著者
西村 一彦 内平 直志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1294-1295, 1989-03-15

並列プログラムの実行過程の解明や知能ロボットの行動計画生成問題は時間的関係を含んだ問題として定式化され,その方法として時制命題論理(PTL:Propositional Temporal Logic)による解決が試みられている.このようなPTLをベースとした具体的システムでは,論理式を形式的な仕様とみなし,仕様を満たすような手順系列を自動的に生成することができる.また,PTLで書かれた仕様が正しければ,その結果得られる手順系列も正しいことが保証されている.しかし,PTLによって記述された仕様(論理式)自体に誤り,不足がある場合は当然のことながらその結果も誤りとなる.ところが,結果の検証,デバッグはいまだに人手で行なわれている.バグとしては,(1)記述ミス(スペルミス),(2)きつい仕様(無駄な制約),(3)仕様が記述不足(制約が不足),を考える.(1)は原子命題や論理記号の記述ミスである.(2)では,無駄な制約のために,結果として得られるモデル集合(M)がユーザーが実行したいもの(U)に比べ小さなもの,すなわち,M⊆Uとなる.従って,MをUによって検証すれば必ず矛盾が発生し,その矛盾点を追跡することでバグを発見することができる.ところが,(3)は必ずしも検証過程で矛盾を引き起こすとは限らない.なぜなら,M⊇Uだからである.この場合,むしろ,不足している仕様が何であるかをユーザーから与えられるモデルから生成する機能が必要となる.そこで,(3)以外の二つのバグを同定する方法について述べる.まず,ここで対象とするPTLとその決定手続きであるタブロー法について解説し,PTL式のバグが何であるのかを定義する.次にユーザーモデルに基づいたバグの発見アルゴリズムについて詳述する.
著者
中本 和岐 山田 悠 鈴木 英之進
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.144-152, 2003 (Released:2003-03-04)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

This paper proposes a fast clustering method for time-series data based on average time sequence vector. A clustering procedure based on an exhaustive search method is time-consuming although its result typically exhibits high quality. BIRCH, which reduces the number of examples by data squashing based on a data structure CF (Clustering Feature) tree, represents an effective solution for such a method when the data set consists of numerical attributes only. For time-series data, however, a straightforward application of BIRCH based on a Euclidean distance for a pair of sequences, miserably fails since such a distance typically differs from human's perception. A dissimilarity measure based on DTW (Dynamic Time Warping) is desirable, but to the best of our knowledge no methods have been proposed for time-series data in the context of data squashing. In order to circumvent this problem, we propose DTWS (Dynamic Time Warping Squashed) tree, which employs a dissimilarity measure based on DTW, and compresses time sequences to the average time sequence vector. An average time sequence vector is obtained by a novel procedure which estimates correct shrinkage of a result of DTW. Experiments using the Australian sign language data demonstrate the superiority of the proposed method in terms of correctness of clustering, while its degradation of time efficiency is negligible.
著者
石川 智治 野澤 昭雄 三井 実 水野 統太 今井 啓介 井出 英人 宮原 誠
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.169-174, 2008-12-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

In this paper, the objective assessment scale for Deep KANSEI evoked by high quality sound reproduction was investigated in the following experiments.(1) Subjective evaluation of the quality of musical sound reproduced by two different systems. One was a conventional system and the other was the Extra HI System M which could reproduce superior high quality sound by characteristics of precision wave front and planar wave.(2) Measurement of the nasal skin temperature, which is known to be an index of autonomic nervous system activity. Results showed that a greater pleasant feeling seemed to be evoked in the Extra HI System M condition compared to the condition of the conventional sound reproduction system. The long-term decrease of the nasal skin temperature, which strongly correlates to sympathetic nervous activity, showed a correlation with the subjective evaluation implying the possibility of objective assessment scale for Deep KANSEI.
著者
高橋 知敬
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.133-145, 1982-03-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
31
被引用文献数
3

姿勢の違いが咀嚼及び嚥下機能に及ぼす影響について明らかにするため, 被験者46名につき坐位及び仰臥位の2つの異った姿勢における咀嚼及び嚥下時の顎運動パターン, 食品粉砕能率, 口における物の大きさの弁別能をそれぞれ比較した。両姿勢問で咀嚼及び嚥下時の顎運動パターンは相違した。また, 食品粉砕能率は両姿勢問で相違がないにもかかわらず, 仰臥位では坐位に比べて嚥下するまでには咀嚼回数を増加させ, 食品をより細く粉砕して嚥下した。一方, 大きさ弁別実験では弁別能自体は姿勢の変化による影響を受けなかったが, 弁別に際し出現する基準板の大きさについての錯覚現象には変化が認められ, 仰臥位では坐位に比べてこの錯覚の程度が小さかった. このような姿勢の違いによる咀嚼系機能の変化の機序の1つとして・閉口筋中の感覚受容器の活動の姿勢の違いによる変化が関与していることが示唆された。
著者
堀尾 強 河村 洋二郎
出版者
歯科基礎医学会
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.524-532, 1988

