1 0 0 0 OA 御仕置例類集

出版者
巻号頁・発行日
vol.[3] 甲類〔第一輯〕 壱 下 取計之部 御仕置并吟味筋心得方取計方等之類,
著者
高山 大 新野 宏 渡辺 真二 菅谷 重平 つくば域降雨観測実験グループ
出版者
日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.885-905, 1997-08-25
参考文献数
47
被引用文献数
1

1994年9月8日の午後、突風と降雹を伴う強い雷雲が群馬および埼玉県を通過した。埼玉県北西部の美里町立美里中学校では、校舎の窓ガラスが突風で割れ、教師2人と71人の生徒が負傷した。被害調査、地上観測、高層観測、静止衛星、現業レーダーなどのデータを用いて、雷雲とこれに伴う突風の解析を行った結果、この雷雲に伴って少なくとも3つのダウンバーストが発生したことがわかった。主な解析結果は以下の通りである。3時間以上長続きしたこの雷雲は、約8 m/sのスピードで東南東進し、発達期以降はその直下で10度近くの気温低下と発散風を伴っていた。成熟期には雲頂は約15kmに達し、レーダーによる反射強度の分布は進行方向に対してオーバーハング構造を呈していた。被害調査による雷雲下の降雹域の幅は2力所で顕著な拡がりを示した。この拡がりの見られた場所と時刻は、レーダーで観測された反射強度の核の降下の場所・時刻と一致していた。更に、数地点の地上気象観測データの時空間変換から求めた水平風の分布には、降雹域の拡がりにほぼ対応した場所・時間に明瞭な発散風(ダウンバーストAおよびC)が見られた。ダウンバーストAは、児玉環境大気測定局(KD)とそこから約3kmに位置する児玉郡市広域消防本部の中間で生じたことが、両地点の風向風速記録から明瞭に読みとれる。雷雲通過による降温はこの2地点付近で最も大きく、11度以上に達した。ダウンバーストAは最終的には差し渡し40kmの範囲にまで広がった。雷雲はダウンバーストAを生じた後、急速に衰弱した。KDの自記紙にはダウンバーストAとは別の更なる気温降下と風の発散が記録されており、近くでダウンバーストBが発生したことを示している。KDでダウンバーストBを発生させた雷雲の部分は、被害を引き起こした突風が吹いた時刻には約8km離れた美里中上空をちょうど通過していた。美里中付近の気象観測資料はないが、被害調査やこれらの事実から、美里中近くで第4のダウンバーストが発生した可能性が示唆される。これらのダウンバーストはすべて、ガストフロントの6~10km後方で発生した。雷雲周辺のCAPEは、雷雲通過前後の3時間で1800 m^2/s^2から700 m^2/s^2以下に減少した。相当温位の下層の極大値と中層の極小値との差も同様に、26Kから16Kに低下した。
著者
岡田 敬夫 上月 博史 竹中 利夫
出版者
一般社団法人 ターボ機械協会
雑誌
ターボ機械 (ISSN:03858839)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.323-334, 1982-06-10 (Released:2011-07-11)
参考文献数
9
被引用文献数
3
著者
間原 千草 三村 治
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.25-34, 2011 (Released:2012-02-22)
参考文献数
21
被引用文献数
1

麻痺性斜視とは眼球運動制限を伴った斜視で、水平斜視だけでなく上下斜視、回旋斜視なども含まれる。特に、上下斜視や回旋斜視では、患者の強い複視や眼精疲労のため日常生活に支障をきたしているにもかかわらず、一見斜視に見えないことや眼球運動制限が肉眼的に分かり難いことから、診断がつかず心因性や詐病として扱われているケースもある。 このような患者を見逃すことなく、診断が行われるためには的確な検査が非常に重要である。 本稿では、臨床的に頻度の高い外転神経麻痺と滑車神経麻痺に重点を置いて、視能訓練士が実際に行っている検査とその注意点、コツについて症例を呈示しながら述べたい。
著者
斉藤 洋志 田畑 剛 田極 薫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Db1228, 2012

