著者
川村 千鶴子
出版者
大東文化大学環境創造学会
雑誌
環境創造 (ISSN:13468758)
巻号頁・発行日
no.22, pp.11-20, 2016-09

2016年は、戦後71年目にあたる。その間、日本は「永住」を目的とする外国人の入国を認めず、在留資格に「移民」の項目はない。しかし永住者、特別永住者の割合は大きく、人口減少の中、移民の包摂は重要課題である。格差が拡大する社会で、移民政策は、政治的社会的リスクと多文化「共創」の構築の双方を照らし合わせて検討されなければならない。「多文化共創」とは、単に文化的多様性を尊重するだけではなく、移民、難民、無国籍者、障がい者、一人親家庭など多様な人びとと隣人として市民としてより積極的に交流し、行政とともに人権の概念を大切にし、異種混淆性に理解のある幸福度の高い社会を目指すことにある。本特集は、自治体と企業行動、EUの変遷、映像メディア、無国籍者に照射して、日本の移民政策への道を考察する。多様性とは、国籍、性別、年齢、民族、信仰、在留資格の違いを指すものではく、個人の持つあらゆる属性の次元に光を当てることである。換言すれば、多様性の照射は、現実的な移民政策を導きだすことになる。そして人々の多文化共創の実践と蓄積が移民政策の土台となる。
著者
林,長閑
出版者
家屋害虫研究会
雑誌
家屋害虫
巻号頁・発行日
vol.(7,8), 1980-12-30
著者
本間 龍夫 三浦 正和 藤井 博美
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, 1992

日本においても海外交流が栄んになり、商品輸出入のみでなく、旅行者、研修生という外国人の入国がふえました。特に近隣の中国人、韓国人や南米2世のブラジル人等の人々が病院で治療をうけたり、検診をうける機会がふえましたが、各国語を話せる病院スタッフは大変少ないと思われます。その折X線室で撮影する先生方の替わりに外国語で話す音声装置があると便利である。又、耳の不自由な人や老人のペイシエントケア用品として表示器もあるが、CTガントリー内で寝ていても見えるように改良する必要があるという施設があった。
著者
孫 基然
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.50-62, 2013 (Released:2013-06-17)
参考文献数
49

【目的】「盛んならず虚ならざれば、 経を以てこれを取る」 は最も重要な治療原則として知れているが、 その解釈は極めて混乱し統一されていない。 そこでこれを明らかにするためその原義を検討したので報告する。 【方法】『黄帝内経』 における 「盛んならず虚ならざれば、 経を以てこれを取る」 の出典を調べ、 今日までのこれに関する研究概況及び問題点を明らかにした上で、 更にその背景を見出し、 『黄帝内経霊枢』 禁服篇にのみ引用されている 『大数』 及び 『張家山漢墓竹簡』 脈書を利用し、 「盛んならず虚ならざれば、 経を以てこれを取る」 のルーツまで遡って、 その原義の解明を行った。 【結果】その結果、 これまで計四説、 十三の意見を確認することができたが、 どれも合理的に解釈できていないことを明らかにした。 【考察】「盛んならず虚ならざれば、 経を以てこれを取る」 は 「遍身診脈法」 を背景とすることと、 『黄帝内経霊枢』 禁服篇の解釈は本篇に引用されている 『大数』 と矛盾していること、 『張家山漢墓竹簡』 脈書にある 「諍 (静) ならば則ちこれを侍たも (持) つ」 は 「盛んならず虚ならざれば、 経を以てこれを取る」 の原型であることから、 その原義は、 脈形と脈拍とが正常な場合は、 治療せず、 いつも通りで対応すると解釈すべきではないかと示唆された。
著者
石川 義之 イシカワ ヨシユキ Yoshiyuki ISHIKAWA
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.4, pp.105-127, 2005-01-31

