軽度低下を呈した. 腹部超音波およびCTでは著明な脂肪肝を認めた. 肝生検像では肝実質にacuteyellow collapsed cellを含む巣状壊死を散見し, 大脂肪滴沈着をzone 2~3に小葉の1/2以上に認め飲酒歴がないことからnon-alcoholic steatohepatitisと診断した. 本例は肥満, 耐糖能異常を伴わず, 薬剤服用歴もなく経過より急激な栄養障害による飢餓状態が原因と考えられた
著者
多和田 兼章 竹内 聡志 鷹羽 慶之 後藤 英之 武長 徹也 大塚 隆信 杉本 勝正 大藪 直子 土屋 篤志
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.795-797, 2014 (Released:2014-11-21)
参考文献数
9

今回の研究の目的は当院における肩関節脱臼に対するStimson法の整復率について調査することである.当院救急外来にて研修医がStimson法で整復を行った肩関節前方脱臼21例22肩(平均年令60.8歳,男性13例,女性8例)を対象とした.外傷性脱臼が14肩,反復性脱臼が8肩であった.整復できた群をStimson法群,Stimson法で整復できなかった群をFailure群とし,比較を行った.当院におけるStimson法の整復率は40.9%(9/22肩)であった.他の13肩はzero position法で整復された.Failure群13肩では年齢が高く,合併損傷を伴う外傷性脱臼が多い傾向にあった.Stimson法は簡便で,非侵襲的だが,整復時間を要することや低い整復率が問題である.当施設においても40.9%と他の整復法と比較して低い整復率であった.
著者
山畑 倫志
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.522-516, 2019

<p>Jain Carita Literature has a long tradition. The Jains had formalized their saints into Sixty-three Great Men. However, the authors of Carita works often created many biographies about saints other than the Sixty-three Great Men. This paper takes up three people, Neminātha, Bāhubalin, and Śālibhadra.</p><p>Neminātha, the 22nd Tīrthaṅkara is included in Sixth-three Great Men. But the Jain Old Gujarati works, succeeding a tradition of the Jain Caritas, emphasized the love of his fiance Rājul for Neminātha, rather than the biography of Neminātha.</p><p>Bāhubalin overwhelmed his brother, the first Cakravartin Bharata, in a battle, and underwent a conversion to Jain doctrine by his father, the first Tīrthaṅkara, Ṛṣabha. Bāhubalin is the most important character in that story.</p><p>Śālibhadra was a very wealthy merchant whose wealth outdid that of the king. But one day he realized that the king dominated him, and all people also had a master. Then Śālibhadra renounced the worldly life.</p><p>This paper proposes that the Jain authors gave these Extra-saints appropriate roles required according to the social or political situation.</p>
著者
鈴木 美咲 平野 大輔 小賀野 操 谷口 敬道 杉原 素子
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.37-45, 2017

本研究の目的は,若年者と高齢者のペットボトルのキャップ開封方法を観察・分類し,握力・つまみ力との関係性を明らかにすることである.若年者として女子大学生51 名,高齢者として地域在住高齢女性62 名の右利き女性を対象に,未開封の500 mL のペットボトルのキャップ開封動作をビデオカメラで撮影した.撮影後,握力と指腹,側腹つまみ力を各々3 回測定した.若年者と高齢者の共通点として右手でキャップをつまみ,左手で本体を把持するパターンが多かった.高齢者では開封不能者を11 名認め,握力・つまみ力は開封可能者に比べ有意に小さかった.開封可能な高齢者においても本体底面を大腿部に押し付けて固定する者等,若年者には見られない方法で開封する者がいた.若年者と高齢者の開封方法は類似していたが,高齢者では母指の力を利用する,3 指のつまみや手掌面の押し付けで接触面を増やす,といったパターンが多く見られ,キャップに力を伝えやすい方法を選択していたものと考えられる.
著者
永冨 大舗
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.15-23, 2018

<p>1歳半ぐらいの子どもは物には名前があるということが分かり、大人が物の名前を教える過程で語彙が急激に増加する語彙爆発という現象が起こる。しかし、ASD 児は主症状であるコミュニケーションの障害のため、質問への応答能力を獲得したとしても、自分から疑問詞を用いて尋ねるという疑問詞始発が起きないとされている。本研究は、疑問詞始発が見られないASD の男児とPARS によりASD の特性が強いとされる女児に対し、音声プロンプトを用いて、未知な刺激を提示された時に、自ら「これ何?」と尋ねる疑問詞始発の獲得のための介入を行った。教材として、対象児が知らないと予想されるイラストカードや漢字カードを用い、対象児が知っていると予想されるカードとランダムに提示することにより、疑問詞始発が必要な機会を設定した。介入期では、対象児の疑問詞始発が生起しない時、「これ何?」と音声プロンプトを行い、模倣した後にイラストの名前や漢字の読みを教えた。音声プロンプトは段階的にフェイドアウトした。その結果、対象児は音声プロンプトを用いた介入期が始まると疑問詞始発が生起し、介入を行っていない未知な情報を含む刺激に対しても疑問詞始発が生起するようになった。また、日常場面においても、疑問詞始発を用いる様子が見られるようになった。また、「どこ?」や「だれ?」といった指導をしていない疑問詞始発が生起するようになった。更に、2 ヶ月後のフォローアップ期においても介入の効果が維持された。</p>
著者
津富 宏
出版者
明治学院大学国際平和研究所
雑誌
PRIME = プライム
巻号頁・発行日
vol.44, pp.166-170, 2021-03-31

