出版者
宮内省図書寮
巻号頁・発行日
vol.[55], 1931
著者
直原 一徳 野口 悟 (徳富 哲) 桂 ひとみ 藤堂 剛 石川 智子
出版者
大阪府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、光依存の磁気センサータンパク質として仮説が立てられている青色光受容体「クリプトクロム」を用いて、青色光照射に伴う磁気の発生について磁気特性測定装置(MPMS3)を用いて測定することを試みた。2018年度に入って、ゼブラフィッシュ由来のクリプトクロムの一種「Zf_Cry-DASH」のタンパク質溶液を用いて青色光照射を行い、光反応に伴って形成されるラジカル状態の磁化発生をMPMS3により検出する測定を遂行した。結果としては、現在のところまだ磁気特性を示すMPMS3シグナルの検出には至っておらず、さらなる測定条件の検討が必要であると考えている。
著者
三星 沙織 田中 直義 村橋 鮎美 村松 芳多子 木内 幹
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.528-538, 2007-12-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

ミャンマーには伝統的な大豆醗酵食品でペーポ(Pe pok, またはペーガピ,Peegapi)と呼ばれる,農家が小規模で製造している一種の納豆がある.我が国にはない,新しい納豆の生産に適した菌株を取得するためにミャンマー東北部で現地調査を実施しペーポの採集を行った.(1)採集したペーポ試料29点の食塩濃度は0.14-13.7%であった.食塩濃度3%未満が11点,3%以上6%未満が8点,6%以上9%未満が5点,9%以上12%未満2点で,12%以上は3点であった.(2)試料から197株を分離し,137株をBacillus subtilisと同定した.そのうち42株を蒸煮大豆に生育したコロニーの糸引きから納豆菌として選別した.(3)分離菌の最適生育温度は,33℃が1株,35℃が1株,37℃が5株,39℃が9株,41℃が19株,43℃が6株,45℃が1株であり,温度域に幅があった.(4)小規模の納豆製造を行って,我が国の糸引納豆にも適する株として10株を選別した.それらの株で製造した納豆は,我が国の納豆に類似した性質を有するものもあったが,臭いまたは糸引き,苦味などの改良が必要なものもあった.これらは,さらに製造法を検討することによって現存する我が国の納豆とは異なる新しい納豆を製造する菌株として使用できる可能性がある.
著者
岩田 正美
出版者
東京都立大学人文学部
雑誌
人文学報. 社会福祉学 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-21, 1998-03-25

「個人」と「社会」に分解された近代社会において、その両者を「個人のニーズ」充足を介して「社会のゴールに奉仕する」ものとして出発した社会福祉的統合が今日どのように限界をもつに至っているかを明らかにする。とくに、近代社会の「自立する個人」と「普通の生活」に基盤をおいた自立、権利といった、この統合をつなぐ社会福祉の諸概念がもつ基本的な矛盾について検討する。またこれを克服する方向として、社会福祉の分野論的発想を超えた問題把握を前提とした諸概念のオールタナテイヴを模索する。
著者
松浦 良充
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.417-426, 1999-12-30 (Released:2007-12-27)