この論文は、A県在住の男女を対象に実施したドメスティック・バイオレンスの調査データを統計的に解析したものである。統計解析は、女性調査と男性調査の2つがある中で、男性調査を中心に行われた。 分析によると、女性のDV被害経験率は男性のそれに比して顕著に高い。また、男性のDV加害経験率は女性のそれよりも高い。以上から、ドメスティック・バイオレンスは、事実上、男性から女性に対して向けられた暴力行為を指す現象であると捉えることができる。ただし、女性のDV被害経験率と男性のDV加害経験率との比較から、男性は自らの行ったDV加害行動の多くをそれとして自覚していないことが知られる。 無自覚的行為を含む男性のDV加害諸行為(DV加害経験)を規定する基礎要因を統計解析によって探った。この点に関して、以下のことが明らかとなった。 1.男性のDV加害経験と男性の現在の年齢 : 比較的に年齢の高い層のほうが低い層よりも男性のDV加害経験率が統計的に有意に高い。 2.男性のDV加害経験と男性の現在の仕事 : 男性の現在の仕事が「家族従業者」である場合男性のDV加害経験率は最も高く、「勤め人」である場合それが最も低い。 3.男性のDV加害経験と男性の現在の雇用形態(「勤め人」の場合): 男性の現在の雇用形態が「パートタイム、アルバイト、嘱託、臨時など」の非正規労働である場合のほうが「正社員、正職員」という正規労働である場合よりも男性のDV加害経験率は高い。 4.男性のDV加害経験と現在の同居家族の状況 : 「3世代以上の家族」に所属する男性においてDV加害経験率が最も高く、「同居家族なし」の単身男性においてそれが最も低かった。 5.男性のDV加害経験と現在の居住地域 : 居住地域による男性のDV加害経験率に統計的な有意差は認められなかった。このことは、DVが都市化現象であるとする見方に対する反証となる。 6.男性のDV加害経験と現在の家族の経済状況 : 「下」の経済階層に帰属する男性のDV加害経験率が最も高く、「上」の経済階層に帰属する男性のそれが最も低かった。 7.男性のDV加害経験と現在の妻(パートナー)の年齢 : 相対的に高年齢層に属する妻(パートナー)を持つ男性のほうが低年齢層に属する妻(パートナー)を持つ男性よりもDV加害経験率が高かった。 8.男性のDV加害経験と妻(パートナー)の現在の仕事 : (1)妻(パートナー)の現在の仕事が「家族従業者」である場合において男性のDV加害経験率が最も高く、「自営業主」である場合にそれが最も低い。(2)妻(パートナー)の現在の仕事が「雇用労働者」である場合と「家事専業」である場合とを比較すると、「雇用労働者」である場合のほうが男性のDV加害化率が高かった。 9.男性のDV加害経験とと妻(パートナー)の現在の雇用形態(「勤め人」の場合): 妻(パートナー)の 現在の雇用形態が「パートタイム、アルバイト、嘱託、臨時など」の非正規労働である場合のほうが「正社員、正職員」という正規労働である場合よりも男性のDV加害化率は高い。 10.男性のDV加害経験と妻及び夫の教育歴(学歴): 男性のDV加害経験率が最も高かったのは教育歴が「妻のほうが夫よりも長い」場合で、次いで「両者の教育歴はほぼ同じくらい」、「夫のほうが妻よりも長い」場合は最も低率となっている。 11.男性のDV加害経験と現在の回答者(夫)の家族の収入や家計の状況 : 夫・妻の「両者の収入はほぼ同じ」場合において男性のDV加害経験率は最も高く、次いで「妻の収入のほうが夫よりも多い」、「夫の収入のほうが妻よりも多い」場合にはそれが最も低くなっている。
著者
水野 一晴
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.134, 2008

<BR> インドのアルナチャル・プラデシュ州(アッサム・ヒマラヤ)は、ブータンと中国・チベットとの国境に近く、22-24のチベット系民族(細分化すれば51民族)の住む地域である。長らくインドと中国の国境紛争が続き(現在でも中国の地図では中国領)、最近まで外国人の入国が禁止されていたため、未知の部分が多く、神秘的な領域である。現在外国人が入域をするためには、国と州の入域許可書が必要で10日間以内の滞在が認められる。今回は2007年7月の予備調査、とくにディラン・ゾーン地域の自然と人間活動について報告を行う。<BR> 1. 地形と土地利用:住居や農地の多くは、地滑り斜面と崖錐斜面に立地している。それらの地形はその形状と堆積物から住居と農地の立地に有利であると考えられる。<BR> 2. 森林利用:農地の肥料は樹木の落葉のみが利用されるため、落葉は住民にとって重要な財産になっている。森林は森林保護地域と非保護地域に区分され、それぞれ住民による利用の仕方が異なる。また、土地の所有者、同一クランの者とそれ以外の者では落葉の利用権が異なる。<BR> 3. 農業:農耕は標高2400m以下(稲作は標高1700m以下)、牧畜(ヤク)は標高2000m以上で行われている。放牧地は樹木を人為的に毒で枯死させてつくられ、そこではバターやチーズが現金収入になっている。<BR> 4. 住民の定着と農耕の起源:同じアルナチャル・プラデシュ州のジロ地域では、各所の露頭でみられる埋没腐植層の<SUP>14</SUP>Cの年代から、2000年前頃には人が定着し、500年前頃には焼畑が盛んであったことが推測される。ディラン・ゾーン地域の水田下から発見された埋没木の年代は、<SUP>14</SUP>C濃度から1957年-1961年のものと推測されるが、今後さらに埋没木や埋没腐植層を探し、タワン-ディラン・ゾーン地域で農地が拡大した時代を明らかにしていきたい。
著者
地野 充時 辻 正徳 隅越 誠 小林 亨 山本 昇伯 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.152-156, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
9