【書評/Book Reviews】
著者
秋永 紀子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.293-299, 2003-03-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
17

貴州省にはダイズの加工品であるトウフやナレズシなどの発酵食品があり, 日常的に食べられていた. そこで, 食文化から見た貴州省における伝統的な大豆の加工品および発酵食品について, 材料, 製法, 食べ方および分布等を調査した結果, 次のことが明らかとなった.1) トウフの製造過程で豆乳の抽出方法には, 貴州省のトウフ屋では, 一般に「生搾り」法で行われ, 凝固剤には主に石膏が使用されていた. 報京の同族の家庭では, 凝固剤に酸漿 (酸湯) が使用されていた.2) 貴州省には加塩発酵ダイズと無塩発酵ダイズの二種のナットウがあった. 無塩発酵ダイズであるナットウの分布は省都貴陽市や黔東南苗族・桐族自治州に見られた.3) 桐族や苗族はナレズシに使用する魚を脱水する方法として, 塩漬けおよび火に炙る方法を用い.漬け床として, 糯米に麹が使用され発酵させる方法と生の米粉 (糯米粉) を発酵させた「しとぎ」に漬ける方法があった. 報京の桐族の家庭では, 甕に「しとぎ」を入れ発酵させていた. この「しとぎ」は, 貴州省では日常的に調理して食べられていた.4) 少数民族は, 米のとぎ汁を発酵させた酸湯を常備し, トウフの凝固剤やスープおよび漬物の調味料として使用していた.
著者
Masahiro Natsuaki Takeshi Morimoto Hiroki Shiomi Ko Yamamoto Kyohei Yamaji Hirotoshi Watanabe Takashi Uegaito Mitsuo Matsuda Toshihiro Tamura Ryoji Taniguchi Moriaki Inoko Hiroshi Mabuchi Teruki Takeda Takenori Domei Manabu Shirotani Natsuhiko Ehara Hiroshi Eizawa Katsuhisa Ishii Masaru Tanaka Tsukasa Inada Tomoya Onodera Ryuzo Nawada Eiji Shinoda Miho Yamada Takashi Yamamoto Hiroshi Sakai Mamoru Toyofuku Takashi Tamura Mamoru Takahashi Tomohisa Tada Hiroki Sakamoto Takeshi Tada Kazuhisa Kaneda Shinji Miki Takeshi Aoyama Satoru Suwa Yukihito Sato Kenji Ando Yutaka Furukawa Yoshihisa Nakagawa Kazushige Kadota Takeshi Kimura on behalf of the CREDO-Kyoto PCI/CABG Registry Cohort-Investigators
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.CJ-21-0526, (Released:2021-09-16)
参考文献数
27
被引用文献数
1

Background:Optimal intensity is unclear for P2Y12receptor blocker therapy after percutaneous coronary intervention (PCI) in real-world clinical practice.Methods and Results:From the CREDO-Kyoto Registry, the current study population consisted of 25,419 patients (Cohort-2: n=12,161 and Cohort-3: n=13,258) who underwent their first PCI. P2Y12receptor blocker therapies were reduced dose of ticlopidine (200 mg/day), and global dose of clopidogrel (75 mg/day) in 87.7% and 94.8% of patients in Cohort-2 and Cohort-3, respectively. Cumulative 3-year incidence of GUSTO moderate/severe bleeding was significantly higher in Cohort-3 than in Cohort-2 (12.1% and 9.0%, P<0.0001). After adjusting 17 demographic factors and 9 management factors potentially related to the bleeding events other than the type of P2Y12receptor blocker, the higher bleeding risk in Cohort-3 relative to Cohort-2 remained significant (hazard ratio (HR): 1.52 95% confidence interval (CI) 1.37–1.68, P<0.0001). Cohort-3 compared with Cohort-2 was not associated with lower adjusted risk for myocardial infarction/ischemic stroke (HR: 0.96, 95% CI: 0.87–1.06, P=0.44).Conclusions:In this historical comparative study, Cohort-3 compared with Cohort-2 was associated with excess bleeding risk, which might be at least partly explained by the difference in P2Y12receptor blockers.
著者
高尾 和宏 大村 寛
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.190-193, 2008 (Released:2008-12-09)
参考文献数
13

