著者
阿部 亮吾
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.78, no.14, pp.951-975, 2005
被引用文献数
3

1980年代以降急増したフィリピン人女性エンターテイナーの存在は,アジア系ニューカマーの中でも看過できない存在である.なぜならば,彼女たちは外国人を厳しく規制する日本の入管行政において,合法的な入国・就労が認められてきたエスニック集団だからである.本稿の目的は,システム化された移住労働の今日的状況のもとで,彼女たちを他者として位置づけているポリティクスを明らかにすることである.本稿では,名古屋市栄ウォーク街のフィリピン・パブを事例に,雇用者との労使関係,顧客との相互関係に着目し,彼女たちが雇用者と顧客双方からどのようなパフォーマンスを期待されているのかを議論した.そこで明らかとなったのは,ミクロ・スケールの日常空間で作用する雇用者の空間的管理のポリティクスと顧客のまなざしのポリティクスが,移住労働の制度・法的背景と相互に関係し作用する様相であり,それに果たすフィリピン・パブという空間の役割であった.
著者
高橋 裕子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.523-525, 2009-07-30 (Released:2010-03-01)
参考文献数
5

1 0 0 0 OA 軟骨再生

著者
安倖 伸生 越智 光夫 石川 正和
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.117-119, 2007-06-15 (Released:2010-10-28)
参考文献数
14
著者
大瀧 宗典 松本 太郎 加野 浩一郎 徳橋 泰明
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.246-252, 2015-10-01 (Released:2016-01-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

脱分化脂肪細胞dedifferentiated fat cell (DFAT) は成熟脂肪細胞を天井培養することによって得られる多能性を有する細胞である.今回ヒトDFAT を用いた軟骨組織再生の可能性を検討した.ヒトDFAT を3 週間軟骨分化誘導培地にてペレット培養した結果,トルイジンブルーに異染性を示し,アグリカン陽性,II 型コラーゲン陽性の軟骨様組織の形成が認められた.3 週間ペレット培養したヒトDFAT を重症免疫不全マウスの皮下に移植し,移植2 週間後に皮下より摘出すると,より成熟度の高い軟骨様組織の形成が認められた.DFAT は少量の脂肪組織から簡便に大量調製が可能であることから,軟骨再生医療の新たな細胞源として期待できる.
著者
星 和人 西澤 悟 髙戸 毅
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.109-113, 2015 (Released:2018-08-26)
参考文献数
7

再生医療という新たな治療方法が初めて新聞などで紹介されたのは1997年のことである.チャールズ・バカンティらの研究グループによるヒトの耳介を背中に埋め込んだマウスの写真は見る者に強烈なインパクトを与えるものだった.生体から採取した細胞から人工的に新たな組織を作製するというコンセプトの「再生医療」は当時,失った臓器を人工的に再生できる夢の技術として認知された.そして実際に臨床応用されるのは,近い将来のことだと受け取られていた.しかし,再生医療が実現するまでに超えなければならないハードルは予想以上に高く,2007年に国内における最初の再生医療製品「人工培養上皮ジェイス」が保険診療として認可されるまでに10年を要した.これをきっかけとして,新たな再生医療製品の認可が続くかと思われたが,現在までに国内登録された再生医療製品はジェイスのほか,2製品のみにとどまっている.再生医療を臨床応用するために検討しなければならない課題として,「細胞」「分化」「足場」の3つのキーワードがある.「細胞」は必要な質および量の細胞をどのように確保するかという課題である.例えば,肝臓サイズの再生組織を作製するためには数十~数千億オーダーの細胞が必要となる.しかし一般的に,人体から採取可能な細胞量は多くとも数百~数千万オーダーであるため,採取した細胞を培養して千倍以上に増殖させることが必要となるが,細胞の種類によって,また採取したドナーによって最適な培養条件は異なる.さらに一般的に細胞の分裂回数には上限があり,一定回数分裂するとそれ以上は増殖しない.そのため,この課題を解決することは容易ではない.細胞を生体外で人工的な方法で培養すると,分裂を重ねる度に細胞の持つ特性が喪失して未分化な状態に変化する「脱分化」と呼ばれる現象が生じる.脱分化した細胞を再生組織の細胞源に用いると,高品質の再生組織を作製することができない.そのため脱分化した細胞を再生組織の細胞源に用いる場合には,「再分化誘導」と呼ばれる方法で喪失した細胞特性を取り戻す必要がある.つまり「分化」は,脱分化を防ぐ培養法および再分化誘導法を開発するという課題である.「足場」は細胞の接着や増殖,分化を促して再生組織の形状や構造を保持するためのバイオマテリアルをどのように設計するかという課題である.足場素材の成分や構造,形状が再生組織の特性に大きな影響を持つことが知られている.再生医療を実現するためには,これらの3要素全てを極めて高いレベルで実現化する必要があり,再生医療が実現するまでに非常に多くの時間を要する一因となっている.
著者
菅原 桂
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.88-92, 2010-02-01 (Released:2011-08-12)
参考文献数
15