姿勢の違いが咀嚼運動に及ぼす影響を明らかにするために, 被験者16名につき坐位および仰臥位の2つの異なった姿勢における咀嚼運動パターン, その運動パターンと食品のテクスチャーとの関係を調べた。姿勢を坐位から仰臥位へ変化させることにより咬筋筋電図の振幅が減少し, 最終嚥下までの咀嚼回数, 咀嚼時間が増加した。また, 姿勢変化による咀嚼回数, 咀嚼時間の増加の割合は食品の硬度による差はあまりなく, 食品の付着性, 粘着性の大きい食品では仰臥位における増加率が小さくなる傾向があることが明らかとなった。各食品のテクスチャーと咀嚼運動の関係については, 付着性, 粘着性というテクスチャーを有する比較的軟らかいガム, チーズの咀嚼時には咀嚼筋筋電図の振幅や放電持続時間および咀嚼回数, 咀嚼時間が増大し, 咀嚼運動は食品の硬度ばかりでなく, 付着性, 粘着性の影響も強く受けることが見いだされた。<BR>本実験から坐位と仰臥位における咀嚼パターンの相違に及ぼす影響は食品のテクスチャーによって異なることが示唆された。
著者
礒部 道生 正垣 泰彦
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.978, pp.100-103, 1999-02-15

「フードサービスは製造業だ」「日本の食文化はイタリアより1000年遅れている」「コックの腕でおいしさが決まるわけじゃない」等々…。 イタリア料理店チェーン、サイゼリヤを率いる正垣しょうがき泰彦の口からは、矢継ぎ早に刺激的な言葉が飛び出してくる。これが外食産業の異端児と呼ばれるゆえんの1つでもあろう。
著者
佐々木 修平
出版者
八戸工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

超電導バルク体を用いた磁気浮上型免震装置の実用化に向けて,免震対象物の許容重量となる磁気浮上力,鉛直振動伝達の抑制が重要な課題となる。本課題研究期間において,永久磁石の配列方法や,磁性体を用いた磁束密度操作によって磁気浮上力の向上を図り,一般家屋を磁気支持できるレベルに到達することができた。さらに,モデル装置を用いて鉛直振動伝達特性について検討を行い,超電導バルク体に超電導線材コイルを取り付けることで鉛直振動伝達を抑えることに成功した。
著者
西村 直也 柳 宇 鍵 直樹 池田 耕一 吉野 博 斉藤 秀樹 斉藤 敬子 鎌倉 良太 小畑 美知夫
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.175, pp.1-8, 2011-10-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究は医療施設における室内空気環境の維持管理のあり方について検討することを目的とする。第1報では調査の詳細および冬期、夏期における計18件の病院の外来待合室、事務室および病室に対する建築物衛生法の測定方法に準じた空気質の実測調査結果を示した。また第2報では浮遊微生物濃度の実態を明らかにした。第1、2報では建築物衛生法の環境基準値およびHEAS指針値を超過する室が多く見られ、適切に運用するためには、空気環境について定期的に監視することが有効であるという見解が得られた。本報では、温熱環境、空気質について連続測定や定量分析を行うことによって、より詳細に実態の解析を行った。その結果、室によっては温熱環境の日中変動が大きいこと、室内の浮遊粉じん濃度が外気の濃度に大きく影響を受けていること、VOC類の濃度は概ね低く抑えられているものの、DEGEEやカンファーなどが特徴的に検出されることなどを確認した。
著者
増田 直紀 中丸 麻由子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.219-229, 2006-12-05 (Released:2016-09-10)
参考文献数
62
被引用文献数
1

複雑ネットワークは、要素と要素のつながり方の構造と機能に焦点をあてた新しい研究分野である。生態学の多くの対象においても、地理的空間、あるいは抽象的空間で個体や個体群同士がどのようなつながり方にのっとって相互作用するかは、全体や個々のふるまいに大きく影響しうる。本稿では、複雑ネットワークについて概説し、次に食物綱や伝播過程の例を紹介しながら、生態学へのネットワークの応用可能性を議論する。
著者
関本 理佳 村山 浩 上野 晴樹
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.207-208, 1991-02-25

現在のプログラミング環境ではプログラム理解の能力を持たないので,プログラムを作成しても文法チェックしかしてくれず,またそれも分かりにくいメッセージであることが多い。まして簡単な論理ミスばかりでなくスペルミスさえも補正してくれない。これらは全てプログラマの負担となっている。人間のチュータがミスを含んだプログラムを読む時は,ミスの原因や訂正の方法を同定することが出来る。そこで我々は,人間のチュータの役割をコンピュータが代行するような教育向き知的プログラミング支援環境の開発を行っている。本稿では,実験に基づく論理エラーの分類と意図理解への応用について述べる。
著者
髙木 俊範 原 英彰
出版者
日本脳循環代謝学会
雑誌
脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌) (ISSN:09159401)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.277-280, 2016 (Released:2016-07-29)
参考文献数
15

脳卒中には様々な病態が含まれることは周知の事実である.脳梗塞の最も有効な治療が閉塞した血管の再開通であることは間違いないが,その中にも様々な病態が含まれ,それぞれに対し個別治療が望まれるようになってきた.またそれらは極めて短期間の間で時代とともに変遷してきた.直接神経を保護する薬剤の検討から始まり,組織プラスミノゲンによる再開通療法が始まれば,その時間的制約や出血性合併症に対する検討が必要となった.また神経保護のために,neurovascular unit を包括した保護戦略が謳われ始めた.こうしたその時々の臨床課題に対し,当研究室ではシロスタゾールという単一の薬剤での解決を目指し,基礎研究の視点からアプローチしてきた.抗血小板薬として開発されたシロスタゾールを用いた一連の研究を通して,薬は単一の薬効をのみを有するのではなく,マルチファンクションを有することがあると示された.