【はじめに、目的】 当院では、2005年度より理学療法士・作業療法士が摂食・嚥下リハビリテーション(以下嚥下リハ)を実施してきた。嚥下リハに介入してから6年が経過するため、当院で嚥下リハを実施した患者の実状を調べるとともに、当院における嚥下リハの効果を検証し、今後の課題を明らかにすることを目的とした。【方法】 2007年1月~2011年3月に当院で嚥下リハを実施した症例252名(男性143名、女性109名)を対象とした。診療記録より後方視的に調査し、嚥下リハを実施した症例の摂食状況のレベル(藤島ら、Lv.1~Lv.10、以下摂食レベル)について、嚥下リハ開始時と終了時で比較した。また終了時の動作能力を、端坐位保持では「自立群(監視を含む)、介助群」に分けて両群の終了時の摂食レベルを比較した。移乗・歩行動作では、終了時の動作能力を「完全自立、修正自立、監視、最小介助、中等度介助、最大介助、全介助、非実施」の8段階に分け、各動作能力と終了時の摂食レベルとの相関を調べた。統計学的解析にはSPSS Ver.12.0を用い、有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 この研究はヘルシンキ宣言に基づいて行い、個人情報保護のため得られたデータは匿名化し、個人情報が特定できないように配慮した。【結果】 平均年齢は82.3±10.1歳で、全体の90%が70歳以上であった。疾患別では呼吸器疾患が50%と最も多く、次いで脳血管疾患、消化器疾患、骨関節疾患、神経疾患、心疾患の順であった。また、摂食レベルを嚥下リハ開始時と終了時で比較したところ、1レベルでも改善したのは全体の79%、変化なしは18%、悪化は3%で、Wilcoxonの符号付き順位検定にて有意差(p<0.001)を認めた。嚥下リハ開始時ではLv.4以上(経口摂取あり)は全体の17%と少なかったのに対し、終了時ではLv.4以上は59%と増加し、多くの症例が経口摂取できるようになっていた。また、嚥下リハ終了時の端坐位保持能力を自立群と介助群に分け両群の摂食レベルを比較した結果、自立群の摂食レベルが高く、Mann-WhitneyのU検定にて有意差(p<0.001)を認めた。介助群ではLv.6(3食の嚥下食経口摂取+代替栄養)以上は全体の26%であるのに対し、自立群では54%と増加していた。移乗・歩行動作能力を8段階に分け、各動作能力と終了時の摂食レベルとを比較した結果、各動作能力が高ければ摂食レベルも高く、Spearmanの順位相関係数にて弱い相関がみられた(移乗動作r=0.412、歩行動作r=0.378)。【考察】 当院で嚥下リハを実施した症例の90%が70歳以上であった。この結果は「70歳以上の高齢者では安静時の喉頭位置の下降が著しく、喉頭侵入や誤嚥の可能性が高くなる(古川1984)」という報告と一致する。よって、特に70歳以上の患者に対して、頭部拳上運動、喉頭周囲筋群のストレッチなどの間接練習をさらに充実させる必要がある。また、嚥下リハ開始時と終了時の摂食レベルを比較すると、全体の79%で改善がみられ、当院において理学療法士・作業療法士が積極的に嚥下リハに介入してきたことは有効であったと考えられる。嚥下リハ終了時の端坐位保持能力では自立群の摂食レベルが高く、移乗・歩行の動作能力においても動作能力が高ければ摂食レベルも高い結果であった。摂食・嚥下障害と運動機能、動作能力との関連については多数報告されており(樋浦2005、太田2006、高井2006ら)、今回もそれを再確認することとなった。嚥下リハとともに基本的動作能力主体のリハビリテーションを実施し、患者の基本的動作能力を改善させることは、摂食・嚥下機能の改善にも有効であると考えられる。また、終了時の摂食レベルが改善しなかった21%については、今後検討していく必要がある。【理学療法学研究としての意義】 今回の研究により、当院における嚥下リハの実状が明らかとなった。また、摂食・嚥下機能と動作能力との関連性が再確認され、運動機能や動作能力について専門性が高い理学療法士・作業療法士が嚥下リハに介入していくことは有効であると考えられる。
著者
柳澤 秀彰 山下 拓朗 渡辺 裕
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.199-204, 2019
被引用文献数
2

