著者
米川 勉
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第8回大会
巻号頁・発行日
pp.129, 2010 (Released:2010-09-01)

人間が外界から1つの物理刺激を受け取った時、複数の感覚が同時に生じる現象、例えば視覚と聴覚、聴覚と触覚などが混じったり、文字に色がついて見えるといった現象を共感覚という。いわばモダリティ間の混線現象である。その発生原因については、生まれた初期には誰もがそのような状態にあり、成長して感覚機能の分化とともに失われていくとしたものや遺伝的なものが関係する、あるいは脳の機能障害に起因するなど、諸説がある。 本研究は、この現象について確認するために、過去の現象記述から抽出して質問項目を作成し、アンケート調査を行ったものである。対象は女子大生195名。その調査結果について分析して報告する。またその後ケース研究として、共感覚を持つと思われる5名にインタビューして、日常場面で普通感覚の人とどのような点が違い、どのような困難に遭遇するかについて比較検討した。共感覚を持つことのメリットとデメリットについてまとめ、日本における実態の把握に努めたものである。
著者
松田 岳士 本名 信行 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.239-250, 2006-02-20 (Released:2016-08-02)
参考文献数
15
被引用文献数
4

本研究では,高等教育機関が実施するeラーニングにおける学習者支援活動のうち,メンタリングに焦点を当て,メンタリング活動を体系化し,コースの実態を反映させたメンタリングの実践ガイドラインを開発した.そして,開発したガイドラインを正規授業のeラーニングで用いることによってその有効性を分析した.その結果,メンタリングガイドラインに基づいて学習者支援を行ったコースでは,ガイドライン開発前に比べてメンタからの反応時間が短縮されたほか,学習者のメンタに対する評価が改善されるなどの結果がみとめられた.
著者
宝来 聰
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

モンゴロイドの子孫は今や環太平洋地帯の広い地域に分布し、さまざまな環境に適応している。モンゴロイドにおける先史時代の拡散を研究する際、重要な問題の1つとして最初のアメリカ人、つまり″新世界への移住″という問題がある。アメリカ先住民の祖先は東北アジアからベーリング海峡を越えてアメリカのさまざまな地域に分散して定住し、最終的に南アメリカの南端にまで達したということは疑う余地はない。しかし彼らがいつ、どのような遺伝的背景や文化をもってやってきたのかは未だ十分に解明されていない。16の地域集団(チリ、コロンビア、ブラジル、マヤ、アパッチ)から72人のアメリカ先住民について、ミトコンドリアDNAのノンコーデイング領域の塩基配列を決定し解析を行った。塩基配列はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法をもちいて直接決定した。72人のアメリカ先住民の482塩基対の配列を比較したところ、43の異なるタイプの塩基配列が観察された。アメリカ先住民内での塩基多様性は1.29%と推定され、これはアフリカ人、ヨーロッパ人、アジア人を含めた全ヒト集団での1.44%という値よりいくらか小さかった。また系統樹による解析からは、アメリカ先住民の系統のほとんどが4つの大きな独立したクラスターに分類できることが分かった。各クラスターの人々は他のヒト集団ではほとんどみられない特別な多型部位を少なくとも2箇所共有しており、これは、アメリカ先住民が系統的にユニークな位置付けがされることを示している。アフリカ人、ヨーロッパ人、アジア人、アメリカ原住民の計193人の系統樹を作成すると、4つのアメリカ先住民のクラスターは独立して全体の中に分散していることが分かった。これらのクラスターの大部分はアメリカ先住民で構成されているがわずかに少数のアジア人も混じっていた。このことにより異なる4つの祖先集団がそれぞれ独立して新世界に移住したのだろうと推定した。さらに同一クラススターでアジア人とアメリカ先住民の系統が最初に交わる時間から、ベーリング海峡を渡った最初の移住が1万4千年から2万1千年前ごろに起こったものと推定した。またアメリカ先住民間で観察された塩基置換の特徴より、アメリカ先住民の祖先集団はきびしいボトルネックを受けたのでもなく、新世界に移住する際に集団サイズを急に拡げたのではなかったことが示唆された
著者
原馬 明子 守口 徹
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.553-558, 2017-07-20 (Released:2018-07-20)
参考文献数
30