刎橋が,江戸時代に静岡県北部,大井川の上流部に存在した。古文書の調査によれば,架橋当初の1607(慶長12)年から1692(元禄5)年まで85年間の橋長は72.8 m(40間)のままであった。ところが1692年に刎橋の10 km上流で推定3,600 haの森林が伐採され始め,1700(元禄13)年までの9年間に皆伐状態にされた。森林の伐採後,1702(元禄15)年に橋長は85.5 m(47間)となり,以後,1729(享保14)年に91.0 m(50間),1815(文政8)年に100.0 m(55間)と,架け替えのたびに長くなっている。架橋場所は橋台を建設する場所の限定から,毎回同じ場所であった。橋長の延長は,大井川の川幅の拡大によるものであろう。すなわち,洪水により流失した刎橋は,拡大した川幅に併せて架け替えされたと推測される。さらに,洪水の原因は,上流部における大規模伐採で森林の保水機能が失われたことによるものと推測される。
著者
嶺 輝子
出版者
一般社団法人 日本小児精神神経学会
雑誌
小児の精神と神経 (ISSN:05599040)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.41-51, 2019

このたび,ICD-11において複雑性PTSDが正式な診断基準として採択された.これにより,これまで正しい診断・治療を受けられなかった患者たちが適切な治療を受けられるような基盤が整ったわけだが,今後はその治療をどのように行っていくかが重要課題になるだろう.複雑性PTSDとは,傷を受けやすい幼年期の発達段階において,養育責任を担っている者の加害や放棄による重度のストレス要因に継続的あるいは長期間さらされた結果引き起こされる心的外傷であるが(Courtois et al., 2009),それは長期にわたるストレスだけでなく,単回のトラウマが,その後の不適切なケアや対応によって重症化するケースも含まれうる.小児の精神神経の専門家として,このような複雑性PTSDへの変調を防ぎ,トラウマから回復させるには何が必要なのかを論じたうえで,論者が考案したホログラフィートークという心理療法を子どものケアにどのように利用しうるのかを紹介してみたい.
著者
金谷 良夫 Kanaya Yoshio
出版者
神奈川大学
雑誌
麒麟 (ISSN:09186964)
巻号頁・発行日
vol.08, pp.101(13)-91(23), 1999-03-20
著者
早瀬 智広 冨田 陽二 木下 靖朗
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.339-341, 1995-04-20
参考文献数
10
被引用文献数
1

We report a case of chronic sclerosing sialadenitis in the sublingual gland.<BR>A 34-year-old woman was referred to our hospital for an indolent mass in the sublingual region. No salivary stone nor foreign matter were found. The histpathological diagnosis was chronic sclerosing sialadenitis. Immunological variable, (RA, IgA, IgG, IgM) were within normal limits postoperatively.
著者
野口 道
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.156-157, 1982-09-25
著者
米田 貴
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.746-749, 2014-06-15

「SNS上での仲間外し」のロールプレイングを学校の普通教室で行い,他者に対するおもいやりや人権等に対する意識を向上させる事で,情報社会に参画する態度の育成を試みた.SNSやLINE等のコミュニケーションツールを介してやり取りをする事により,以前ならば小さな衝突で済んでいた事案でも,問題が急速に拡大・悪化する事がある.「SNS上での仲間外し」をロールプレイングする事で生徒の倫理観を向上させ,情報社会に参画する態度の育成を目指した筆者の指導内容について,実践する上で留意した点や工夫した点を踏まえて報告する.
著者
岩鼻 通明
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 = Quarterly journal of geography (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.19-27, 1999-03-15
参考文献数
4
被引用文献数
2

本研究の目的は, 長野県戸隠村中社集落の観光地化について, 1975年までの10年間の動向を報告した第1報, および1985年までの10年間の動向を報告した第2報に引き続いて, 1985年から1995年までの10年間の動向を明らかにすることにある。<br>この10年間の動向として, 前半のバブル経済期は観光客数が急増したが, 後半の経済不況期に入って, 宿泊客数の減少傾向が顕著になりつつある。とりわけ, 1995年に発生した阪神大震災と豪雨災害の影響が大きい。それにともない, 高齢化を主たる理由に廃業する宿泊・飲食施設も現れ始め, これまで拡大の一途をたどってきた戸隠観光にも変化が生じつつあることが明らかになった。また, 併せて1998年に開催の長野五輪への期待や, スキー場とゴルフ場の必要性に関しても調査を行ったが, 総じて長野五輪への期待感には乏しく, ゴルフ場の誘致やスキー場の拡大についても消極的な意見が多くみられた。