<p>電子コミックの市場規模が拡大する中で,漫画画像の内容を理解してメタデータを生成する技術の需要が高まっている.特に登場キャラクタはストーリーを理解する上で重要な要素の一つである.キャラクタの認識にはキャラクタごとの特徴を学習した機械学習が用いられるが,複数の作品についてデータセットを作成する作業には膨大なコストがかかる.したがって,データセットを効率的に構築するために教師なし学習によってキャラクタ画像を分類する技術が必要となる.しかし,キャラクタ顔画像は一般画像よりも類似度の表現が困難であるほか,多数のノイズデータが存在することから従来の画像クラスタリングを適用できない.本論文では,CNNの出力をDBSCANでクラスタリングすることによって類似度の高い画像のみを抽出する手法を提案する.実験結果より,提案手法が複数の主要キャラクタをクラスタとして抽出可能であることを確認した.</p>
著者
巌松堂書店 [編]
出版者
巌松堂書店
巻号頁・発行日
vol.第130回, 1937
著者
巌松堂書店 [編]
出版者
巌松堂書店
巻号頁・発行日
vol.第129回, 1937
著者
川上 貴教
出版者
大学等環境安全協議会
雑誌
環境と安全 (ISSN:18844375)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.2_25-2_31, 2010

&nbsp;&nbsp;&nbsp;2005~2009年度の富山大学五福地区での不要試薬取引について、リレーショナルデータベース型化学薬品管理システムによるデータ収集結果を元に調査を行った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;5年間で635件の不要試薬公開があり、そのうち30.7%の195件の取引が成立した。それにより&yen;1,044,814の費用節約効果が得られた。約4割の研究室は不要試薬取引所を利用しており、退官する教員の試薬が大量出品されたり、有機合成化学系の研究室が積極的に引き取る傾向がみられた。なお、85%の取引は部局内ではなく異部局間で行われた。引取りを待つ期間としては約2ヶ月が適当であり、それ以上は廃棄手続をするのが望ましい。使用している研究室の数と、取引成立率には一定の相関がみられた。特に洗浄や中和に使われる有機溶媒や酸アルカリはよく引き取られた。また、未開封であることは有利な条件であった。
著者
村田 佳太 塙 大樹 西原 賢 星 文彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに】脳卒中後遺症者(脳卒中者)は1/2から1/3の割合で感覚障害を伴うことが報告されている。位置覚検査は深部感覚を捉えるとされており,日常よく用いられる検査の一つである。脳卒中者において,深部感覚障害を有する場合にはその運動機能が不良になると報告されている。また,臨床場面において,麻痺側上肢をある場所に定位するよう促した際,数十秒後に忘れるということを多々経験する。運動に関連した深部感覚の研究は多く報告されているが,静止時の位置感覚に着目した研究はほとんど見当たらない。そこで本研究では従来の位置覚検査に時間的な側面を付加し,位置覚検査の経時的変化を検討することで,深部感覚検査の一助とすることを目的とした。【方法】対象は,健常成人7名(男性4名:女性3名,平均年齢:27.7±3.1歳)回復期病院入院中の脳卒中片麻痺者7名(男性4名:女性3名,平均年齢67.6±8.6歳,左片麻痺5名:右片麻痺2名)とした。脳卒中者の取り込み基準は,発症後2ヶ月以上経過している者とした。除外基準は高次脳機能障害,認知機能低下によって課題遂行困難な者,視覚障害を有する者,整形外科的疾患の既往がある者,失調症状を有する者,スクリーニング検査で位置覚が脱失している者とした。測定肢位は閉眼での背臥位とした。測定は一側肘関節(麻痺側肢)を木台に乗せ,30°または90°に角度設定する。設定後,対側関節(非麻痺側肢)で模倣させる方法をとる。開始時,3分後,6分後,9分後に生じる音刺激に合わせ,各3回ずつ試行した。計測は,デジタルゴニオメータ(バイオメトリクス社製:FG110型)を両肘(上腕骨骨軸,橈骨骨軸)に装着し,非麻痺側で模倣後,2秒静止した時点の数値を両側記録した。非麻痺側(模倣側)と麻痺側(角度設定側)間の誤差を誤差角度とし,3回の平均値を個人の誤差角度として算出した。分析は,設定角度90°,30°において,それぞれ時間毎における誤差角度の変化を比較した。統計学的検定には反復測定分散分析を使用し,多重比較にはDunnet法を用い,開始時の値と比較した。なお有意水準は5%とした。