本論文は、アメリカ高等教育史における「リベラル・エデュケイション」および「ジェネラル・エデュケイション」概念の意味と、その相互関係の明確化を試みるものである。この作業を通して、現在私たちが直面している課題である、日本の大学における<教養>について再考する際の示唆を得る。そしてそのための事例として、シカゴ大学カレッジにおける改革の現状と歴史を考察する。シカゴ大学カレッジは、1999年、1984年以来の学士課程カリキュラムを改訂したが、この改革に関しては多くの議論がまきおこっている。なぜならば新カリキュラムは,シカゴ大学の伝統である共通コア科目を縮小し、その分、選択科目枠を拡大するものであったからだ。さらにシカゴ大学カレッジは、創立以来現在に至るまで、アメリカ合衆国における有数の研究志向大学であるにもかかわらず、ロバート・メイナード・ハッチンズ学長・総長時代(1929&#8764;1951 年)に、学士課程カレッジのカリキュラムおよび組織に関してユニークな実験的改革の経験をもっている。しかしながら今回の改革は、多元文化社会におけるリベラル・エデュケイションの新たな概念構成が,共通コア科目からなる一般教育と、専攻(専門)教育、さらに、教室外や国外にさえおよぶ学生の自主学習・研究を含むものへと、再構築されるべきことを示唆している。筆者は、シカゴ大学の改革から、日本の高等教育における<教養>教育概念の再構築のための新たな参照枠を得ることができると考えている。 本稿の議論は、以下の手順によって進めてゆく。第一に、日本の高等教育が、戦後新制大学のモデルとしたつもりであったアメリカにおける「リベラル・エデュケーション」および「ジェネラル・エデュケーション」(教養教育)が、学士課程の専門(専攻)教育と本質的に対立するものである、との誤解がなされてきた。そうした理解は、アメリカにおけるリベラル・エデュケイション概念の意味には含まれていない。第二に、リベラル・エデュケイションの思想史を、とくに、ブルース・A・キンバルによる、「弁論家」の系譜と「哲学者」の系譜という枠組みを参考にしながら、整理・検討する。それによれば、リベラル・エデュケイションの歴史は、弁論家たちによる「アルテス・リベラルス理念」と哲学者たちによる「リベラル-フリー理念」との間の一連の論争の歴史である。そして、いまや両者の理念の統合が求められている。第三に、シカゴ大学カレッジの1999年度カリキュラム改革および実験的改革の歴史について検討する。シカゴ大学カレッジのリベラル・エデュケイションは、コモン・コアによる一般教育、専攻(専門)教育、および自由選択科目から構成されているが、今回の改革では、教室外やキャンパス外にも教育活動を拡張することをめざしている。そしてそれは、リベラル・エデュケイションにおける「アルテス-リベラルス理念」と「リベラル-フリー理念」の統合を試みるものである。そして以上の考察を経て最後に、筆者は、専攻(専門)教育や課外の教育活動を含みこんだ形での、新たな日本の学士課程における教養教育を構築することが必要であると結論する。
著者
鍾 清漢
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 = The journal of Kawamura Gakuen Woman's University (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.83-104, 2002

本稿は, 道徳教育研究を儒家思想に求め, その関わりを論ずるものである。孔子, 孟子, 荀子の儒学は2600年来, 東アジアの漢字文化圏の道徳理念の形成に大きく影響を及ぼしてきた。戦前, 日本の教育勅語には儒家思想が多く盛られている。ただ, 「忠」の解釈には違いもあったが, おおよそ日本国民の血となり, 肉となって, その精神文化を支えてきた。戦後はその「忠」の行き過ぎを正してきた。そして近年にみる道徳の頽廃をどう考えるかが, 道徳教育研究の大きな課題でもある。儒学では, 孔子の仁・忠恕と孟子の仁義・性善説が主として語られるが, 荀子の礼から発展した法規則は, 孔孟思想の偏りを正して, さらに一歩進めたものである。本論はこれを検証する紙数がなかったので, 後日の研鑽に委ねたい。なお, 四書の中の『大学』一書の「格物・致知・誠意・正心・修身・斉家・治国・平天下」の八徳目は, 世界のどの哲学にもみられない最高の智恵である。
著者
杉田 政夫
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.13-24, 2018 (Released:2019-08-31)
参考文献数
19

近年, 欧米を中心に音楽教育の「社会正義」論が活況を呈している。本稿は, 哲学的背景を異にしつつも深く関連する下記3論文を検討し, 音楽教育における社会正義論の意義や重層性を提示することを目的とした。ヴォジョア (2007) は当該領域における社会正義の理論的源泉となってきたリーマー, エリオット, ウッドフォードの著述を取り上げ, 近代主義, リベラリズムの傾向を, ポストコロニアル批評を基軸に批判した。デイル (2012) はデリダの脱構築に立脚してリーマー, ウッドフォードを論評し, また自らの実践を例に正義の (不) 可能性を描出した。ウッドフォード (2012) はリベラル民主主義論に依拠して米国音楽教育史を政治分析し, リーマーや美的教育論の批判を展開した。いずれも社会・文化的「他者」への関わりに焦点化しており, 「多文化主義」には批判的論調であった。また音楽の社会的, 政治的機能やその問題を音楽教育の文脈で扱うことの重要性が示唆された。
著者
長嶋 一昭 稲垣 暢也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.737-741, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

経口インスリン分泌促進薬には,SU薬,グリニド薬に加え,DPP-IV阻害薬がある.SU薬およびグリニド薬は,膵β細胞KATPチャネルのSUR1サブユニットに結合しインスリン分泌を惹起するという点では共通であるが,半減期やKATPチャネルへの親和性などの特性は異なり,糖尿病の病態に応じて使い分ける必要がある.また,これまでインスリン療法が常識とされてきた新生児糖尿病の発症原因として,KATPチャネル遺伝子異常による症例が多く存在し,多くの場合SU薬による治療が有効であることが示された.