著者
磯野 泰輔 湯浅 瑞希 谷 まゆ子 黒川 浩司 西辻 雅 西 耕一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.99-104, 2018-04-20 (Released:2018-05-10)
参考文献数
15
被引用文献数
2

背景.非小細胞肺癌術後5年目までに再発を認めない例は予後が良好とされているが,anaplastic lymphoma kinase(ALK)融合遺伝子陽性肺癌では遠隔期の再発例が散見される.症例.56歳男性.45歳の時に右上葉切除術を施行され肺腺癌(pT1N0M0 Stage IA)と診断された.その後は再発なく経過していたが,術後11年目に血痰を自覚して受診し,胸部CTで切除断端の軟部影と右胸水を指摘された.気管支鏡による生検で腺癌が検出され,免疫染色ではALK陽性であり,初回手術の標本でもALK融合遺伝子を検出したことから肺癌術後再発と診断された.Alectinibを開始したところ腫瘍は縮小し,現在も治療継続中である.結語.ALK融合遺伝子陽性肺癌では術後の遠隔期再発に留意した経過観察が必要と考えられる.
出版者
吉田四郎右衛門尉
巻号頁・発行日
vol.[31], 1647
著者
竹内 知陽 鈴木 昭宏 服部 義
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1160, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】近年,軽量パーツの開発や筋電位を利用した義肢に関する研究等が進み,小児の四肢欠損児に対しても,比較的早い乳幼児期に機能的義肢を処方することが可能となった。運動発達期においては,ボディイメージの育みや義肢の受け入れ,義肢操作のパフォーマンスの高さ等を鑑み,適切な義肢を提供することが重要である。今回,先天性片側骨盤下肢欠損児に対する理学療法支援の機会を得た。本研究の目的は,本児が義足を使用して基本動作を獲得していく経過を振り返ることにより,生まれつき片脚のない児の粗大運動発達を促進する関わりについて,義足支援の視点から検討することである。【方法】対象は,右先天性骨盤下肢欠損の男児である。在胎37週0日,1980gにて出生,臍帯ヘルニア,鎖肛,右腎欠損,右精巣欠損,腹壁瘢痕ヘルニア,胸腰椎部の潜在性二分脊椎,右腸骨形成不全,右尺側列形成不全による裂手,右下肢形成不全による先天性骨盤下肢欠損の診断を受けた。理学療法は,義肢が処方された時点,すなわち児が9ヶ月の時に開始し,その後は1ヶ月毎に実施した。調査は,児が3歳3ヶ月時,理学療法初回から2年3ヶ月が経過した時に,診療記録をもとに後方視的に行った。調査内容は,初回受診時の運動発達の状況,義足装着練習の内容および主な粗大運動能力の獲得時期,義足の更新状況とした。調査結果をもとに,児の粗大運動発達と義足支援との関係について検討した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究内容の学術集会での報告について,研究対象児の親権者に説明し同意を得た。【結果】児の粗大運動発達は,頸定3ヶ月,腹臥位および寝返り6ヶ月で,理学療法初回受診時において,座位,ずり這い移動は未達成であった。9ヶ月時,最初の訓練用義足を処方,義足装着下での床上移動および座位の達成を目標とし支援を開始した。10ヶ月時にずり這いがはじまり,その後1歳時に達成した。10ヶ月時点で,健側座骨部に補高すればセット座位を保持でき,1歳過ぎには健側を割座させて座位達成となった。この後の11ヶ月時には,セットによるつかまり立位で義足に荷重することをし始めた。1歳2ヶ月時,義足未装着の状態で床からの台立位が可能となり,義足装着下では横方向への台伝い歩きを始めた。目標を手引き歩行の達成とし,1歳4ヶ月時に2本目となる本義足を処方,1歳半で斜め方向への台伝い歩きを開始した。義足への荷重に十分慣れていたが,ソケットの適合調整に難渋し,義足の長さが安定しなかった。1歳9ヶ月以降に手引き歩行をし始めたことから,床からの立ち上がり,および独歩の獲得へと目標を更新し,支援の頻度を増やした。1歳11ヶ月時,壁伝いでの歩行が可能となり,義足未装着では,支えなしで床からの立位が可能となった。2歳2ヶ月時に3本目となる義足を処方,健肢側の片手引きでの歩行が可能であったが,なかなか独歩には至らず,伝い歩きを始めてから1年以上が経過した2歳3ヶ月時,杖の使用を検討した。2歳半で2~3歩の距離を手放しで歩くようになったが,転倒の頻度も多く,転倒しそうな感覚から手放しでの歩行練習を嫌がる様子が見られた。2歳8ヶ月時に4本目となる義足を処方し,その後独歩可能となった。また,自ら手をついて床に降りたり立ち上がったりすることも可能となったが,右裂手の二指では股継ぎ手のロックを自分で解除することが出来ず,自力で床上での座位姿勢に変換することはできなかった。その後は,歩行安定性の向上を目的に自宅での歩行練習を促した。同時に,目標を立位から床座位への姿勢変換の自立とし,股継ぎ手のロック解除操作の自立支援方法について,義肢装具士と検討を重ねた。3歳3ヶ月時に5本目の義足を処方,ロック解除用の延長レバーを工夫して設置したところ,右裂手の二指間にレバーを把持し,右肘の伸展動作によって自力でのロック解除が可能となり,立位から座位への姿勢変換が自立した。同様に,床座位から立位への変換も支えなしで行い,股継ぎ手のロックも自力にて可能となった。【考察】先行研究に乏しく比較検討は困難であるが,粗大運動の発達を意識しながら義足支援を行うことで,基本動作の自立を促進することができたと思われる。その後は,義足装着の自立に向け支援を継続している。児の身体機能と構造を考慮し,操作性を加味した義足支援をすることが,先天性骨盤下肢欠損児の粗大運動発達を促進する上で重要であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】先天性四肢欠損児の義肢支援における理学療法士の関わり方の一事例研究として提示した。類似する症例の理学療法に携わる臨床研究者にとって,理学療法介入方法を考察する上で意義のある研究と考える。
著者
松原 清
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.660-663, 1983-09-01 (Released:2011-10-11)
参考文献数
17
著者
尾中 証
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1974, no.2, pp.255-259, 1974
被引用文献数
3