[結果]設定角度90°における誤差角度の平均値と標準誤差において,健常成人は開始時4.4±0.6°,3分後3.7±0.7°,6分後3.3±0.6°,9分後3.7±0.6°であり,有意差みられなかった。脳卒中者は開始時6.0±1.3°,3分後9.0±2.2°,6分後14.9±1.2°,9分後15.2±1.5°であり,Dunnetを用いた多重比較より,開始時と6分後,開始時と9分後で有意差がみられた(p<0.05)。設定角度30°での誤差角度の平均値と標準誤差において,健常成人は開始時3.9±0.7°,3分後4.5±0.7°,6分後5.7±0.9°,9分後5.9±1.3°であり,有意差みられなかった。脳卒中者は,開始時7.9±1.4°,3分後11.4±2.2°,6分後8.7±1.5°,9分後13.8±2.2°であり,有意差みられなかった。[考察]今回対象とした脳卒中者では,設定角度90°において位置覚が時間とともに変化しうることが示唆された。課題中の感覚情報は両者同じ条件のなかで,健常成人は時間の経過によって生じる変化は非常にわずかであった。脳卒中が及ぼす位置覚への影響を考えるうえで,有用な結果であったと考える。【理学療法学研究としての意義】本研究は脳卒中者における位置覚検査の経時的変化を明らかにしたことで,深部感覚に関する評価・治療に貢献しうるものである。
著者
橋本 宏二郎 足立 淳二 菅沼 惇一 奥埜 博之 河島 則天
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】脳卒中患者では,片側性の運動麻痺による麻痺側の支持性低下などによって,左右非対称な立位姿勢をとるケースが臨床上多くみられる。また,感覚障害を伴う場合には,立位姿勢を維持する上での残存機能が十分であるにも関わらず,患側からの感覚フィードバックを有効に活用できないことが一因となり,健側への過度な依存を示すケースが散見される。本研究では,脳卒中片麻痺患者の立位姿勢時の左右非対称性を改善するための1手段として,重心動揺リアルタイムフィードバック装置を用いて左右方向の重心動揺量を操作的に減弱させ,患側への荷重配分を促す介入的アプローチを行い,その有効性を検証したので報告する。【方法】対象は当院でリハビリテーションを実施している脳卒中片麻痺患者9名(左麻痺3名,右麻痺6名)であった。全症例,手放しで立位保持が可能であり,軽度の感覚障害を呈していた。立位時における患側への荷重配分を促し,立位姿勢の安定性を高めることを目的として,重心動揺リアルタイムフィードバック装置(BASYS,テック技販社製)を用いた介入を実施した。対象者は装置上で足部位置を左右対称に規定した立位姿勢をとり,左右方向の重心移動を行うよう指示を与えた。この時,足圧中心(Center of Pressure:COP)の左右方向の変位に応じて,COPと同方向(in-phase)に床面を動作させることで動揺量を減弱させるフィードバック操作を与えた。設定を段階的にCOP動揺量の約5%,10%,15%と増加させることで左右方向の動揺量の拡大と,健患側への均等な荷重配分を企図した調整的介入を行った。介入効果の評価として,30秒間の静止立位および随意的な左右動揺時のCOP計測をサンプリング周波数1000Hzにて実施した。評価項目は,COPの95%楕円信頼面積,総軌跡長,COP動揺の前後左右の平均位値,及び最大範囲とした。介入前後の平均値の差の検定には対応のあるt検定を用い,有意水準は5%とした。【結果】in-phase条件(5%,10%,15%)での介入により,介入前後の静止立位時においてCOP左右方向の平均位置が有意に変化した(p<0.05)。全症例の内訳を見ると,9名中7名(うち3名は介入前より麻痺側への荷重優位)においてCOPの患側方向へのシフトを認めた。また,統計的有意差はないも95%楕円信頼面積で9名中5名,総軌跡長で6名が減少を示した。随意的な左右動揺時の左右最大値では介入前後で6名が麻痺側へのCOP増大を示した。【結論】脳卒中片麻痺患者では,片側性の運動感覚麻痺の影響から左右非対称の立位姿勢を呈し,本来的な左右対称的な姿勢調節を行うことに困難を伴うことが想定される。本研究で実施した重心動揺リアルタイムフィードバックは,本人の明確な意図を伴うことなく左右方向の重心移動量を拡大し,残存機能を活用した患側への荷重配分を実現しようとするもので,より適切な立位姿勢戦略を実現する上での調整的介入の手段となる可能性が示唆された。
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.956, pp.40-44, 2011-07-25

