著者
Koikawa Kinuyo
出版者
近畿大学産業理工学部
雑誌
かやのもり : 近畿大学産業理工学部研究報告 : reports of School of Humanity-Oriented Science and Engineering, Kinki University (ISSN:13495801)
巻号頁・発行日
no.23, pp.32-40, 2015

[概要] 本稿は20世紀後半のアメリカで生きることの意味を, 言葉の力(特に1単語)に焦点を当てながら, デリーロの作品『アンダーワールド』(1997)を通して考察するものである. 主人公ニック・シェイの精神的な苦悩を通し, 平和に託した思いを論じる. 第1セクションでは, 電脳空間の人間への影響及びこの空間がパラノイアか否かという視点から論じる. 次のセクションでは, ヴァーチャルではない現実世界, 特に主人公のニック・シェイの経験を中心に読み解いていく. カザフスタンの原爆実験場の悲惨さを目の当たりにする等, アメリカ人としての苦闘, 寂寥感にさいなまされるニックを検証していく. 最後のセクションでは, 言葉の持つ力に揺るぎない信頼を寄せるデリーロがこの小説の終わりに記した「平和」についての考察を提示する.

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著者
大田南畝 著
出版者
巻号頁・発行日
1812
著者
[正岡子規] [編]
出版者
正岡子規写
巻号頁・発行日
vol.[14], 1890
著者
志村 英二 杉谷 巌 戸田 和寿 井下 尚子 佐藤 由紀子 元井 紀子
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.152-155, 2013 (Released:2013-08-30)
参考文献数
14

症例は36歳女性,健康診断にて前頸部腫瘤を指摘され,甲状腺腫瘍疑いにて当科を紹介受診した。頸部超音波検査にて甲状腺左葉下極に27×22×18mm大の辺縁分葉状の低エコー結節を認めた。穿刺吸引細胞診では,細胞質内に多数の好酸性顆粒を認めた。甲状腺腫瘍あるいは甲状腺外迷入病変を考え,甲状腺左葉切除術を施行した。病理学的所見では,腫瘍は甲状腺外軟部組織を中心に存在し,甲状腺組織にも浸潤性に増殖していた。腫瘍細胞は好酸性,顆粒状の豊かな細胞質を持つ類円形細胞よりなり,核異型は認めなかった。免疫染色の結果,腫瘍細胞はS100陽性であった。以上より,顆粒細胞腫と診断した。顆粒細胞腫の大部分は良性腫瘍と考えられているが,稀に遠隔転移や悪性症例の報告もされており,経過観察に注意を要する。
著者
松本 竹久 松田 和之 本田 孝行
出版者
医学書院
雑誌
検査と技術 (ISSN:03012611)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.1053-1058, 2010-10-01

新しい知見 リボソームRNA(ribosome RNA,rRNA)遺伝子は,塩基配列を基に生物の系統分類の指標として用いられる.細菌を対象とした場合,rRNA遺伝子配列がわかれば,インターネット上のデータベースを利用することで細菌検査の経験がなくても,容易に属レベルもしくは菌種レベルでの菌名の推定が可能である.なかでも16S rRNA遺伝子は,菌種の登録の際に遺伝子配列の登録が義務付けられており,各菌種の遺伝子配列データが豊富に存在するため,菌種の同定に利用される.形態学的検査と生化学的性状検査では菌種の同定が困難な場合に,16S rRNA遺伝子配列を用いた検査が実施されるようになり,今までに報告されてこなかった菌種による感染症が報告されるようになってきた.
著者
鹿住 祐子 前田 伸司 菅原 勇
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.551-558, 2006-09-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
27
被引用文献数
3

〔目的〕抗酸菌の同定にrpoB遺伝子シークエンスを利用できるか評価を行うために16SrRNAシークエンス(RIDOM)と比較し,さらにこの2つの方法を使い分けてDDH法にて菌種不明であった38臨床分離株を同定した。〔対象および方法〕ATCC標準菌株を中心とした抗酸菌(106株)とNocardia属,Rhodococcus属,Gordona属合わせて計112株を用いて,rPoB遺伝子シークエンスと16SrRNAシークエンスを行った。そしてDDH法不明菌38臨床分離株のシークエンス結果を2つの方法のデータベースで相同性を調べ,菌種を決定した。〔結果・考察〕研究対象となった112株のうち16SrRNAシークエンス(RIDOM)では69,6%,rpoB遺伝子シークエンスでは89。3%が同定可能であった。16SrRNAシークエンス(RIDOM)では同定できないM.kansasiiなど11菌種をrpoB遺伝子データベースでは分けることが可能であったが,2つのシークエンスを用いてもM.tubereulosisなど12菌種を分けることができなかった。DDH法不明菌種の38株はM.heckeshomense,M.branderiなど21菌種として同定され,両方の方法を組み合わせることによって97.4%が同定可能であった。
著者
鹿住 祐子 大友 幸二 高橋 光良 御手洗 聡 菅原 勇 和泉 純子 安藤 昭子 長谷川 秀浩
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.437-441, 2004-07-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
12
被引用文献数
2

