著者
茂出木 敏雄 Toshio MODEGI 尚美学園大学芸術情報学部情報表現学科非常勤
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報研究 = Journal of informatics for arts, Shobi University (ISSN:18825370)
巻号頁・発行日
no.26, pp.85-104, 2017-03

既開発の音響信号からMIDI 符号に自動変換するツール「オート符」は、一般化調和解析に基づく周波数解析を採用することにより倍音を含む和音を高精度に解析できるという特徴があり、楽器音に限らずボーカルなど、標準的なMIDI 音源で近似的に原音響信号を再現可能なMIDI データを生成できる。このソフトウェアは、1996 年にWin32 アプリケーションとしてWindows NT/95 上で開発に着手し、2001 年より一般財団法人デジタルコンテンツ協会のホームページより約14 年間無償配布を行いながら、改良を重ねてきた。その間、Microsoft のWindows OS は数々のアップグレードがなされてきたが、本ツールはそれらの影響を受けず、最新OS のWindows 10/64bits 版まで問題無く稼働し続けてきた。しかし、2016 年夏に行われた"Windows10 Anniversary Update" により、MIDI 再生系に不具合が生じるようになった。これに対し、アプリケーション側に改良を加え、従来通り安定に稼働するように復旧させることができた。本稿では、本問題の調査結果と回避策について報告する。Our previously developed audio to MIDI-event converter tool "Auto-F" has a feature of highprecision harmonic tone analysis functions based on the Generalized Harmonic Analysis algorithm. Applying this tool, from given vocal acoustic signals we can create MIDI data, which enable to playback voice-like signals with a standard MIDI synthesizer. We began developing this software as a Win32 application on the Windows NT/95 platform in 1996. Since 2001, we have distributed this software tool for free at the Website of the Digital Content Association Japan for about 14 years, with several improvements added. In these years, Microsoft has released several upgraded Windows Operating Systems, and our developed tool could catch up with these updates and continue running on newer platforms until the latest Windows 10/64bits. However, the "Windows 10 Anniversary Update" released in the last summer, has influenced on the MIDI sequencer function of this tool. Then, we have improved this tool and we could successfully make its execution stable on this newest platform. In this report, we present results of our tracking of this software defect and our adopted technique for avoiding it.
著者
眞島 いづみ
出版者
北海道医療大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

平成29年度は、平成28度の唾液細菌叢解析に引き続き、健康な児童50名分の唾液サンプルを更に追加して、出身地域別にその細菌叢を解析した。結果として、地区間に有意な差は認められなかったが、口腔清掃状態別にそれを解析すると、先の解析結果同様、清掃状態が悪化するに従い、Veillonella属細菌の割合の増加が認められた。これらの解析から、う蝕や歯周病の直接的原因である口腔バイオフィルムの初期形成に重要な役割を果たすVeillonella属細菌が、口腔清掃状態が悪化するに従い、定着しやすくなることが明らかになった。更に、本口腔細菌叢解析の過程で、既報のVeillonella属細菌には分類されないVeillonella属細菌未同定株を分離した。ゲノムシークエンスデータによるAverage Nucleotide Identity算出、複数のハウスキーピング遺伝子の塩基配列解析、生化学的性状検査等を行った結果、本未同定株を新菌種Veillonella infantiumとして確立し、国際機関に株の寄託を行った(JCM 31738T、 TSD-88T)後、口腔内におけるその出現頻度を明らかにした。また、研究実施計画に基づき、上記新菌種を含む口腔Veillonella全7菌種標準株のドラフトゲノム解析後、KEGGデータベースを用いて比較ゲノム解析を行った。特に口腔バイオフィルムの初期形成に影響を与えることが示唆されているVeillonella tobetsuensis由来Autoinducer (AI)-1、AI-2及びCyclo-Leu-Proの代謝経路を含めた機能解析、当該産物産生責任遺伝子の同定作業を遂行した。これら研究成果により、口腔バイオフィルム初期形成菌であるVeillonella属細菌を応用した口腔感染症の予防及び治療法の確立の可能性が強く示唆された。
著者
平田 昌弘
出版者
北海道共同組合通信社
雑誌
デーリィマン (ISSN:04166272)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.60-61, 2014

ユーラシア発-乳文化へのいざない 15

1 0 0 0 OA 〔謡本〕

巻号頁・発行日
vol.あふむ小町, 1623
著者
森 望 村井 清人
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