我が国は高齢化社会を迎えて「より善く生きる」ことが社会的な課題となっている.運動器疾患はそれ自体が生命を脅かすことは少ないが,その予防と治療は QOL (Quality of Life) の観点から非常に重要である.膝や肘などの関節に存在し四肢の動きを滑らかにしている関節軟骨は,いったん損傷を受けると自然には治癒しない組織である.そのため,根本的な治療ができず,次第に軟骨が変性して痛みを生じるようになり,日常生活に支障をきたすことも多い.このような軟骨欠損の治療法として,組織工学を応用した自家培養軟骨移植術が登場した.ここでは,軟骨組織の特性と,自家培養軟骨による軟骨欠損の治療およびその産業化への取り組みについて解説する.
著者
中村 元哉
出版者
一般財団法人 アジア政経学会
雑誌
アジア研究 (ISSN:00449237)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.1-19, 2006-10-31 (Released:2014-09-30)
参考文献数
107

The goal of this paper is to examine how the history of laws governing the press and awareness of the concept of copyright have influenced and controlled modern and contemporary Chinese media. This paper looks at the degree to which press policies were enacted and systematized in China from the late Qing period on, and analyzes the level of awareness of publishing rights in society in general. These issues are discussed by focusing on pirated editions, thereby allowing us to investigate two major topics critical for understanding modern and contemporary China’s press policy and publishing industry: censorship and culture, and the promotion of industry.This paper makes clear the following two points: first, in modern and contemporary China, copyright and censorship have been closely linked. This relationship is not apparent in Europe, the United States and Japan, whose legal systems posit a distinction between laws governing the public realm and laws governing the private realm. Secondly, in China copyright was not only held by authors, it was also held by publishers, and in reality the latter had a more dominant position. This was a characteristic of the late Qing and Republican eras and has shaped the legal system and rights-consciousness in contemporary China (see case 7 in the main text). Having a historical perspective is crucial to analyzing the current situation.
著者
菊田 晋祐
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.70-73, 2016-04-01 (Released:2016-07-20)
参考文献数
21

Cardiovascular regenerative therapy has the potential to improve the treatment of peripheral artery disease (PAD), ischemic heart disease (IHD) and severe heart failure. Autologous implantation of bone marrow-mononuclear cells into ischemic limbs was reported as an effective application by the secretion of various angiogenic factors or cytokines. On the other hand, bone marrow cells and skeletal myoblasts transplantation for cardiac angiogenic therapy, injected directry into cardiac ischemic lesion, was generally insufficient to repair severe myocardial damage. To improve the efficacy of cardiac cell therapy, cell sheet technology was developed to reduce the damage of the transplanted cells. The discovery of iPS cells and cardiac master genes have changed the field of cardiac regenerative medicine. Because cardiomyocytes are terminally differentiated cells with limited regenerative capacity in adult heart, implantation of cardiomyocyte cell-sheet differentiated from iPS cells or the other pluripotent cell types, is expected as a new strategy of cardiac cell therapy. Moreover, direct cardiac reprograming which means cardiac fibroblasts induced converting directry into cardiomyocytes in damaged cardiac tissue, was discovered recentry. Here, this review summarizes recent advances in cardiovascular regenerative therapy and discusses the perspectives and challenges of new technology in basic biology and clinical applications.
著者
米澤 好史
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部教育実践研究指導センター紀要 (ISSN:09182683)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.51-60, 1995-08-20

本論では,米澤(1994)を受けて,学習過程,問題解決過程における「理解」の重要性を指摘することを目的とした。その際,問題解決者が理解の重要性を自覚すること,そして,問題解決者にとっての理解の意味を,学習指導者たる教師が単に枠組み的知識としてではなく,真に認識することの必要性を指摘した。まず,いくつかの具体的な問題解決場面を取り上げ,認知心理学実験の知見をもとに,学習者にとっての理解の意味を問い直す指摘をした。更に,筆者自身の大学における論文理解の授業からの報告も含めて,真の理解のために必要な指導観を指摘し,学習者の視点に立つことの意味を再吟味した。こうした具体的な指摘と考察を通じて,学習者と教材との「かかわり」を規定し,その後の問題解決そのものに多大な影響を与える理解過程の分析を行い,学習者が理解時に,その理解状況と意味,及び自らの理解の視点に「気づく」ことの重要性を指摘した。
著者
酒井 康行
出版者
一般社団法人 日本複合材料学会
雑誌
日本複合材料学会誌 (ISSN:03852563)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.171-176, 2003-09-15 (Released:2009-08-11)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1
出版者
兵庫県
巻号頁・発行日
1935
著者
登藤 直弥 孫 媛 井上 俊哉
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.180-185, 2015-05-23 (Released:2015-07-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

本研究では,教育成果に対する学習環境と教育プログラムの効果について検討するため,医学部を対象に,ロジスティック回帰分析による検討を行った.その結果,教育成果に対して学習環境がほとんど影響を与えておらず,教育プログラムが教育成果に対し正の影響を与えているという,学校効果研究と同様の知見が得られた.