著者
高取 千佳 長谷川 泰洋 藤原 望 清水 裕之 宮脇 勝
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1232-1239, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

都市に残存する里山起源の二次林は、都市環境の向上に寄与する様々な緑地機能の発揮が期待されている。特に近年は、国民の余暇の増大や量から質への価値観の変化を背景に、雨水涵養や大気浄化等の従来の物理的機能に加え、景観やレクリエーション等の心理的機能が注目を集めている。しかしながら、近年では里山的利用の衰退による質の低下が進んでおり、緑地機能の適切な保全が求められている一方、財政難を抱える行政だけで積極的に緑地管理を行うことは難しく、行政・市民の協働による新たな緑地管理の在り方が模索されている。そこで、本研究では、名古屋市名東区藤巻町を対象に、(1)里山起源の二次林を類型化した上で、(2)景観選好性と管理労力の両方を定量的に評価し、(3)地域における提供しうる管理量を制約条件とし、景観選好性を最大化する管理労力の配分による空間計画の手法構築を行う。これにより、行政・市民の協働による緑地管理の在り方について計画的知見を得ることを目的とする。
著者
加賀谷 淳子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.429-442, 2001-09-10 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
4 5

The recent development of non-invasive ultrasound for studying blood flow has contributed to knowledge about changes in blood flow to exercising muscle. Using this method, the vessel diameter of conduit arteries, such as the femoral artery and brachial artery, was measured. The diameter of the brachial artery tncreased as handgrip exercise was prolonged, though no changes in diameter were observed in the femoral artery during knee extension exercise. Blood flow to the muscle was impeded mechanically by muscle contraction due to the increased intramuscular pressure even at low intensity (10% MVC). A greater reduction of muscle blood flow was demonstrated during the concentric phase, and it recovered toward the baseline during the eccentric phase. The effect of geometrical changes in muscle fibers on muscle circulation remained to be studied. The Doppler ultrasound method with good time resolution allowed us to investigate the time course of blood flow changes during exercise. The results of previous studies indicated a faster adaptation of muscle blood flow at the onset of exercise, followed by a steady state or gradual increase toward the end of exercise, depending on the exercise intensity. Redistribution of blood flow between active muscles has been an issue of interest; several studies indicated blood flow reduction during combined exercise and others did not. Further studies should be conducted focusing on the combination of the exercise intensity of individual muscle recruited during exercise. Muscle blood flow plays a key role in determining muscle endurance capacity. However, it is still unknown how high muscle blood flow increases during exercise. Accumulation of knowledge about exercise-induced maximal blood flow is needed in relation to training, exercise mode, exercise intensity, exercise frequency and contraction/relaxation schedule during the duty cycle.
著者
川村 和司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.69, 2005