従来、神経発生の初期段階において神経分化の抑制因子と考えられていたRESTが、ヒトの老化脳においては神経分化抑制ではなく、神経保護に機能し、RESTの発現が認知能力とも相関すると報じられている。申請者らはこの結果の真偽を検証する目的で、マウスのRESTの発現を培養神経老化モデルで検討した。また、RESTに細胞保護機能があるかどうかについて、酸化ストレスやDNA障害をモデルに検討した。全長のRESTおよび短絡型のREST4の発現が若齢と老齢の神経細胞で異なることが判明した。ただし、REST4の機能性や、RESTの老化神経での発現変動の意義については未だはっきりせず今後の研究に委ねられる。
著者
鳴瀬 善久 大橋 憲太郎 飯島 典生 田中 雅樹
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

我々は、神経選択的サイレンサー結合因子NRSFの標的遺伝子として心臓で発現する心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)遺伝子の3'UTRに神経選択的サイレンサー配列(NRS)が存在し、心室筋細胞でANPプロモーター活性を抑制することを明らかにした(Kuwahara.K, MCB,2001)。このようにNRSFは神経特異的に発現している遺伝子だけでなく、非神経細胞に発現している遺伝子も制御している可能性が示唆された。そこで新規標的候補遺伝子を探索するために、NRSFまたはウイルスの転写活性化ドメインを持つNRSF-VP16の恒常的発現細胞株を樹立し、内在性の標的遺伝子の発現が減少している細胞株と内在性の標的遺伝子の発現が上昇している細胞株を用いたSubtractive PCR法を行った。その結果、小胞輸送にかかわるkinesin light chain (KIF2)や転写因子Non-POU domain containing octamer-binding protein等を得ることができた。また、ヒト及びマウスゲノムデータベースによるNRS様配列をもつゲノム解析の結果、200を越える標的候補遺伝子を得ることに成功した。その中には、Subtractive PCR法で新規標的候補遺伝子として挙がっている同遺伝子、神経機能に重要なモノアミンオキシダーゼA、B遺伝子や神経回路形成にかかわる遺伝子の他に、新規アンキリンリピートを持つような分子やZn-finger型転写因子を標的候補遺伝子として得た。以上の結果より、細胞を用いた標的遺伝子の評価システムやゲノムデータ解析を用いることにより、NRSFの真の標的遺伝子を理解することが可能となった。
著者
小笠原 盛浩 川島 浩誉 藤代 裕之
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.121-140, 2018-03

本研究では東日本大震災時のコスモ石油流言の発生・発展・消滅段階で、NHKなどのマスメディア報道がTwitter 上の災害流言の抑制にどの程度効果があったかを定性的に分析した。著者らは東日本大震災発生から1週間の約18万ツイートのデータから、流言に関する特徴的なツイートを目視で抽出して流言の文脈を解釈した。分析結果によれば、マスメディア報道は発生・発展段階では流言抑制に効果がなかったが、消滅段階ではある程度の効果があったと考えられる。災害時の事実ではないTwitter 流言を抑制するには、流言の発展段階でマスメディアが流言を特定し、人々が状況理解のために求めている情報を的確に発信することが有効と考えられる。This study examined the effectiveness of mass media reporting in controlling the spread of the Cosmo Oil Rumor on Twitter; at birth, adventures, and death stages, during the 2011 Great East Japan Earthquake. Authors manually extracted characteristic tweets and analyzed these texts, from over 180 thousand tweet data for the first week in the disaster. The result suggests that mass media reporting did not contribute to control the rumor at the birth and the development stages, and was effective to some extent at death stage. Mass media reporting will be effective to control false rumor via Twitter during disasters, when it provides right information which people need for understanding their environment at the developemnt stage.
著者
高橋 正雄
出版者
医学書院
雑誌
総合リハビリテーション (ISSN:03869822)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.274, 2014-03-10

昭和35年に三島由紀夫が『近代能楽集』(新潮社)の一編として発表した『弱法師』は,俊徳という盲目の青年を主人公とする戯曲である.俊徳は5歳の時に空襲の炎で両眼を焼かれて失明し,実の両親とはぐれてしまったために,その後15年間他家で養育されたのだが,養父母は,俊徳のことを,「あの子は一種の狂人です」として,その奇妙な性格を次のように語っている.「あの子の性質には,私どもにどうにも理解できない妙なところ,固い殻のようなものがあるのです」,「あの子には感動というものがないのです.実の御両親が現われたときいても,あの子はまるで感動を示しもせず,ここへ来るあいだも至極つまらなそうな顔をしていました.そうかと思うと些細なことに,急に激して手に負えなくなったり……」. 養父母は,このように俊徳の不可解な性格を語り,それを聞いた実の親は,「すっかりひねくれて育ってしまった」と慨嘆するのだが,実は俊徳には,空襲時の光景がありありと蘇るというフラッシュ・バックを思わせる症状も記されている.

1 0 0 0 OA 滋野井家記録

出版者
巻号頁・発行日
vol.[6],