著者
鷲津 優維 牧田 俊明
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2022-OS-156, no.12, pp.1-9, 2022-07-20

今後,5G/6G の普及により,大容量・低遅延を活かしたサービスが MEC 上において展開されることが予測される.また,コンテナ技術が広まることで,この MEC においてもコンテナの利用が予測されるが,Kubernetes などのコンテナ基盤では,ネットワークの様々な機能をソフトウェア実装するため,性能面のオーバヘッドが大きくネットワーク性能向上においてボトルネックとなりうる.このオーバーヘッドの抜本的な解決のために,物理マシン上においてコンテナ基盤を展開する場合,ハードウェアオフロードという手法が存在する.一方で,柔軟性向上等の目的で VM 上においてコンテナ基盤を展開する場合,ゲスト内で動作するコンテナ基盤の管理ソフトウェアから,直接ホストのハードウェアオフロードを制御できないため,この手法を適用できない.そこで,本研究では,VM 上において動作するコンテナ基盤において,ゲストから制御可能なハードウェアオフロードを用いて高速化するために,SR-IOV を用いたホストの仮想ファンクション (VF) をゲストに物理ファンクション (PF) として認識させる手法を検討した.本稿では,SR-IOV の L2 スイッチング機能に対応した,VM 上の仮想ネットワークのハードウェアオフロードを実装し,ネットワーク性能の向上を,スループットとレイテンシの 2 点で確認した.また,SR-IOV の L2 以外のパケットヘッダマッチ機能にも対応させ,コンテナネットワーク機能をオフロードするための実装方針の検討と,それにあたっての課題を述べる.
著者
藤本 雄太 宮下 芳明
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2010-HCI-139, no.11, pp.1-7, 2010-07-23

従来のプレゼンテーションは,同じ形状・サイズの四角いスライドを 1 枚ずつ用いているため,全体の構成もメリハリのない均質なものとなりがちである.そこで本稿では,マンガのコマ割りの技法を導入し,自由な形状とサイズのコマをレイアウトして,時には複数の情報を同時に見せられるプレゼンテーションを作成するツールを提案する.
著者
横山 寿世理 金 瑛 柳田 洋夫
雑誌
聖学院大学論叢 = The Journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.第34巻, no.第1号, pp.147-159, 2021-10-25

フランス社会学者モーリス・アルヴァックスの『聖地における福音書の伝説地誌:集合的記憶研究』の序論をここに邦訳する。本書は,聖地パレスチナについての集合的記憶の枠組みが,キリスト教集団において共有されてきたことを実証する研究であった。新約聖書に始まり,数々の文学作品や伝承における聖地の記述がそれぞれ少しずつ異なっても,聖地パレスチナにおいて聖地を特定することで生じる空間的枠組みはほぼ共通していることを示している。 膨大なアルヴァックスの著作に反して,日本では,邦訳された著作が非常に少ない。本翻訳はその一部に過ぎないが,その邦訳作業の一端になることを目指す。
著者
久米 洋輝
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2019-03-25

本論文では、麻雀プレイヤの実力を少ない行動記録から推定した研究について述べる.麻雀プレイヤの実力は平均順位やレート値から推定されるが,おおまかな推定をするにも多くの時間がかかる.例えば±0.1位程度の精度で平均順位を推定しようとすると約500戦必要であり,これは通常250時間以上かかる. 本研究ではより少ない対戦数nで麻雀プレイヤの実力をすることを目指して,次のような2つの実験を行った. 1つ目は,十分に強い人工知能プレイヤ(AIプレイヤ)を用いてエラーレートを計算することでプレイヤの実力を推定する実験である.エラーレートとはバックギャモンで一般的に用いられるプレイヤの実力指標であり,これはAIプレイヤが推定する1行動あたりの価値の減少平均値から見積もられる.エラーレートと平均順位の推定性能を比較した.性能の評価は,人々の実力指標として広く用いられている天鳳の平均レート値との相関係数,決定係数により行った.実験の結果,16戦でのエラーレートと500戦での平均順位は同等かそれ以上の推定性能を持つことが明らかとなった. 2つ目は,ニューラルネットワークを用いてプレイヤの実力推定を試みる実験である.本実験では1つ目の実験よりさらに少ない行動記録からプレイヤの実力を推定できないか試みた.1戦分の行動記録から抽出したいくつかの特徴を用いてプレイヤの実力推定を行った.実力推定に用いる特徴は,行動記録を数値化したものから自己符号化器を用いて抽出した特徴と1戦分の行動記録から得られたエラーレートの2つからなる.推定目標には,その行動記録時点でのプレイヤのレート値を用いた.実験の結果,構築したどのネットワークも目標値のほとんど平均値を出力するような推定をするものと同等であり,プレイヤの実力を推定することはできなかった.
著者
郝 暁卿
出版者
福岡県立大学人間社会学部
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.1-19, 2014-01-08