中建中湯は便秘に使用されることが多いと報告されている方剤である。今回,下痢,軟便に有効であった症例を経験した。有効5症例のうち,便秘を呈さなかった症例は4例であった。中建中湯は下痢・軟便症例にも有効であり,便秘に拘る必要はない。有効例においては,(1)腹鳴・腹満,(2)腹直筋攣急,(3)冷え,が多く認められ,これらの臨床症状が本方を処方する時の目標になりうると考えられた。
著者
石黒 洋 山本 明子 中莖 みゆき 衣 蘭娟 石黒 真理子 山口 誠 近藤 志保 持丸 由香 Ishiguro Hiroshi Yamamoto Akiko Nakakuki Miyuki Yi Lanjuan Ishiguro Mariko Yamaguchi Makoto Kondo Shiho Mochimaru Yuka
出版者
名古屋大学総合保健体育科学センター
雑誌
総合保健体育科学 (ISSN:02895412)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.9-15, 2012-03-30

Excretion of hypotonic sweat by eccrine sweat gland is achieved by re-absorption of NaCl by sweat duct which is an important function to prevent the salt loss and heat prostration. The Cl– transport by sweat duct is mediated by cystic fibrosis transmembrane conductance regulator (CFTR) anion channel. CFTR is the causative gene for cystic fibrosis, an autosomal recessive genetic disease. CFTR functions as a cAMP-dependent anion channel localized in the apical membrane of various epithelia. Loss of function due to severe mutations in both alleles causes typical cystic fibrosis characterized by dehydrated, thick, and viscous luminal fluid/mucus in the respiratory and gastrointestinal tract, pancreatic duct, and vas deferens. Cystic fibrosis is the most common genetic disease in Caucasians (1 per ~3,000 births) but it is rare in the Asian population including Japanese (1 per ~1.5 million). A compound heterozygote of mutations/polymorphisms (causing a mild dysfunction of CFTR) involves a risk of developing CFTR-related diseases (or atypical cystic fibrosis) such as chronic pancreatitis and male infertility due to congenital bilateral absence of the vas deferens (CBAVD). Recent studies suggest that CFTR mutations/polymorphisms are frequently found in Japanese patients with chronic pancreatitis, CBAVD and diffuse panbronchiolitis. Cl– concentration in the sweat is a useful measure of CFTR function in human. The sweat [Cl–] in healthy subjects is correlated with ages. High levels (>60 mM) of sweat [Cl–] suggest the dysfunction of CFTR.
著者
仁科 エミ 河合 徳枝 大橋 力
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.239, pp.1-6, 2011-10-10
参考文献数
12

私たちは、インドネシア・バリ島の伝統的民族音楽"ガムラン"について長年にわたる研究を行っている。その結果、ガムラン音は、可聴域上限をこえる高複雑性超高周波を含むことを見出した。そうした音は、脳幹・視床・視床下部を含む脳の最高中枢<基幹脳>の活動を劇的に高めることにより、環境適応や生体防御を司り健康と深く関わる<自律神経系・内分泌系・免疫系>、そして美しさ快さを司り感性や芸術と深く関わる脳の<報酬系>の活動を連携して向上させる効果をもつ。高密度のバリ島絵画を被写体とした4K映像に同様の効果が期待されることも私たちは見出している。これらの知見は、今後の衛星通信において、技術的可能性とともに、人間の生理的反応や文化的多様性をも考慮した映像音響密度が必要であることを示唆していると考える。
著者
津谷 喜一郎
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.31-43, 2010 (Released:2010-09-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1
著者
真下 知子 張 貞京 中村 博幸 Tomoko MASHIMO Jeongkyong CHANG Hiroyuki NAKAMURA 京都文教短期大学 京都文教短期大学 京都文教大学 Kyoto Bunkyo Junior College Kyoto Bunkyo Junior College Kyoto Bunkyo University
出版者
京都文教短期大学
雑誌
京都文教短期大学研究紀要 (ISSN:03895467)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.136-146, 2011

