著者
磯島 昭代
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.49-60, 2006 (Released:2007-05-11)
参考文献数
16
被引用文献数
5 5

米に関する消費者意識を解明する研究として, これまで主に選択肢式のアンケート調査やグループインタビューなど少人数を対象とした面接調査が行われてきた. アンケート調査で得られる自由記述回答文は, 大量の定性的データであり, 新たな知見を得る重要な情報源と考えることができる. これまでこうしたデータを分析する有効な手法がなかったが, テキストマイニング手法の開発により, 大量の文章データを計量的に分析することが可能となった. そこで, アンケート調査で得た自由記述回答文にテキストマイニングを適用し, 米に関する消費者意識の解明を試みた. その結果, 消費者の米に対する関心は「米購入」, 「日本の米と農業」, 「安全性」に大きく分けられることがわかった. さらに, 「米購入」に関しては専業主婦層が, 「日本の米と農業」に関しては60歳以上の男性が, 「安全性」に関しては農薬の使用に敏感な人がよく記述する傾向にあることが明らかとなった.
著者
古田 雄一
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.69-84, 2019-10-31

The purpose of this study is to investigate and clarify the characteristics of civic education reform in Chicago Public Schools (CPS). CPS, known as one of the largest metropolitan school districts in the U.S., launched school-wide civic education reform throughout the district to tackle with the issue of the “civic empowerment gap.” First, CPS has created its original high-school civics curriculum that would help teachers incorporate students’ lived experiences into the classroom and teach them how to participate in society and make changes in various ways. In addition, CPS provides students with a variety of opportunities to exercise their voices and take actions to make a difference in school, local communities, and wider society, such as service-learning in multiple subjects and “Student Voice Committee” programs. CPS has also added “Student Voice, Engagement and Civic Life” component into its school evaluation framework, which would foster school-wide commitment to civic education.

1 0 0 0 OA 年録

出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
槌間 聡
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.598-601, 2014-12-20 (Released:2017-06-16)

人類が単体として手に入れた金属の中でも特に古くから発見されている金属の一つである「金」。古代文明に始まり現在でも高貴な金属として宝飾品に用いられている。また,貨幣経済を支える重要な金属でもあった。かつて日本は黄金の国「ジパング」と呼ばれ,金は国名ともかかわる金属でもある。金閣寺などの歴史的建造物から大判小判といった金貨にも用いられていた。これらは金のもつ特別な性質によるものである。金の物理的・化学的な性質を他の金属と比較しながら,「金」がなぜこのように広く使われているかをその性質をもとに述べる。
著者
高島 勲 越谷 信
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.114, no.Supplement, pp.S97-S109, 2008-09-18 (Released:2011-12-22)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

国産再生可能自然エネルギーとして重要な地熱の日本有数の賦存地域である小安(おやす)・秋の宮地域の地質,温泉・地熱現象及び発電所,温泉熱利用施設を見学する.本地域には活火山はないが,20-30万年前に活動した高松岳や木地山(きじやま)火砕流等の残存マグマを熱源として多くの温泉・噴気地域がある.地表地質は中新世~鮮新世の虎毛山層,三途川層と第四紀の火山岩,火砕流堆積物から成るが,地熱調査井ではより古期の地層も確認されている.地熱地質調査では,熱源火山,変質,断裂系が重要であり,それらについての露頭及びデータの紹介を行う.また,調査の最終段階では調査井の掘削が行われるので,口元施設及びデータを解説する.温泉・地熱の現場として温泉湧出地点,噴気帯,発電所,熱水利用施設を見学し,地球の恵みを理解してもらう.
著者
溝口 拓朗 伊藤 哲 光田 靖 山岸 極 平田 令子
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.63-70, 2018-12-25 (Released:2019-02-02)
参考文献数
21