(CHs)sGe,-Mn(CO)5の赤外吸収スペクトル(2200~60 cm-1)を測定し,この分子とH3Ge-Mne(CO)5, H3Si-Mn(CO)5の基準振動の解析をUrey-Bredley型の力場を用いて行なった。このシリーズの化合物のWb金属原子とMnとの間のπ結合性は類似のハロゲン化合物よりも弱いことがK(MMn), K(Mn-C), K(C-O)の力の定数の組からわかった。これまで基準振動の解析の行なわれた類似化合物のこれら三つの力の定数をC13Sn-M無(CO)5のそれと比較した。各化合物のK(M-Mn)とClgSn-Mn(CO)9のそれとの差をK(Mn-C)の差に対してプロヅトすると,(1)金属原子間のπ-結合性の強さ,(2)金属-金属相互作用の強さが構成金属原子と無関係e= Nb金属原子に結合している配位子によって制御されてしまうことが明らかとなった。
出版者
巻号頁・発行日
vol.[48],
著者
苅谷 剛彦
出版者
名古屋大学大学院教育発達科学研究科附属中等教育研究センター
雑誌
中等教育研究センター紀要 (ISSN:18810411)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.55-66, 2003-03-31

国際教育フォーラム(2002:名古屋), 中等教育改革の国際比較 : 中学・高校の学力とカリキュラムを考える
著者
山本 雅史 冨永 茂人
出版者
鹿児島大学
雑誌
南太平洋海域調査研究報告=Occasional papers (ISSN:13450441)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.136-139,