保育者-保護者間のコミュニケーションの改善をめざし、保育者養成課程においても現場での学びの礎となる取り組みが必要である。筆者らは、教材開発のための予備調査として、保護者からの相談の場面を設定したシナリオ形式の質問紙によるアンケート調査を実施した。現職の保育者による回答の分析より、保育者の答え方の特色として、1.「傾聴・共感」2.「具体的なアドバイス」3.「保育者として一緒に問題解決にあたる姿勢を示すこと」の3点が見られた。
著者
石井 夏生利
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策レビュー
巻号頁・発行日
vol.4, pp.E17-E45, 2012

本稿の目的は、個人情報が商品価値を伴ってネットワークを流通しているという実態を受け、個人情報の「財産権」の可能性を理論的に考察することにある。この問題は、ライフログをめぐる種々の論点の中でも原理的な性質を有する。検討に際しては、アメリカにおける個人情報の財産権論について、歴史的発展過程から、「第1期 伝統的プライバシー権の発展期(1890年~1960年頃)」、「第2期 現代的プライバシー権・法と経済学の提唱期(1960年代後半~1980年頃)」、「第3期 情報プライバシーとサイバースペース論議の発展期(1990年代後半~2000年代半ば頃)」に区分し、各時代の議論状況を検討した。その上で、適宜日本の文献を引用しつつ、筆者なりの視点から財産権論に対する問題提起を行い、自らの見解を明らかにした。
著者
田崎 義孝 葛西 正則 長谷川 雅明 遠藤 昌伸
出版者
新潟県農業総合研究所
巻号頁・発行日
no.17, pp.25-39, 2019 (Released:2019-08-27)

ウリ科作物(スイカ・キュウリ)の断根挿し接ぎ木法に対する人工光利用として、接ぎ木前および養生時における光照射が接ぎ木苗の活着および生育に及ぼす影響を調べた。昼白色LEDランプを光源とする接ぎ木前照射は、寡日照の環境条件下において葉色および乾物重の増加と穂木の奇形葉発生の軽減に効果が見られた。さらに、養生時照射は、接ぎ部の癒合と台木の不定根発生を促進する効果と共に、穂木又は台木の子葉に生じる褐変や黄化を軽減する効果が見られた。光合成有効光量子束密度(PPFD)は、接ぎ木前では40μmol・m-2・s-1、養生時では10μmol・m-2・s-1の弱光による各3日間の連続照射で十分な効果が得られた。

1 0 0 0 OA 札幌地下街

著者
平山 勇
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会雑誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.37-41, 1972-01-25 (Released:2011-07-19)
著者
Alexander Yakubov Wazen Shbair Nida Khan Radu State Christophe Medinger Jean Hilger
出版者
IJNC Editorial Committee
雑誌
International Journal of Networking and Computing (ISSN:21852839)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-24, 2020 (Released:2020-01-23)
参考文献数
27
被引用文献数
5

Pretty Good Privacy (PGP) is one of the most prominent cryptographic standards offering end-to-end encryption for email messages and other sensitive information exchange. PGP allows to verify the identity of the correspondent in information exchange as well as the information integrity. PGP implements asymmetric encryption with certificates shared through a network of PGP key servers. In this paper, we propose a new PGP management framework with the key servers infrastructure implemented using blockchain technology. Our approach offers fast propagation of certificate revocation among PGP key servers and elimination of man-in-the-middle risks. It also grants users the required access control to update their own PGP certificates, which is not the case with the current PGP key servers. A prototype has been implemented using Ethereum blockchain and an open source key server, named Hockeypuck. Finally, we evaluated the prototype with extensive experiments. Our results show that our solution is practical and it could be integrated with the existing public PGP key servers infrastructure.