人工林主伐後の土砂移動と植生発達の相互作用について,土砂移動を植生回復の抑制要因とみる考え方と,回復した植生を土砂移動の抑制要因とみる考え方の両面からとらえ,これら二つの仮説を検証することにより,スギ人工林皆伐後約1年間の土砂流出と植生回復の関係を明らかにした。100年生スギ人工林伐採後約1年間の土砂移動量,降雨量,植被率を調査した。各計測期間の平均植被率と降雨で基準化した土砂移動量(土砂移動レート)の間には,全測定期間を通して明瞭な関係は見られず,決定木分析でも土砂移動量の大小を明瞭に区分できるような植被率の閾値は検出できなかった。これに対して,各計測期間で標準化した植被率増加速度は,生育期間中は土砂移動量の絶対量が小さいときに大きい値を示す傾向が認められた。決定木分析でも,土砂移動量が22.25(g/m/day)を下回ると,標準化後の植被率増加速度が大きくなることが示された。以上のことから,皆伐直後の植被率が小さく土砂移動量が大きい段階では,土砂移動が植生発達との相互作用を支配する要因になっており,植生によって土砂移動が抑制される効果よりも,土砂移動が植生発達を抑制する効果の方が大きいことが明らかとなった。また,土砂移動および植生発達の空間的な不均一性は林道開設による不安定土砂の生成や林地の枝条残材の影響を受けることが明らかとなった。
著者
大沢 愛子 前島 伸一郎
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.192-205, 2008-06-30 (Released:2009-07-01)
参考文献数
62
被引用文献数
3 5

小脳は,長い間,純粋に運動の調節や制御を行うための神経基盤であると考えられてきた。しかし,1980 年代の半ばごろから,小脳と高次脳機能の関連性を示唆するような解剖学的,神経心理学的な種々の報告がなされるようになってきた。特に,近年の電気生理学や神経画像の発展に伴い,注意や記憶,視空間認知,計画,言語などに関するさまざまな課題の遂行に,小脳が関与していることが明らかになってきた。臨床的にも,脳卒中や自閉症,注意欠陥・多動性障害例などで小脳病変と認知機能障害に関する報告がみられる。   小脳と高次脳機能の関連についての仮説としては,小脳が内部モデルによる行為のモニターとフィードバックを行うとする説,情報処理の円滑な協調化を行うとする説,タイミングの制御を行うとする説などがある。しかし,これまでの研究には,運動出力との分離が困難である,前頭葉の賦活を伴うなどの種々の問題点もあり,小脳がどのように認知機能に関連しているのか,という問いに答えるためのエビデンスの構築が望まれる。
著者
加藤 敏
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.719-727, 2013-08-15

はじめに グローバル化が加速度的に進む現代の高度資本主義は,就労者にとって大きな試練になっている。多くの職場はコンピュータ管理を通し,就労者に対し間違いを許さない厳密性と完全主義を徹底し,消費者,あるいは顧客に落ち度がないよう細やかな気遣いを徹底する他者配慮性を前面に打ち出す。つまり,職場自体が完全主義で他者配慮,良心性を旨とするようになっている。このような規範は,職場の「(偽性)メランコリー親和型化」と特徴付けることができるだろう。それは確かに正しいものだが,平均的な人が従うには心身の限界を超える危険を内包し,生きる意味を剝奪しかねない点で,「過剰正常性」あるいは「病的規範」という性格を帯びている。このハードルの高い課題に応える途上で,うつ病,ないし双極障碍の発症を来す事例が増えているのは由々しき事態である。 筆者は,このような問題意識のもとに,気分障碍の一亜型として「職場結合性気分障碍」(職場結合性うつ病,および職場結合性双極障碍)を提唱している2)。暫定的な診断指標の概略を挙げる。①発病の主な誘因が職場での過重労働にある。過重労働の判断は,労災認定の判断基準において定められた,1か月あたり100時間を超える時間外労働をしているという基準を目安にしている。②対人関係や自己同一性の双方でのパーソナリティ機能の上で問題を来す明らかなパーソナリティ障碍はなく,基本的にはもともと安定した社会機能を持っている。③伝統的診断で内因性うつ病,ないし躁うつ病と診断される。 職場における気分障碍のなかには,DSMやICDの公認の診断体系では,うつ病や双極障碍とすぐに診断するのが難しい病態を呈する事例が少なくない。そこで,本稿ではこの種の病態の代表例をいくつか挙げながら,職場における気分障碍の臨床的特徴を浮き彫りにし,その上で,職場連携を含む治療の要点を述べたい。
著者
コ エンテツ 阿部 眞理 白石 照美
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.281, 2014 (Released:2014-07-04)

本研究では、中国結の要素を取り入れた生活用品を提案することで、中国結をさらに多くの人々に伝え残すことを目的とした。まず中国結の歴史、種類と現状について調査した。その結果、一旦腐れた中国結であったが、今、再び生活の中に取り入れ始められていることがわかった。現在、生産されているアイテムは正月飾りやアクセサリーであるが、その他の活用例はあまり見受けられなかった。今後は、中国結を生活の中に幅広く取り入れるためのデザインを提案する。