現在,我が国の地上波民間テレビジョン放送は,日本テレビとTBS,フジテレビ,テレビ朝日,テレビ東京の5系列と三大都市圏内の独立局で構成されている.全国展開が許可されなかった民放キー局各社は,NHKに対抗するため,全国の地方局と系列関係を構築した.すなわち地方の報道を系列局が担当し,多くの番組を在京のキー局が配信するという体制である. 民間放送局は効率的に全国を網羅するため,三大都市圏に次いで,地方中枢都市を有する北海道や福岡,宮城,広島などに系列局を開局した.これはNHKの置局展開を論じた東・宇賀神(1979)の結果に類似している.また,人口や経済規模による民力を反映し,静岡や新潟などの県でも系列局の置局が行われた.一方,民力の脆弱な県で系列局の置局が盛んに行われたのは,政策的に全国の民放4局化が進められた1989年以降である.しかし4局化を達成した岩手や山形, 石川を上回る民力を有しながら,青森や山口など3局化に止まった県も存在する.そこで本研究では,3局地域の中で民力度が最も高い県のひとつである青森県を事例にモアチャンネル需要の特徴とその地域性を明らかにする. 系列局の少ない区域では隣接区域の放送を視聴することで系列の空白を補完する傾向がある.その方法としてはアンテナでの直接受信と,ケーブルテレビが他区域の局の放送を行う区域外再送信があげられる.青森県においても,空白となっているフジテレビ系列やテレビ東京系列を視聴するため,北海道や岩手,秋田の放送をアンテナ受信やケーブルテレビの区域外再送信によって視聴する習慣がある. 青森県における,全県的なフジテレビ系列やテレビ東京系列へのモアチャンネル需要を裏付けるように,隣接区域の放送が受信しやすい地域ほど,アンテナ受信での視聴世帯の割合は高くなり,受信が困難な青森市などでは有料のケーブルテレビ区域外再送信の加入世帯が非常に多くなっている.また青森県内の放送が鮮明に視聴できない地域では隣接区域の放送に頼らざるを得ない状況となっている.一方で,旧南部藩領で岩手県側にも商圏を持つ八戸市周辺や,教育や医療などの一部の面で北海道函館市の都市影響圏に属する下北半島北部のような隣接区域との地域間関係の強い地域では,青森よりも岩手や北海道の放送に親近感を受ける住民も多く,青森県内の民間放送に代わり隣接区域の放送を視聴している世帯もみられた.また過去の隣接区域の放送の視聴経験もモアチャンネル需要に影響を与え,居住地が移動した後も,もとの隣接区域の放送を視聴する傾向が強いことが把握された.以上,青森県でのモアチャンネル需要は,系列局の空白状況,受信状況,地域間関係,また過去の習慣などによって特徴づけられ,地域性を生じさせていると考えられる.
著者
石丸 正 作本 真 長山 郁生 古川 仭
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.87, no.11, pp.1489-1494, 1994-11-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1

We usually use 6 frequencies, 250, 500, 1000, 2000, 4000 and 8000 Hz, in conventional pure tone audiometry. When these 6 points do not show hearing loss, our clinical diagnosis is no hearing loss. If the hearing loss is not located in the clinical 6 frequencies, we cannot detect it.The authors diagnosed 6000 Hz-dip type acute hearing loss in a 43-year-old male with tinnitus. We measured the hearing levels at 6 frequencies and found no hearing loss. The pitch of his tinnitus was 6000 Hz, so we measured the hearing levels at 4 other frequencies (800, 1500, 3000 and 6000 Hz) and detected a 6000 Hz-dip.Steroid treatment cured both the tinnitus and the 6000 Hz-dip hearing loss.When hearing loss occurs at a frequency other than the conventional pure tone audiometric frequencies, a mistaken diagnosis of no hearing loss is made. If the patient complains of tinnitus, the clinician should investigate the pitch and measure the hearing level near the frequency of the tinnitus. This is a useful method of discovering narrow diptype acute hearing loss.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1660, pp.112-116, 2012-10-01

9月8日、インドネシアの首都ジャカルタにある大型ショッピングセンターの中に、女性アイドルグループ「JKT48」の専用劇場がオープンした。以降ほぼ連日、音楽ライブを開いている。50km離れたボゴール市から鉄道でやってきたという中学生グループに、JKT48の魅力を聞くと、我先に「カワイイ」「フレンドリー」などの答えが返ってきた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.80-83, 2012-06

彼女を支える、卓越した「決断力」「行動力」「観察力」、そして「コミュニケーション力」を見ていこう。 「2年間で3000人以上の方と1対1で会いました。1人1時間半、お話をして次の人を紹介してもらっていたのです」。そう、にこやかに話すのは星野有香さん。2年間で3000人だと、単純計算でも1日4人以上のペース。1人1時間半なら1日6時間。しかも毎日。
著者
上田 真由美
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.237, 2017-02-15

かつて初等教育では「読み書きそろばん」の能力獲得が目指されていた.現在では,これらに加えて,コンピュータ活用力とコミュニケーション能力が必要不可欠であり,これらの能力獲得を目指した教育が初等教育だけでなく,高等教育でも行われている.近年,企業等からはデータサイエンティストを求める声が聞かれる.また,大学等でデータサイエンス教育も行われ始めている.しかし,「読み書きそろばん」と並ぶコンピュータ活用力は,もう少し基本的で,一般教養ともいえる必要最低限のコンピュータ活用力ではないだろうか.本コラムでは,高等教育機関で行う「コンピュータ活用力」とはどのようなものか考えていきたい.
著者
脇本 健夫
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.162-169, 2005 (Released:2006-07-01)
参考文献数
29