「油断大敵」という四字熟語の意味にはいろいろな説があるようだが,戦国時代に明かりの油を絶やすことは敵の侵入を許すことから,“注意を少しでも怠れば,思わぬ失敗を招くので十分に気をつけるべきである”という戒めとして用いられている.しかし,現在は,昔とは少し異なり,“良質な油を断ってしまうと,大きな健康上の問題を引き起こす”という意味にも取れる.脂質のとり過ぎは肥満につながり,循環器系疾患や糖尿病を引き起こすとして制限されてきたが,体にはとらなければいけない脂質(必須脂肪酸)がある.この必須脂肪酸について紹介したい.
著者
北裕介 仲谷善雄
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.225-226, 2012-03-06

人はふとしたときに、鼻歌を歌い、ハミングする。このとき、その歌に関連する過去の記憶を思い出すことが少なくない。これはハミングが、無意識的な行為であり、何らかの関連のある過去のことを活性化拡散的に連想するからだと考えられる。 本研究では、ハミングに焦点を当て、楽曲に関する思い出データベースを用いて、思い出想起や思い出コミュニケーションを支援する枠組みを提案する。
著者
浅川 大地 河内 淳介 中澤 理恵 坂本 雅昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101999, 2013

【はじめに、目的】足関節は可動性が高く動的バランスに大きく関与しており,投球動作での片脚立位時のアライメントにも関与していると考えられる.そのため足関節捻挫などによる足関節背屈制限が投球動作時のアライメントに影響し,肩・肘などの投球障害に結びついているのではないかと考えた.そこで本研究の目的は,足関節背屈制限によるアライメントの変化が投球動作時の上肢関節へ及ぼす影響について検討することとした.【方法】対象は健常成人男性8名(右投げ5名・左投げ3名,年齢19.9±2.0歳,身長178.8±6.3cm,体重68.8±5.4kg)とし,野球経験6年以上で投球障害がなく,足関節傷害の既往のないものとした.投球開始肢位をセットポジションとし,通常投球と軸足の足関節背屈可動域を制限した投球(以下,制限投球)の2条件の試技を行った.足関節背屈制限角度は膝伸展位で10°とし,非伸縮性テーピングによって固定した。尚,投球前後での足関節背屈制限角度に有意差は認められなかった.投球距離はマウンドから本塁間(18.4m)とし,側方・後方から2台の高速度カメラ(SportsCamTM,FASTEC IMAGING社製)をサンプリング周期250Hzで同期させ,各条件3回の試技を撮影した.また,反射マーカーを両肩峰,投球側肘頭,投球側手関節背側中央に貼付し,得られた画像から反射マーカー部位の3次元座標(DLT法)を算出した.各部位の3次元座標から球速,足部接地(FP)時及びボールリリース(BR)時の肩水平外転角度,肩外転角度,肘屈曲角度を求めた.統計学的分析は表計算ソフト(Excel,Microsoft社)上で,2条件間の比較において対応のあるt検定を行い,有意水準は5%とした.