与論島における主要な在来カンキツが6種類確認できた。それらは,1)イラブオートー(Citrus kerajivar. kabuchii, カブチー類縁種), 2)ユンヌオートー(C. oto, オートー), 3)ウンジョウキ(C. nobilis, クネンボ類縁種), 4)イシカタ(C. rokugatsu, ロクガツミカン), 5)キンカン(C. depressa, シイクワシャー), 6)ノボルミカン(C. sp., 雑柑タイプ)である。このうち,ウンジョウキとノボルミカンは,与論島において偶発的に生じたものと考えられる。残る4種類は南西諸島の他の島でも同じ種類のものが栽培されている。しかし,いずれの在来カンキツの呼称も他の島とは異なっており,これらのカンキツが近年導入されたものではなく,古くから与論島で栽培されてきたことがうかがえた。Six citrus accessions grown in Yoron island were classified as follows; 1) Irabu otou (Citrus keraji var. kabuchii, Kabuchii relative), 2) Yunnu otou (C. oto, Otou), 3) Unjouki (C. nobilis, Kunenbo relative), 4)Ishikata(C. rokugatsu, Rokugatsumikan), 5) Kinkan (C. depressa, Shiikuwasha), 6)Noboru mikan (C. sp., hybrid type). Unjouki and Noboru mikan were considered to be chance seedlings arisen in Yoron island. The other four accessions were observed in the other islands of Nansei archipelago. Since the names of all accessions in Yoron island were differed from those of other islands, it could be considered that there has been long history of cultivation of local citrus accessions.
著者
大友 令史
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.65, pp.167-169, 2014-12-19 (Released:2018-01-30)
参考文献数
1

岩手県のワラビ栽培ほ場においてルイスコメツキモドキによるワラビへの被害を確認した.主な被害は成虫の食害痕により外観品質が著しく損なわれるというものである.現地における被害状況および被害茎における時期別の生育ステージを調査することによって岩手県のワラビほ場における発生生態の一部を推測した.また,同一ほ場でアシグロコメツキモドキの発生も認められたがワラビにおける加害については確認できなかった.
著者
永吉 守
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.105-105, 2012

三池炭鉱が存在した大牟田・荒尾には、明治末期の集団移住を起点とするユンヌンチュ(与論島住民)が「大牟田・荒尾地区与論会」を組織して奥都城(集団納骨堂)の運営や三線教室の開催をしている。近年、大牟田夏祭りの「一万人の総踊り」にて、彼らは独自の法被をまとい、子どもたちにエイサー太鼓を持たせて炭坑節などを踊っている。本発表ではこうした動きをとらえながら、日本の中のエスニシティや文化的多様性を改めて考えたい。
著者
岡本 奨
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.8, no.12, pp.671-676, 1959-11-20 (Released:2011-09-21)
参考文献数
31
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.126, no.1, pp.39-66, 2017 (Released:2018-03-12)

本稿の目的は、1887年に制定された近代日本最初の官僚任用制度である試補及見習規則期における文部省の官僚任用と文部官僚に要求された専門性・専門知識について明らかにすることである。従来、文部省・文部官僚への言及は、主に教育史領域からなされてきたが、そこでは政策過程を解明することが主眼であり、文部省・文部官僚自体がいかなる組織・集団で、官僚制度の進展とどのように関連したのかといった視角は希薄であった。本稿では、多数の帝国大学法科出身者が各省へ入省する契機となった試補規則期に焦点を当て、文部省による官僚任用の実態を明らかにした。そのうえで、雑誌『教育時論』を用いることで、文部官僚が同時代的に要求された教育行政の専門性・専門知識に関する議論を浮き彫りにした。 本稿の成果は以下の三点である。 (1)試補規則期の文部省の試補の採用は、多数を占める帝国大学法科出身者の任用は各省中最少であり、対照的に文科出身の試補全員を任用するという点で、各省の中でも独自の人事任用を行っていた。そして、省内多数を占めた省直轄学校長兼任者・経験者とともに、文科出身者は教育行政を担うに足る専門性・専門知識を持っていると考えられていた。 (2)文科出身者とは異なり、井上毅文相期の省幹部が「法律的頭脳」と批判されたように、法科出身者は教育行政官としての資質において批判を受ける可能性を持った。根底には、教育とは「一科の専門」であり、法学領域の能力とは別のものであるという見解があった。 (3)「法律的頭脳」と批判された木場貞長は、「行政」を主として教育行政を考える自身を「異分子」と認識した。そして、木場は文部省直轄の学校長などから学校の実情を理解しないと批判されに至った。木場のような思考を持つ文部官僚が主流となるのは、文官高等試験を経て、内務省の官僚が文部省へ異動し、局長などの省内幹部を占める明治末期まで待たなければならなかった。
著者
浪花 志郎 西山 和光 原 曜子 白石 達雄 山本 俊比古 内田 寛
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1022-1026, 1982-12-01 (Released:2012-03-21)
参考文献数
9