有機ELは電子写真で開発された材料を応用して発展してきた.その有機ELの開発の歴史,有機EL素子構造,有機ELに使用される材料,有機ELパネル,応用製品について解説した.
著者
松尾 雄二
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.591-595, 2013 (Released:2014-01-31)
著者
高橋 裕
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

Ⅰ はじめに<br> 2000年代以降,ネットカフェやビデオ・DVD試写室,サウナ,ファストフード店を代表とする24時間営業店舗などでの,ホームレス状態にある人の寝泊まりや住み込みがみられる.何かしらの要因によって貧困状態にあるなどの,このようなホームレス状態にある人の近年の特徴として,「見えにくさ」が挙げられる.彼らの姿や実態,そして彼らが多くみられる地域との関係性はよく分かっていない.そこで本研究では,東京都大田区蒲田を事例として,24時間営業店舗などに寝泊まりせざるをえない新たな不安定居住者層が集中する地域の特性について,東京都大田区蒲田の事例を中心として,不安定居住者・ネットカフェ利用者の立場と,地域性・場所性の両面からアプローチして分析・考察を試みた.なお,本研究では,特定の住居を持たず,ネットカフェやビデオ・DVD試写室,サウナ,ファストフード店を代表とする民間セクターの商業スペースなどで寝泊まりする人を不安定居住者とよんでいる.<br><br>Ⅱ 研究対象地域<br> 本研究では,近年みられる不安定居住者層が集中する代表的な地域として東京都大田区蒲田を選定した.大田区は東京都の南東部にあり,東は東京湾に面し,北は品川・目黒区に,北西は世田谷区に,さらに西と南は多摩川をはさんで神奈川県川崎市にそれぞれ隣接している.面積は東京都23区内で最も広く,人口は2015年の国勢調査では世田谷区・練馬区に次いで3番目の多さである.<br><br>Ⅲ 研究方法<br> 総務省統計局やネットカフェを運営する企業のホームページなどから抽出したデータ,各種文献などをもとに,不安定居住者層が蒲田に集中する要因を分析した.そして,蒲田のネットカフェ利用者への聞き取り調査などにより,蒲田の不安定居住者の実態や,彼らと蒲田との関係性・結びつきを分析した.考察においては,適宜,有識者・専門家・社会活動家・NPO関係者などへの聞き取り調査の結果を用いた.<br><br>Ⅳ 結果と考察<br> 蒲田には,交通の要衝や繁華街としての要素があり,ネットカフェやDVD鑑賞店の数も多く,城南地区の中心地となっていることや,他地域には見られない非常に安価で不安定居住者を客層としているような特異なネットカフェ店舗が存在すること,高度経済成長期に地方からの集団就職者層の歓楽街として発展したという歴史的経緯などの特性があることによって,蒲田は近年みられる不安定居住者層を集中させていたことがわかった.そのうち,交通の要衝であり繁華街的性格をもち,ネットカフェ・DVD鑑賞店など安価な24時間営業店舗を多く集積していることが,近年みられる不安定居住者層集中地域の普遍的要素であることが挙げられる.不安定居住者と同様のネットカフェ寝泊まり常連者も含めた蒲田のネットカフェ利用者が,蒲田のネットカフェを利用している理由としては,蒲田に居住しているためであること以外に,仕事場所への行き来のためであることが多く,彼らは蒲田を中心に東は京浜急行線に沿うように羽田まで,西は東急線に沿うように多摩川駅や五反田駅・目黒駅に至るように移動し,南は横浜市,北はJR田端駅付近までJR京浜東北線に沿うように移動していることがわかった.<br> それらをもとに,東京都内において,蒲田以外にも不安定居住者層集中地域を見出すことができ,近年みられる不安定居住者層の東京都内での「漂流パターン」も一定程度,想定できる.