本稿は世界記憶遺産の保存・活用に関する総合的研究という奨励交付金の報告の一部として作成したものである。いわゆる記憶遺産とは過去のものでありながら、現在の人々に常に深遠な意義を示し、影響し続ける存在でないといけないものである。その意味で他の記憶遺産と同じように『黄帝内経』もそのような存在である。本稿は中国に複数ある「世界記憶遺産」の中で『黄帝内経』に考察の焦点を当てて、その現代的な意義を考えた。また、それと同時にその背景にある中国文化の要素も改めて吟味しようとした。結論の一つとして、『黄帝内経』は中医学の基礎理論を確立しただけではなく、その魅力と価値はまた病気治療と養生保健の実用性及び中国伝統文化の特殊な思惟方式にあるということである。
著者
古田 尚輝
雑誌
成城文藝
巻号頁・発行日
no.204, pp.117-94, 2008-09

本論は、1980年代後半から90年代前半にかけてフランスで大量に放送された日本のテレビ・アニメーションが与えた衝撃と反響を考察する試みである。本論では、これを研究が未開拓であった日本のアニメーションの輸出を手掛かりに探る。 東映動画が製作した『UFOロボ・グレンダイザー』が『ゴールドラック』(Goldorak)と改題してフランスで放送され始めたのは、30年前の1978年7月のことであった。この作品は、従来フランスで放送されていた幼児を対象としたアニメーションとは全く異質で、ロボットを主人公としたキャラクター設定やストリー展開の早さなどで異常な反響を呼んだ。これがきっかけとなって、日本のテレビ・アニメーションの地上波での放送は折からの商業テレビ局の開局を背景に80年代後半から急増し、90年にはアニメーション放送全体の35%を占めるに至った。これを東映動画の記録で見ると、フランスへ輸出されたテレビ・アニメーションは70年代から90年代に東映動画が製作した作品の約60%にも上っている。 しかし、こうした異質な文化の集中豪雨的な輸出は、異文化への免疫性に乏しく批判的視聴を経験していない子どもたちの人気を沸騰させる一方で、アニメーションは幼児向けという既成概念に捕われた親たちの激しい拒絶反応を招いた。日本のアニメーションは暴力的、性的で教育上好ましくないと批判され、90年代後半に入ると批判を恐れる放送局の編成方針も影響してその比率はアニメーションの放送全体の7%にまで激減した。現在では視聴者が限定された衛星放送やケーブル・テレビで細々と放送されているだけである。そして、これによって生じた地上波放送の空白を埋めるかのように、フランスのアニメーション産業は手厚い保護育成策に守られて再起し、アニメーション放送全体に占める割合は80年代後半の約17%が2000年代には約35%に倍増するまでに至っている。 日本のテレビ・アニメーションのかつての"氾濫"と現在の衛星波などでの微々たる放送との激しい落差、その間接的な効果としてのフランスのアニメーション産業の再起。これらは表面的には"異文化の囲い込み"の成功とも解釈出来よう。しかし、その一方で、幼児期に日本のテレビ・アニメーションの大量放送によって触発された好みや感性が今やフランスの青年層に内在化し、"第2のジャポニスム"の底流を形成しているとも考えられる。著者には、一見矛盾するような"異文化の囲い込み"と"第2のジャポニスム"のいずれもが『ゴールドラック』の残影のように思われる。
著者
古田 雄一
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 = OIU journal of international studies (ISSN:09153586)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.97-116, 2022-03-31

" Schools have important roles in preparing students for civic life, and makingthem engage in examining and revising their school rules could be one way tofulfill such a mission. The purpose of this paper is to investigate what studentslearn from participating in reexamination of their school rules and engaging indialogue with diverse stakeholders during the process. The paper utilizes acase of“ Rule-making project” at a Japanese girls’ junior and senior high school,supported by NPO staff and other experts. The project yielded a variety of civic effects. Student members of the projectbecame more confident in conveying their ideas to others and making adifference in their schools. They also deeply understood the value of dialogueand learned the importance of understanding others. In addition, there weresome schoolwide effects on students’ efficacy, trust, and intention of civicengagement. However, there were also some issues and challenges, such as thepower relationship between teachers(or other adults)and students, andinclusion of direrse students in the process."
著者
大井 義洋
出版者
中央大学専門職大学院事務部戦略経営研究科事務課
巻号頁・発行日
2019-03-24

【学位授与の日付】2019年3月24日【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第4項【論文審査委員主査】丹沢 安治 (中央大学大学院戦略経営研究科教授)【論文審査委員副査】榊原 清則 (中央大学大学院戦略経営研究科教授)、山本 秀男 (中央大学大学院戦略経営研究科教授)、田中 洋 (中央大学大学院戦略経営研究科教授)、手塚 公登(成城大学社会イノベーション学部教授)
著者
宮崎 修一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.1064-1071, 2013-09-15