[目的] 同定困難であったMycobacterium skinskuenseの細菌学的解析を行った。 [対象と方法] 37歳女性, 右下肢皮膚潰瘍より分離された抗酸菌 (被検株753) とM.marinum (ATCC927), M.ulcmns (ATCC19423), M.skinskuense (ATCC33728) をDDH, 16SrRNA法, rpoB法, 薬剤感受性試験, 生化学的・生物学的検査を用いて比較した。 [結果] DDH法によって上記の4株はM.marinumとして判定されたが, 遺伝子配列の検索方法 (16SrRNA法・rpoB法) ではこの被検株 (753) が3菌種のうち, いずれであるかを決定できなかった。しかし, 16S rRNA法の中のPortaelsらの方法によってこの3菌種を分類することが可能であった。この方法によって被検株 (753) はM.skinskuenseと同定された。薬剤感受性試験と生化学的・生物学的性状検査においても被検株はM.skinskuenseと同定された。 [考察] DDHにてM.msrinumと同定された抗酸菌で, 発育条件が28℃ 培養で2週間かかり, 暗所培養にて黄色のコロニーを形成するScotochromogenであった場合, 塩基配列レベルの検査と従来法の実施が必要である。
著者
是則 有希 Jiahui Jiang 中山 二郎
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.24-34, 2012-03-15 (Released:2015-01-06)
参考文献数
15
被引用文献数
2

16S rRNA遺伝子配列解析に基づくピロシークェンス法は、腸内細菌叢の群集構造をシークェンスレベルでプロファイル化できる点で非常に有用である。この系では、細菌の16S rRNA遺伝子を網羅的かつ偏りなく増幅させ、かつその断片から有効的に系統分類情報が得られるユニバーサルプライマーと、得られたバッチシークェンスデータを菌叢データに忠実に変換するアルゴリズムの設計が重要である。本稿では、その現状と問題点を中心に議論する。
著者
近藤 存志
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.D10, 2004

18世紀のイングランドにおけるピクチュアレスクの流行は、クロード・ロランやサルヴァトール・ローザ等の風景絵画に影響を受けると同時に、ウィリアム・ギルピンの活動に代表されるように、イングランド特有の自然や風景、気候などに対する関心を高める契機となった。ピクチュアレスクの流行はイングランド人によるイングランドの再評価を啓発したが、この点で「イングランド性の美的表現」を必要なこととして主張していたオーガスタス・ウェルビー・ノースモア・ピュージンの芸術意識と共通する側面を有していた。実際のところ、ピュージンは19世紀のイングランドにゴシック・リヴァイヴァルの確立を推し進める一方で、前世紀中に異教的芸術の影響下に萌芽的に出現しながら「純粋にイングランド的な美的趣向」として確立されたピクチュアレスクについて言説を残している。その内容からは、ピュージンが正当なピクチュアレスク建築の在り方をゴシック建築の機能主義的デザイン姿勢の派生的な帰結として位置付けていたことが読み取れる。こうしたピュージンのピクチュアレスク理解は、「機能主義的ピクチュアレスク観」と表現し得るものである。
著者
川村 隆浩 江上 周作 長野 伸一 大向 一輝 森田 武史 山本 泰智 古崎 晃司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1F101, 2018

<p>本論では,2018年に国内で初開催するナレッジグラフを対象とした推論チャレンジについて述べる.近年,深層学習をきっかけに人工知能(AI)技術への関心が高まっている.今後,AI技術は幅広く普及し,さまざまな社会システムに埋め込まれるようになるだろう.しかし,安全・安心に社会の中でAIを活用していくためには,AIによるシステムの動作を正しく解釈,検証し,品質を保証する技術が必要となる.そこで,本会セマンティクWebとオントロジー(SWO)研究会では,解釈可能性なAIに関する最先端技術の共有と研究開発の促進を図るため,推論に関するチャレンジを開催する.具体的には,広く知られたシャーロックの推理小説をナレッジグラフ化し,そこから犯人を推理(推論)する技術を広く一般から募集する.本チャレンジは2018年度人工知能学会全国大会開催当日より約半年間の日程でスタートする.是非,チャレンジへの参加をご検討されたい.</p>
著者
八木 雅和 谷口 達典 山田 憲嗣
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.164, 2017

<p>医療・ヘルスケア機器イノベーションを実現する人材を育成するために、東北大学、東京大学、大阪大学が連携し、スタンフォード大学と提携して、2015年にジャパン・バイオデザインが設立された。そして、既に著しい成果を挙げているスタンフォード バイオデザイン プログラムをもとに4大学で開発し、実践集中型人材育成プログラム ジャパン・バイオデザイン フェローシッププログラムを2015年から共同で日本において実施している。本プログラムは、10ヶ月間で医療現場の問題・ニーズを探索・評価・定義し、解決策を創出して、最終的な事業化を目指すものである。昨年7月に第1期生が修了し、現在、第2期生がプロジェクトを推進中である。本講演では、まず、ジャパン・バイオデザインとは何なのか?これまでどのような活動を行ってきたのか、について報告する。そして、今後どのように展開するのかについて情報共有し議論する。また、このような中で、大阪大学での具体的な活動・成果、そして、将来展望について情報共有・議論する。</p>
著者
髙西 照彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.59A, pp.353-361, 2013 (Released:2014-03-14)

In order to control vibration on a structure having two degrees of freedom system of swaying and twisting vibrations during harmonic ground shaking, two kinds of tuned system damper are installed on the structure. In this paper, one method is proposed to determine approximate optimum dynamic parameters of these two dampers (optimum frequency ratio, mass ratio of a damper to that of the structure and optimum damping constant). A five dimensional nonlinear simultaneous equation which satisfy conditions minimizing response of acceleration of two corners of structure was deduced. This equation was resolved by using iterative procedure by Newton's method and five optimum values of dynamic parameters were obtained.