【倫理的配慮、説明と同意】本研究の目的,危険性について口頭及び書面にて十分に説明し同意を得た.【結果】球速およびFP時の各関節角度において,2条件間に有意差は認められなかった. BR時では制限投球の肩外転角度は72.2±4.8°であり,通常投球時(73.6±6.2°)と比較して有意に減少していた(p<0.05).また,BR時の肩水平外転角度は3.36±2.5°,肘屈曲角度は69.5±17.3°であり,通常投球時の肩水平外転角度(1.85±2.2°),肘屈曲角度(62.5±20.7°)と比較して有意に増加していた(p<0.05).【考察】制限投球は通常投球に比べて肩外転角度が有意に減少し,肩水平外転角度・肘屈曲角度が有意に増加した。このことから,制限投球では投球動作時の肩・肘へのストレスが増加していると考える.投球動作時に体幹・骨盤が後傾する選手は,上半身・上肢・肩甲帯が動員されバランスをとろうとし,体幹の回旋不足が起こる可能性があり,その補正のため肩が過度に水平外転をとるとされている.本調査の制限投球においては,ワインドアップ時に足関節の背屈が制限されたため後方重心となり,体幹の回旋不足が生じ,BR時の肩の水平外転角度が有意に増加したと考える。BR時に肩が水平外転位にあると肩に加わる前方負荷が増大するとされているため,制限投球では肩関節へのストレスが増大すると推察する.また,先行研究においてBR時の肩水平外転角度の増加,肩外転角度の減少は,ゼロポジションと比べて肩関節にかかる負荷が有意に大きいとされており,今回も同様の結果となった.このことから,制限投球でのBRは肩関節へのストレスを増加させていると考える.また,投球動作の加速期における上腕の加速運動は肩関節内旋運動と肘関節伸展運動が中心に担っており,この2つの運動のどちらか一方が強調されることなく投球動作を行う必要がある。しかし,制限投球では肘屈曲角度の増加も認められたことから,肩内旋運動が強調されていた可能性が考えられ,肘関節への外反ストレスも増大する可能性が推察される.投球における運動連鎖は,下肢・体幹・上肢へと全身の各関節が効率良く連動することが必要であり,運動連鎖の破綻は肩や肘の外傷発生やパフォーマンスの低下につながる.制限投球条件でのBR時の各関節角度には有意な差が認められており,運動連鎖の破綻があったと考えられる.しかし,球速について有意な差は認められなかったため,パフォーマンスは低下していなかったと考える.パフォーマンスを維持するために,上肢に大きなストレスをかけているか,骨盤・体幹などに何らかの代償が起きていたと推察する.【理学療法学研究としての意義】投球動作において後期コッキング期から加速期にかけて肩や肘に痛みを生じやすいが,この位相での動作修正は容易でない.そのため,それ以前の位相からの影響について検討することで投球障害のリスクを減少することが可能と考える.その一要因として足関節が投球動作に与える影響についても考慮することも必要であると考える.
著者
青木 啓成 村上 成道 児玉 雄二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101362, 2013

