著者
田中 晢男 中野 敬介 仙石 正和 篠田 庄司
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.2063-2072, 2002-12-01
参考文献数
9
被引用文献数
5

セルラ方式ではすべての通信が基地局を介して行われるが,端末が建物の陰のなどのデッドスポットに入った場合,基地局と通信することができなくなることがある.本論文では,このような場合に,別の端末がデッドスポットに入った端末と基地局との間の通信を中継するアドホックリレー方式を検討し,その通信トラヒック特性を表す理論式を導く.この理論式の計算例から,端末の通信能力が比較的小さな場合でも,アドホックな中継により呼損率が改善され,運ばれる呼量も改善できることを示す.また,シミュレーションにより中継が二段だけで十分な場合があることを示す.これは上記理論式により多段中継の場合の通信トラヒック特性を推定できることを意味すると考えられる.
著者
金子 勇
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.63-83, 2003

1990年代から,高齢者の自立促進条件は,積極的に研究されてきた。その条件は,良好な家族との関係であり,安定した経済的な基盤であり,快適な居住環境である。加えて,親戚,近隣,友人,知人などの関係が豊かなことである。第三には,趣味や得意をもつことである。これらがQOLを高くする。人間関係をストリングスと呼び,QOLが高いことをストレングスと命名すれば,高齢者のストリングスが得意と趣味とに結びついて,ストレングスを押し上げることが分かっている。全国5565人の高齢者データ計量分析の結果,市部よりも町村部の高齢者に,得意がストリングスに結びつきやすかった。<BR>事例分析に選んだのは長崎県すこやか財団の「シニア記者制度」であり,得意を具体的に検討した。その結果,満足感と生活の積極性としての自立志向が構造的要因になっていたことが分かった。ここから,社会的凝集性を目標とした社会全体の持続可能性を展望したい。<BR>これには,オーストラリア政府が実施している「堅固な家族とコミュニティづくり」が参考になる。「堅固な家族」を戦略的に作り出すことは家族関係を強め,家族解体を減らすことになる。これに即した政策の遂行によって,長期的な視野の中で個人,家族,コミュニティの持続可能性が開けてくるはずであり,日本高齢社会でも応用される価値がある。
著者
藤田 祐史 FUJITA Yuji
出版者
名古屋大学人文学研究科
雑誌
名古屋大学人文学研究論集 (ISSN:2433233X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.247-259, 2019-03-31

This paper analyzes Kawabata Yasunari's 1926 novel, The Izu Dancer ("Izu no Odoriko") and Matsumoto Seicho's 1959 novel, Beyond Amagi ("Amagi-goe"). Previous studies discussed the relations between two novels with a focus on the author. In contrast, I examine how "Amagi-goe"is created by imaginative powers of mystery novels. Firstly, I look at the problem from the relevant movie. It raises an issue that "Amagi-goe" is created by previous work. Secondly, I investigate which elements of the "Izu no Odoriko" are translated into the mystery novels. In this paper, I regard "Izu no Odoriko" as resources of detective stories, and research how to use resources. In fact, "Izu no Odoriko" has been used as resources of detective stories, movies, tourism, educations, and so on. "Amagi-goe" is composed of not only an imagination of an author but also plural elements. Thirdly, I place "Izu no Odoriko" or "Amagi-goe" in another context, "From Modern Japanese Literature to mystery novel". In conclusion, it is revealed that "Izu no Odoriko obscured the tragic dancing girl, and "Amagi-goe" or other mystery novels bring to unknown issues.
著者
上倉 庸敬
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.26-38, 1989-09-25 (Released:2017-07-31)
参考文献数
5

Yoshimitsu Morita est un directeur de film qui attache beaucoup d’importance à la méthode de production. Sa méthodologie révèle non seulement une grande logique mais aussi une profonde sensibilité. Dans cet article à partir de la méthodologie de Morita, on peut découvrir un certain point de vue sur l’essence du cinéma. Dans son premier film, Morita se demandait s’il devait attacher l’importance à l’histoire elle-même ou à la façon de la raconter. Il donna la préférence à la façon de raconter, non pas à l’histoire elle-même, mais l’histoire des personnages. Il en est arrivé à ce que l’histoire des personnages expriment le temps de leur vécu quotidien, (c’est-à-dire) les moments spatials qui peuvent être mal interprêtes. Selon lui le film nous fait visionner les moments vides et spatials de la vie quotidienne et la nature de l’art cinématographique devient le quotidien et change les moments vides, graduès par la vision, en temps véritable qu’on vit. Le problème du cinéma est de changer le temps spatial en temps vécu, i. e., donner au vide du quotidien un sens et une âme.

1 0 0 0 OA 諸事留帳 43巻

出版者
巻号頁・発行日
vol.[29] 自天保至弘化,
著者
小野澤 峻 石井 賢彦 浅野 耕平
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿
巻号頁・発行日
vol.3, pp.79-81, 2004

数十年前まで川辺でゆらめいていた蛍の光。しかし 市開発の進んだ今、その姿を 中で見ることはほとんどできなくなった。この作品は、そんな蛍たちを自分の目の前に呼び戻す、インタラクティブ・インスタレーション作品である。この作品には、体験することによって、シャボン玉を吹くことの懐かしさを感じて欲しいと共に、蛍を見たことがなかった人はその美しさに息をのみ、見たことがある人はその美しさを思い出し改めて感動して欲しいという思いを込めている。

1 0 0 0 IR 清水英夫

著者
清水 英夫
出版者
広島市立大学芸術学部
雑誌
広島市立大学芸術学部紀要
巻号頁・発行日
no.4, pp.36-37, 1999-03

「サントゥスタッシュ教会」,「伝統的な木組みの家(ノルマンディー公国時代)」
著者
大形 里美 Ohgata Satomi
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.3, pp.47-78, 2019-03

インドネシアでは、イスラム文化圏としては珍しく、LGBT(Lesbian〈女性同性愛者〉、Gay〈男性同性愛者〉、Bisexual〈両性愛者〉、Transgender〈性別越境者〉の頭文字をとった単語で性的少数者の総称。)運動がこれまでかなり活発に行われてきた。とりわけ1998年の民主化以降、レズビアン運動が女性運動の一部に組み込まれたことによって、同国におけるLGBT運動は、外部に開かれた政治社会的運動として次第に可視化される存在となっていった。しかしそうした同国のLGBT運動の進展は、同時に同国内の保守派イスラム勢力による反LGBT運動を活発化させることとなり、近年、LGBT問題は急速に政治イシュー化している。LGBT脅威論が、マス・メディアやソーシャル・メディアなどを通じて社会一般に広められ、一般のイスラム教徒たちの間からもLGBTに対して明らかに否定的な反応が見られ始めている。現在同国には、西欧思想に影響を受けた世俗的なLGBT運動の潮流と、西欧的な人権意識を共有する多元主義的(リベラル派)イスラムの潮流が協力関係を築き、保守派イスラム勢力と対峙している構図がある。LGBT運動の進展は、同国のイスラム社会内部の亀裂を深めている。