パシフラミン(パッシフローラエキス製剤)を皮膚そう痒症を始めそう痒を伴う各種皮膚疾患計29例に投与し, その鎮静作用がもたらす止痒効果について検討した結果, 一日量3錠ないし6錠の投与で, 比較的早期に止痒効果が発現し, 併用された抗ヒスタミン剤, マイナートランキライザー, またはステロイド剤の有する止痒効果に補助的に作用する傾向がうかがわれた。副作用を示した症例は1例も認められなかつた。従つて, 上記薬剤による止痒効果が不十分であつたり, 副作用のために投与継続が困難な症例では, パシフラミンによる鎮静的止痒効果を期待して補助的に用いることは有用と考えられる。
著者
WANG Mei YAN Guo-Hui YUE Wen-Sheng SIU Chung-Wah YIU Kai-Hang LEE Stephen W. L. LAU Chu Pak TSE Hung-Fat
出版者
一般社団法人 日本循環器学会
雑誌
Circulation journal : official journal of the Japanese Circulation Society (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.682-688, 2012-02-25
参考文献数
35
被引用文献数
1 9

<b><i>Background:</i></b> Left ventricular (LV) mechanical dyssynchrony can lead to impairment of LV function and is associated with adverse clinical outcomes in coronary artery disease (CAD) patients. The impact of LV dyssynchrony on exercise capacity (EC) in patients with CAD was investigated. <b><i>Methods and Results:</i></b> An echocardiographic examination with tissue Doppler imaging and exercise treadmill testing in 151 CAD patients with normal LV ejection fraction was performed. LV intra- and inter-ventricular dyssynchrony were defined by the standard deviation of time interval between LV 6 basal segments (Ts-SD), and the time interval from the right ventricular (RV) free wall to LV lateral wall (Ts-RV) respectively, and EC was measured as metabolic equivalents (METs) on the treadmill. Patients with impaired EC (defined by a METs &le;8, which is the mean MET of the study population) were older (71&plusmn;7 vs. 62&plusmn;2 years, P<0.01), however, there were no differences in gender and clinical status such as prevalence of prior myocardial infarction (MI), regional wall motion abnormality (RWMA), and coronary revascularization between patients with (n=90) or without (n=61) impaired EC. Univariate analysis showed that age, body mass index, LV systolic and diastolic volume, mitral inflow A velocity, and Ts-SD were all significantly associated with METs (all P<0.05). However, multivariate regression analysis revealed that old age (odd ratio [OR]: 1.136, 95% confidence interval [CI]: 1.080-1.196, P<0.001), and Ts-SD (OR: 1.026, 95%CI: 1.003-1.049, P=0.027) only were independent predictors for impaired EC. <b><i>Conclusions:</i></b> In patients with CAD, LV systolic dyssynchrony predicts impaired EC independently of history of previous MI or RWMA. (<i>Circ J</i> 2012; <b>76:</b> 682-688)<br>