【はじめに、目的】野球による肘関節障害は、内側型、外側型、後方型に分類される。特に内側型の障害が多く、内側上顆障害、内側側副靭帯損傷、尺骨神経障害などがある。尺骨神経障害はしびれのみでも競技能力に影響を与え、保存療法に抵抗する場合があるため手術治療を要することが多いと報告されている。尺骨神経障害は手術療法の報告はあるものの、理学療法アプローチに関する報告は渉猟した限り見あたらない。今回、投球を契機に生じた尺骨神経障害に対する保存療法を経験したので、共通所見と具体的な理学療法について報告する。【対象、方法】対象は2007年1月~2012年9月までに当センターで尺骨神経障害と診断され理学療法が処方された4例である(年齢14歳~16歳)。受傷機転につては、3例は一球投球した際に強い痛みが増強したエピソードがあり発症から受診までの期間は3~4週であった。1例は肘伸展位荷重時に強い痛みを生じ、受診までに3ヶ月経過していた。主訴は肘関節自動運動での肘内側の痛みに加え、ランニングで痺れや痛みが増強し、投球は困難であった。4例の共通所見は、肘関節は10~20度の伸展制限(健側比)を認め、肩関節は外転90度内旋、伸展制限が顕著であった。チネルサインは上腕内側遠位に認め、小指外転筋力の低下や尺骨神経領域の感覚障害は認めなかった。触診上は上腕内側・外側筋間中隔、円回内筋、肘筋と上腕三頭筋の付着部に滑動障害を認めた。競技復帰の条件は、しびれや痛みがなくランニング・バッティングが可能になり、かつ塁間投球が80%の強度で可能となることとし、復帰までの経過を後方視的に診療録より調査した。【倫理的配慮、説明と同意】患者・保護者には初回受診の際に個人データの使用許可を得た。【結果】治療方針は初診から3週間の理学療法で症状が改善しない場合に投薬とMRI検査を実施し、6週間で改善を認めない場合は神経伝導速度の検査を実施する。4例中、投薬、MRI検査、神経伝導速度検査を実施したのは1名であった。3例の競技復帰までの期間は受傷後12.5週~14週であった。受診までの期間が長かった1例はバッティングが可能になったが、十分な強度の投球が困難で完全復帰できなかった。理学療法プログラムは、まず、肘関節の伸展制限の改善を最優先した。徒手的に橈骨頭周囲のmobility改善、肘頭外側・肘筋下の癒着改善をはかり、更に上腕外側・内側筋間中隔の滑動性の改善のために徒手で同部位を圧迫しながら肘関節の他動運動を反復した。また、初期には肘関節の自動運動を中止し、他動運動を推奨したことが可動域改善に有効であった。肩・肘関節可動域と肘・上腕の軟部組織の滑動性を改善させることで徐々にチネルサインは消失し、受傷後6週程度でランニングが可能となった。その後バットスイングを開始し、肩甲帯・体幹の柔軟性・安定性や肘周囲の筋力を高めながらバッティング練習、シャドーピッチングへ移行した。シャドーピッチングの痛みが無くなった段階で実際の投球へと進めた。【考察】いずれの症例も緩徐に運動時痛が増強するのではなく、急激な運動時痛が特徴である。そのため、肘内側から後面に炎症症状をきたした可能性が高く、尺骨神経周囲の軟部組織や内側筋間中隔の癒着が症状の要因であったと考えられた。内側筋間中隔の癒着部は徒手的に圧迫するとしびれが出現しやすい。そこで同部位の滑動を改善させるために、まず上腕遠位外側筋間中隔ならびに上腕筋と上腕三頭筋の連結障害を改善させた。結果的にそれが上腕内側筋間中隔の緊張を緩和することにつながり、尺骨神経のストレス減少につながったと考えられた。林は超音波解剖所見より上腕骨小頭前面の60%を上腕筋が覆被すると報告している。つまり、上腕筋の緊張緩和は肘関節伸展制限の改善にも大きく影響したと考えられ、肘筋周囲の滑動性改善のみでは伸展制限は改善しなかった可能性が高い。肘の伸展制限の改善を最優先したことで日常生活上の上腕部のリラクゼーションが得られたことも改善要因の一つであったと考えられた。また、セルフケアとしての肘関節自動運動は、結果的に上腕二頭筋・三頭筋の緊張を高めることになってしまったことから上腕筋間中隔の緊張が緩和されないことが推察された。そこで自動運動を中止し、他動運動に切り替えたことは初期の肘関節可動域改善において重要なポイントであった。尺骨神経障害の理学療法において注意する必要性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】野球による尺骨神経障害に関する保存療法や理学療法については具体的な報告が皆無である。このような臨床症例の報告は患者の症状改善のみならず理学療法士の治療技術の発展のためにも意義があると考える。
著者
吉村 忠与志 八木 徹 千田 範夫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.22-27, 2017 (Released:2017-05-03)
参考文献数
5
被引用文献数
1

分子モデリングソフトウェアには3Dプリンタ用STLファイルを創出するものが開発されていない.そのため,いろいろな機能を付加した研究が進む中で,Winmostarで作成できるVRML形式ファイルをBlenderでSTLファイルに変換して分子軌道モデルを3Dプリンタで作成することができた.これによって,分子軌道の3Dモデルを簡単に作成できることから,この方面でのますますの利用を期待できる.