文部科学省が、学校施設の防災機能を強化する提言を今秋までにまとめる。東日本大震災の経験から地域住民が避難生活できる機能をあらかじめ盛り込み、学校の役割を拡大する。学校自ら取り組む動きも出てきた。 文部科学省は、6月8日から30日まで、有識者らで組織した「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備に関する検討会」を3回にわたって開催。
著者
上田 将吾
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】理学療法診療ガイドライン第1版(2011)にて,脳卒中に対する種々の理学療法介入とそのエビデンスが示されている。しかし感覚障害に対する介入の記載はなく,感覚障害に対する理学療法介入は未だ確立されていない。今回,右下肢の感覚脱失を呈した慢性期脳卒中右片麻痺症例に対し,感覚が残存した部位から知覚が可能な領域の拡大を意図した介入を実施した。結果,感覚障害の改善と起立および歩行動作のパフォーマンスに改善を認めたため,報告する。【方法】対象は左被殻出血により右片麻痺を呈した60歳代男性。約6ヶ月間回復期病棟でのリハビリテーションを受け,発症後約7ヶ月時点で訪問リハビリテーションの介入を開始した。麻痺側Brunnstroms Recovery Stage(以下BRS)は上肢II,手指II,下肢IIであった。右足底および右下肢の表在感覚検査は10回法で0/10であり,脱失と判断した。体幹は,肩甲帯背面で5/10,臀部は0/10であった。起立動作は物的介助で可能も,物的介助なしでは困難であり,30秒椅子立ち上がりテスト(以下CS-30)は0回であった。自宅内移動はShoehorn Brace(以下SHB)およびSide Caneを使用し自立であった。Timed Up& Go Test(以下TUG)は77秒であった。症例の肢位は端座位とし,右側身体に対する接触の有無を回答するよう求める訓練課題を実施した。接触する部位は肩甲帯から下肢へ少しずつ移動し,接触の有無はランダムとして,20回実施した。介入頻度は2回/週,60分/回であり,介入期間は2ヶ月間であった。【結果】訓練課題にて,接触を開始する身体部位に関わらず,臀部・下肢から接触した場合も8/10で正答が可能となった。表在感覚検査では,右足底が5/10に変化した。右下肢のBRSがIIIに変化した。物的介助なしでの起立が可能となり,CS-30は7回であった。自宅内移動はSHB非着用での歩行が自立し,物的介助はSide CaneからQuad Caneに変更となった。TUGは53秒に変化した。【考察】足底感覚へのアプローチの例として,足部のコンディショニング,足底からの情報に変化をつけるなどの方法が提唱されている(諸橋,2006)。しかし,このような足底に対する直接的な介入は,右下肢の感覚が脱失した本症例では実施が困難であると判断し,感覚が残存した肩甲帯からの介入を実施した。神経生理学的には,刺激への注意により体性感覚野の反応が大きくなることが示されている(Hamalainen,2000)。また,円盤に触れさせる課題を行った後,触れた身体部位に対応した体性感覚野領域が広がることが報告されている(Jenkins,1990)。今回実施した訓練課題では,右側身体への刺激に対する注意を要求した。このため体性感覚野にて,刺激した部位に対応した領域の反応の増大や,対応した体性感覚野領域が広がることにより,感覚が改善したと考えられる。片麻痺患者の感覚障害の多くは体性感覚を障害されることが多く,体性感覚が障害されると円滑でスムーズな運動は困難となるとされている(成田,2003)。本症例でも下肢の感覚改善に伴い起立・歩行動作のパフォーマンスが改善したことから,理学療法介入において感覚障害に対する治療介入が有効となる可能性が考えられる。その方法として,感覚脱失を呈した脳卒中片麻痺症例では,感覚が残存した部位から知覚が可能な領域の拡大を意図した介入が有効である可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】麻痺側体性感覚脱失に対する治療介入の1モデルと,起立・歩行動作のパフォーマンス向上のための感覚障害に対する介入の有用性の提案。
著者
永村 美奈
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.87-103, 2015

熊本県は公文書館を建設しておらず、既存のリソースを活用して行政文書管理を実施している。熊本県は、透明性・公開性、第三者の視点を盛り込みながら、熊本県行政文書等の管理に関する条例と行政文書の作成、分類、保存及び保存期間満了時の措置の基準に則って、県政情報文書課が行政文書管理の主管部署となり、外部有識者らが特定歴史公文書の評価選別を実施している。本槁では、熊本県の行政文書管理事例を今後の地方自治体の行政文書管理の検討材料に資するべく、熊本県における行政文書管理の概要および特定歴史公文書の評価選別の課題について考察を行う。特に、実際の評価選別作業において、どのように評価選別基準と合致しないか、評価選別者が文書作成部局などとどのような意識の違いがあるかについて明らかにする。このような実状を踏まえ、今後の熊本県における行政文書管理の展望について考察を行う。

1 0 0 0 OA 江戸小本暦

出版者
巻号頁・発行日
vol.[5]安政三丙辰暦, 1827